米韓中のいずれも朝鮮半島で戦争が起きることで、失うものはあれど得られるものはほとんどないといっていいため、それを望むことはないからだ。
いや、拡大を最も望んでいないどころか、それを恐れているのは当の北なのかもしれない。
なぜなら、北が本気で朝鮮戦争の再開を望むのであれば、初撃は辺境への砲撃ではなくソウルへの攻撃でなければならない。もしくは、今回の砲撃で米韓政府が混乱している隙をついて、休戦ラインを超越した全面的な地上侵攻がなければおかしいのだ。
現状では北の軍がそのような動きを見せている様子はない。推定される北の継戦能力からして短期決戦以外は不可能だし。
つまるところは、米韓の政治的な出方を探る、もしくは動きを引き出すための威力偵察であると考えるのが自然だろう。
実際、今回砲撃があった地域は、南北双方が自己の軍事的勢力圏であると主張していて、以前から艦艇に銃撃を加えるといった程度の小競合いが発生している。砲撃前後の北の主張もそれに沿ったものだ。
こうした北の挑発には暖簾に腕押しといった対応がいちばん効くのだが(要はネット上の荒らし行為への対応のようなものだ)、とはいっても民間人にも被害が出るほどの攻撃では無視するわけにもいかない。米韓は北に不必要な自信をつけさせないためにも何がしかの報復行為を迫られることんになる。特に死傷者を出した韓国はある程度の措置を取らなければ、ネットの普及によって暴走しやすくなっている国民感情が政権の基盤を揺るがす事態にもなりかねない。
しかし、この報復はいたずらに中国を刺激しないように、極めて微妙なラインを狙わざるを得ないという制限がついてしまう。
というか、中国が北を見捨てることがないという前提があるからこそ、中国との関係悪化を恐れる国際社会が強硬な態度に出られないと踏んで、北はこうした危険な賭けに出られるのだ。
ここがイラクやアフガニスタンとの大きな違いである。北に対して大規模な軍事行動を起こせば、それは中国の喉もとにナイフを突きつけるのと同等であるのだ。
放し飼いになっている躾の悪い犬が自分に噛み付きそうになったからといって、いきなり撃ち殺してしまったら、責任があるとはいっても飼い主は気を悪くするだろう。もし飼い主が自分の責任を棚に上げて恫喝してくるようなタイプならタダではすまなくなってしまう。
報復に中国を巻き込むのが理想ではあるが、北が中国の面子を潰すような行為に出ない限りは表立って報復に加担させるのは難しいと思われる。恐らく、すでに米国は水面下で容認できる報復のラインについて中国との合意を得るための交渉に入っているだろう。
中間選挙で大敗し、内外政に手詰まり感が漂うオバマ政権にとって、ここで華々しい外交的成果を上げることができれば、難しい舵取りではあるが、それだけに失地を回復することができる大きなチャンスなのだ。
砲撃を「報道で知った」レベルのわが国の政府にこうした動きは不可能だ。下手に得点を稼ごうなどとは考えず、せめて足を引っ張らない程度に口をつぐんでいるぐらいにしておいて欲しい。
正しい情報の収集と分析、それに基く根回しがなければ外交は明後日の方にしか向かわないのだ。
まあ、それすらできないのがわが民主政権なのだが。
※昨日のページビューが異様に多いと思ったら、自分が開いた分までカウントされていた。それでもなんとなく多いな。ま、いっか。
※例え話を変えたよ。
※こういう時に怖いのはナーバスになった人々の過剰反応。偶発戦争ってのは大概そこから始まるからね。現場の人たちは神経すり減らして大変だろうけども。
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