・激闘相模原市立博物館
眠気的な意味で。
さて、JAXAを後にして相模原市立博物館に移動したハヤカワさん一行ですが、その前にちと報告を。
前の記事にも追記したのですが、JAXAの展示で衛星の模型の支えにリポDが使用されていた件についての情報を得ました。
全天周映画について書くためにWikipediaでハヤブサの行程を調べていたのですが、ハヤブサがイトカワに着陸するときに管制室の様子をインターネットで中継しており、その際管制室に次々とリポDの瓶が積みあがったのが評判となり、後に大正製薬からJAXA担当者にリポDが2カートン贈られたのだそうです。
あのリポDはその辺りの事情を知っている人には分かるシャレなのでしょう。
以上、報告終わり。レポ開始。
※おっと、一応注意書き。小惑星探査機「はやぶさ」は、正式な表記はひらがななんですが、本文中では地の文章と混じってわかりにくくなってしまうため故意にカタカナでハヤブサとしています。
全天周映画上映開始10分ほど前に相模原市立博物館に到着。ロビーにはイトカワの模型が展示されていたが、地表に豆粒のようなハヤブサが貼り付いているそうなので、しばし探してみる。まあこういうものは来館者が見やすい位置にあるのが定石なので、正面から見たらすぐに見つかった。先ほどの実物大模型が意外に大きかった印象があるだけに、イトカワとの対比ではあまりにも小さいのに驚かされる。
模型の展示ケースそのすぐ横には、上映待ちの列がすでに20~30人ほどできている。やはり平日だけに少ないというか、平日なのによくこれだけというべきか。
最後尾に付くと、入場を開始するまでに我々の後ろに10人ほど増えたようだ。JAXAで見かけた一般の見学者もいる。やはり考えることは同じだ。
並んでから5分も待たずに入場開始。プラネタリウムの内部は思ったより広い。人が少ないこともあるのだろうが、以前、今日も同行している友人と観に行ったサンシャイン60のプラネタリウムよりも空間に余裕がある感じがする。
客席は雛壇状になっているが、どこが一番見やすいかはなにせ初めてのことだけにわからない。他の入場者は上段に陣取っている者が多い。わき目も振らずそこへ向かったところからすると、上段の方が見やすいのだろうか。取り敢えず、よく分かっていない我々は中段ぐらいのところに席を取った。
シートは背もたれが大きく倒れるようになっているので、まずはそれを最大まで倒して視界が頂点に向くように寝転がる。だがしかし、後述するがこれが友人に悲劇をもたらすことになる。
照明が落とされ、諸注意のアナウンスが済んだところでいよいよ上映開始。
映画は、ハヤブサが打ち上げられるところを宇宙から見た構図から始まる。画面には地球が大写しになっていて、打ち上げの軌跡は割と端っこのほうだったため、探すのに苦労した。
Mロケットから順調に切り離され、ハヤブサは勇躍宇宙へと漕ぎ出す。
しかし、広大な宇宙のCGが映し出されると、その美しさに感動するより前に「無限に広がる大宇宙……」やら「航星日誌、宇宙暦××××年……」などといったセリフが脳内で再生されてしまうハヤカワさんは立派なオタクである。最近はあまり訓練されているとはいいがたいが。
CGはとにかく綺麗で、ハヤブサの機体がスクリーン一面を埋め尽くすようなドアップになってもまったくアラが出ない。
なお、バックの星が煌かないのは手抜きではなく、宇宙空間には光を散乱させる大気のようなものがほとんどないため、もともと煌かないのだ。意外と知らない人が多いようなので一応書いておく。
本編に戻ろう。
映画の内容はハヤブサの全行程の中で、地球スイングバイとイトカワでのサンプル採取が山場だ。山場以外はほとんどハヤブサが宇宙を飛んでいるのを様々な角度で映して、それに叙情的なナレーションが付いているだけ。まあ、山場ばっかりだと疲れちゃうからな。だが、後述するがそれが友人に悲劇をもたらした。
ちなみに、この叙情的なナレーションの主は俳優の篠田三郎氏。ハヤカワさんのようなお年寄りにはウルトラマンタロウの東光太郎と言った方が通りが早い。もっとも、上映中はまったくそんなことには気付かなかったのだが。落ち着いた、映像を邪魔しないナレーションという点では非常によいと思われたのだが、後述するがそれが友人に(ry
※ここでちょっと注意しときますと、これ以降のハヤカワさんの解説では、映画で語られたものに、家に帰ってから調べたことが付け加えられています。上手いこと書き分けられなかったため、ちょっとごっちゃになってますので、まあアレですよ「いんだよ、細けぇこたあ!」ということをお含み置きください。
さて、第一の山場地球スイングバイでは、飛行ルートを四角いフレームの連続として描き、その中をハヤブサが通過していくことで、針の穴を通すコントロールを表現していた。分かりやすくていい演出だと思うが、その難しさや外れたらどうなるかということが省かれているのは残念だ。
それ以外にも、時間の制約も大きいのだろうが、ハヤブサのみに焦点が当てられていて、それを支えた地球の管制室でのさまざまな苦心や努力が、ナレーションにおいても、まったく表現されていないのは個人的に残念だ。なんだかハヤブサだけが頑張ったような印象になってしまう。この映画がWikipediaなどで“叙情的”と評されているのはこの辺りが原因だろう。
まあ、あんまりその辺を詳しくやりすぎても、帰還の報道で初めて興味を持ったような一般の観客には分かりにくいだろうし、その筋のマニアはにとっては知ってることばかりでつまらないものになってしまうのかもしれない。JAXAはことあるごとにネットで中継していたから、新しい事実なんてものはそうありはしないだろうし。
さて、本編はいよいよ最大の山場であるイトカワでの活動場面になった。着陸前の事前探査でイトカワの質量が想定よりも小さかったことで、その構造を類推した画像が出たり、ちょっと科学映画らしくなってきた。
事前探査が終わり、着陸地点が決定されて、いよいよイトカワでの試料採取である。
ここに来て初めてハヤブサがすでに満身創痍であることが語られた。
まず、姿勢を制御するためのリアクションホイールという装置が3基中2基故障していること。
後に調べたところ、これらは同時に故障したのではなく、イトカワへの接近前には故障していたのは1基だけだったようだ。3軸制御ではリアクションホイールが最低2基あれば姿勢制御は可能なので、そこまでは想定内の運用だということ。ところが、イトカワとのランデブーを行ったところ、そこでさらに1基が故障したらしい。
これはかなりマズイ。代わりに化学ロケットを併用して姿勢制御をすることになったが、これはリアクションホイールよりも大雑把にしか制御できない。地球からの制御には片道16分もの通信時間がかかるのだから、状況に合わせた微妙な調節など不可能だろう。さらに、これは帰還用の燃料を一部消費することになる。燃料にはトラブルに備えて多少の余裕が持たせてあったとはいえ、少しでも使いすぎると帰還不能になる可能性がある非常に危険な賭けでもある。
だが、ハヤブサはそれを敢行した。
このあたりでちょっと涙腺が緩んできたが、ハヤカワさんは男の子なので人前では泣かないように必死でこらえるのだ。涙で画面が曇って細かいところを見逃すともったいないし。
1回目の着陸シーケンスはリハーサルであるが、異常があり失敗。映画ではこの部分は省かれていたような気がする。
再度リハーサルを行い、この時に、ついさっきJAXAで見てきたばかりのターゲットマーカーが投下された。そういえば、公募した名前が刻まれた記念プレートも置いてきたはずだが、そのタイミングについては触れられてなかったような気がする。
3回目のリハーサルでミネルヴァが投下されたということなのだが、これも映画では省かれていたような気がする。
いよいよ本番、しかし、降下中にハヤブサ自身が異常を感知してシーケンスを中断するが、その後再び降下し着陸に成功する。しかし、本来なら着陸して試料を採取し、すぐに上昇するはずが、30分あまりもイトカワ上で停止していたらしい。これは地上の管制室では通信状態の都合で把握できていなくて、通信の途絶が長時間にわたったため、緊急離陸させたそうだ。この辺りの細かい事情も映画では省かれていたような。
まあ、調べればすぐ分かることだからいいっちゃいいのだが、一般の人は調べないだろうから、あんまり省きすぎるとハヤブサだけが独りで頑張ったような印象になってしまうなあ。大きな仕事は多くの人の関わりや支えがあって初めて成し遂げられるってことをきちんと描いた方が教育的にもいいような気がするのだが。
2回目の降下に挑み、これには成功。弾丸を発射して試料を採取する場面が描かれる。実際には弾丸が正常に発射されたかどうかよくわかっていないらしいが。なお、このシーンはかなり長い時間を使っているが、ほんの1秒程度のことだそうだ。
採取が終了して、イトカワから最後の離脱。ここで拍手をしたくなったが、他にも観客がいるのでガマンする。ハヤカワさん大人だから。決して涙で何も見えなくなっていたわけではない。こう書くといかにもハヤカワさんが号泣していたような印象を与えるが、ちょっとウルッとはしたものの、本当に泣いてませんから。ええ、泣いてませんとも! 男が泣いていいのは生まれたときと親が死んだときとサイフを落としたときだけなんだいっ!
これで無事帰還かと思いきや、帰路もまた山あり谷あり。こうした話はハヤカワさん『現代萌衛星図鑑』の原型になった同人誌ですでに知っているのだが、映画的にはちょっとあっさりした印象。エンジンは故障するわバッテリーは上がるわ燃料は漏れるわ姿勢制御ができなくて太陽電池が発電しなくなるわ、終いには通信が途絶してあわや宇宙の孤児となるところまで。まあこうした内部のトラブルは画面的には描きにくいし、外見的には軸がブレていたりイオンエンジンの噴流が減ってる程度しか変化ないし、制作時には状況が分からなくて映像化しようがないことも多かったのかもしれない。
※映画の完成はハヤブサ帰還の1年以上前になる2009年3月のこと。それから逆算すると企画は通信が回復して帰還の望みが出た2007年頃か。調べりゃ分かるのかもしれないが重要なことでもないので調べない。
なんとか通信が回復して、地球へ帰還する目処が立ったところでハヤブサ本体の出番は終了。
最後の場面では大気圏に突入してウーメラ砂漠(?)に落下するカプセルが描かれるが、これは当初の計画通りなので、おそらく想像で作られたものではあろうが、相当緻密な現地取材をしたのか、かなり実際に近いものになっていると思う。ハヤブサの帰還を受けて画像を修正したという話も聞かないし、そこまでの時間や費用はなかっただろうし。
映画の概要はこんなところか。途中で小説を書いたりしてたもので、見てきてから20日ぐらい経ってしまったため、記憶にブレがあるかもしれない。っていうか確実にあるので、気になる人は実際に映画を見て確認したほうがいい。映画のウェブサイトに上映館の情報がある。“はやぶさ”“映画”でググれ!
なお、最前から書いてはいるが、ハヤブサにトラブルが起きたのはイトカワに到着してからではなくて、出発当初から4基あるイオンエンジンのうち、1基は出力が不安定なために動作していないし、帰路ではそれがついに3基停止し、動作するのは1基にまで減少している(生きているエンジンが2基になり、1基を予備として温存して1基のみで運用していた時期もあるそうだ。それも最後には全基故障して、当初から停止していたため使用していなかったエンジンの中和器を利用してなんとか復活させたりしている)。これは映像では表現されているものの、説明が一切ないため、知らなければなんでエンジンからガスの噴流が出ていないのかまったく分からない。例によってミネルヴァのことはガン無視である。せめてナレーションだけでも入れて欲しかった。
また、全天周というだけあって、首をあちこちに廻らさないと見逃してしまうものが多くていけない。これから見るという人はかなり首にくることは覚悟したほうがいい。入場者の多くが上段の席に行ったが、そっちはそれほどキツくはないのかも知れないので、これから行くという人は気を付けておこう。
40分ちょいで上映終了、照明が点けられると、隣の友人が開口一番「寝ちゃった」とか言う。ハヤカワさんはまったく気付かなかったが、シートの寝心地がよかったのか、ナレーションの落ち着き具合が絶妙だったのか、かなり早い段階で落ちていたようだ。なんともったいないことを!
※友人にこの記事を読んで記憶の摺り合わせをしてもらったところ、彼が落ちたのは地球スイングバイに入る前の解説の辺りで、目を覚ましたのは最初のタッチダウンの途中ぐらいらしいく、全部見逃していたわけではないようだ。それと、映画に集中していたハヤカワさんは全然気にならなかったのだが、すぐ後ろのあたりにいた女性たちがかなりハヤブサ萌え状態になっていたらしい。そういえば、上映前には随分楽しげにお喋りをしていらっしゃったような気がする。
一旦プラネタリウムを出て、次は続いて金星探査機「あかつき」の、今度はプラネタリウム番組を見る。入場者はハヤブサの半分もいない。お前らホントは宇宙好きなんじゃねぇだろ?! なんてことは思っても口には出さない。だってハヤカワさん大人だから。
内容は、プラネタリウム番組といっはても、プラネタリウム的な星を映写するというのはほんの最初だけ、相模原から見た金星の動きを紹介するものだけ。後はあかつきの行程や金星の秘密についてなど、概要をプロジェクト代表の大先生(名前忘れた)が解説してくれる映像。ハヤブサではなんとか耐えたハヤカワさんだったが、こっちの番組では一瞬まぶたが落ちてしまった。だがガン寝はしてない! 信じて、おーねがい。
この映像だが、大先生と生のナレーションで掛け合いがあるのだが、ナレーションがちと走り気味で、ナレーションが質問してから先生が答えてくれるまで少々間が空いたりしていた。まあ生だし。
番組は40分程度で無事に終了した。晩飯までにちょっと時間があるので博物館の常設展示物を見てみることに。
そういえば、相模原は日本の近代的な測量が初めて行われた土地で、市内の何処かにその始点だかが残っているらしい。そんなものも紹介されているのだろうか?
相模原の土地組成など天地開闢から、縄文や弥生の土器の展示へ続き、中世を盛大にカッ飛ばして突然後北条期になるという、歴史家にとってはかなり不思議な展示内容だ。相模原ってその途中何にもなかったっけ? 「いんだよ、細かけぇこたあ!」ああまた松田さんが降臨してしまった。と、展示が江戸時代の農村に到達したところで、追い出しの放送が流れる。この博物館、なんと5時で閉館だそうだ。
これだからお役所仕事は!
博物館を出るとそろそろ日が傾き始めている。エントランスの真正面に見えるJAXAのゲートはあかつきが出発した場所だった。
帰路は徒歩で最寄りのJR横浜線淵野辺駅まで移動し、電車で町田へ。少しブラブラしてから夕食を摂って解散。
帰路、うっかりまんがタイムきららを買い忘れる。つうこんのいちげき。普段なら次号発売直前でも買えるものが、たった2~3日で書店から姿を消すとは。けいおん厨を甘く見ていた。転売屋は犬のウンコ踏め!
2010年9月29日水曜日
2010年9月26日日曜日
今日の雑感007
そろそろCOCOMを復活させるべきなんじゃないかね。
世界最大の独裁国家にして人権の抑圧者であり大量破壊兵器を公然と所持している厨華をのさばらせたのは国際政治の最大の失策かもしれない。
ソ連と同じように自己崩壊するって高をくくってたんだろうなあ。
とりあえずは周辺諸国と連携して締め上げていくしかないのだが。
いっそのこと台湾とチベットを独立国家として国連で承認しちまうとか。
まあ、暴発するだけだろうけど。
何にしても1か所に依存しすぎると危険なのはエネルギーも経済も政治も同じ。
現状で、厨華の膨張政策に唯一対抗し得るのは日米同盟であり、厨華の脅威に晒されている周辺諸国はその抑止力に大きく期待していたが、今回の日本の失策によって、それらの国は大いに失望させられることとなった。これは今後の外交において計り知れない影響を与えるだろう。
特にベトナムにおいては、南シナ海と背後のラオスが厨華の支配下に置かれることで、孤立状態に置かれる危険があり、そのためかつての仇敵である米国の空母ジョージワシントンの来航を歓迎し、政府高官による同艦訪問まで行っているのだ。
こうした機も捉えられない程度の国際感覚なのに、APECの会議なんか横浜でやったって、外交上の得点なんか稼げやしない。せいぜい道が変に混んでハヤカワさんが迷惑するぐらいのことだ。
てか、今の状態が続くと厨華は欠席するかも知れんね。
そしたら、人民日報の見出しが「我が代表堂々欠席す」とかなるかな。
まあ、そこまで引き摺る前に民主党は頭下げちゃうんだろうな。んなもん向こうが勝手に臍曲げてんだからほっときゃいいのに。
※ぐぐるさんがオススメしてくるから“リアクション”ちゅうのを増やしてみたよ。なんか拍手ボタンみたいなもんらしい。
※見てる人がいるかどうかわからんけど一応注意しときますと、ハヤカワさんは一度書いた記事に次々と追記していく手法を採用しています。過去記事だからってスルーしていると、いつの間にかエラク違ったものになっていることがあるから、目を離さない方がいいですよ。
世界最大の独裁国家にして人権の抑圧者であり大量破壊兵器を公然と所持している厨華をのさばらせたのは国際政治の最大の失策かもしれない。
ソ連と同じように自己崩壊するって高をくくってたんだろうなあ。
とりあえずは周辺諸国と連携して締め上げていくしかないのだが。
いっそのこと台湾とチベットを独立国家として国連で承認しちまうとか。
まあ、暴発するだけだろうけど。
何にしても1か所に依存しすぎると危険なのはエネルギーも経済も政治も同じ。
現状で、厨華の膨張政策に唯一対抗し得るのは日米同盟であり、厨華の脅威に晒されている周辺諸国はその抑止力に大きく期待していたが、今回の日本の失策によって、それらの国は大いに失望させられることとなった。これは今後の外交において計り知れない影響を与えるだろう。
特にベトナムにおいては、南シナ海と背後のラオスが厨華の支配下に置かれることで、孤立状態に置かれる危険があり、そのためかつての仇敵である米国の空母ジョージワシントンの来航を歓迎し、政府高官による同艦訪問まで行っているのだ。
こうした機も捉えられない程度の国際感覚なのに、APECの会議なんか横浜でやったって、外交上の得点なんか稼げやしない。せいぜい道が変に混んでハヤカワさんが迷惑するぐらいのことだ。
てか、今の状態が続くと厨華は欠席するかも知れんね。
そしたら、人民日報の見出しが「我が代表堂々欠席す」とかなるかな。
まあ、そこまで引き摺る前に民主党は頭下げちゃうんだろうな。んなもん向こうが勝手に臍曲げてんだからほっときゃいいのに。
※ぐぐるさんがオススメしてくるから“リアクション”ちゅうのを増やしてみたよ。なんか拍手ボタンみたいなもんらしい。
※見てる人がいるかどうかわからんけど一応注意しときますと、ハヤカワさんは一度書いた記事に次々と追記していく手法を採用しています。過去記事だからってスルーしていると、いつの間にかエラク違ったものになっていることがあるから、目を離さない方がいいですよ。
2010年9月24日金曜日
傭兵哀歌 Unlimited
※この小説は、ハヤカワさんが仕事でずっとかかわっていた「リネージュ2」というMMORPGのファンフクションコンテストに投稿したものを原型としています。しかし、このコンテストは文字数の制限が非常に厳しかったため、当初の構想をすべて詰め込むことができませんでした。このため、コンテストの終了を以って、これに大幅な加筆と修正を加え、可能な限り構想に近付けたものです。ファンフィクションという性質上、リネージュ2のプレイヤー以外には分かりくいところが多いかもしれませんが、プレイヤー以外の方でもお時間があれば目を通していただけると幸いです。どえらく長いですが。
※また手を入れているので部分的に中途半端になってますよ。
・レイド部下ストーリーズ~傭兵哀歌~(無制限版)
「敵襲ーっ! ディオンの冒険者どもだーっ! 総員急ぎ迎撃体勢を取れーっ!」
朝靄に包まれた静寂を破り、伝令たちがパルチザンのアジトのそこここで襲撃の報せを大声で叫ぶ。
瞬時に山中のいたるところから、どこに隠れていたのか、武器を手にした無数のオル マフムの兵士たちが飛び出し、あらかじめ決められた持ち場へと駆けていく。
アジト全体が蜂の巣を突付いたような騒ぎとなり、最奥部近くの陣を仕切るボスのキャッツアイとその部下たちの下にも間を置かず伝令がやってきた。
「キャッツアイ様に報告! すでに麓のタラキン様は討ち取られた模様です!」
「そうかい、で、ヤツらは真っ直ぐこけえ向かってるのかい?」
「いえ、タラキン様の後はフレイムロード シャダールの方へ向かったようです」
「親分、ヤツらがあっちに引っかかってる間に準備ぃしちまいましょう」
「そうだな、もうタラキンの奴がやられちまったってんならそう時間があるってわけでもねえだろうからな。よし、みんな予ねての手配通りにやりな!」
「へいっ!」
キャッツアイの命令が下り、部下たちは急いで冒険者たちを迎え撃つ体勢を整える。
「おい、新入り、ボヤボヤするな! 急いでに配置に付け!!」
「お、おうっ!!」
殺気立ったバンデットにどやされ、突然のことにポカンとした表情で座っていた若いエンク オーク シャーマンはあわてて立ち上がると、使い古した安物のワンドを握り、いつでも回復魔法がかけられるように直属の上官であるキャッツアイの後方に立つ。
「くそぅ、来週になれば休暇でかあちゃんのところに帰れるってのに、わざわざこんな時に来やがって……」
まだ姿を見せない襲撃者に対して呪いの言葉を吐きながら若いオークは身構えるが、全身は緊張でガチガチになっていて、呼吸は周囲にそれと分かるほど荒い。
「おい、若いの、ヤツらが来るのはまだ先だ。今からそんなに力を入れちまってたんじゃあ、いざってときにゃ体ぁ固まって動けなくなっちまうぜ? いつもの仕事みてえに楽にしてなけりゃいけねえよ」
やはりキャッツアイ直属である古参のオーク シャーマンが努めて気楽そうな色で声をかけるが、若いオークはバネ仕掛けの人形のように何度も頷きはするものの、眼は冒険者たちが登ってくるはずの山道を見据えたままで、その言葉が耳に届いているのかどうか分からない。
それから小一時間も経っただろうか、一党は臨戦態勢のままじりじりとしながら待ち構えるが、未だに冒険者たちが姿を現す気配はない。戦況を報せる伝令もしばらく前からパッタリと途絶えてしまった。だが、時折アジトの中腹から聞こえてくる叫び声からすると、冒険者たちが満足してディオンに戻ったというわけではなさそうだ。
状況が分からないまま待ち続けることに切れかけたバンデットが悪態を吐き、苛立ち紛れに近くの木立に向かって矢を射込む。突然のことに驚いた鳥たちが甲高い声を上げながらバサバサと音を立てて飛び立つが、普段は陽気で口数が多いキャッツアイでさえそれに目を向けようともしない。ボスらしく引きつった笑顔を作って余裕を見せようとはしているものの、所詮元は盗賊の出身である。相手の隙を突いての侵入や逃走には長けていても、自らの根拠地に急襲を受けるような事態には慣れていないのだ。そしてそれは、この場にいる全員が同じであった。
張り詰めた空気の中で、若いオークの掌にはジワジワと汗が滲み、いつしか指の間から滴り落ちるほどになっていた。
ピチャピチャと汗が地面で跳ねる音がして、ようやくそれに気が付いた若いオークが、万一にも手を滑らせてはいけないと汚れた手ぬぐいでワンドを拭おうとしたとき、飛び交う怒号とともに、冒険者たちのものと思われる多数の武器や鎧がぶつかり合う騒々しい音が近付いてきた。
「来たぞっ! 全員油断するなっ!」
耳敏いバンデットが真っ先にその音を聞きつけて叫び、キャッツアイと部下たちは長時間の待機で緩みかけた体勢を慌てて立て直す。
そして、喧しい金属音がいっそう大きくなり、麓から続く坂の曲がり角でキラリと何かが光るのが見えたかと思うと、大勢の冒険者たちの、血にまみれた剣を鞘に納めようともせずに早足でこちらへ向かってくる姿が、若いオークの目に飛び込んできた。
冒険者の群れは、キャッツアイと若いオークたちが待ち構える陣地から数十メートルほど離れた地点に達すると、リーダーと思われる男の指示で突然その歩みを止めた。様々な種族を取り混ぜたその数は、一見するところ30名をやや下回るほどであろうか。
『全員着いたか? 遅れたもんはいねぇな?』
リーダーは近くの岩の上に立ち、乱雑に並んだ冒険者たちの顔を、大仰に頭を廻らせて確認する。どうやら全員揃っているようだ。満足気に口角を上げ、声を張り上げて指示を飛ばす。
『よしっ! ここいらで少し休んでマナの回復をするぜ! まだ先は長えんだ、無理してもしょうがねえ。マナが足りてるもんはまあ自由にしてなっ!』
麓からの連戦で魔法職の多くがマナを使い切ってしまっている。ここまで一気に駆け上がってきた勢いが途切れるのは癪だが、バケモノに大ダメージを与えられる攻撃魔法や、盾職を支えるヒーラーが使い物にならないようでは討伐の成功はおぼつかないのだ。冒険者たちは思い思いに精神の秘薬を使ったり、それでも足りない者はその場に座り込んでマナの回復に専念する。
『それじゃあオレも一休みすっからよ、マナが十分になったら教えてくれや。なに、そこのバケモノどもなら他のと違って多少は利口だからよ、この人数相手にノコノコ地から出てくるようなバカな真似はしねえさ。お前ぇたちも安心して休むといいぜ!』
そう言うと立っていた岩の上に座り込んで、腰につけた決して小奇麗とは言い難い袋の中から携行食の包みを取り出した。
リーダーが黴臭い硬パンから小さな欠片をナイフで切り取って口に運ぼうとしたとき、手持ち無沙汰なのか、手下の冒険者が一人近付いてきて何事かを囁いた。
『ねえねえ大将、つかぬことを伺えやすけどね、こかぁマフムどもの棲処なんですよねえ?』
『あぁ? 手前ぁ周り見てわかんねえのか? 人がメシ食おうってときにくだらねえこと尋くんじゃねえやっ!』
『いえ、いくらあっしが鈍いってもそのぐれえはわかりまさあね。でもね大将、こかぁマフムの棲処でやしょ、なのになんであそこにゃオークが混じってるんでやしょうね?』
手下が指さした先には、キャッツアイの背後でこちらを睨みながらワンドを握り締めるオーク シャーマンがいた。
『……そうだな、そう言われてみりゃおかしな話だな……』
この襲撃よりもしばらく前のことである。ディオン丘陵地帯の隅に棲息するエンク オークの集落では、親子らしき若いオークと年老いたオークとが口論をしていた。
「だからな、かあちゃんよ、フローランの辺りにいるリザードマンから聞いた話じゃよ、向こうに行くとアデナさえ積めば人殺しのお尋ね者でも構わず治してくれる医者がいるってことなんだよ!」
かあちゃん、そう呼ばれた年老いたオークは、長年に亘る冒険者との戦いで無数の“死がもたらす傷”を受け、ずいぶんと前から、杖に頼らなければ歩くこともままならない体になってしまっていた。今も、平らな岩の上に腰掛けているが、自由に曲げることができない両足は前の方に放り出したままだ。
「そいつならよ、きっとオレたちみたいな下級オークだって治してくれるにちげぇねえんだ。なんにも考えるこたあねえじゃねえか!」
「でもねえ、あんたはそう言うけどね……」
年老いたオークは、若いオークの話に気が乗らないのか目を逸らし、痛むのであろう膝をさすりながら口ごもる。
「確か、ブラジャー……違ぇ……ブラック ジャックでもねえし……そうだ、ブラック ジャッジとかいうヤツだぜ! フローラン村のとこのよ、川ッぺりにいるんだってよ! 見た目はダークエルフっぽいらしいんだが、誰も正体をしらねぇらしいんだ。ちっと胡散臭ぇけどよ、腕は確かだってえもっはらの噂だからよ。それによ、そいつの正体がどうだって、かあちゃんの足が治るってんなら構うこっちゃねえしな!」
年老いたオークの様子も気にかけない風に若いオークは勢い込んで話し続けるが、年老いたオークは自分の足を見ていた顔をゆっくり上げると話を遮った。
「あのね、たしかにそういった噂ならあたしも近所で聞いたことがあるよ。でもさ、そのお医者はべらぼうに高いアデナを取るって話だろう? とうちゃんが冒険者どもにやられちまってからこっち、下級オークのあたしたちにゃあ食べてくのが精一杯、とってもそんなお医者に払えるような余分なアデナなんかはありゃしないんだよ?」
その言葉を聞いて、若いオークはしてやったりという表情でにやりと笑う。
「へへへ、かあちゃんならきっとそう言うと思ってたぜ。でもよ、そんな心配は金輪際いらねえんだよ!」
若いオークは腰の物入れに手を入れると一枚の紙を取り出し、年老いたオークの目の前に突き出した。
それは、パルチザンのアジトに巣食うオル マフムの軍隊が、近隣の友好種族の集落に配布している傭兵募集のチラシだった。
「なあ、こいつを見てくれよ! パルチザンのアジトで傭兵になりゃあよ、たった一年勤めるだけでこんな大金が貰えるんだぜ!」
チラシには、勧誘のための勇ましい文句とともに、下級オークの暮らしでは十年かけても手に入らないような高給が記されていた。
「これならよ、かあちゃんをブラック ジャッジに診せたって、たんまりオツリがくるってもんだぜ!」
意気が上がる若いオークとは対照的に、年老いたオークの表情は曇ったままだ。
このチラシを配布したパルチザンのアジトとは、かつてグレシア軍がアデン大陸に侵攻してきたとき、その先鋒として大陸を席巻したオル マフム傭兵軍が拠点としている土地である。
しかし、アデン王国軍の反攻により戦線が押し戻されると、グレシア軍の上級司令部はパルチザンのアジトに残された傭兵軍を見捨てて本国に後退してしまった。こうしてアデン王国の真っ只中に孤立してしまったパルチザンのアジトであったが、峻険な山地に築かれた強固な陣地はアデン王国軍の猛攻を耐え凌ぎ、グルーディン村近郊の棄てられた露営地とともに、抵抗拠点として一応の確保に成功したのだった。
とはいえ、現在では戦線が北部のエルモア地方やグレシア本国に移動し、完全に戦略的な価値を失ってしまったためグレシア本国との連絡も途絶し、略奪等で賄える資金面はともかく、総体的にはじり貧の状態に陥っているといわれる。恐らく、本来傭兵であるはずのオル マフムが傭兵募集のチラシを撒いているという不可解な状況は、グレシア本国からの補充兵や増援が期待できない状態で戦力を維持するための苦肉の策なのだろう。
しばらくは黙って若いオークの話を聴いていた年老いたオークが、やおら口を開く。
「……ねえ、あんたがあたしの体ことを考えてくれるのはうれしいけどさ、傭兵なんてのは危ない仕事なんだろう? とうちゃんがいなくなっちまってからはさ、あたしゃあんたがだけが生きてく支えだったんだよ? もし今あんたまでいなくなっちまったら、あたしゃこれから先どうすりゃいいんだい? アデナがあればそりゃあ多少は暮らし向きもよくなるだろうさ。でもね、家族が一緒に暮らせるより幸せなこたあないんだよ? ねえ、後生だから考え直しておくれよ」
年老いたオークの搾り出すような重い言葉に、若いオークは先ほどまでの高揚した気分を失いつつあった。だが、まだ若いオークは拗ねたように口を尖らせながら食い下がる。
「そんなこといったってよぅ……じゃあかあちゃんはよ、これからもずっとまともに歩けないような体でいいってのかよぅ」
「……まあ、そりゃあ昔みたいにさ、自由に歩けるようになりゃあいいとは思うけどさ……だからってあんたがケガなんかしちまったら元も子もないんだよ? 第一、あんたに兵隊なんか務まるのかい? まだこの辺りの冒険者と戦ったこともないんだろう?」
このところ、ディオン周辺では冒険者の数がめっきり減り、エンク オークの集落でも彼らと戦った経験のない者が増えていて、若いオークもまたその一人だった。
「まあ……そこんとかぁ確かにかあちゃんの言う通りだけどよ……」
痛いところを衝かれた若いオークはそれ以上反論ができず、ついに黙ってしまった。
「あんたがやさしい子だってえのはかあちゃんがいちばんよく知ってるんだよ。あんたがヒーローだったとうちゃんの跡を継がずにシャーマンになったのも、あたしの体のことを治そうとしてくれたからだろう? 村の者は前に出て戦えない腰抜けだなんて陰口を叩くけどさ、あたしゃあちっともそんなことは思っちゃいないよ? でもね、あたしにゃあその気持ちだけで十分なんだよ。それに、あんたみたいなやさしい子は冒険者と戦うなんてことにゃあ向いてないんだよ。お願いだからもう兵隊になろうなんて物騒なことはもう考えないでおくれよ?」
若いオークは目を逸らして少しずつ下を向いてしまい、ついには無言のまま小さく頷いた。
「さあ、わかったら晩御飯にしようじゃないか。たんと食べてぐっすり寝ちまえばさ、明日にはもっといい思案が浮かぶってもんだよ!」
年老いたオークに促されるまま、若いオークは緩慢な動きで食卓に着いた。押し黙って俯いたまま食べ物を口に運ぶ若いオークに、年老いたオークはあれこれと世話を焼きながら話しかけるが、若いオークはそれに答えようとはしない。気まずい雰囲気ながらもとりあえず食べるものを食べ終わり、ようやく若いオークが重い口を開いた。
「かあちゃん……オレ……」
「なんだい?」
「いや、なんでもねぇよ……オレぁもう寝らあな、おやすみ」
「なんだかはっきりしないねえ。まあいいさ、ゆっくりおやすみ」
若いオークはそれ以上何も語ることはなく、寝床にもぐってしまった。
それからの数日が過ぎたが、若いオークは口数こそ少ないものの、いつもと同じように食料集めに出かけては帰ってくるという変哲のない日常に戻っていた。若いオークも年老いたオークも互いに話を蒸し返すようなことはしなかったし、そのつもりもないようだった。
だがある朝、普段のように朝食の支度を終えた年老いたオークが若いオークを起こそうと声をかけると、いつもなら眠そうな声で返事があるのだが、その日に限ってはそれがなかった。
「おかしいねぇ、昨日遅かったわけでもないのに、まだ目を覚ましてないのかねぇ?」
不審に思い、杖を頼りに若いオークの寝台の側まで行くと、彼が寝ているはずの粗末な寝台はもぬけの殻だった。それだけではない、普段は寝台の下に仕舞っている、狩りの道具などわずかな手回り品を入れたズダ袋もなくなっている。若いオークが近くへ出ているのではないことは明らかであった。
「……そうかい、やっぱり行っちまったんだね……まったく、男の子ってえのは……無鉄砲なとこはとうちゃんそっくりだねえ……」
主を失い冷え切った寝台を撫でながら、年老いたオークは寂しく微笑む。その歪に曲がった背中はいつもよりもずっと小さく見えた。
その頃、ディオン丘陵地帯とクルマ湿地を分断する山地の中を、若いオークが息を切らせながらパルチザンのアジトに向かって早足で歩いていた。
「ハァハァ、なんとかかあちゃんに気付かれずに村を出られたな。もう追いかけてこられる距離でもねえし、ここいらで朝飯を食っちまおうか」
若いオークはひとりごちて近くにあった手ごろな切り株に腰を下ろし、足元に置いたズダ袋を開けて、かねてから用意してあった食べ物を取り出そうとした。だが、その中には食料や手回り品と一緒に、入れた覚えのない古ぼけたワンドが1本入っていた。
それは、年老いたオークが村に侵入してくる冒険者たちと戦っていた頃に使っていたものだった。
ある時、倒した冒険者から戦利品として手に入れたワンドは、世間から見れば安物にすぎないが、貧しい下級オークにとっては貴重な品であり、若いオークは年老いたオークが今でも時折手入れをしては、誰にも触らせないように大事にしまっているのをよく目にしていたものだ。
「かあちゃん……」
そう、年老いたオークは、若いオークがいずれ出て行ってしまうことを予感していたのだ。たとえ一時は止められたところで、いつかそれを振り切ってしまうことは避けられないだろう。ならばその時が訪れたとき、少しでも若いオークの助けになればと、大切なワンドを、こっそりズダ袋の中に忍ばせたのだった。
年老いたオークの気持ちを知った若いオークの眼からは自然と大粒の涙が溢れてくる。しかし、若いオークはそれを流れるままに拭こうともせず、貪るように数切れの干し肉と果物の粗末な食事を終えると、力強く立ち上がり、再びパルチザンのアジトを目指して歩き出した。
「ふう、なんとか冒険者の野郎どもに見つからずに済んだな」
日も傾きかけた頃になってようやくパルチザンのアジトの麓にたどり着いた若いオークは、額から噴出す汗を手で拭いながら山道を登り始める。
巡礼者のネクロポリスを過ぎた当りを通り過ぎようとしたとき、道端で、ガサッと小さな音がしたのと同時に、
「止れっ! 何者だ! 貴様オークだな? 見たところアデン軍の者ではないようだが、ここに何の用だっ、さっさと答えろっ!」
突然の怒鳴り声とともに草叢から飛び出してきたのは、弓を構えたオル マフムの兵士だった。
「お、お、オレぁ、あの、あれで……」
不意に弓を向けられた上、恐ろしい形相で誰何する兵士に気圧された若いオークはすっかり肝を潰し、まともにしゃべることができない。
「早く答えろっ! 答えねば射殺すぞっ!」
だが、それには構わずオル マフムの兵士は誰何を続け、彼が持つ弓は真っ直ぐに若いオークの心臓を狙って外さない。これが決して脅しではないことは、兵士の眼光に射すくめられた若いオークには十分すぎるほど理解できた。
「ち、ちょっと、ま、待ってくれ、オレぁ、こ、これで……」
はっと思いついて若いオークは、おぼつかない手でズダ袋の中を探ろうとしたが、
「動くなっ! 両手を上に上げろっ!」
オル マフムの兵士はそれを制止して、近くの草叢に潜んでいた仲間を呼び、ズダ袋の中を検めさせた。
ズダ袋の中身が地面に撒き散らされ、オル マフムはそれを一つずつ確認していく。
「手ぬぐい、ロープ、干し肉、狩用のナイフか、なまくらだな。ふむ、これといって危険なものは見当たらんな。ああ、こりゃずいぶんと古ぼけたワンドだな。使い物になるのか? ……ん? これは何だ?」
兵士が荷物の中の小さく畳まれた紙切れを広げると、それは自分たちがばら撒いた傭兵募集のチラシだった。顔を見合わせて頷いた兵士たちは、同時に大きく溜息を吐く。
「なんだ、貴様は傭兵の志願者かよ。それならここから少し進んだ右手の砦が窓口になっているんでな、そこに募集係がいるからそいつに会え。まったく、それならそうと早く言えばいいのに、人騒がせなヤツだぜ」
兵士たちはブツブツ言いながら、現れたときとは別人のような緩慢さで草叢に戻って行った。
「ふぅ、あれが本物の兵隊ってやつかぁ、オレに務まるのかなあ? いけねえ、早いとこ荷物を拾わねえと」
心臓を狙う弓の恐怖から解放され、一人取り残された若いオークはしばらく放心したように佇んでいたが、なんとか気を取り直して散らばった荷物をズダ袋の中に詰め込み始める。荷物に付いた土埃を手で掃いながら、一瞬このまま村に戻ろうかと思ったが、ここまで来ておめおめと帰るわけにはいかない。
ズダ袋を担ぐと、若いオークは再び山道を歩みだした。
「ようこそパルチザンのアジトへ! 今しがた歩哨から連絡があった傭兵志願というオークは貴様だな?」
若いオークが指示された場所へ到着すると、そこにはやけに愛想のいいオル マフムが座っていた。これが兵士の言っていた募集係なのだろう。
「なるほど、見たところディオン丘陵地帯のエンク オーク シャーマンか。我らオル マフムにはヒーラーがおらんからな、回復魔法が使える者は歓迎するぞ。それに貴様の種族は昔は共にアデン軍に立ち向かった大切な友人だ。よろしい、入隊を許可しよう。さあ、この書類に名前を書けば契約成立だ」
案外簡単な手続きに少々拍子抜けした若いオークだったが、書類の傍らに備えてあったペンをとると、募集係の気が変わらないうちにと思ってか、大急ぎで名前を記入する。
「へい、書けました! オレぁ必ずお役に立ちまさあ!」
「うむ、元気があってよろしい。では明日からすぐに新兵訓練を受けてもらうことになるぞ。ああそうだ、傭兵の武器は自弁になるが、一応準備をしてあるか見せてもらうことになっておるがいいな?」
「え? 自弁? ってえと?」
募集係がわずかに怪訝そうな表情に変わる。
「チラシにも書いてあっただろう? 武器は得意とするものを志願者が自分で用意することとなっているし、そのための高給でもある。まさか貴様も給料に釣られただけの食い詰め者なのではあるまいな? いや、チラシを撒いて以来、毎日朝からそういった輩が多数押しかけておって、追い返すのも一苦労なのだ。仮にそんな不心得者を採用してしまったら、そやつが除隊になるだけでは済まず、許可を出した儂まで叱責を受けてしまう。いいか、もう一度聞くが貴様は大丈夫だろうな?」
「オレぁ、そんなこたあ……」
正しく図星であった。高給に目を奪われてチラシを細かいところまで読まなかった若いオークには返す言葉がない。
とたんに目の前の募集係の、本人は笑っているつもりで剥き出した鋭い牙が、今にも自分の喉笛に食らいついてくるように思えてきた。
「どうした? 早く見せてくれんか? なに、形式だけのことであるし、決して取り上げたりはしないから心配することはないぞ?」
内心パニックになり、ダラダラと冷や汗を流しながらここを乗り切る上手い言い訳を考える若いオークだったが、辛抱強く待っていた募集係が痺れを切らして立ち上がろうとした頃になって、ようやく年老いたオークがズダ袋に入れてくれたワンドのことを思い出した。
「あ、あの、これでっ!」
若いオークは急いでズダ袋の中に手を突っ込んでワンドを取り出すと、腰を浮かせた募集係に差し出した。
「なんだ、あるなら早く出せばいいものを。ふむ、安物だが手入れはいいようだな。だが、訓練期間なら問題はあるまい。だが実戦ではちと足りんかも知れんな。まあ訓練が終わる頃には最初の給料が出るから、それでもっと高級なものに買い換えればいいだろう」
大切なワンドを安物よばわりされたのには少し腹が立ったが、おかげで無事に入隊することができ、若いオークはほっと胸を撫で下ろす。
その日は簡単な身体検査の後、訓練兵の兵舎へと案内され、他に十名ほどの訓練兵とともに大部屋に寝台が与えられた。
枕元に備えられた私物入れに荷物をズダ袋ごと放り込み、若いオークは硬い寝台に寝転んで休もうとするが、今日はあまりに多くのことがありすぎて、身も心も疲れているはずなのになかなか寝付くことができない。
窓の外にはエンク オークの村で見ていたのと変わらぬ月が浮かんでいる。それを見ているとどうしても村に残してきた母親のことを思い出してしまう。若いオークは月を見るのを止めようと思ったが、闇夜を煌々と照らす満月の光は、いつまでも彼の目を捕らえて離さなかった。
明くる朝、ガンガンとバケツを力任せに叩く音と共に響く怒鳴り声で、若いオークは目を覚ました。どうやら昨夜は知らぬ間に眠ってしまったようだ。
「総員起こしーっ! さあ、ボヤボヤするなっ! いいかっ、ブタ野郎どもっ、お前たちはお客さんじゃないんだっ! さっさと起きて飯を食ったらすぐに訓練場に集合しろっ! グズグズ言いたいやつがいたら前に出ろ! オレが今すぐそのケツに矢を100万本ブチ込んでやるぞっ! 駆け足っ進めっ!」
オル マフムの教官は、バイウムでさえ一発で目を覚ましそうな大声で訓練兵たちを残らず叩き起こし、朝食もそこそこに兵士になるための厳しい訓練へと放り込んだ。
若いオークはヒーラーであるため、魔法知識の座学や精神集中の訓練など、近接職よりは体力的には楽であったが、若いオークは今までこれといった戦いを経験していないし、軍隊のような集団生活にも縁がなかったため要領が悪く、なかなか教官の言う通りのことができない。
実際、ただ魔法を使うだけなら食料集めの狩りでもやっていたので問題はないのだが、軍隊では集団戦が基本であるため、他の魔法職との高度な連携を要求される。そんなことは今まで考えたこともなかっただけに、いきなり上手くできるはずもないのだ。
こうして、訓練を始めてから数日の間は、指導教官から日に数十回も怒鳴られる毎日だった。しかし、オル マフムたちは多少出来が悪くとも貴重なヒーラーを手放すつもりは毛頭ないようで、若いオークがいくら落ち零れそうになっても、決して首にするようなことは言わなかった。若いオークも、元々が真面目で素直な性格であるだけでなく、アデナを稼ぐまではここを追い出されるわけに行かないという事情も手伝って、厳しい訓練にも音を上げず、担当教官の指導に付いていった。
そして、訓練開始から1か月も経つと、同室だった訓練兵が櫛の歯が欠けるように消えていったにもかかわらず、若いオークは残り、訓練でも教官の命令を即座に理解して的確に行動できるまでに成長していた。
この様子を見て教官は目を細め、今まで以上に厳しいが、戦場で生き残るために欠かせない技術や知識を惜しげもなく若いオークに与えてくれた。
訓練期間も終わりに近付いたある日、若いオークがいつものように詠唱の練習をしていると、訓練場では滅多に見かけることがないオル マフム ロードが現れ、教官を呼ぶとなにやら立ち話を始めた。
「なるほど、それならば丁度よい者がおります。おい、お前ちょっとこっちに来い!」
教官が若いオークに声をかける。
「え、オレですかい?」
「そうだ、グズグズするな、駆け足!」
ロードはドタドタと音を立てて走ってきた若いオークを上から下まで検分するようにじろじろと眺めまわす。
「このオーク シャーマンかね? まだ訓練が終わっていないようだが大丈夫か?」
「はい、飲み込みが少し遅いところはありますが、命令にはきちんと従いますし、一度憶えたことは確実にこなせるようになっております。実戦経験を積めばいずれよい兵士になるでしょう」
「ふむ、君の推薦なら間違いはなかろう。よろしい、そこのオーク シャーマン、貴様は今日で訓練を打ち切り、キャッツアイ殿の専属ヒーラーとして実戦部隊に配属する」
「へ?」
今ひとつ事態が理解できていない若いオークに、教官の叱咤が飛ぶ。
「へ? ではない! キャッツアイ様はこのアジトでも最強のボスのお1人だ。その専属に配されるというのは大変な出世なのだから、ありがたくお受けしろ! それから、返事は“へい”ではなく“はい”だっ! わかったら復唱っ!」
「は、はい、オレぁ、もとい、自分はっキャッツアイ様の専属ヒーラーに配されることを了解いたしましたっ!」
「よしっ、ではすぐに荷物を持って移動、駆け足!」
「へいっ!」
「“へい”ではないっ! “はい”だっ!」
「はいーっ!」
若いオークが敬礼もそこそこに兵舎へ向かって走っていくと、教官とロードはその背中を苦笑しながら見送る。
「よいのかね? もう少し手元に置いて育てたいような顔をしておるぞ?」
「いいえ、確かにまだ教育の足りないところはありますが、戦場こそが若者を兵士にする最良の場と心得ます。いかに素晴らしい原石であっても磨かなければ決して光りませんし、磨き方を間違えれば歪な輝きになってしまいます。キャッツアイ様の下であればきっとよい経験が積めることでしょう」
「そうかね、ならばよいが。では儂は戻るとする。訓練を続けるように」
「了解いたしました!」
「おお、お前ぇさんが新しいヒーラーってやつかい? まあそう肩に力ぁ入れるなよ、どうせここんところはアデン軍の連中も冒険者どももあんまり来ねえんだからよ。お互い気楽にやろうぜ」
若いオークが配属されたボスのキャッツアイは、元々は大盗賊として近隣の村々に恐れられていた者だ。そのためか、今まで出会ったオル マフムの兵士たちよりもずっとくだけた性格をしている。仕事もアデン軍や冒険者と戦うというものではなく、アデン王国の村々を襲撃して、金品や食料を略奪してくるというものだ。パルチザンのアジトの兵站を担うという点では重要性が高いものの、大軍同士がぶつかるような激しい戦闘に巻き込まれることはほとんどない。さらに、部下の中には先輩のオーク シャーマンもいるため、ヒーラの負担もそれほど大きくはない。訓練途中での突然の配備は、専属のヒーラーであった者が満期除隊になり欠員が出たためであったが、こうした点が教官がいうところの“よい環境”なのだろう。
「よ、よろしくお願えしますっ!」
「がははは、だから硬くなるなって。他のボスのとこは知りゃあしねえが、オレは元々が軍人じゃねえから、堅っ苦しいやり方ってえのがどうにも苦手でな、ここの連中にゃあざっくばらんにするように言ってんだ。その代わりにな、オレは仕事であんまり細けえことは言わねからよ、なるたけ手前で考えて動くようにしなくちゃいけねえぜ?」
「へいっ! オレぁ一所懸命やらしてもらいます!」
キャッツアイはその返事を聞いて、太鼓腹を揺らして満足げに笑う。
「がはははは、いい若けえのじゃねえか。相変わらず野郎の見立ては間違いがねえぜ。よし、じゃあ早いとこ寝床を決めて荷物を置いてきな。おう、お前たち。新しい弟分だ、せいぜい面倒を見てやんな」
キャッツアイは部下たちに若いオークの世話をするように命じてくれた。
それからは、常にキャッツアイの側について、ディオンやギランなどの村々へ略奪に出かけるのが若いオークの仕事になった。とはいっても、実際に略奪をするのはキャッツアイの役割で、ヒーラーである若いオークの出番は、仕事に失敗して逃げ出すときの警備兵との戦闘程度だ。そして、キャッツアイの盗賊としての腕前は本物で、失敗することは滅多になかったし、仮にそうなったとしても、被害を最小限に抑えて逃走する技と勘を備えていた。おかげで若いオークはさほど危険な目に合わずに順調に実戦をこなし、やがて簡単な仕事であればメインヒーラーを任されるまでになっていった。
キャッツアイや他の部下たちも若いオークの成長を喜び、決して新入りだからといって軽く見るようなことはなく、もちろんつまらないミスをすれば厳しく叱られるが、対等の仲間として扱ってくれた。
まだ物心も付かぬうちに父親を失い、母親と2人だけで、村のオークたちの哀れみと蔑みの入り混じった視線に曝されながら生きてきた若いオークにとって、初めて得た心を許せる仲間たちとの生活は、今まで経験したことのない満足感を与えてくれた。いつしか若いオークの胸中には、この仲間たちと一緒なら、どんな苦境にも耐えられるという確信が芽生え、大きく育とうとしていた。
だがしかし、今が充実すればするほど、村に残してきた母親のことが、黙って出てきてしまったことへの後悔とともに、若いオークの心の隅に引っかかったまま離れることはなかった。
キャッツアイの下に配属されてから2か月ほどもたち、だいぶん実戦にも馴れてきた頃、若いオークは急にキャッツアイから呼び出された。
「なに、折り入ってって話じゃねえからそう畏まんな。まああれだ、お前、訓練の頃からから数えると入隊して3か月ぐれえになるんだよな?」
「へい、その通りです」
「そうかい、ならそろそろ休暇をやらなくちゃいけねえ。いや、ここの軍隊じゃそういう決まりになってんだ。近頃あ仕事に馴れてきたってもよ、お前もちっと疲れが出る頃だろう? ちょうど来週あたりからオレの仕事もヒマになることだしよ、ここいらで2、3日ゆっくり骨休めしてきちゃあどうだ?」
「休暇ですか? そんならオレぁ手前の村に帰ってもいいんですか?」
「おう、逃げ出すんじゃなけりゃどこに行ったって構いやしねえことになってるからな、そこいらは自由にするといいぜ」
「そいつぁありがてえ。そんなら、村のもんに休暇で帰るって手紙を出してえんですが、こいつもいいんですかね?」
「手紙? お前、随分ハイカラなもん知ってやがんな。ああもちろん構わねえよ。確かお前の村はディオン丘陵地帯だったな。あそこなら露営地へ行く伝令の通り道だからな、オレの口利きだって言やあついでに持ってってくれるだろうぜ。そうだ、紙やペンはあるのかい? なけりゃ出入りのドワーフが扱ってるはずだから聞いてみな。今日当たりなら裏山の抜け道に店を出してるはずだぜ?」
「へい、ありがとうございます」
若いオークがパルチザンのアジトとエルフ村との境を通る間道に出ると、そこにはキャッツアイの言ったとおり、ドワーフの少女が雑貨を並べた露店を開いていた。
「よう、ドワーフさんよ、済まねえが紙とペンを少し分けてもらえねえかい?」
「おや? お兄さんボクの店に来るのは初めてだね? 見たところシャーマンだからヒーラーさんってとこかな? うん、紙とペンなら扱ってるよ」
「ちょいと手紙を出してえんでよ、小洒落た紙があるといいんだがな」
「ああ、便箋ってやつだね。それなら前に仕入れたのがあったはずだよ。ええと……あったあった!」
ドワーフの少女は、自分の身長と変わらないほどの大きな荷物に頭を突っ込んでしばらくゴソゴソと中を探していたが、どうにか一冊の古い便箋を見つけ、パタパタと手で埃を払って若いオークに手渡した。
「パルチザンのアジトじゃあんまり使う人がいないから少し古くなっちゃったけど、まだ黄ばんだりしてないから大丈夫だよ」
「おう、ありがてえ。じゃあそいつをもらおうかい」
「毎度ありー。ねえねえ、お兄さん。それは見習い用の武器だよね? もっといいのに買い換えないの? 便箋も買ってもらったことだし、今なら安くしておくよ?」
「いや、こいつはちょっと訳有りでよ、親分も構わねえっていってくれてるしよ、当分買い換えるつもりはねえんだよ」
「そう? ボクも無理にとは言わないけどね。でも、気が変わったらいつでも声をかけてよね。もちろん武器や防具だけじゃなくてもいいんだよ! 欲しいものを言ってくれればドワーフ商人の名にかけて必ず仕入れて見せるからね!」
宿舎に戻ると、若いオークは早速備え付けの小さな机に向かい、何度も何度も書き直しながら手紙を書いた。
丸めた背中に向かって、休暇を羨ましがる同僚たちがちょっかいをかけてきたが、それは悪意があってのことではないし、何より久々に母親に会える嬉しさでいっぱいになっている若いオークは気にかけず、同僚たちはからかいがいがない相手と見て、早々に自分の寝床へ戻っていった。
その夜、若いオークの机では、小さな灯りが消えることはなかった。
翌朝、眠い目をこすりながら書き上げた手紙を、棄てられた露営地に向かって伝令が出発する直前に、どうにか託すことができた。
手紙を出し終えた若いオークがキャッツアイの下に戻ったその時である。ディオンの強欲な冒険者どもが、ボスたちが蓄えた財宝を奪うために襲撃してきたという報せがパルチザンのアジトを揺るがしたのだ。
『いってえなんででやしょうかねぇ』
『ああ、オレにも皆目わからねぇなぁ』
リーダーと手下がオル マフムに混じっているオークのことで相変わらず首を捻っていると、別の手下から声がかかった。
『大将、もうすぐヒーラーのマナが回復しますんで次の指示をお願いします』
リーダーはハッと我に返り、手下を怒鳴りつける。
『バカヤロウ! んなこたぁオレの知ったことか! どうしても知りたいってんだったら、あっち行って当人に聴いて来い!』
『滅相もねぇ、ヘタに1人で出てったりしたら、たちまちペロリと食われちまいまさあ。でえち、あっしゃ化物どもの言葉なんか知りゃあしませんよ』
『だったらグダグダくっ喋ってねぇでさっさと仕度しやがれ! いつまでもウロウロしてっと化物の代わりにオレが手前ぇのド頭ぁカチ割って脳味噌残らず啜っちまうぞっ!』
『ひぃ、そいつぁ勘弁して下せえーー』
手下がスタコラ逃げていくと、リーダーはやおら岩の上に立ち上がり、他の冒険者たちに大声で指示を出す。
『おう、それじゃそろそろ補助魔法にしようじゃねえか! 終わったらすぐに取っ掛かるから近接は配置に付いとけ! いいけぇ? くれぐれも先走るんじゃねぇぞ!』
欲に目を血走らせた冒険者たちは、キャッツアイたちが立て篭もる陣の前に展開すると次々に補助魔法を掛け、逸る気持ちを抑えて攻撃開始の合図を待つ。
『かかれっ!』
リーダーが号令とともに高く掲げた手を振り下ろすと、冒険者たちは堰を切ったように、キャッツアイへと襲い掛かった。
戦闘が始まると、若いオーク シャーマンは必死でキャッツアイに回復魔法をかけ、バンデットはキャッツアイの行動の自由を縛る、冒険者たちの盾役に弓を射掛ける。しかし、彼らの努力も空しく多数の冒険者の刃を受けるキャッツアイの生命力は、わずかずつではあるが、確実に減っていく。
冒険者たちのヒーラーも、キャッツアイとバンデットの攻撃を一身に受け止める盾役に回復魔法を集中し、どうやら序盤はそれぞれのヒーラーの回復魔法を頼みにした持久戦の様相を呈してきたようだ。
だが、そこで突然、冒険者たちのリーダーが叫んだ。
『化物のくせにいちいち回復しやがってうぜぇな。ソウルショットやスピリットショットだってタダじゃあねえんだ、先に取り巻きのヒーラーどもを片付けちめえっ!』
本来、下級オークのシャーマンでは元々大した量のマナがあるわけでなく、この冒険者たちのように十分な戦力があるのならば無視して力で押し切るのが正攻法である。しかし、ここまでの戦いで得られた戦利品が思ったよりも少なかったのだろう。リーダーはその不足を血で埋め合わせようと考え、大きな脅威にはならないものまでをも殲滅するという残酷な決断を下した。
いや、彼を責めるまい。彼とて今はリーダーとして手下の冒険者たちに祭り上げられているが、それも手下たちを満足させることができてのことである。もし指揮の手際が悪かったり、十分な稼ぎを与えることができなければ、すぐに手下たちは離反してしまい、リーダーはたちまち一介の冒険者へと落ちることになる。生き残るのに必死なのはどちらも同じなのだ。
リーダーの命令一下、今までキャッツアイ1人に向けられていた血に飢えた剣が、若いオークや同僚たちへ向きを変えて殺到してくる。
ボスの直属として多少生命力を強化されているとはいえ、ろくな攻撃魔法も持たない下級オークのシャーマンでは、襲い掛かる無数の刃に抗う手段はない。若いオークはなんとか避けようと足掻き、隙を見ては少しでも仲間たちの傷を癒そうと回復魔法をかけ続ける。
キャッツアイも攻撃の負担が少なくなった機会を利用して、部下たちを襲う冒険者に挑もうと横目で様子を探るが、冒険者の盾役が的確に行動を抑え込んでくるため、どうにも身動きが取れないでいる。
「くそぅ、お前らもうちっとだけ頑張ってくれっ! このナイト野郎をブッ倒したらすぐに助けにいっからよ!」
そう叫ぶキャッツアイであったが、手厚い回復魔法に支えられた盾役は、キャッツアイとバンデットの集中攻撃を受けても小揺るぎもしない。
若いオークは大勢の冒険者から手傷を負わされながらも、盾役が倒れてキャッツアイが自由になればと一縷の望みをかけて回復魔法の手を緩めなかったが、ついに頼みのマナも尽き、冒険者たちに取り囲まれてしまった。
周りを見ると、すでにバンデットたちと古参のオーク シャーマンは倒されており、そちらを手にかけた者たちも生き残った若いオークに集まってくる。
一か八か、わずかに開けた方向に逃れようとしても、より数を増やした冒険者に道をふさがれてしまい叶わなかった。弄るように若いオークの周囲を踊る白刃は、少しずつ若いオークの生命力を削いでいく。彼の命があと1分も保たず地上から消え去るであろうことは想像に難くなかった。
「バカヤロウッ! 今ここでお前がブッ倒れちまったら、故郷のお袋さんはどうなっちまうんだよ?! 四の五の言わずに早えぇとこ逃げやがれっ!」
「すまねえ、親分!」
「かあちゃん……ごめん……ごめんよ……」
生命の灯火が消えようとするその刹那、薄れる意識の中で、若いオークはかすかな声でそう繰り返し呟いていた。
『ははは、こりゃ涙じゃねぇか! 皆見ねぇな、コイツ泣いてやがるんだぜ!』
『へぇ、下級オークも泣くのかい? 汗の見間違いじゃあないのかね?』
『おや、なんだかブツブツ言ってるみてぇだな』
『おりゃあ下級オークの言葉なんざぁ知りゃしねぇが、どうせ命乞いでもしてるんだろうよ。まぁかまわねえ、さっさと片付けちまおう!』
そして、若いオークの頭上に、冒険者の無慈悲な剣が振り下ろされた。
「じゃあ、オークのバァさん、こいつが預かった手紙だ。確かに渡したぜ?」
「ああ、こりゃあ確かに息子の字だよ。マフムの兄さん、遠いところをありがとうよぅ」
「なあに、礼なんざいらねえよ、どうせ露営地まで伝令に行くついでなんだ。さて、俺ぁ先ぃ急ぐんでこれで失礼するぜ!」
「そうかい、もう少しゆっくりしていきゃあいいのによぅ。そうだ、こりゃたいしたもんじゃあないけどさ、道中で食べておくれよ」
「おお、こりゃフローティング アイの干し肉じゃねえか。オレはコイツが大好物なんだぜ。舌がピリピリ痺れるのがたまらなくてよ。すまねぇなバァさん、それじゃ遠慮なく頂いていくぜ」
オル マフムの伝令は干し肉の包みを背嚢に詰め込むと、再び棄てられた露営地を目指して走り出した。
「ありがとうよぅ、道中気ぃつけてなぁ」
年老いたオークは、駆けて行くオル マフムの背中が木立に紛れてしまうまで見送ると、傍らの岩に腰を下ろして受け取ったばかりの手紙に目を落とした。
手紙には、つたない字で、キャッツアイというボスの部下になったこと、近く休暇がもらえるので一度村へ帰ること、そして黙って出て行ったことへの詫びと、年老いたオークの体への気遣いがぶっきらぼうな言葉で記されていた。
「……あの子から手紙をもらうなんて初めてなんじゃないかね……それにしてももっと字を練習させときゃよかったね……ミミズがのたくったみたいで読み難いったらありゃしないよ……」
誰が見ているというわけでもないのに、照れくさいのかブツブツと文句を言いながらも最後の1文字まで何度も繰り返して読む年老いたオークの顔はほころび、知らずに目頭には涙が溜まっていく。そして、それが一滴、手紙に落ちた。
年老いたオークはあわててそれを手で拭うと、手紙を丁寧に畳んで腰の物入れに仕舞い、杖を頼りに立ち上がる。
「さあ、今のうちにあの子の好きなもんでも用意しといてやろうかね。ああそうだ、寝床も新しい藁に換えておかないとね。こりゃ久しぶりに忙しくなるねえ」
よちよちと歩き出す年老いたオークの耳に、丘陵地帯を巡る気まぐれな風に乗り、どこか遠くで冒険者たちの上げる凱歌が、かすかに、聴こえてきた。
※また手を入れているので部分的に中途半端になってますよ。
・レイド部下ストーリーズ~傭兵哀歌~(無制限版)
「敵襲ーっ! ディオンの冒険者どもだーっ! 総員急ぎ迎撃体勢を取れーっ!」
朝靄に包まれた静寂を破り、伝令たちがパルチザンのアジトのそこここで襲撃の報せを大声で叫ぶ。
瞬時に山中のいたるところから、どこに隠れていたのか、武器を手にした無数のオル マフムの兵士たちが飛び出し、あらかじめ決められた持ち場へと駆けていく。
アジト全体が蜂の巣を突付いたような騒ぎとなり、最奥部近くの陣を仕切るボスのキャッツアイとその部下たちの下にも間を置かず伝令がやってきた。
「キャッツアイ様に報告! すでに麓のタラキン様は討ち取られた模様です!」
「そうかい、で、ヤツらは真っ直ぐこけえ向かってるのかい?」
「いえ、タラキン様の後はフレイムロード シャダールの方へ向かったようです」
「親分、ヤツらがあっちに引っかかってる間に準備ぃしちまいましょう」
「そうだな、もうタラキンの奴がやられちまったってんならそう時間があるってわけでもねえだろうからな。よし、みんな予ねての手配通りにやりな!」
「へいっ!」
キャッツアイの命令が下り、部下たちは急いで冒険者たちを迎え撃つ体勢を整える。
「おい、新入り、ボヤボヤするな! 急いでに配置に付け!!」
「お、おうっ!!」
殺気立ったバンデットにどやされ、突然のことにポカンとした表情で座っていた若いエンク オーク シャーマンはあわてて立ち上がると、使い古した安物のワンドを握り、いつでも回復魔法がかけられるように直属の上官であるキャッツアイの後方に立つ。
「くそぅ、来週になれば休暇でかあちゃんのところに帰れるってのに、わざわざこんな時に来やがって……」
まだ姿を見せない襲撃者に対して呪いの言葉を吐きながら若いオークは身構えるが、全身は緊張でガチガチになっていて、呼吸は周囲にそれと分かるほど荒い。
「おい、若いの、ヤツらが来るのはまだ先だ。今からそんなに力を入れちまってたんじゃあ、いざってときにゃ体ぁ固まって動けなくなっちまうぜ? いつもの仕事みてえに楽にしてなけりゃいけねえよ」
やはりキャッツアイ直属である古参のオーク シャーマンが努めて気楽そうな色で声をかけるが、若いオークはバネ仕掛けの人形のように何度も頷きはするものの、眼は冒険者たちが登ってくるはずの山道を見据えたままで、その言葉が耳に届いているのかどうか分からない。
それから小一時間も経っただろうか、一党は臨戦態勢のままじりじりとしながら待ち構えるが、未だに冒険者たちが姿を現す気配はない。戦況を報せる伝令もしばらく前からパッタリと途絶えてしまった。だが、時折アジトの中腹から聞こえてくる叫び声からすると、冒険者たちが満足してディオンに戻ったというわけではなさそうだ。
状況が分からないまま待ち続けることに切れかけたバンデットが悪態を吐き、苛立ち紛れに近くの木立に向かって矢を射込む。突然のことに驚いた鳥たちが甲高い声を上げながらバサバサと音を立てて飛び立つが、普段は陽気で口数が多いキャッツアイでさえそれに目を向けようともしない。ボスらしく引きつった笑顔を作って余裕を見せようとはしているものの、所詮元は盗賊の出身である。相手の隙を突いての侵入や逃走には長けていても、自らの根拠地に急襲を受けるような事態には慣れていないのだ。そしてそれは、この場にいる全員が同じであった。
張り詰めた空気の中で、若いオークの掌にはジワジワと汗が滲み、いつしか指の間から滴り落ちるほどになっていた。
ピチャピチャと汗が地面で跳ねる音がして、ようやくそれに気が付いた若いオークが、万一にも手を滑らせてはいけないと汚れた手ぬぐいでワンドを拭おうとしたとき、飛び交う怒号とともに、冒険者たちのものと思われる多数の武器や鎧がぶつかり合う騒々しい音が近付いてきた。
「来たぞっ! 全員油断するなっ!」
耳敏いバンデットが真っ先にその音を聞きつけて叫び、キャッツアイと部下たちは長時間の待機で緩みかけた体勢を慌てて立て直す。
そして、喧しい金属音がいっそう大きくなり、麓から続く坂の曲がり角でキラリと何かが光るのが見えたかと思うと、大勢の冒険者たちの、血にまみれた剣を鞘に納めようともせずに早足でこちらへ向かってくる姿が、若いオークの目に飛び込んできた。
冒険者の群れは、キャッツアイと若いオークたちが待ち構える陣地から数十メートルほど離れた地点に達すると、リーダーと思われる男の指示で突然その歩みを止めた。様々な種族を取り混ぜたその数は、一見するところ30名をやや下回るほどであろうか。
『全員着いたか? 遅れたもんはいねぇな?』
リーダーは近くの岩の上に立ち、乱雑に並んだ冒険者たちの顔を、大仰に頭を廻らせて確認する。どうやら全員揃っているようだ。満足気に口角を上げ、声を張り上げて指示を飛ばす。
『よしっ! ここいらで少し休んでマナの回復をするぜ! まだ先は長えんだ、無理してもしょうがねえ。マナが足りてるもんはまあ自由にしてなっ!』
麓からの連戦で魔法職の多くがマナを使い切ってしまっている。ここまで一気に駆け上がってきた勢いが途切れるのは癪だが、バケモノに大ダメージを与えられる攻撃魔法や、盾職を支えるヒーラーが使い物にならないようでは討伐の成功はおぼつかないのだ。冒険者たちは思い思いに精神の秘薬を使ったり、それでも足りない者はその場に座り込んでマナの回復に専念する。
『それじゃあオレも一休みすっからよ、マナが十分になったら教えてくれや。なに、そこのバケモノどもなら他のと違って多少は利口だからよ、この人数相手にノコノコ地から出てくるようなバカな真似はしねえさ。お前ぇたちも安心して休むといいぜ!』
そう言うと立っていた岩の上に座り込んで、腰につけた決して小奇麗とは言い難い袋の中から携行食の包みを取り出した。
リーダーが黴臭い硬パンから小さな欠片をナイフで切り取って口に運ぼうとしたとき、手持ち無沙汰なのか、手下の冒険者が一人近付いてきて何事かを囁いた。
『ねえねえ大将、つかぬことを伺えやすけどね、こかぁマフムどもの棲処なんですよねえ?』
『あぁ? 手前ぁ周り見てわかんねえのか? 人がメシ食おうってときにくだらねえこと尋くんじゃねえやっ!』
『いえ、いくらあっしが鈍いってもそのぐれえはわかりまさあね。でもね大将、こかぁマフムの棲処でやしょ、なのになんであそこにゃオークが混じってるんでやしょうね?』
手下が指さした先には、キャッツアイの背後でこちらを睨みながらワンドを握り締めるオーク シャーマンがいた。
『……そうだな、そう言われてみりゃおかしな話だな……』
この襲撃よりもしばらく前のことである。ディオン丘陵地帯の隅に棲息するエンク オークの集落では、親子らしき若いオークと年老いたオークとが口論をしていた。
「だからな、かあちゃんよ、フローランの辺りにいるリザードマンから聞いた話じゃよ、向こうに行くとアデナさえ積めば人殺しのお尋ね者でも構わず治してくれる医者がいるってことなんだよ!」
かあちゃん、そう呼ばれた年老いたオークは、長年に亘る冒険者との戦いで無数の“死がもたらす傷”を受け、ずいぶんと前から、杖に頼らなければ歩くこともままならない体になってしまっていた。今も、平らな岩の上に腰掛けているが、自由に曲げることができない両足は前の方に放り出したままだ。
「そいつならよ、きっとオレたちみたいな下級オークだって治してくれるにちげぇねえんだ。なんにも考えるこたあねえじゃねえか!」
「でもねえ、あんたはそう言うけどね……」
年老いたオークは、若いオークの話に気が乗らないのか目を逸らし、痛むのであろう膝をさすりながら口ごもる。
「確か、ブラジャー……違ぇ……ブラック ジャックでもねえし……そうだ、ブラック ジャッジとかいうヤツだぜ! フローラン村のとこのよ、川ッぺりにいるんだってよ! 見た目はダークエルフっぽいらしいんだが、誰も正体をしらねぇらしいんだ。ちっと胡散臭ぇけどよ、腕は確かだってえもっはらの噂だからよ。それによ、そいつの正体がどうだって、かあちゃんの足が治るってんなら構うこっちゃねえしな!」
年老いたオークの様子も気にかけない風に若いオークは勢い込んで話し続けるが、年老いたオークは自分の足を見ていた顔をゆっくり上げると話を遮った。
「あのね、たしかにそういった噂ならあたしも近所で聞いたことがあるよ。でもさ、そのお医者はべらぼうに高いアデナを取るって話だろう? とうちゃんが冒険者どもにやられちまってからこっち、下級オークのあたしたちにゃあ食べてくのが精一杯、とってもそんなお医者に払えるような余分なアデナなんかはありゃしないんだよ?」
その言葉を聞いて、若いオークはしてやったりという表情でにやりと笑う。
「へへへ、かあちゃんならきっとそう言うと思ってたぜ。でもよ、そんな心配は金輪際いらねえんだよ!」
若いオークは腰の物入れに手を入れると一枚の紙を取り出し、年老いたオークの目の前に突き出した。
それは、パルチザンのアジトに巣食うオル マフムの軍隊が、近隣の友好種族の集落に配布している傭兵募集のチラシだった。
「なあ、こいつを見てくれよ! パルチザンのアジトで傭兵になりゃあよ、たった一年勤めるだけでこんな大金が貰えるんだぜ!」
チラシには、勧誘のための勇ましい文句とともに、下級オークの暮らしでは十年かけても手に入らないような高給が記されていた。
「これならよ、かあちゃんをブラック ジャッジに診せたって、たんまりオツリがくるってもんだぜ!」
意気が上がる若いオークとは対照的に、年老いたオークの表情は曇ったままだ。
このチラシを配布したパルチザンのアジトとは、かつてグレシア軍がアデン大陸に侵攻してきたとき、その先鋒として大陸を席巻したオル マフム傭兵軍が拠点としている土地である。
しかし、アデン王国軍の反攻により戦線が押し戻されると、グレシア軍の上級司令部はパルチザンのアジトに残された傭兵軍を見捨てて本国に後退してしまった。こうしてアデン王国の真っ只中に孤立してしまったパルチザンのアジトであったが、峻険な山地に築かれた強固な陣地はアデン王国軍の猛攻を耐え凌ぎ、グルーディン村近郊の棄てられた露営地とともに、抵抗拠点として一応の確保に成功したのだった。
とはいえ、現在では戦線が北部のエルモア地方やグレシア本国に移動し、完全に戦略的な価値を失ってしまったためグレシア本国との連絡も途絶し、略奪等で賄える資金面はともかく、総体的にはじり貧の状態に陥っているといわれる。恐らく、本来傭兵であるはずのオル マフムが傭兵募集のチラシを撒いているという不可解な状況は、グレシア本国からの補充兵や増援が期待できない状態で戦力を維持するための苦肉の策なのだろう。
しばらくは黙って若いオークの話を聴いていた年老いたオークが、やおら口を開く。
「……ねえ、あんたがあたしの体ことを考えてくれるのはうれしいけどさ、傭兵なんてのは危ない仕事なんだろう? とうちゃんがいなくなっちまってからはさ、あたしゃあんたがだけが生きてく支えだったんだよ? もし今あんたまでいなくなっちまったら、あたしゃこれから先どうすりゃいいんだい? アデナがあればそりゃあ多少は暮らし向きもよくなるだろうさ。でもね、家族が一緒に暮らせるより幸せなこたあないんだよ? ねえ、後生だから考え直しておくれよ」
年老いたオークの搾り出すような重い言葉に、若いオークは先ほどまでの高揚した気分を失いつつあった。だが、まだ若いオークは拗ねたように口を尖らせながら食い下がる。
「そんなこといったってよぅ……じゃあかあちゃんはよ、これからもずっとまともに歩けないような体でいいってのかよぅ」
「……まあ、そりゃあ昔みたいにさ、自由に歩けるようになりゃあいいとは思うけどさ……だからってあんたがケガなんかしちまったら元も子もないんだよ? 第一、あんたに兵隊なんか務まるのかい? まだこの辺りの冒険者と戦ったこともないんだろう?」
このところ、ディオン周辺では冒険者の数がめっきり減り、エンク オークの集落でも彼らと戦った経験のない者が増えていて、若いオークもまたその一人だった。
「まあ……そこんとかぁ確かにかあちゃんの言う通りだけどよ……」
痛いところを衝かれた若いオークはそれ以上反論ができず、ついに黙ってしまった。
「あんたがやさしい子だってえのはかあちゃんがいちばんよく知ってるんだよ。あんたがヒーローだったとうちゃんの跡を継がずにシャーマンになったのも、あたしの体のことを治そうとしてくれたからだろう? 村の者は前に出て戦えない腰抜けだなんて陰口を叩くけどさ、あたしゃあちっともそんなことは思っちゃいないよ? でもね、あたしにゃあその気持ちだけで十分なんだよ。それに、あんたみたいなやさしい子は冒険者と戦うなんてことにゃあ向いてないんだよ。お願いだからもう兵隊になろうなんて物騒なことはもう考えないでおくれよ?」
若いオークは目を逸らして少しずつ下を向いてしまい、ついには無言のまま小さく頷いた。
「さあ、わかったら晩御飯にしようじゃないか。たんと食べてぐっすり寝ちまえばさ、明日にはもっといい思案が浮かぶってもんだよ!」
年老いたオークに促されるまま、若いオークは緩慢な動きで食卓に着いた。押し黙って俯いたまま食べ物を口に運ぶ若いオークに、年老いたオークはあれこれと世話を焼きながら話しかけるが、若いオークはそれに答えようとはしない。気まずい雰囲気ながらもとりあえず食べるものを食べ終わり、ようやく若いオークが重い口を開いた。
「かあちゃん……オレ……」
「なんだい?」
「いや、なんでもねぇよ……オレぁもう寝らあな、おやすみ」
「なんだかはっきりしないねえ。まあいいさ、ゆっくりおやすみ」
若いオークはそれ以上何も語ることはなく、寝床にもぐってしまった。
それからの数日が過ぎたが、若いオークは口数こそ少ないものの、いつもと同じように食料集めに出かけては帰ってくるという変哲のない日常に戻っていた。若いオークも年老いたオークも互いに話を蒸し返すようなことはしなかったし、そのつもりもないようだった。
だがある朝、普段のように朝食の支度を終えた年老いたオークが若いオークを起こそうと声をかけると、いつもなら眠そうな声で返事があるのだが、その日に限ってはそれがなかった。
「おかしいねぇ、昨日遅かったわけでもないのに、まだ目を覚ましてないのかねぇ?」
不審に思い、杖を頼りに若いオークの寝台の側まで行くと、彼が寝ているはずの粗末な寝台はもぬけの殻だった。それだけではない、普段は寝台の下に仕舞っている、狩りの道具などわずかな手回り品を入れたズダ袋もなくなっている。若いオークが近くへ出ているのではないことは明らかであった。
「……そうかい、やっぱり行っちまったんだね……まったく、男の子ってえのは……無鉄砲なとこはとうちゃんそっくりだねえ……」
主を失い冷え切った寝台を撫でながら、年老いたオークは寂しく微笑む。その歪に曲がった背中はいつもよりもずっと小さく見えた。
その頃、ディオン丘陵地帯とクルマ湿地を分断する山地の中を、若いオークが息を切らせながらパルチザンのアジトに向かって早足で歩いていた。
「ハァハァ、なんとかかあちゃんに気付かれずに村を出られたな。もう追いかけてこられる距離でもねえし、ここいらで朝飯を食っちまおうか」
若いオークはひとりごちて近くにあった手ごろな切り株に腰を下ろし、足元に置いたズダ袋を開けて、かねてから用意してあった食べ物を取り出そうとした。だが、その中には食料や手回り品と一緒に、入れた覚えのない古ぼけたワンドが1本入っていた。
それは、年老いたオークが村に侵入してくる冒険者たちと戦っていた頃に使っていたものだった。
ある時、倒した冒険者から戦利品として手に入れたワンドは、世間から見れば安物にすぎないが、貧しい下級オークにとっては貴重な品であり、若いオークは年老いたオークが今でも時折手入れをしては、誰にも触らせないように大事にしまっているのをよく目にしていたものだ。
「かあちゃん……」
そう、年老いたオークは、若いオークがいずれ出て行ってしまうことを予感していたのだ。たとえ一時は止められたところで、いつかそれを振り切ってしまうことは避けられないだろう。ならばその時が訪れたとき、少しでも若いオークの助けになればと、大切なワンドを、こっそりズダ袋の中に忍ばせたのだった。
年老いたオークの気持ちを知った若いオークの眼からは自然と大粒の涙が溢れてくる。しかし、若いオークはそれを流れるままに拭こうともせず、貪るように数切れの干し肉と果物の粗末な食事を終えると、力強く立ち上がり、再びパルチザンのアジトを目指して歩き出した。
「ふう、なんとか冒険者の野郎どもに見つからずに済んだな」
日も傾きかけた頃になってようやくパルチザンのアジトの麓にたどり着いた若いオークは、額から噴出す汗を手で拭いながら山道を登り始める。
巡礼者のネクロポリスを過ぎた当りを通り過ぎようとしたとき、道端で、ガサッと小さな音がしたのと同時に、
「止れっ! 何者だ! 貴様オークだな? 見たところアデン軍の者ではないようだが、ここに何の用だっ、さっさと答えろっ!」
突然の怒鳴り声とともに草叢から飛び出してきたのは、弓を構えたオル マフムの兵士だった。
「お、お、オレぁ、あの、あれで……」
不意に弓を向けられた上、恐ろしい形相で誰何する兵士に気圧された若いオークはすっかり肝を潰し、まともにしゃべることができない。
「早く答えろっ! 答えねば射殺すぞっ!」
だが、それには構わずオル マフムの兵士は誰何を続け、彼が持つ弓は真っ直ぐに若いオークの心臓を狙って外さない。これが決して脅しではないことは、兵士の眼光に射すくめられた若いオークには十分すぎるほど理解できた。
「ち、ちょっと、ま、待ってくれ、オレぁ、こ、これで……」
はっと思いついて若いオークは、おぼつかない手でズダ袋の中を探ろうとしたが、
「動くなっ! 両手を上に上げろっ!」
オル マフムの兵士はそれを制止して、近くの草叢に潜んでいた仲間を呼び、ズダ袋の中を検めさせた。
ズダ袋の中身が地面に撒き散らされ、オル マフムはそれを一つずつ確認していく。
「手ぬぐい、ロープ、干し肉、狩用のナイフか、なまくらだな。ふむ、これといって危険なものは見当たらんな。ああ、こりゃずいぶんと古ぼけたワンドだな。使い物になるのか? ……ん? これは何だ?」
兵士が荷物の中の小さく畳まれた紙切れを広げると、それは自分たちがばら撒いた傭兵募集のチラシだった。顔を見合わせて頷いた兵士たちは、同時に大きく溜息を吐く。
「なんだ、貴様は傭兵の志願者かよ。それならここから少し進んだ右手の砦が窓口になっているんでな、そこに募集係がいるからそいつに会え。まったく、それならそうと早く言えばいいのに、人騒がせなヤツだぜ」
兵士たちはブツブツ言いながら、現れたときとは別人のような緩慢さで草叢に戻って行った。
「ふぅ、あれが本物の兵隊ってやつかぁ、オレに務まるのかなあ? いけねえ、早いとこ荷物を拾わねえと」
心臓を狙う弓の恐怖から解放され、一人取り残された若いオークはしばらく放心したように佇んでいたが、なんとか気を取り直して散らばった荷物をズダ袋の中に詰め込み始める。荷物に付いた土埃を手で掃いながら、一瞬このまま村に戻ろうかと思ったが、ここまで来ておめおめと帰るわけにはいかない。
ズダ袋を担ぐと、若いオークは再び山道を歩みだした。
「ようこそパルチザンのアジトへ! 今しがた歩哨から連絡があった傭兵志願というオークは貴様だな?」
若いオークが指示された場所へ到着すると、そこにはやけに愛想のいいオル マフムが座っていた。これが兵士の言っていた募集係なのだろう。
「なるほど、見たところディオン丘陵地帯のエンク オーク シャーマンか。我らオル マフムにはヒーラーがおらんからな、回復魔法が使える者は歓迎するぞ。それに貴様の種族は昔は共にアデン軍に立ち向かった大切な友人だ。よろしい、入隊を許可しよう。さあ、この書類に名前を書けば契約成立だ」
案外簡単な手続きに少々拍子抜けした若いオークだったが、書類の傍らに備えてあったペンをとると、募集係の気が変わらないうちにと思ってか、大急ぎで名前を記入する。
「へい、書けました! オレぁ必ずお役に立ちまさあ!」
「うむ、元気があってよろしい。では明日からすぐに新兵訓練を受けてもらうことになるぞ。ああそうだ、傭兵の武器は自弁になるが、一応準備をしてあるか見せてもらうことになっておるがいいな?」
「え? 自弁? ってえと?」
募集係がわずかに怪訝そうな表情に変わる。
「チラシにも書いてあっただろう? 武器は得意とするものを志願者が自分で用意することとなっているし、そのための高給でもある。まさか貴様も給料に釣られただけの食い詰め者なのではあるまいな? いや、チラシを撒いて以来、毎日朝からそういった輩が多数押しかけておって、追い返すのも一苦労なのだ。仮にそんな不心得者を採用してしまったら、そやつが除隊になるだけでは済まず、許可を出した儂まで叱責を受けてしまう。いいか、もう一度聞くが貴様は大丈夫だろうな?」
「オレぁ、そんなこたあ……」
正しく図星であった。高給に目を奪われてチラシを細かいところまで読まなかった若いオークには返す言葉がない。
とたんに目の前の募集係の、本人は笑っているつもりで剥き出した鋭い牙が、今にも自分の喉笛に食らいついてくるように思えてきた。
「どうした? 早く見せてくれんか? なに、形式だけのことであるし、決して取り上げたりはしないから心配することはないぞ?」
内心パニックになり、ダラダラと冷や汗を流しながらここを乗り切る上手い言い訳を考える若いオークだったが、辛抱強く待っていた募集係が痺れを切らして立ち上がろうとした頃になって、ようやく年老いたオークがズダ袋に入れてくれたワンドのことを思い出した。
「あ、あの、これでっ!」
若いオークは急いでズダ袋の中に手を突っ込んでワンドを取り出すと、腰を浮かせた募集係に差し出した。
「なんだ、あるなら早く出せばいいものを。ふむ、安物だが手入れはいいようだな。だが、訓練期間なら問題はあるまい。だが実戦ではちと足りんかも知れんな。まあ訓練が終わる頃には最初の給料が出るから、それでもっと高級なものに買い換えればいいだろう」
大切なワンドを安物よばわりされたのには少し腹が立ったが、おかげで無事に入隊することができ、若いオークはほっと胸を撫で下ろす。
その日は簡単な身体検査の後、訓練兵の兵舎へと案内され、他に十名ほどの訓練兵とともに大部屋に寝台が与えられた。
枕元に備えられた私物入れに荷物をズダ袋ごと放り込み、若いオークは硬い寝台に寝転んで休もうとするが、今日はあまりに多くのことがありすぎて、身も心も疲れているはずなのになかなか寝付くことができない。
窓の外にはエンク オークの村で見ていたのと変わらぬ月が浮かんでいる。それを見ているとどうしても村に残してきた母親のことを思い出してしまう。若いオークは月を見るのを止めようと思ったが、闇夜を煌々と照らす満月の光は、いつまでも彼の目を捕らえて離さなかった。
明くる朝、ガンガンとバケツを力任せに叩く音と共に響く怒鳴り声で、若いオークは目を覚ました。どうやら昨夜は知らぬ間に眠ってしまったようだ。
「総員起こしーっ! さあ、ボヤボヤするなっ! いいかっ、ブタ野郎どもっ、お前たちはお客さんじゃないんだっ! さっさと起きて飯を食ったらすぐに訓練場に集合しろっ! グズグズ言いたいやつがいたら前に出ろ! オレが今すぐそのケツに矢を100万本ブチ込んでやるぞっ! 駆け足っ進めっ!」
オル マフムの教官は、バイウムでさえ一発で目を覚ましそうな大声で訓練兵たちを残らず叩き起こし、朝食もそこそこに兵士になるための厳しい訓練へと放り込んだ。
若いオークはヒーラーであるため、魔法知識の座学や精神集中の訓練など、近接職よりは体力的には楽であったが、若いオークは今までこれといった戦いを経験していないし、軍隊のような集団生活にも縁がなかったため要領が悪く、なかなか教官の言う通りのことができない。
実際、ただ魔法を使うだけなら食料集めの狩りでもやっていたので問題はないのだが、軍隊では集団戦が基本であるため、他の魔法職との高度な連携を要求される。そんなことは今まで考えたこともなかっただけに、いきなり上手くできるはずもないのだ。
こうして、訓練を始めてから数日の間は、指導教官から日に数十回も怒鳴られる毎日だった。しかし、オル マフムたちは多少出来が悪くとも貴重なヒーラーを手放すつもりは毛頭ないようで、若いオークがいくら落ち零れそうになっても、決して首にするようなことは言わなかった。若いオークも、元々が真面目で素直な性格であるだけでなく、アデナを稼ぐまではここを追い出されるわけに行かないという事情も手伝って、厳しい訓練にも音を上げず、担当教官の指導に付いていった。
そして、訓練開始から1か月も経つと、同室だった訓練兵が櫛の歯が欠けるように消えていったにもかかわらず、若いオークは残り、訓練でも教官の命令を即座に理解して的確に行動できるまでに成長していた。
この様子を見て教官は目を細め、今まで以上に厳しいが、戦場で生き残るために欠かせない技術や知識を惜しげもなく若いオークに与えてくれた。
訓練期間も終わりに近付いたある日、若いオークがいつものように詠唱の練習をしていると、訓練場では滅多に見かけることがないオル マフム ロードが現れ、教官を呼ぶとなにやら立ち話を始めた。
「なるほど、それならば丁度よい者がおります。おい、お前ちょっとこっちに来い!」
教官が若いオークに声をかける。
「え、オレですかい?」
「そうだ、グズグズするな、駆け足!」
ロードはドタドタと音を立てて走ってきた若いオークを上から下まで検分するようにじろじろと眺めまわす。
「このオーク シャーマンかね? まだ訓練が終わっていないようだが大丈夫か?」
「はい、飲み込みが少し遅いところはありますが、命令にはきちんと従いますし、一度憶えたことは確実にこなせるようになっております。実戦経験を積めばいずれよい兵士になるでしょう」
「ふむ、君の推薦なら間違いはなかろう。よろしい、そこのオーク シャーマン、貴様は今日で訓練を打ち切り、キャッツアイ殿の専属ヒーラーとして実戦部隊に配属する」
「へ?」
今ひとつ事態が理解できていない若いオークに、教官の叱咤が飛ぶ。
「へ? ではない! キャッツアイ様はこのアジトでも最強のボスのお1人だ。その専属に配されるというのは大変な出世なのだから、ありがたくお受けしろ! それから、返事は“へい”ではなく“はい”だっ! わかったら復唱っ!」
「は、はい、オレぁ、もとい、自分はっキャッツアイ様の専属ヒーラーに配されることを了解いたしましたっ!」
「よしっ、ではすぐに荷物を持って移動、駆け足!」
「へいっ!」
「“へい”ではないっ! “はい”だっ!」
「はいーっ!」
若いオークが敬礼もそこそこに兵舎へ向かって走っていくと、教官とロードはその背中を苦笑しながら見送る。
「よいのかね? もう少し手元に置いて育てたいような顔をしておるぞ?」
「いいえ、確かにまだ教育の足りないところはありますが、戦場こそが若者を兵士にする最良の場と心得ます。いかに素晴らしい原石であっても磨かなければ決して光りませんし、磨き方を間違えれば歪な輝きになってしまいます。キャッツアイ様の下であればきっとよい経験が積めることでしょう」
「そうかね、ならばよいが。では儂は戻るとする。訓練を続けるように」
「了解いたしました!」
「おお、お前ぇさんが新しいヒーラーってやつかい? まあそう肩に力ぁ入れるなよ、どうせここんところはアデン軍の連中も冒険者どももあんまり来ねえんだからよ。お互い気楽にやろうぜ」
若いオークが配属されたボスのキャッツアイは、元々は大盗賊として近隣の村々に恐れられていた者だ。そのためか、今まで出会ったオル マフムの兵士たちよりもずっとくだけた性格をしている。仕事もアデン軍や冒険者と戦うというものではなく、アデン王国の村々を襲撃して、金品や食料を略奪してくるというものだ。パルチザンのアジトの兵站を担うという点では重要性が高いものの、大軍同士がぶつかるような激しい戦闘に巻き込まれることはほとんどない。さらに、部下の中には先輩のオーク シャーマンもいるため、ヒーラの負担もそれほど大きくはない。訓練途中での突然の配備は、専属のヒーラーであった者が満期除隊になり欠員が出たためであったが、こうした点が教官がいうところの“よい環境”なのだろう。
「よ、よろしくお願えしますっ!」
「がははは、だから硬くなるなって。他のボスのとこは知りゃあしねえが、オレは元々が軍人じゃねえから、堅っ苦しいやり方ってえのがどうにも苦手でな、ここの連中にゃあざっくばらんにするように言ってんだ。その代わりにな、オレは仕事であんまり細けえことは言わねからよ、なるたけ手前で考えて動くようにしなくちゃいけねえぜ?」
「へいっ! オレぁ一所懸命やらしてもらいます!」
キャッツアイはその返事を聞いて、太鼓腹を揺らして満足げに笑う。
「がはははは、いい若けえのじゃねえか。相変わらず野郎の見立ては間違いがねえぜ。よし、じゃあ早いとこ寝床を決めて荷物を置いてきな。おう、お前たち。新しい弟分だ、せいぜい面倒を見てやんな」
キャッツアイは部下たちに若いオークの世話をするように命じてくれた。
それからは、常にキャッツアイの側について、ディオンやギランなどの村々へ略奪に出かけるのが若いオークの仕事になった。とはいっても、実際に略奪をするのはキャッツアイの役割で、ヒーラーである若いオークの出番は、仕事に失敗して逃げ出すときの警備兵との戦闘程度だ。そして、キャッツアイの盗賊としての腕前は本物で、失敗することは滅多になかったし、仮にそうなったとしても、被害を最小限に抑えて逃走する技と勘を備えていた。おかげで若いオークはさほど危険な目に合わずに順調に実戦をこなし、やがて簡単な仕事であればメインヒーラーを任されるまでになっていった。
キャッツアイや他の部下たちも若いオークの成長を喜び、決して新入りだからといって軽く見るようなことはなく、もちろんつまらないミスをすれば厳しく叱られるが、対等の仲間として扱ってくれた。
まだ物心も付かぬうちに父親を失い、母親と2人だけで、村のオークたちの哀れみと蔑みの入り混じった視線に曝されながら生きてきた若いオークにとって、初めて得た心を許せる仲間たちとの生活は、今まで経験したことのない満足感を与えてくれた。いつしか若いオークの胸中には、この仲間たちと一緒なら、どんな苦境にも耐えられるという確信が芽生え、大きく育とうとしていた。
だがしかし、今が充実すればするほど、村に残してきた母親のことが、黙って出てきてしまったことへの後悔とともに、若いオークの心の隅に引っかかったまま離れることはなかった。
キャッツアイの下に配属されてから2か月ほどもたち、だいぶん実戦にも馴れてきた頃、若いオークは急にキャッツアイから呼び出された。
「なに、折り入ってって話じゃねえからそう畏まんな。まああれだ、お前、訓練の頃からから数えると入隊して3か月ぐれえになるんだよな?」
「へい、その通りです」
「そうかい、ならそろそろ休暇をやらなくちゃいけねえ。いや、ここの軍隊じゃそういう決まりになってんだ。近頃あ仕事に馴れてきたってもよ、お前もちっと疲れが出る頃だろう? ちょうど来週あたりからオレの仕事もヒマになることだしよ、ここいらで2、3日ゆっくり骨休めしてきちゃあどうだ?」
「休暇ですか? そんならオレぁ手前の村に帰ってもいいんですか?」
「おう、逃げ出すんじゃなけりゃどこに行ったって構いやしねえことになってるからな、そこいらは自由にするといいぜ」
「そいつぁありがてえ。そんなら、村のもんに休暇で帰るって手紙を出してえんですが、こいつもいいんですかね?」
「手紙? お前、随分ハイカラなもん知ってやがんな。ああもちろん構わねえよ。確かお前の村はディオン丘陵地帯だったな。あそこなら露営地へ行く伝令の通り道だからな、オレの口利きだって言やあついでに持ってってくれるだろうぜ。そうだ、紙やペンはあるのかい? なけりゃ出入りのドワーフが扱ってるはずだから聞いてみな。今日当たりなら裏山の抜け道に店を出してるはずだぜ?」
「へい、ありがとうございます」
若いオークがパルチザンのアジトとエルフ村との境を通る間道に出ると、そこにはキャッツアイの言ったとおり、ドワーフの少女が雑貨を並べた露店を開いていた。
「よう、ドワーフさんよ、済まねえが紙とペンを少し分けてもらえねえかい?」
「おや? お兄さんボクの店に来るのは初めてだね? 見たところシャーマンだからヒーラーさんってとこかな? うん、紙とペンなら扱ってるよ」
「ちょいと手紙を出してえんでよ、小洒落た紙があるといいんだがな」
「ああ、便箋ってやつだね。それなら前に仕入れたのがあったはずだよ。ええと……あったあった!」
ドワーフの少女は、自分の身長と変わらないほどの大きな荷物に頭を突っ込んでしばらくゴソゴソと中を探していたが、どうにか一冊の古い便箋を見つけ、パタパタと手で埃を払って若いオークに手渡した。
「パルチザンのアジトじゃあんまり使う人がいないから少し古くなっちゃったけど、まだ黄ばんだりしてないから大丈夫だよ」
「おう、ありがてえ。じゃあそいつをもらおうかい」
「毎度ありー。ねえねえ、お兄さん。それは見習い用の武器だよね? もっといいのに買い換えないの? 便箋も買ってもらったことだし、今なら安くしておくよ?」
「いや、こいつはちょっと訳有りでよ、親分も構わねえっていってくれてるしよ、当分買い換えるつもりはねえんだよ」
「そう? ボクも無理にとは言わないけどね。でも、気が変わったらいつでも声をかけてよね。もちろん武器や防具だけじゃなくてもいいんだよ! 欲しいものを言ってくれればドワーフ商人の名にかけて必ず仕入れて見せるからね!」
宿舎に戻ると、若いオークは早速備え付けの小さな机に向かい、何度も何度も書き直しながら手紙を書いた。
丸めた背中に向かって、休暇を羨ましがる同僚たちがちょっかいをかけてきたが、それは悪意があってのことではないし、何より久々に母親に会える嬉しさでいっぱいになっている若いオークは気にかけず、同僚たちはからかいがいがない相手と見て、早々に自分の寝床へ戻っていった。
その夜、若いオークの机では、小さな灯りが消えることはなかった。
翌朝、眠い目をこすりながら書き上げた手紙を、棄てられた露営地に向かって伝令が出発する直前に、どうにか託すことができた。
手紙を出し終えた若いオークがキャッツアイの下に戻ったその時である。ディオンの強欲な冒険者どもが、ボスたちが蓄えた財宝を奪うために襲撃してきたという報せがパルチザンのアジトを揺るがしたのだ。
『いってえなんででやしょうかねぇ』
『ああ、オレにも皆目わからねぇなぁ』
リーダーと手下がオル マフムに混じっているオークのことで相変わらず首を捻っていると、別の手下から声がかかった。
『大将、もうすぐヒーラーのマナが回復しますんで次の指示をお願いします』
リーダーはハッと我に返り、手下を怒鳴りつける。
『バカヤロウ! んなこたぁオレの知ったことか! どうしても知りたいってんだったら、あっち行って当人に聴いて来い!』
『滅相もねぇ、ヘタに1人で出てったりしたら、たちまちペロリと食われちまいまさあ。でえち、あっしゃ化物どもの言葉なんか知りゃあしませんよ』
『だったらグダグダくっ喋ってねぇでさっさと仕度しやがれ! いつまでもウロウロしてっと化物の代わりにオレが手前ぇのド頭ぁカチ割って脳味噌残らず啜っちまうぞっ!』
『ひぃ、そいつぁ勘弁して下せえーー』
手下がスタコラ逃げていくと、リーダーはやおら岩の上に立ち上がり、他の冒険者たちに大声で指示を出す。
『おう、それじゃそろそろ補助魔法にしようじゃねえか! 終わったらすぐに取っ掛かるから近接は配置に付いとけ! いいけぇ? くれぐれも先走るんじゃねぇぞ!』
欲に目を血走らせた冒険者たちは、キャッツアイたちが立て篭もる陣の前に展開すると次々に補助魔法を掛け、逸る気持ちを抑えて攻撃開始の合図を待つ。
『かかれっ!』
リーダーが号令とともに高く掲げた手を振り下ろすと、冒険者たちは堰を切ったように、キャッツアイへと襲い掛かった。
戦闘が始まると、若いオーク シャーマンは必死でキャッツアイに回復魔法をかけ、バンデットはキャッツアイの行動の自由を縛る、冒険者たちの盾役に弓を射掛ける。しかし、彼らの努力も空しく多数の冒険者の刃を受けるキャッツアイの生命力は、わずかずつではあるが、確実に減っていく。
冒険者たちのヒーラーも、キャッツアイとバンデットの攻撃を一身に受け止める盾役に回復魔法を集中し、どうやら序盤はそれぞれのヒーラーの回復魔法を頼みにした持久戦の様相を呈してきたようだ。
だが、そこで突然、冒険者たちのリーダーが叫んだ。
『化物のくせにいちいち回復しやがってうぜぇな。ソウルショットやスピリットショットだってタダじゃあねえんだ、先に取り巻きのヒーラーどもを片付けちめえっ!』
本来、下級オークのシャーマンでは元々大した量のマナがあるわけでなく、この冒険者たちのように十分な戦力があるのならば無視して力で押し切るのが正攻法である。しかし、ここまでの戦いで得られた戦利品が思ったよりも少なかったのだろう。リーダーはその不足を血で埋め合わせようと考え、大きな脅威にはならないものまでをも殲滅するという残酷な決断を下した。
いや、彼を責めるまい。彼とて今はリーダーとして手下の冒険者たちに祭り上げられているが、それも手下たちを満足させることができてのことである。もし指揮の手際が悪かったり、十分な稼ぎを与えることができなければ、すぐに手下たちは離反してしまい、リーダーはたちまち一介の冒険者へと落ちることになる。生き残るのに必死なのはどちらも同じなのだ。
リーダーの命令一下、今までキャッツアイ1人に向けられていた血に飢えた剣が、若いオークや同僚たちへ向きを変えて殺到してくる。
ボスの直属として多少生命力を強化されているとはいえ、ろくな攻撃魔法も持たない下級オークのシャーマンでは、襲い掛かる無数の刃に抗う手段はない。若いオークはなんとか避けようと足掻き、隙を見ては少しでも仲間たちの傷を癒そうと回復魔法をかけ続ける。
キャッツアイも攻撃の負担が少なくなった機会を利用して、部下たちを襲う冒険者に挑もうと横目で様子を探るが、冒険者の盾役が的確に行動を抑え込んでくるため、どうにも身動きが取れないでいる。
「くそぅ、お前らもうちっとだけ頑張ってくれっ! このナイト野郎をブッ倒したらすぐに助けにいっからよ!」
そう叫ぶキャッツアイであったが、手厚い回復魔法に支えられた盾役は、キャッツアイとバンデットの集中攻撃を受けても小揺るぎもしない。
若いオークは大勢の冒険者から手傷を負わされながらも、盾役が倒れてキャッツアイが自由になればと一縷の望みをかけて回復魔法の手を緩めなかったが、ついに頼みのマナも尽き、冒険者たちに取り囲まれてしまった。
周りを見ると、すでにバンデットたちと古参のオーク シャーマンは倒されており、そちらを手にかけた者たちも生き残った若いオークに集まってくる。
一か八か、わずかに開けた方向に逃れようとしても、より数を増やした冒険者に道をふさがれてしまい叶わなかった。弄るように若いオークの周囲を踊る白刃は、少しずつ若いオークの生命力を削いでいく。彼の命があと1分も保たず地上から消え去るであろうことは想像に難くなかった。
「バカヤロウッ! 今ここでお前がブッ倒れちまったら、故郷のお袋さんはどうなっちまうんだよ?! 四の五の言わずに早えぇとこ逃げやがれっ!」
「すまねえ、親分!」
「かあちゃん……ごめん……ごめんよ……」
生命の灯火が消えようとするその刹那、薄れる意識の中で、若いオークはかすかな声でそう繰り返し呟いていた。
『ははは、こりゃ涙じゃねぇか! 皆見ねぇな、コイツ泣いてやがるんだぜ!』
『へぇ、下級オークも泣くのかい? 汗の見間違いじゃあないのかね?』
『おや、なんだかブツブツ言ってるみてぇだな』
『おりゃあ下級オークの言葉なんざぁ知りゃしねぇが、どうせ命乞いでもしてるんだろうよ。まぁかまわねえ、さっさと片付けちまおう!』
そして、若いオークの頭上に、冒険者の無慈悲な剣が振り下ろされた。
「じゃあ、オークのバァさん、こいつが預かった手紙だ。確かに渡したぜ?」
「ああ、こりゃあ確かに息子の字だよ。マフムの兄さん、遠いところをありがとうよぅ」
「なあに、礼なんざいらねえよ、どうせ露営地まで伝令に行くついでなんだ。さて、俺ぁ先ぃ急ぐんでこれで失礼するぜ!」
「そうかい、もう少しゆっくりしていきゃあいいのによぅ。そうだ、こりゃたいしたもんじゃあないけどさ、道中で食べておくれよ」
「おお、こりゃフローティング アイの干し肉じゃねえか。オレはコイツが大好物なんだぜ。舌がピリピリ痺れるのがたまらなくてよ。すまねぇなバァさん、それじゃ遠慮なく頂いていくぜ」
オル マフムの伝令は干し肉の包みを背嚢に詰め込むと、再び棄てられた露営地を目指して走り出した。
「ありがとうよぅ、道中気ぃつけてなぁ」
年老いたオークは、駆けて行くオル マフムの背中が木立に紛れてしまうまで見送ると、傍らの岩に腰を下ろして受け取ったばかりの手紙に目を落とした。
手紙には、つたない字で、キャッツアイというボスの部下になったこと、近く休暇がもらえるので一度村へ帰ること、そして黙って出て行ったことへの詫びと、年老いたオークの体への気遣いがぶっきらぼうな言葉で記されていた。
「……あの子から手紙をもらうなんて初めてなんじゃないかね……それにしてももっと字を練習させときゃよかったね……ミミズがのたくったみたいで読み難いったらありゃしないよ……」
誰が見ているというわけでもないのに、照れくさいのかブツブツと文句を言いながらも最後の1文字まで何度も繰り返して読む年老いたオークの顔はほころび、知らずに目頭には涙が溜まっていく。そして、それが一滴、手紙に落ちた。
年老いたオークはあわててそれを手で拭うと、手紙を丁寧に畳んで腰の物入れに仕舞い、杖を頼りに立ち上がる。
「さあ、今のうちにあの子の好きなもんでも用意しといてやろうかね。ああそうだ、寝床も新しい藁に換えておかないとね。こりゃ久しぶりに忙しくなるねえ」
よちよちと歩き出す年老いたオークの耳に、丘陵地帯を巡る気まぐれな風に乗り、どこか遠くで冒険者たちの上げる凱歌が、かすかに、聴こえてきた。
2010年9月23日木曜日
ネタメモ001(装甲飛行船)
装甲飛行船と潜水艦を戦わせる方法を構想中。
主人公は潜水艦側。空対海だと、逃げるにしても攻めるにしても空の方が圧倒的に有利だから、海の方がどうやってその状況を逆転するかというところ。
テクノロジーレベルは二次大戦直前ぐらいがいいと思う。
一次大戦以前だと潜水艦側のテクノロジーが成熟していないから海が不利すぎる。
かといって、二次大戦以降だと空にMADや投下式ソナーがあったり、海が原潜になったりするし、そういや最近は潜水艦用のVLSもあるから撃ちっぱなしミサイルなら対空攻撃も不可能じゃない(潜望鏡深度でレーダーつかえるしね。でも位置がバレるとヤバイから、短時間顔を出して敵機を捕捉、同時にミサイルブッ放して急速潜行するのがオススメ)。それに、そもそも装甲飛行船が存在し得ない時代だと、勝負以前の話になってしまう。
通常動力型の潜水艦は、水中走行用の電池を充電する必要があり、そのために水上走行用の内燃機関を利用した発電を行う。
内燃機関は水中では使用できないから、電池が切れれば浮上せざるを得ない。それに、二次大戦までの潜水艦だと空気清浄技術が未発達だから、単に乗員の呼吸で酸素を消費するだけでなく電池が鉛蓄電池であるため塩素も発生する、電池が残っていたとしても乗員の健康のためにはやはり一定期間ごとに浮上して新鮮な空気を取り入れなければならない。仮に潜水艦の動力がワルター機関であった場合は少々異なるが、そもそもワルター機関が実用化されたのは二次大戦末期だから、時代設定的にはオーバーテクノロジー気味。
なお、最近の通常動力型潜水艦でも、自衛隊の“そうりゅう”などスターリング機関を搭載して水中でも発電して長時間潜行を可能にしたものもある。スターリング機関は蒸気機関と同じくらいの歴史があるエンジンなので、設定上の時代でも使えないことはないが、実用レベルの出力が見込めるかどうかは疑問。
それに、あまり長時間潜行を可能にしてしまうと、そもそもの主題である対決が発生しにくくなってしまうのであまりよろしくない。
航空機はこの浮上時を監視して攻撃するのに非常に便利だが、固定翼機は比較的速度が高いため時間当たりの哨戒範囲が広いものの、行動時間があまり長くないので、交代の隙を突いて浮上したり、逃走したりということができる。
しかし、飛行船は速度こそ低いものの潜水艦よりは絶対的に速く、さらに行動時間が極めて長いという特長がある。大型のものだと数日間哨戒飛行を続けることも可能だ。
これに頭を抑えられた通常動力型潜水艦はかなり苦しいだろう。
飛行船にも弱点はある。
浮力を水素やヘリウムなどの空気よりも軽量なガスに依存しているため、高度の調整が難しい。高高度で哨戒をしていると、潜水艦を見つけてもすぐに降下して攻撃するということがやりにくいのだ。これは長時間飛行が可能であるというメリットの裏返しなので、根本的な解決は非常に難しい。
また、船体が巨大である割に重量が小さいため、強風に流されやすい。これも根本的な解決が難しい欠点だ。悪天候では飛行を取りやめて係留するか上空に避難するしかない。しかし、与圧キャビンもそうだが、気圧が低い場所ではガス嚢が膨張してしまうので、そのマージン次第ではあまり上昇することもできない。実用上昇限度の設定が難しい。
小回りが利きにくい。船体が巨大だからしょうがない。とはいえ、これは固定翼航空機に比べてのことで、潜水艦はもっと小回りが利かないので大きな弱点ではないといえる。しかし、飛行船が上空を通過した直後であれば、潜水艦が浮上しても攻撃されにくいという点は使えるだろう。ただし、どうやって潜水艦が飛行船の通過を知るかという問題は残る。
使用するガスが水素だった場合、酸素とちょっとした火花があれば簡単に爆発する。的が大きいだけに砲撃には相当脆弱であるといえる。小口径の機銃弾なら装甲化で防げるにしても、大口径機銃や対空砲には対抗できないだろう。対抗できるだけの装甲を張るとまず浮かぶことはできなくなる。
上空から潜水艦を攻撃する場合、浮上しているときなら機銃掃射でも外版に穴を開けられるかもしれない。これに成功すると潜水艦の最大の武器である潜行能力を使用不能にできる。ただし、これは機銃の射程内のことに限られるので、飛行船の性質からすると、低高度で潜水艦に接近しなければならない。これは見通しが悪くなるため哨戒が難しい。高高度で潜水艦を発見してから、おっとり刀で降下してきても、機銃の射程内に入る頃には潜水艦は潜航して逃げてしまう。
他の攻撃方法としては、上空から爆雷を投下することが考えられる。これは潜水艦が潜航しても攻撃できる点で有利な方法だ。ただし、これも高度が高すぎると爆雷が水面に落下した段階で壊れてしまう可能性があるため、何らかの手段で減速する必要があるだろう。そうなると、飛行船から投下して着水するまでの時間が単なる投下よりも長くなるため、潜水艦の動きを予測しきれないと命中はおぼつかない。それと、減速のために空気抵抗を増やすと横風にも弱くなる。となると、これも確実なのは低高度からの投下ということになる。
設定時代のテクノロジーだとまあこんなもん。飛行船に大砲を積むという手もないではないが、反動を考えるとあまり大口径だったり、初速の速いカノン砲は難しいような気がする。中高度域から攻撃できるのでその点ではかなり有望だが。
対して潜水艦からの攻撃方法。まず、対空である以上、潜水艦の主要武器である魚雷は使用できないと考えたほうがいい。ちなみに、潜水艦の魚雷は発射管から空気圧または水圧で押し出すため、空中に向けて発射しても多分数メートルしか飛ばないと思う。
しかし、多くの場合、潜水艦であっても商船の臨検や敵小型艦艇との交戦に備えて、小口径砲や対空用を兼ねた機銃を装備しているので、これを使用する方法がスタンダードだ。
しかし、小口径砲は元来対水上用であるため、飛行船を攻撃できるかどうか怪しいところだ。機銃は射程の面で飛行船の高度によってはまったく意味をなさないし、威力も低いので飛行船が装甲化されている場合には射程内でも無力化されてしまう可能性が高い
。
※少し詳しく調べたら、昭和初期に建造された伊号の中に対空機銃に替えて8~10cmの高角砲を装備したものがあったようだ。これなら中高度までの対空射撃は可能だろう。でも、それ以降の伊号では対空機銃になっているようなので、あまり役に立たなかったのかもしれない。
また、一部の潜水艦では航空機を運用することができるが、多くの場合は攻撃能力の低い水上偵察機であり、何よりこれを発進させ得る状況にするためには、二次大戦中の伊号潜水艦の例であるが、相当に熟練した艦でも最低6分もの時間が必要であったとされている(これは神技級の早さだそうだ)。天候や海面状況によっては10分は見込んだ方がいいだろう。今回はあまり考えていないが、収容にはさらに長い時間と危険が伴う。
飛行船がこの時間を待ってくれるかどうかが問題だ。高度調整の難しさと、大きな旋回半径がカギになる。方向転換ができたとしても、攻撃位置に着けるだろうか。
こうした1秒を争う緊迫した場面は、上手く文章化できれば面白いとは思われるので、考慮する価値はあるだろう。
潜水艦側には何がしかの特殊な装備を搭載するのが解決策としてはもっとも簡単だ。もしくは、既存の設備を簡単な改造で対飛行船に利用できるようにするか、だ。現地改造のために知恵を絞るのは悪くない場面だといえる。
二次大戦のことになるが、米海軍のガトー級潜水艦は、当初備砲が3インチぐらいのものだったため現場から威力不足が指摘されて、急遽5インチ級の高射砲を改造したものと換装したそうだ。砲座や射撃指揮装置の問題があるが、この手は使えるかもしれない。
※前述のように高角砲装備の潜水艦もあったので、現地改造でも十分に可能だ。
大仰角を取るための砲座の改造と、中高度域に対応できる射撃指揮装置の整備が重点。もちろん対空射撃の訓練を受けている砲員は欠かせない。
ドラマ的な面白さを考えるなら、こうした改造はしない方がいいかもしれない。圧倒的な不利を既存の装備の運用だけでなんとかするというのはワクワクするだろう。飛行船を低高度に引きずり込む工夫ができれば、勝ち目はあるかもしれない。
すでに飛行船にやられて放棄された他の潜水艦から使えそうな装備を奪取するというのはいいかも。
飛行船の主武装は爆雷ということになるが、これは上空から潜水艦と同航しつつ投下することになる。水平爆撃なら、直上を同航できれば細かい計算が必要ないのでかなり命中率が高くなるはずだ。風は勘案しなければならないが。
これは潜水艦からはほぼ防げないと思う。まあ、神機銃手がいて、落ちてくるのを片っ端から機銃で撃墜するとかいう厨坊的な展開も考えられるが、残念ながらハヤカワさんは(こういうネタを思いついておいて言えることでもないのだが)厨坊ではない。爆雷がなくなれば、退避するか機銃掃射の2択だ。機銃掃射を選択した場合は、射程距離の問題があるので低高度に降りてこなければならない。ごくゆっくりと。
この時、潜水艦側に高角砲があることを知らなければ、無警戒で降下してくる可能性がある。飛行船は装甲化してあるので、対空機銃程度では致命傷を与えられない。そこに油断が生まれるだろう。
ということは、いかに飛行船に爆雷を無駄に消費させるかが潜水艦側の手腕の見せ所になるわけだ。
もっとも、航空爆雷であっても数千メートルの高空から投下すると着水時の衝撃で破壊されてしまうから、おそらく投下高度はそれほど高くないとは思われる。そうなると投下時はどうやっても低高度になるか。
でも、これは潜行中の目標に対してのことだ。洋上航行中の目標なら信管の設定を着発にすれば高度は十分にとれる。
あ、それなら潜水艦がごく浅い深度で潜航していて、飛行船が浅深度用に設定した爆雷を投下しようとして降りてきたところに、急速浮上して対空攻撃するっていうのはどうだろう? まあこれも潜行中にどうやって飛行船の動きを知るかっていう問題には突き当たるけど、それを解決すれば結構いいかもしれない。
そうか、爆雷が投下されて爆発すれば低高度に降りてきているという推測は成り立つな。
ということは、勘所は潜水艦がいかに最初の爆雷を避けて浮上し、速やかに対空砲撃の準備を行うかというところだ。
飛行船側も急に浮上してきた相手に対してどう行動をとるか。前述のように基本的な能力からして急に方向転換したり上昇したりはできない。増速して離脱を計るか、爆雷の信管の設定を急いで変えて攻撃するか、機銃の射程内であるかどうかも問題だろう。対空防御用の豆鉄砲だと潜水艦に致命傷を負わせることは難しいが、対空砲撃に出てくる乗組員を撃つことはできる。潜水艦の備砲には砲塔どころか防盾すらない場合が多いから、豆鉄砲でも相当な脅威のはず。
ああ、戦闘パターンはかなり固まってきた。
舞台設定は南洋の島嶼地域にしたい。欧州だとちと地理の検証が大変だし、地理がよく知られているだけに飛行船や潜水艦の基地を作り難いというのもある。アフリカや南米も候補にできるが、双方とも隠れ場所が多いという点では島嶼地域に軍配が上がる。カリブ海は米国が近すぎるので、米国に敵対する勢力はそれだけで行動が取りにくくなってしまう。
潜水艦は日本の伊号。昭和初期には外洋で使用できる大型の潜水艦が大分作られているし、日本語で読める資料も他の国のものより得やすい。特に、潜水艦内部で乗員がどのような生活や戦闘を行っていたかなど、細部のリアリティを追求するための資料は日本のものがいちばん豊富だ。
装甲飛行船は帝政ドイツの残党。まあ大型飛行船を大量に運用したといえばドイツだろう。もちろん英国や米国などドイツ以外の国でも軍用の飛行船は使用されていたのだが、量と質においてドイツに一日の長があったと思う。
南洋群島は一次大戦以前に帝政ドイツが植民地としていたが、敗戦により連合国(二次大戦の連合国とは異なるので注意)に統治権が移動している。しかし、帝政ドイツの一部には東洋艦隊を始めとする本国の敗戦を認めず南洋群島で再起を図る勢力があるという設定にしようかと思う。それ以外のドイツ海外領土や親ドイツ国家となると、アフリカの一部やアルゼンチンなどとなる。こっちの方だと今ひとつ飛行船対潜水艦という図式にはなりにくいような気がする。
一次大戦後に南洋群島で権益を持つのは日本の他に英国、オーストラリア、オランダなど。米国も旧スペイン領を中心にした勢力圏を持つ。当然ながらこれらも絡んでくることになる。共闘するか、反目するかはこれからの課題。王道展開だと、最初は政治的な問題で反目しているが、共通の敵に対して一時的な共闘関係を結び、その内に打ち解けていくという感じだろうが、そのままやるとなんの捻りもないので一考を要すところ。
装甲飛行船は、もともと装甲板はなかったが、敗戦直前にドイツ本国から資金や人員を積載して脱出してきたものを南洋群島で改造したことにする。なお、英国で飛行船に懸垂した飛行機を発進させる実験に成功しているので、飛行船の最後の武器として使うかもしれない。旧式の複葉機なので爆雷投下するとかは難しいが、飛行船よりも速度があって小回りが利くから鈍重な飛行船の死角をカバーできる。潜水艦に対する牽制としては十分に役立つだろう。もし、潜水艦側が艦載機を射出するつもりなら、旧式といえど対抗戦力にできる。速度はともかく運動性は、たとえ旧式機であってもゲタばきの水上機に負けることはない。それに、鋼管フレームと布張りの飛行機というのは、全金属製のモノコックフレームより銃撃に対して強かったりする。乗員やエンジン、燃料タンクといった場所に当らなければ、ほとんどの弾丸は機体に被害を与えずに貫通してしまうのだ。一次大戦の頃の話だが、空戦で数十発被弾してもなんの問題もなく飛行したという例がある。
飛行船の機動性を上げる方法として、ハイブリッド型という方式が考えられる。一般的な飛行船が浮力のすべてをガスに依存するのに対して、一部を固定翼飛行機のような翼によって補うのだ。これだと、速度を低下させると自重によって沈降するため、高度の調整が飛行船よりは楽になる。後付で装甲化した分増えた重量の補償としては悪くない案だ。実際、近年飛行船の低燃費と静粛性が見直されていて、これに近い形式の旅客飛行船が企画されているそうだ。
外観は大型輸送機のグッピーとかベルーガみたいな感じ(両機種とも大容積貨物用に大きく膨らんだ胴体をしているが、浮力用の気嚢は持たない一般的な航空機なのでお間違いなく)になるのだろうか?
ただし、通常の飛行船が空中で停止できるのに対して、ハイブリッド式の飛行船は常にある程度の速度を出していないと墜落してしまう。通常の固定翼航空機に比べれば低速だとはいえ、この時代の潜水艦は水中で最大6~10ノット、水上でも20ノット程度、巡航速度ならもっと遅いから、これと同航することは難しくなるだろう。
なんとも中途半端な感じだ。だが、中途半端も各機能が高いレベルで融合していれば使い物になることがある。MBTとかマルチロールファイターってのがそう。確かに特定の目的に機能が特化したものよりはその目的に対しては性能が劣るが、汎用性が高く、個々の目的はまあまあの成績なら、数をそろえたり兵站を単純化できるマルチロールなものの方が安く済んだりする。ティーガーは強力だけど、少数で戦場全体を制圧することはできない。対してシャーマンはティーガーより弱いが歩兵よりは強い。ティーガーのいない場所を狙って量を投入すれば、戦場の大半はシャーマンによって制圧され得るのだ。チハ車もねえ、量があれば重装備を揚陸する前の米軍に一泡吹かせられたかもしれないのにねえ。艦砲の支援射撃は威力が大きすぎるから近接戦闘だと役立たずだしな。まあ、1回撃退しても直後の報復艦砲射撃で全滅だろうけど。燃料もないしね。
いかん、話がずれてきた。まあ、とりあえずハイブリッド型飛行船はそういう感じの高度な融合にははならないとは思う。
※やっぱりこう追記がガンガンできるブログはアイデアを纏めるのに向いている。NCブログは重い上にたんびに接続を切られるから、少なくともハヤカワさんの使い方には合ってない。妙なActivXを入れるからIEしか使えないっていうのもダメダメ。ぐぐるさんは、いつのまにかエディタの日本語入力がおかしかったのが直っているので、今のところ使い勝手に不満はない。しばらくここに居付いてみよう。
主人公は潜水艦側。空対海だと、逃げるにしても攻めるにしても空の方が圧倒的に有利だから、海の方がどうやってその状況を逆転するかというところ。
テクノロジーレベルは二次大戦直前ぐらいがいいと思う。
一次大戦以前だと潜水艦側のテクノロジーが成熟していないから海が不利すぎる。
かといって、二次大戦以降だと空にMADや投下式ソナーがあったり、海が原潜になったりするし、そういや最近は潜水艦用のVLSもあるから撃ちっぱなしミサイルなら対空攻撃も不可能じゃない(潜望鏡深度でレーダーつかえるしね。でも位置がバレるとヤバイから、短時間顔を出して敵機を捕捉、同時にミサイルブッ放して急速潜行するのがオススメ)。それに、そもそも装甲飛行船が存在し得ない時代だと、勝負以前の話になってしまう。
通常動力型の潜水艦は、水中走行用の電池を充電する必要があり、そのために水上走行用の内燃機関を利用した発電を行う。
内燃機関は水中では使用できないから、電池が切れれば浮上せざるを得ない。それに、二次大戦までの潜水艦だと空気清浄技術が未発達だから、単に乗員の呼吸で酸素を消費するだけでなく電池が鉛蓄電池であるため塩素も発生する、電池が残っていたとしても乗員の健康のためにはやはり一定期間ごとに浮上して新鮮な空気を取り入れなければならない。仮に潜水艦の動力がワルター機関であった場合は少々異なるが、そもそもワルター機関が実用化されたのは二次大戦末期だから、時代設定的にはオーバーテクノロジー気味。
なお、最近の通常動力型潜水艦でも、自衛隊の“そうりゅう”などスターリング機関を搭載して水中でも発電して長時間潜行を可能にしたものもある。スターリング機関は蒸気機関と同じくらいの歴史があるエンジンなので、設定上の時代でも使えないことはないが、実用レベルの出力が見込めるかどうかは疑問。
それに、あまり長時間潜行を可能にしてしまうと、そもそもの主題である対決が発生しにくくなってしまうのであまりよろしくない。
航空機はこの浮上時を監視して攻撃するのに非常に便利だが、固定翼機は比較的速度が高いため時間当たりの哨戒範囲が広いものの、行動時間があまり長くないので、交代の隙を突いて浮上したり、逃走したりということができる。
しかし、飛行船は速度こそ低いものの潜水艦よりは絶対的に速く、さらに行動時間が極めて長いという特長がある。大型のものだと数日間哨戒飛行を続けることも可能だ。
これに頭を抑えられた通常動力型潜水艦はかなり苦しいだろう。
飛行船にも弱点はある。
浮力を水素やヘリウムなどの空気よりも軽量なガスに依存しているため、高度の調整が難しい。高高度で哨戒をしていると、潜水艦を見つけてもすぐに降下して攻撃するということがやりにくいのだ。これは長時間飛行が可能であるというメリットの裏返しなので、根本的な解決は非常に難しい。
また、船体が巨大である割に重量が小さいため、強風に流されやすい。これも根本的な解決が難しい欠点だ。悪天候では飛行を取りやめて係留するか上空に避難するしかない。しかし、与圧キャビンもそうだが、気圧が低い場所ではガス嚢が膨張してしまうので、そのマージン次第ではあまり上昇することもできない。実用上昇限度の設定が難しい。
小回りが利きにくい。船体が巨大だからしょうがない。とはいえ、これは固定翼航空機に比べてのことで、潜水艦はもっと小回りが利かないので大きな弱点ではないといえる。しかし、飛行船が上空を通過した直後であれば、潜水艦が浮上しても攻撃されにくいという点は使えるだろう。ただし、どうやって潜水艦が飛行船の通過を知るかという問題は残る。
使用するガスが水素だった場合、酸素とちょっとした火花があれば簡単に爆発する。的が大きいだけに砲撃には相当脆弱であるといえる。小口径の機銃弾なら装甲化で防げるにしても、大口径機銃や対空砲には対抗できないだろう。対抗できるだけの装甲を張るとまず浮かぶことはできなくなる。
上空から潜水艦を攻撃する場合、浮上しているときなら機銃掃射でも外版に穴を開けられるかもしれない。これに成功すると潜水艦の最大の武器である潜行能力を使用不能にできる。ただし、これは機銃の射程内のことに限られるので、飛行船の性質からすると、低高度で潜水艦に接近しなければならない。これは見通しが悪くなるため哨戒が難しい。高高度で潜水艦を発見してから、おっとり刀で降下してきても、機銃の射程内に入る頃には潜水艦は潜航して逃げてしまう。
他の攻撃方法としては、上空から爆雷を投下することが考えられる。これは潜水艦が潜航しても攻撃できる点で有利な方法だ。ただし、これも高度が高すぎると爆雷が水面に落下した段階で壊れてしまう可能性があるため、何らかの手段で減速する必要があるだろう。そうなると、飛行船から投下して着水するまでの時間が単なる投下よりも長くなるため、潜水艦の動きを予測しきれないと命中はおぼつかない。それと、減速のために空気抵抗を増やすと横風にも弱くなる。となると、これも確実なのは低高度からの投下ということになる。
設定時代のテクノロジーだとまあこんなもん。飛行船に大砲を積むという手もないではないが、反動を考えるとあまり大口径だったり、初速の速いカノン砲は難しいような気がする。中高度域から攻撃できるのでその点ではかなり有望だが。
対して潜水艦からの攻撃方法。まず、対空である以上、潜水艦の主要武器である魚雷は使用できないと考えたほうがいい。ちなみに、潜水艦の魚雷は発射管から空気圧または水圧で押し出すため、空中に向けて発射しても多分数メートルしか飛ばないと思う。
しかし、多くの場合、潜水艦であっても商船の臨検や敵小型艦艇との交戦に備えて、小口径砲や対空用を兼ねた機銃を装備しているので、これを使用する方法がスタンダードだ。
しかし、小口径砲は元来対水上用であるため、飛行船を攻撃できるかどうか怪しいところだ。機銃は射程の面で飛行船の高度によってはまったく意味をなさないし、威力も低いので飛行船が装甲化されている場合には射程内でも無力化されてしまう可能性が高い
。
※少し詳しく調べたら、昭和初期に建造された伊号の中に対空機銃に替えて8~10cmの高角砲を装備したものがあったようだ。これなら中高度までの対空射撃は可能だろう。でも、それ以降の伊号では対空機銃になっているようなので、あまり役に立たなかったのかもしれない。
また、一部の潜水艦では航空機を運用することができるが、多くの場合は攻撃能力の低い水上偵察機であり、何よりこれを発進させ得る状況にするためには、二次大戦中の伊号潜水艦の例であるが、相当に熟練した艦でも最低6分もの時間が必要であったとされている(これは神技級の早さだそうだ)。天候や海面状況によっては10分は見込んだ方がいいだろう。今回はあまり考えていないが、収容にはさらに長い時間と危険が伴う。
飛行船がこの時間を待ってくれるかどうかが問題だ。高度調整の難しさと、大きな旋回半径がカギになる。方向転換ができたとしても、攻撃位置に着けるだろうか。
こうした1秒を争う緊迫した場面は、上手く文章化できれば面白いとは思われるので、考慮する価値はあるだろう。
潜水艦側には何がしかの特殊な装備を搭載するのが解決策としてはもっとも簡単だ。もしくは、既存の設備を簡単な改造で対飛行船に利用できるようにするか、だ。現地改造のために知恵を絞るのは悪くない場面だといえる。
二次大戦のことになるが、米海軍のガトー級潜水艦は、当初備砲が3インチぐらいのものだったため現場から威力不足が指摘されて、急遽5インチ級の高射砲を改造したものと換装したそうだ。砲座や射撃指揮装置の問題があるが、この手は使えるかもしれない。
※前述のように高角砲装備の潜水艦もあったので、現地改造でも十分に可能だ。
大仰角を取るための砲座の改造と、中高度域に対応できる射撃指揮装置の整備が重点。もちろん対空射撃の訓練を受けている砲員は欠かせない。
ドラマ的な面白さを考えるなら、こうした改造はしない方がいいかもしれない。圧倒的な不利を既存の装備の運用だけでなんとかするというのはワクワクするだろう。飛行船を低高度に引きずり込む工夫ができれば、勝ち目はあるかもしれない。
すでに飛行船にやられて放棄された他の潜水艦から使えそうな装備を奪取するというのはいいかも。
飛行船の主武装は爆雷ということになるが、これは上空から潜水艦と同航しつつ投下することになる。水平爆撃なら、直上を同航できれば細かい計算が必要ないのでかなり命中率が高くなるはずだ。風は勘案しなければならないが。
これは潜水艦からはほぼ防げないと思う。まあ、神機銃手がいて、落ちてくるのを片っ端から機銃で撃墜するとかいう厨坊的な展開も考えられるが、残念ながらハヤカワさんは(こういうネタを思いついておいて言えることでもないのだが)厨坊ではない。爆雷がなくなれば、退避するか機銃掃射の2択だ。機銃掃射を選択した場合は、射程距離の問題があるので低高度に降りてこなければならない。ごくゆっくりと。
この時、潜水艦側に高角砲があることを知らなければ、無警戒で降下してくる可能性がある。飛行船は装甲化してあるので、対空機銃程度では致命傷を与えられない。そこに油断が生まれるだろう。
ということは、いかに飛行船に爆雷を無駄に消費させるかが潜水艦側の手腕の見せ所になるわけだ。
もっとも、航空爆雷であっても数千メートルの高空から投下すると着水時の衝撃で破壊されてしまうから、おそらく投下高度はそれほど高くないとは思われる。そうなると投下時はどうやっても低高度になるか。
でも、これは潜行中の目標に対してのことだ。洋上航行中の目標なら信管の設定を着発にすれば高度は十分にとれる。
あ、それなら潜水艦がごく浅い深度で潜航していて、飛行船が浅深度用に設定した爆雷を投下しようとして降りてきたところに、急速浮上して対空攻撃するっていうのはどうだろう? まあこれも潜行中にどうやって飛行船の動きを知るかっていう問題には突き当たるけど、それを解決すれば結構いいかもしれない。
そうか、爆雷が投下されて爆発すれば低高度に降りてきているという推測は成り立つな。
ということは、勘所は潜水艦がいかに最初の爆雷を避けて浮上し、速やかに対空砲撃の準備を行うかというところだ。
飛行船側も急に浮上してきた相手に対してどう行動をとるか。前述のように基本的な能力からして急に方向転換したり上昇したりはできない。増速して離脱を計るか、爆雷の信管の設定を急いで変えて攻撃するか、機銃の射程内であるかどうかも問題だろう。対空防御用の豆鉄砲だと潜水艦に致命傷を負わせることは難しいが、対空砲撃に出てくる乗組員を撃つことはできる。潜水艦の備砲には砲塔どころか防盾すらない場合が多いから、豆鉄砲でも相当な脅威のはず。
ああ、戦闘パターンはかなり固まってきた。
舞台設定は南洋の島嶼地域にしたい。欧州だとちと地理の検証が大変だし、地理がよく知られているだけに飛行船や潜水艦の基地を作り難いというのもある。アフリカや南米も候補にできるが、双方とも隠れ場所が多いという点では島嶼地域に軍配が上がる。カリブ海は米国が近すぎるので、米国に敵対する勢力はそれだけで行動が取りにくくなってしまう。
潜水艦は日本の伊号。昭和初期には外洋で使用できる大型の潜水艦が大分作られているし、日本語で読める資料も他の国のものより得やすい。特に、潜水艦内部で乗員がどのような生活や戦闘を行っていたかなど、細部のリアリティを追求するための資料は日本のものがいちばん豊富だ。
装甲飛行船は帝政ドイツの残党。まあ大型飛行船を大量に運用したといえばドイツだろう。もちろん英国や米国などドイツ以外の国でも軍用の飛行船は使用されていたのだが、量と質においてドイツに一日の長があったと思う。
南洋群島は一次大戦以前に帝政ドイツが植民地としていたが、敗戦により連合国(二次大戦の連合国とは異なるので注意)に統治権が移動している。しかし、帝政ドイツの一部には東洋艦隊を始めとする本国の敗戦を認めず南洋群島で再起を図る勢力があるという設定にしようかと思う。それ以外のドイツ海外領土や親ドイツ国家となると、アフリカの一部やアルゼンチンなどとなる。こっちの方だと今ひとつ飛行船対潜水艦という図式にはなりにくいような気がする。
一次大戦後に南洋群島で権益を持つのは日本の他に英国、オーストラリア、オランダなど。米国も旧スペイン領を中心にした勢力圏を持つ。当然ながらこれらも絡んでくることになる。共闘するか、反目するかはこれからの課題。王道展開だと、最初は政治的な問題で反目しているが、共通の敵に対して一時的な共闘関係を結び、その内に打ち解けていくという感じだろうが、そのままやるとなんの捻りもないので一考を要すところ。
装甲飛行船は、もともと装甲板はなかったが、敗戦直前にドイツ本国から資金や人員を積載して脱出してきたものを南洋群島で改造したことにする。なお、英国で飛行船に懸垂した飛行機を発進させる実験に成功しているので、飛行船の最後の武器として使うかもしれない。旧式の複葉機なので爆雷投下するとかは難しいが、飛行船よりも速度があって小回りが利くから鈍重な飛行船の死角をカバーできる。潜水艦に対する牽制としては十分に役立つだろう。もし、潜水艦側が艦載機を射出するつもりなら、旧式といえど対抗戦力にできる。速度はともかく運動性は、たとえ旧式機であってもゲタばきの水上機に負けることはない。それに、鋼管フレームと布張りの飛行機というのは、全金属製のモノコックフレームより銃撃に対して強かったりする。乗員やエンジン、燃料タンクといった場所に当らなければ、ほとんどの弾丸は機体に被害を与えずに貫通してしまうのだ。一次大戦の頃の話だが、空戦で数十発被弾してもなんの問題もなく飛行したという例がある。
飛行船の機動性を上げる方法として、ハイブリッド型という方式が考えられる。一般的な飛行船が浮力のすべてをガスに依存するのに対して、一部を固定翼飛行機のような翼によって補うのだ。これだと、速度を低下させると自重によって沈降するため、高度の調整が飛行船よりは楽になる。後付で装甲化した分増えた重量の補償としては悪くない案だ。実際、近年飛行船の低燃費と静粛性が見直されていて、これに近い形式の旅客飛行船が企画されているそうだ。
外観は大型輸送機のグッピーとかベルーガみたいな感じ(両機種とも大容積貨物用に大きく膨らんだ胴体をしているが、浮力用の気嚢は持たない一般的な航空機なのでお間違いなく)になるのだろうか?
ただし、通常の飛行船が空中で停止できるのに対して、ハイブリッド式の飛行船は常にある程度の速度を出していないと墜落してしまう。通常の固定翼航空機に比べれば低速だとはいえ、この時代の潜水艦は水中で最大6~10ノット、水上でも20ノット程度、巡航速度ならもっと遅いから、これと同航することは難しくなるだろう。
なんとも中途半端な感じだ。だが、中途半端も各機能が高いレベルで融合していれば使い物になることがある。MBTとかマルチロールファイターってのがそう。確かに特定の目的に機能が特化したものよりはその目的に対しては性能が劣るが、汎用性が高く、個々の目的はまあまあの成績なら、数をそろえたり兵站を単純化できるマルチロールなものの方が安く済んだりする。ティーガーは強力だけど、少数で戦場全体を制圧することはできない。対してシャーマンはティーガーより弱いが歩兵よりは強い。ティーガーのいない場所を狙って量を投入すれば、戦場の大半はシャーマンによって制圧され得るのだ。チハ車もねえ、量があれば重装備を揚陸する前の米軍に一泡吹かせられたかもしれないのにねえ。艦砲の支援射撃は威力が大きすぎるから近接戦闘だと役立たずだしな。まあ、1回撃退しても直後の報復艦砲射撃で全滅だろうけど。燃料もないしね。
いかん、話がずれてきた。まあ、とりあえずハイブリッド型飛行船はそういう感じの高度な融合にははならないとは思う。
※やっぱりこう追記がガンガンできるブログはアイデアを纏めるのに向いている。NCブログは重い上にたんびに接続を切られるから、少なくともハヤカワさんの使い方には合ってない。妙なActivXを入れるからIEしか使えないっていうのもダメダメ。ぐぐるさんは、いつのまにかエディタの日本語入力がおかしかったのが直っているので、今のところ使い勝手に不満はない。しばらくここに居付いてみよう。
今日の雑感006
ハヤカワさん、いいかげんお年頃です。
なので、ここ数年、知人の訃報ってヤツに出会う機会が少しずつ増えてきたんですね。
今年はこの暑さにやられたせいか、夏の間に中学時代の友人1名、仕事でお世話になった人1名が鬼籍に入ってしまいました。
やっぱり例年より多い感じがするねえ。
人間、明日が必ず来るなんて限らないんだから、ハヤカワさんもやりたいことは機会を逃さずやっておかないといかんのですなぁ。
いまいちばんやりたいことか……。
……仕事……かな。
なので、ここ数年、知人の訃報ってヤツに出会う機会が少しずつ増えてきたんですね。
今年はこの暑さにやられたせいか、夏の間に中学時代の友人1名、仕事でお世話になった人1名が鬼籍に入ってしまいました。
やっぱり例年より多い感じがするねえ。
人間、明日が必ず来るなんて限らないんだから、ハヤカワさんもやりたいことは機会を逃さずやっておかないといかんのですなぁ。
いまいちばんやりたいことか……。
……仕事……かな。
2010年9月22日水曜日
ぼくのかんがえたがんだむ
はいっ、今からガンダムの話しまーす。
ハヤカワさん、世代的にファーストのオタクなんで、そこ前提でね。
さて、早速本題入ります。
あの世界ってミノフスキー粒子のせいで電子戦がやりにくくなってるって設定のはずですわね。
ということは、敵のMSを攻撃するときは光学照準器に頼って狙いをつけなければならないことになるわけだ。
そうすると、どのMSにも光学測距儀(正しくは光学視差式測距儀というらしい)がついているべきなんじゃないだろうか。
光学測距儀が何だかわかんない場合、戦艦大和(宇宙に行かない方)の艦橋の天辺から左右に延びてる腕を思い出すかググるかしよう。
宇宙空間はまあ重力の弾道への影響や空気抵抗による弾速の減衰も少ないし、大気によるビームの拡散もほとんど考えなくていいからあまり必要はないかもしれないんだけど(ビーム兵器の場合収束率によっては宇宙でも交戦距離の影響はあると思うけどね)、MSは重力や大気の影響が絶対に無視できない地上戦でも運用されるんだから、少なくともそっち用のにはあっていいと思うのね。グフは格闘専用だからおいとくとしても、ドムには標準装備されているべきだろう。ジムのビームスプレーガンも収束率が低いから距離はかなり影響するだろうな。それと、ファーストじゃないけど、ジムスナイパーやザメルなんかは付いてなけりゃ商売になんないはず。
あ、月面とかコロニー内もアリか。他にア・バオア・クーやソロモン、ルナ2の近くの宙域も弾道計算に重力の補正は必要になるかもしれないな。なら、全MSについてないといけないか。
今はレーザー測距儀(正しくは光波測距儀)っていうのもあるけど、ミノフスキー粒子のせいで電子機器全般が使いづらくなっている状況だと、やっぱり光学視差式の方が信頼性高いだろうから、やっぱり付いてなけりゃおかしい。
ちなみに二次大戦ごろの戦車なんかには単眼式照準器っていうのがついてたんだけど、あれは相手の大きさが分かってないと精確な距離が測れないそうな。MSは手足を縮めたり延ばしたりすれば大きさがかなり変わるので、単眼式では少々役者が不足だろう。
で、結局のところ残るのは光学式。そうなると問題は取り付け場所ですな。
ハヤカワさんが理解するところでは、光学測距儀は基線長(左右のプリズムまたは鏡の間の距離ね。大雑把に腕の長さだと思えばいいでしょう)が大きいほど精度が高くなることになってるから、攻撃時は常に敵に正対するという前提なら、両肩に付けるのがいちばん自然だろう。手足に付けたりすると動かす度にいちいち基線長が変わっちゃうし。腹部はあんまり動かないけど、基線長があんまりとれないな。
そうではなく、あらゆる姿勢から攻撃できるようにするのであれば、やっぱり頭部に付ける必要があるだろう。絵的に考えてもこっちがオススメ。
戦艦大和の測距儀は基線長が約15mあって、交戦する距離が50km弱ということだから、このレベルの測距儀付きのMSは、頭部に全高とほぼ同じ長さの測距儀がくっついた、非常に愉快なスタイルになるはずなのだ。
ハヤカワさん絵は苦手だから、誰かかわりに描いてくんないかな? かな?
次は宇宙戦艦のカタパルトについて考えてみようかな。いつになるかわからんけど。
ハヤカワさん、世代的にファーストのオタクなんで、そこ前提でね。
さて、早速本題入ります。
あの世界ってミノフスキー粒子のせいで電子戦がやりにくくなってるって設定のはずですわね。
ということは、敵のMSを攻撃するときは光学照準器に頼って狙いをつけなければならないことになるわけだ。
そうすると、どのMSにも光学測距儀(正しくは光学視差式測距儀というらしい)がついているべきなんじゃないだろうか。
光学測距儀が何だかわかんない場合、戦艦大和(宇宙に行かない方)の艦橋の天辺から左右に延びてる腕を思い出すかググるかしよう。
宇宙空間はまあ重力の弾道への影響や空気抵抗による弾速の減衰も少ないし、大気によるビームの拡散もほとんど考えなくていいからあまり必要はないかもしれないんだけど(ビーム兵器の場合収束率によっては宇宙でも交戦距離の影響はあると思うけどね)、MSは重力や大気の影響が絶対に無視できない地上戦でも運用されるんだから、少なくともそっち用のにはあっていいと思うのね。グフは格闘専用だからおいとくとしても、ドムには標準装備されているべきだろう。ジムのビームスプレーガンも収束率が低いから距離はかなり影響するだろうな。それと、ファーストじゃないけど、ジムスナイパーやザメルなんかは付いてなけりゃ商売になんないはず。
あ、月面とかコロニー内もアリか。他にア・バオア・クーやソロモン、ルナ2の近くの宙域も弾道計算に重力の補正は必要になるかもしれないな。なら、全MSについてないといけないか。
今はレーザー測距儀(正しくは光波測距儀)っていうのもあるけど、ミノフスキー粒子のせいで電子機器全般が使いづらくなっている状況だと、やっぱり光学視差式の方が信頼性高いだろうから、やっぱり付いてなけりゃおかしい。
ちなみに二次大戦ごろの戦車なんかには単眼式照準器っていうのがついてたんだけど、あれは相手の大きさが分かってないと精確な距離が測れないそうな。MSは手足を縮めたり延ばしたりすれば大きさがかなり変わるので、単眼式では少々役者が不足だろう。
で、結局のところ残るのは光学式。そうなると問題は取り付け場所ですな。
ハヤカワさんが理解するところでは、光学測距儀は基線長(左右のプリズムまたは鏡の間の距離ね。大雑把に腕の長さだと思えばいいでしょう)が大きいほど精度が高くなることになってるから、攻撃時は常に敵に正対するという前提なら、両肩に付けるのがいちばん自然だろう。手足に付けたりすると動かす度にいちいち基線長が変わっちゃうし。腹部はあんまり動かないけど、基線長があんまりとれないな。
そうではなく、あらゆる姿勢から攻撃できるようにするのであれば、やっぱり頭部に付ける必要があるだろう。絵的に考えてもこっちがオススメ。
戦艦大和の測距儀は基線長が約15mあって、交戦する距離が50km弱ということだから、このレベルの測距儀付きのMSは、頭部に全高とほぼ同じ長さの測距儀がくっついた、非常に愉快なスタイルになるはずなのだ。
ハヤカワさん絵は苦手だから、誰かかわりに描いてくんないかな? かな?
次は宇宙戦艦のカタパルトについて考えてみようかな。いつになるかわからんけど。
2010年9月21日火曜日
今日の雑感005
本日のハヤカワさんは、件の小説に手を入れるのに忙しく、ブログの記事なんぞ書いているヒマがありません。
それにしても、半分ぐらいしか終わっていないというのに、すでに投稿した状態の2倍近くに膨れ上がっているのはどういうことか。
というか、よくこれをあの行数に納められたものだ。我ながら感心する外はない。
「ナイト道」を書いていた頃も、予定の行数よりも2~30行は余分に書いてそこから内容を絞っていったものだが、今回のはそれをはるかに上回る勢いだ。
この、書き始めると止まらなくなる病気はなんとかならんのだろうか。
※9月22日追記
とうとう30kb超えた。明らかに書きすぎ。
それにしても、半分ぐらいしか終わっていないというのに、すでに投稿した状態の2倍近くに膨れ上がっているのはどういうことか。
というか、よくこれをあの行数に納められたものだ。我ながら感心する外はない。
「ナイト道」を書いていた頃も、予定の行数よりも2~30行は余分に書いてそこから内容を絞っていったものだが、今回のはそれをはるかに上回る勢いだ。
この、書き始めると止まらなくなる病気はなんとかならんのだろうか。
※9月22日追記
とうとう30kb超えた。明らかに書きすぎ。
2010年9月20日月曜日
今日の雑感004
島嶼戦の難しさは、よほど大きな島でない限り防御の縦深が取りにくいため、防衛プランが水際防御一択になってしまう点にある。
また、陸上戦力による機動防御が事実上不可能であり、このため兵力を分散配備せざるを得なくなり、優勢な敵に各個撃破される危険性が高い。攻撃側が攻略すべき島を自由に選べるという点で、島嶼戦は守備側が著しく不利である。戦略的な価値や敵の攻撃能力である程度目的を絞ることは可能だが、太平洋戦線で米軍が行ったような蛙飛びをやられるとかなり辛いことになる。
仮に重点となる島に十分な戦力が準備できたとしても、制海制空権を奪われて後方との連絡が遮断されれば、最悪の場合はサイパンやガダルカナルと同様の運命を辿ることになるだろう。
このため、一旦接近を許してしまうと、水際で敵に過大な出血を強いて攻略を断念させるか、自然環境や政治などによって敵が撤兵せざるを得ない状況ができるまで耐えるか、優勢な援軍による側背面からの攻撃で状況を逆転させるか、いずれかによってしか勝利できないということになる。
仮に、橋頭堡を確保されてしまうような事態になれば、島に配備されている戦力だけでは遅滞戦闘以上のことはできないことは戦史を紐解けば明らかである。
最良の防御手段としては、敵上陸部隊が島に接近する前に、揚陸艦や輸送艦を海上・航空戦力によって先制攻撃することである。このため正攻法であれば敵はこれを防ぐために海上航空撃滅戦から開始することになる(それ以前に指揮系統を混乱させるためのサイバー攻撃が始まるだろうが)。この場合は、上陸部隊が侵入する前に開戦しているので、戦力が残っていれば、境界線を越えた時点で現場の判断で攻撃ができるから大きな問題はない。
しかし、宣戦の布告や初期の撃滅戦を経ることなしに上陸部隊が単独で越境してきた場合、政治がそれに対する攻撃命令を下せるだろうか? おそらく、これが最大の問題になるだろう。
上陸したのが一島だけなら迷子かもしれない。とか言い出さなければいいが。
最悪の状況を避ける努力を重ねつつ、最悪の状況への備えを怠らないのが政治の仕事だ。
また、陸上戦力による機動防御が事実上不可能であり、このため兵力を分散配備せざるを得なくなり、優勢な敵に各個撃破される危険性が高い。攻撃側が攻略すべき島を自由に選べるという点で、島嶼戦は守備側が著しく不利である。戦略的な価値や敵の攻撃能力である程度目的を絞ることは可能だが、太平洋戦線で米軍が行ったような蛙飛びをやられるとかなり辛いことになる。
仮に重点となる島に十分な戦力が準備できたとしても、制海制空権を奪われて後方との連絡が遮断されれば、最悪の場合はサイパンやガダルカナルと同様の運命を辿ることになるだろう。
このため、一旦接近を許してしまうと、水際で敵に過大な出血を強いて攻略を断念させるか、自然環境や政治などによって敵が撤兵せざるを得ない状況ができるまで耐えるか、優勢な援軍による側背面からの攻撃で状況を逆転させるか、いずれかによってしか勝利できないということになる。
仮に、橋頭堡を確保されてしまうような事態になれば、島に配備されている戦力だけでは遅滞戦闘以上のことはできないことは戦史を紐解けば明らかである。
最良の防御手段としては、敵上陸部隊が島に接近する前に、揚陸艦や輸送艦を海上・航空戦力によって先制攻撃することである。このため正攻法であれば敵はこれを防ぐために海上航空撃滅戦から開始することになる(それ以前に指揮系統を混乱させるためのサイバー攻撃が始まるだろうが)。この場合は、上陸部隊が侵入する前に開戦しているので、戦力が残っていれば、境界線を越えた時点で現場の判断で攻撃ができるから大きな問題はない。
しかし、宣戦の布告や初期の撃滅戦を経ることなしに上陸部隊が単独で越境してきた場合、政治がそれに対する攻撃命令を下せるだろうか? おそらく、これが最大の問題になるだろう。
上陸したのが一島だけなら迷子かもしれない。とか言い出さなければいいが。
最悪の状況を避ける努力を重ねつつ、最悪の状況への備えを怠らないのが政治の仕事だ。
2010年9月18日土曜日
JAXA続きの続き
Mロケットを十分に堪能したところで、屋内展示に移動。
専用の施設ではなく、研究管理棟のロビーに作られているせいか、真ん中に会議室などへ上る階段があったりしてせせっこましい印象だ。
まあ、専用の施設なんかレンホーが許しちゃくれないだろうから、制約の中で頑張っているJAXAを責めるわけにはいかない。
まあ、こういうことはナンボ言っても埒が明かないのでこの辺で止めにして、展示物を見ていくことにしよう。
あと、子供向けにスタンプラリーもあったりするが、ハヤカワさんは大人なのでガマンする。別に大人はダメだとも書いていないが、なんとなく。
で、館内は写真撮影ができるのではあるが、ハヤカワさんは写真など撮っていない。だから文字だけのレポートだ。
これは、先日も書いたが、ハヤカワさんはカメラを持っていないからだ。正確には某所にフィルムの一眼レフを預けてあるのだが、取りに行くだけで一日仕事なのでないのと同然。
まあ、気になったらJAXAのウェブサイトでも見れば山ほど写真があるので問題はない。大方の知識はウェブで得られる昨今、こういった施設では生で触れるということがいちばん重要だと思うので、自分の目で見たという事実があればそれでいいのだ。
大体、普通の博物館だと館内撮影禁止だからカメラがあったって持っていきやしない。こんなことなら街道筋の電気屋で安いデジカメでも買っていけばよかった。くそぅ。
アレ? 言うことが変わってる? いんだよ、細けぇこたぁ!
現在のメイン展示はやはり「ハヤブサ」だ。帰還したカプセルはもう展示していないが、実物大模型と「ハヤブサ」の軌跡を解説したパネルが置いてある。模型は太陽電池パネルを展開していることもあって、想像よりもかなり大きい印象だ。とはいっても、ハヤブサの辿った道のりを考えると、このサイズの機体に長距離を飛行するだけの機能と探査機構、そして二重三重のフェイルセーフ機構を組み込んだJAXAの技術力には驚嘆すべきものがあるのかもしれない。
しかし、これは非常に残念なことなのだが、ハヤブサに搭載されていた小型探査機ミネルバにはほとんど触れられていない。ハヤブサからの放出には成功したものの、イトカワ表面に着陸することができず、探査という目的では失敗だったから仕方がないとは思えるが、それはそれで大きな成果であることに変わりがないのだ。少なくとも、放出以降は自律動作で写真を撮影し、たった1枚とはいえあの遠距離からハヤブサの太陽電池パネルを捉えた写真を伝送してきたのだ。(ちなみに、地球からハヤブサに命令電波を送ると、届くのに約16分かかるそうだ。太陽の電磁波(光とかね)が地球に届くのが8分半ぐらいだから、およそその2倍ということになる。何にしても、とてつもない距離であることに間違いはない)
そして、着陸に失敗したのはイトカワの重力が事前の予想よりも小さかったことが原因なのだろうか? それとも遠隔操作の限界だったのだろうか? 機械の故障や人為的なミスか? 他に想定外の理由があったのか? 少なくとも、こうしたことを追求して、次に生かすためのデータは得られたはずだ。ハヤカワさん的にはそういったところを知りたいのだ。
ハヤブサばかり見ていても仕方がないので他の展示物も見て回らねば。
ハヤブサ以外は、スペースからしてしょうがないのだが、縮小模型と映像がメイン。
ロケットモーターの実物なんかも見たいところだが、昔の小型ロケットのものや衛星用でなければ置き場所がない。そういったものは筑波にあるのだが、気軽に行ける距離でもないので、やはり専用の施設で見られるようにして欲しいところだ。向かいの相模原市立博物館なんかで展示することはできないのか。便乗企画やってるんだし。
そういった中で、個人的によかったのは衛星のサーマルジャケットの構造がわかったこと。衛星の本体を包んでいる金紙みたいなヤツだが、要は宇宙は日向と日陰の温度差が激しくて、機器が損傷しやすいので、断熱材で包んで保護するというわけだ。
アルミを蒸着したフィルムや強化繊維を何重にも重ねて作られている。電磁波や宇宙線もある程度遮蔽できるのだろうか? 大気のない状態での被爆量はハンパないので、電子機器は厳重にシールドされているはずだが。
デブリとの衝突を考えると装甲板を貼ってもいいような気がするが、デブリの大きさと相対速度によってはどんなに強力な装甲板を貼っても無駄になる可能性があるし、第一そんなに重いものを打ち上げるのは不可能に近いから、サーマルジャケットがむき出しでも問題はないのということなのだろう。
まあ、通り一遍のレポートは他のサイトに腐るほどあるので、ここからはハヤカワさん的に気になることをいくつか挙げておこう。
展示を見ていけば過去から現在までについてはわかるのだが、将来の宇宙開発についての解説があまりないのは寂しい。個々の衛星を打ち上げるとかどうとかではなくて、日本の宇宙開発の目指すところという意味でね。やっぱりこれもレンホーがいるかぎり予定は未定にして決定にあらずだからダメなのか?
ハヤブサは大型な上にフレームに固定されて高い場所に設置されているからいいが、それ以外の展示物、特に手にとることができるようになっているものは、夏休みに押しかけた見学者が触りまくったんだろう痕跡がそこここに残っていた。要するにどこかしらが破損した物が多い。
金星探査衛星「あかつき」の模型は、上部の蓋を開けると内部を見ることができるようになっているのだが、手作り感満点の紙製で、太陽電池パネルを支えるアーム(ワリバシ?)がぐらついていて、補修用に養生テープらしきものが巻きつけてあった。いくら手荒に扱わないように書いてあっても、容赦のない子供の手にかかればひとたまりもない。モノに敬意を払うことを知らない大人はもっとやっかいだ。
もっとも、蓋を開けても内部の機構が再現されているわけではなく、スッカスカなので期待しすぎたハヤカワさんは拍子抜け。
他にも、月周回衛星「かぐや」では、四方向に張り出したアンテナが尖がっているのは見学者に危険があると判断したのだろう、ちょうど幼児の眼の高さぐらいだし、ダンボールと養生テープで先端をカバーしてあったりする。本体と太陽電池パネルがどういうわけか分離しているのも謎。
H-IIロケットの模型は固体ロケットブースターが外れかけてて、それをビニール紐で縛ってあったり。
ハヤブサからイトカワに投下されたマーカーに使われたビーズが入ったケースがあって、手に取れるようになっているのだが、ケースが角型なのに、ケースを置いておくスペースが丸型だったり。多分、何かで元のケースが破損したか、持ち去られてしまったからだろうが、いかにも間に合わせ感が漂ってしまう。
さらに、全体的に説明が足りない。ハヤブサとか重点的に説明されているものはあるが、他はただ置いてあるだけといった感じで、それがどういうものなのかという解説がまったくないものが多いのだ。
側面にYACと書かれた小さなロケットがあったのだが、自宅に帰ってググらないとこれが日本宇宙少年団のことだとは分からなかった。
まあ、そうはいっても予備知識があるハヤカワさんたちには面白いことは面白いものばかりだし、いつまで見ていても飽きないのだが、なんというか、こう微妙に残念なポイントが多いのが残念。
いや、JAXAの人たちは限られた予算や施設の中でできるだけのことをしているんだろうが、衛星の模型の支えに栄養ドリンクの瓶を使うこたあないだろう。しかも中身入ってるし。
これはアレか? 徹夜自慢か? オレらコレ飲んで頑張ってますー的な?
それはいいとしても、少なくとも製品のラベルは隠そうよ、曲がりなりにも国の機関なんだし。
はっ! そうか、これはそのうちリポD型のロケットでも開発して宣伝費を取ろうという魂胆だな?
そのうち、H-IIの横っ腹に「ファイト一発!」とか書かれるに違いない!
んで、知らんうちにテレビにケインが姿勢を崩したハヤブサを間一髪で立て直したりするCMが流れるのだ。そうに違いない! いや、テレビを見てないハヤカワさんが知らないだけで、実はもう流れてたりするのに決まっている!
友人とバカ話をしながらも2時間ばかり経過してしまった。次の予定があるので売店に移動してお土産漁り。ハヤカワさんはハヤブサのファイル3種組(500円)と最後に地球を撮った写真のファイル(210円)、絵葉書(400円)を購入。
次の予定である、市立博物館で上映されるハヤブサの全天周映画を鑑賞するためJAXAを後にする。
※1
あ、床に貼ってあった相模原市の衛星写真だけどね、端っこに写ってた飛行場は座間キャンプのだって。もっと厚木寄りかと思ってた。
※2
リポDの件。全天周映画のためにちょっと調べてみたところ、ハヤブサがイトカワに着陸するミッションのときに、プロジェクトチームが奮闘する様子がブログでリアルタイムで紹介されて、そこで次々につみあがっていくリポDのビンが話題になったんだそうだ。それで、その後プロジェクトチームに大正製薬から大量のリポDが贈られたそう。あの展示は、そういうのを知ってる人たち向けのシャレだということなのか。
専用の施設ではなく、研究管理棟のロビーに作られているせいか、真ん中に会議室などへ上る階段があったりしてせせっこましい印象だ。
まあ、専用の施設なんかレンホーが許しちゃくれないだろうから、制約の中で頑張っているJAXAを責めるわけにはいかない。
まあ、こういうことはナンボ言っても埒が明かないのでこの辺で止めにして、展示物を見ていくことにしよう。
あと、子供向けにスタンプラリーもあったりするが、ハヤカワさんは大人なのでガマンする。別に大人はダメだとも書いていないが、なんとなく。
で、館内は写真撮影ができるのではあるが、ハヤカワさんは写真など撮っていない。だから文字だけのレポートだ。
これは、先日も書いたが、ハヤカワさんはカメラを持っていないからだ。正確には某所にフィルムの一眼レフを預けてあるのだが、取りに行くだけで一日仕事なのでないのと同然。
まあ、気になったらJAXAのウェブサイトでも見れば山ほど写真があるので問題はない。大方の知識はウェブで得られる昨今、こういった施設では生で触れるということがいちばん重要だと思うので、自分の目で見たという事実があればそれでいいのだ。
大体、普通の博物館だと館内撮影禁止だからカメラがあったって持っていきやしない。こんなことなら街道筋の電気屋で安いデジカメでも買っていけばよかった。くそぅ。
アレ? 言うことが変わってる? いんだよ、細けぇこたぁ!
現在のメイン展示はやはり「ハヤブサ」だ。帰還したカプセルはもう展示していないが、実物大模型と「ハヤブサ」の軌跡を解説したパネルが置いてある。模型は太陽電池パネルを展開していることもあって、想像よりもかなり大きい印象だ。とはいっても、ハヤブサの辿った道のりを考えると、このサイズの機体に長距離を飛行するだけの機能と探査機構、そして二重三重のフェイルセーフ機構を組み込んだJAXAの技術力には驚嘆すべきものがあるのかもしれない。
しかし、これは非常に残念なことなのだが、ハヤブサに搭載されていた小型探査機ミネルバにはほとんど触れられていない。ハヤブサからの放出には成功したものの、イトカワ表面に着陸することができず、探査という目的では失敗だったから仕方がないとは思えるが、それはそれで大きな成果であることに変わりがないのだ。少なくとも、放出以降は自律動作で写真を撮影し、たった1枚とはいえあの遠距離からハヤブサの太陽電池パネルを捉えた写真を伝送してきたのだ。(ちなみに、地球からハヤブサに命令電波を送ると、届くのに約16分かかるそうだ。太陽の電磁波(光とかね)が地球に届くのが8分半ぐらいだから、およそその2倍ということになる。何にしても、とてつもない距離であることに間違いはない)
そして、着陸に失敗したのはイトカワの重力が事前の予想よりも小さかったことが原因なのだろうか? それとも遠隔操作の限界だったのだろうか? 機械の故障や人為的なミスか? 他に想定外の理由があったのか? 少なくとも、こうしたことを追求して、次に生かすためのデータは得られたはずだ。ハヤカワさん的にはそういったところを知りたいのだ。
ハヤブサばかり見ていても仕方がないので他の展示物も見て回らねば。
ハヤブサ以外は、スペースからしてしょうがないのだが、縮小模型と映像がメイン。
ロケットモーターの実物なんかも見たいところだが、昔の小型ロケットのものや衛星用でなければ置き場所がない。そういったものは筑波にあるのだが、気軽に行ける距離でもないので、やはり専用の施設で見られるようにして欲しいところだ。向かいの相模原市立博物館なんかで展示することはできないのか。便乗企画やってるんだし。
そういった中で、個人的によかったのは衛星のサーマルジャケットの構造がわかったこと。衛星の本体を包んでいる金紙みたいなヤツだが、要は宇宙は日向と日陰の温度差が激しくて、機器が損傷しやすいので、断熱材で包んで保護するというわけだ。
アルミを蒸着したフィルムや強化繊維を何重にも重ねて作られている。電磁波や宇宙線もある程度遮蔽できるのだろうか? 大気のない状態での被爆量はハンパないので、電子機器は厳重にシールドされているはずだが。
デブリとの衝突を考えると装甲板を貼ってもいいような気がするが、デブリの大きさと相対速度によってはどんなに強力な装甲板を貼っても無駄になる可能性があるし、第一そんなに重いものを打ち上げるのは不可能に近いから、サーマルジャケットがむき出しでも問題はないのということなのだろう。
まあ、通り一遍のレポートは他のサイトに腐るほどあるので、ここからはハヤカワさん的に気になることをいくつか挙げておこう。
展示を見ていけば過去から現在までについてはわかるのだが、将来の宇宙開発についての解説があまりないのは寂しい。個々の衛星を打ち上げるとかどうとかではなくて、日本の宇宙開発の目指すところという意味でね。やっぱりこれもレンホーがいるかぎり予定は未定にして決定にあらずだからダメなのか?
ハヤブサは大型な上にフレームに固定されて高い場所に設置されているからいいが、それ以外の展示物、特に手にとることができるようになっているものは、夏休みに押しかけた見学者が触りまくったんだろう痕跡がそこここに残っていた。要するにどこかしらが破損した物が多い。
金星探査衛星「あかつき」の模型は、上部の蓋を開けると内部を見ることができるようになっているのだが、手作り感満点の紙製で、太陽電池パネルを支えるアーム(ワリバシ?)がぐらついていて、補修用に養生テープらしきものが巻きつけてあった。いくら手荒に扱わないように書いてあっても、容赦のない子供の手にかかればひとたまりもない。モノに敬意を払うことを知らない大人はもっとやっかいだ。
もっとも、蓋を開けても内部の機構が再現されているわけではなく、スッカスカなので期待しすぎたハヤカワさんは拍子抜け。
他にも、月周回衛星「かぐや」では、四方向に張り出したアンテナが尖がっているのは見学者に危険があると判断したのだろう、ちょうど幼児の眼の高さぐらいだし、ダンボールと養生テープで先端をカバーしてあったりする。本体と太陽電池パネルがどういうわけか分離しているのも謎。
H-IIロケットの模型は固体ロケットブースターが外れかけてて、それをビニール紐で縛ってあったり。
ハヤブサからイトカワに投下されたマーカーに使われたビーズが入ったケースがあって、手に取れるようになっているのだが、ケースが角型なのに、ケースを置いておくスペースが丸型だったり。多分、何かで元のケースが破損したか、持ち去られてしまったからだろうが、いかにも間に合わせ感が漂ってしまう。
さらに、全体的に説明が足りない。ハヤブサとか重点的に説明されているものはあるが、他はただ置いてあるだけといった感じで、それがどういうものなのかという解説がまったくないものが多いのだ。
側面にYACと書かれた小さなロケットがあったのだが、自宅に帰ってググらないとこれが日本宇宙少年団のことだとは分からなかった。
まあ、そうはいっても予備知識があるハヤカワさんたちには面白いことは面白いものばかりだし、いつまで見ていても飽きないのだが、なんというか、こう微妙に残念なポイントが多いのが残念。
いや、JAXAの人たちは限られた予算や施設の中でできるだけのことをしているんだろうが、衛星の模型の支えに栄養ドリンクの瓶を使うこたあないだろう。しかも中身入ってるし。
これはアレか? 徹夜自慢か? オレらコレ飲んで頑張ってますー的な?
それはいいとしても、少なくとも製品のラベルは隠そうよ、曲がりなりにも国の機関なんだし。
はっ! そうか、これはそのうちリポD型のロケットでも開発して宣伝費を取ろうという魂胆だな?
そのうち、H-IIの横っ腹に「ファイト一発!」とか書かれるに違いない!
んで、知らんうちにテレビにケインが姿勢を崩したハヤブサを間一髪で立て直したりするCMが流れるのだ。そうに違いない! いや、テレビを見てないハヤカワさんが知らないだけで、実はもう流れてたりするのに決まっている!
友人とバカ話をしながらも2時間ばかり経過してしまった。次の予定があるので売店に移動してお土産漁り。ハヤカワさんはハヤブサのファイル3種組(500円)と最後に地球を撮った写真のファイル(210円)、絵葉書(400円)を購入。
次の予定である、市立博物館で上映されるハヤブサの全天周映画を鑑賞するためJAXAを後にする。
※1
あ、床に貼ってあった相模原市の衛星写真だけどね、端っこに写ってた飛行場は座間キャンプのだって。もっと厚木寄りかと思ってた。
※2
リポDの件。全天周映画のためにちょっと調べてみたところ、ハヤブサがイトカワに着陸するミッションのときに、プロジェクトチームが奮闘する様子がブログでリアルタイムで紹介されて、そこで次々につみあがっていくリポDのビンが話題になったんだそうだ。それで、その後プロジェクトチームに大正製薬から大量のリポDが贈られたそう。あの展示は、そういうのを知ってる人たち向けのシャレだということなのか。
今日の雑感003
マスコミは権力を監視する第四の権力なのだそうだ。
故に、マスコミは権力から自由でなければならないという。
ここまではいいだろう。
では、なぜマスコミは権力を監視するのだろう?
マスコミによると権力は腐敗するので、監視が必要なのだという。
ならば、第四の権力を標榜するマスコミも必ず腐敗するので監視が必要ということになる。
近頃見聞することによると、すでに腐敗しきっているともいえるが、当のマスコミはそのことについて、公に問題となったとき以外には何も言わない。
マスコミには自浄作用があるから問題ないというのであれば、もちろん権力の自浄作用にも期待できるはずだ。
つまり、マスコミによる監視は必要ないということになる。
だが、 マスコミは権力の監視のためにその権力を振るおうとする。
さて、マスコミの権力を監視するのはいったい誰なんだ?
故に、マスコミは権力から自由でなければならないという。
ここまではいいだろう。
では、なぜマスコミは権力を監視するのだろう?
マスコミによると権力は腐敗するので、監視が必要なのだという。
ならば、第四の権力を標榜するマスコミも必ず腐敗するので監視が必要ということになる。
近頃見聞することによると、すでに腐敗しきっているともいえるが、当のマスコミはそのことについて、公に問題となったとき以外には何も言わない。
マスコミには自浄作用があるから問題ないというのであれば、もちろん権力の自浄作用にも期待できるはずだ。
つまり、マスコミによる監視は必要ないということになる。
だが、 マスコミは権力の監視のためにその権力を振るおうとする。
さて、マスコミの権力を監視するのはいったい誰なんだ?
2010年9月17日金曜日
ガンバレニッポン
前の記事を投稿してから、ちょっと統計でアクセス数とかを見てたんですよ。
そしたら、やたらとアメリカとカナダからのアクセスが多くて、日本があと少しで追い着かれそうなんですよ。
昨日なんかカナダがトップだったんですが、夜中に日本が盛り返したみたいでね。
ハヤカワさん、外国にこれといって知人はいないし、わざわざ見に来るような記事もないので、おそらくは検索エンジンやコメントスパムのBOTなんでしょうけどね。実際、更新した直後しかアクセスないし。
でも、やっぱり日本人であるところのハヤカワさんとしては、もうちょっと日本もがんばってアクセス数を増やして欲しいものですよ。もしかしたら読んでる人がいるかも的な夢も見られるし。
あ、アクセス数が増えるようなことを書けというのはナシの方向で。
そしたら、やたらとアメリカとカナダからのアクセスが多くて、日本があと少しで追い着かれそうなんですよ。
昨日なんかカナダがトップだったんですが、夜中に日本が盛り返したみたいでね。
ハヤカワさん、外国にこれといって知人はいないし、わざわざ見に来るような記事もないので、おそらくは検索エンジンやコメントスパムのBOTなんでしょうけどね。実際、更新した直後しかアクセスないし。
でも、やっぱり日本人であるところのハヤカワさんとしては、もうちょっと日本もがんばってアクセス数を増やして欲しいものですよ。もしかしたら読んでる人がいるかも的な夢も見られるし。
あ、アクセス数が増えるようなことを書けというのはナシの方向で。
今日の雑感002
知性の本質は疑うことであると思う。
あらゆるものに対して“なぜ”そうなのか、そして“正しいのか”を考えることが知性を磨くからだ。
ただし、これは諸刃の剣でもある。
すべてに疑問を持ち、思考を追及していくと、最後には自分すら疑うことになる。
自分を疑うことは決して悪いことではないが、しかしこれが過ぎると、何事かを起こそうと考えてもそれを疑ってしまい、自らの行動を制約してしまうことになるためだ。
故に、知性は世界を動かす切っ掛けにはなれても、世界を動かす力にはなりえない。
世界を動かすためには、確固たる信念が必要である。
知性は、それさえも疑ってしまうのだ。
※JAXAの続きの続きをボチボチ書いているが、そろそろ決着をつけないといけない。
こういったものはそのときの熱さを失うと急速に書けなくなってしまう。
屋内展示の後は、「ハヤブサ」の映画のことも書かなくてはいけない。
しかし、ここのところ1日中なんか書いてるな。
ホントにハヤカワさんなんだろうか?
あらゆるものに対して“なぜ”そうなのか、そして“正しいのか”を考えることが知性を磨くからだ。
ただし、これは諸刃の剣でもある。
すべてに疑問を持ち、思考を追及していくと、最後には自分すら疑うことになる。
自分を疑うことは決して悪いことではないが、しかしこれが過ぎると、何事かを起こそうと考えてもそれを疑ってしまい、自らの行動を制約してしまうことになるためだ。
故に、知性は世界を動かす切っ掛けにはなれても、世界を動かす力にはなりえない。
世界を動かすためには、確固たる信念が必要である。
知性は、それさえも疑ってしまうのだ。
※JAXAの続きの続きをボチボチ書いているが、そろそろ決着をつけないといけない。
こういったものはそのときの熱さを失うと急速に書けなくなってしまう。
屋内展示の後は、「ハヤブサ」の映画のことも書かなくてはいけない。
しかし、ここのところ1日中なんか書いてるな。
ホントにハヤカワさんなんだろうか?
2010年9月16日木曜日
夏の侵略者
昨年、引越しを敢行したハヤカワさんです。
しかし、1年以上経過したというのに未だにCDプレーヤー(据置)を仕舞い込んでおりました。
いや、よく聞く音楽はMP3プレーヤーに取り込んであったし、CDの再生だけならとりあえずPCでも間に合うもので、すっかり忘れておりました。
で、ふと思い立ってやおら荷物をひっくり返してCDプレーヤーを引っ張り出してきました。
ハヤカワさんが使用している機械は、もう大分古いものなのですが、ざっと20年ぐらい前のものですかね? その筋では妙に評価の高い機械で、フィリップス社のCD950という機種なんですが、今さらWEBで調べてみると、修理しながらずっと使ってらっしゃる方も多いようですね。
まあ、ハヤカワさんはそんなことは知らずに、石丸電気の店員のオススメを振り切って、ただよく聴くプログレが気持ちよく鳴るものを選んだだけなのですが、どうやら当りだったようです。
このCD950ですが、トレー開閉用のギアが欠けて手動開閉になったり、リモコンがぶっ壊れたものの、音は健全なままだし、フィリップスが日本のコンシューマーオーディオ市場から撤退してしまった現在では、買い換えることもできないので騙し騙し使っているんですね。
ここまでは前置きです。
さて、CDプレーヤーに電源を入れ、流石に1年以上使ってなかっただけにトラブルが出ていないかチェックするために、何かCDをかけてみようと思ったハヤカワさんです。
ところが、皆さんも御存知のように、この夏はとんでもない猛暑でした。
この猛暑がCDとどういう関係があるんでしょうね? 訳分かりませんね?
話は続きます、何の気もなく取り出したCDの盤面を見たハヤカワさん、そこになんとなく違和感があるのに気付いてしまいました。
よくよく目を凝らしてCDを眺めてみると、違和感の正体はなんと“カビ”でございました!
そうです、この夏のあまりの猛暑と湿気のダブルパンチによって、ハヤカワさんのCDがカビてしまったのです。
あわててCDを1枚1枚チェックするハヤカワさんですが、ハヤカワさんの所有するCDはその筋のマニアに比べると少ないとはいえ、300枚あまりもあります。
この中のどれだけカビているかにもよりますが、下手をすると何日か徹夜になってしまうかもしれません。
ちなみに、カビが表面だけならアルコール除菌ティッシュで拭けば取れるらしいです。
早速コンビニで買ってこないと。
※CDを拭くときは、中心から外側に向かって放射状に拭くようにしましょう。できれば専用のクリーナーでやったほうがいいようですね。アルコール除菌ティッシュも有効ですが、CDの材質によってはレーベル面のプリントが剥げたり、記録面が白くなって読み出しがエラーしたりすることがあるようです。トラブっても自己責任ですから、事前によく調べてからにした方がいいですね。
※なんとなく「フィリップス トレー」といったキーワードで結構ググられているような気がする記事ですが、本題じゃなくて申し訳ないような。ここはかねてから考えてた「トレー開閉用ギアを複製して直せるか?」を敢行してみたほうがよかろうかな?←11月12日
しかし、1年以上経過したというのに未だにCDプレーヤー(据置)を仕舞い込んでおりました。
いや、よく聞く音楽はMP3プレーヤーに取り込んであったし、CDの再生だけならとりあえずPCでも間に合うもので、すっかり忘れておりました。
で、ふと思い立ってやおら荷物をひっくり返してCDプレーヤーを引っ張り出してきました。
ハヤカワさんが使用している機械は、もう大分古いものなのですが、ざっと20年ぐらい前のものですかね? その筋では妙に評価の高い機械で、フィリップス社のCD950という機種なんですが、今さらWEBで調べてみると、修理しながらずっと使ってらっしゃる方も多いようですね。
まあ、ハヤカワさんはそんなことは知らずに、石丸電気の店員のオススメを振り切って、ただよく聴くプログレが気持ちよく鳴るものを選んだだけなのですが、どうやら当りだったようです。
このCD950ですが、トレー開閉用のギアが欠けて手動開閉になったり、リモコンがぶっ壊れたものの、音は健全なままだし、フィリップスが日本のコンシューマーオーディオ市場から撤退してしまった現在では、買い換えることもできないので騙し騙し使っているんですね。
ここまでは前置きです。
さて、CDプレーヤーに電源を入れ、流石に1年以上使ってなかっただけにトラブルが出ていないかチェックするために、何かCDをかけてみようと思ったハヤカワさんです。
ところが、皆さんも御存知のように、この夏はとんでもない猛暑でした。
この猛暑がCDとどういう関係があるんでしょうね? 訳分かりませんね?
話は続きます、何の気もなく取り出したCDの盤面を見たハヤカワさん、そこになんとなく違和感があるのに気付いてしまいました。
よくよく目を凝らしてCDを眺めてみると、違和感の正体はなんと“カビ”でございました!
そうです、この夏のあまりの猛暑と湿気のダブルパンチによって、ハヤカワさんのCDがカビてしまったのです。
あわててCDを1枚1枚チェックするハヤカワさんですが、ハヤカワさんの所有するCDはその筋のマニアに比べると少ないとはいえ、300枚あまりもあります。
この中のどれだけカビているかにもよりますが、下手をすると何日か徹夜になってしまうかもしれません。
ちなみに、カビが表面だけならアルコール除菌ティッシュで拭けば取れるらしいです。
早速コンビニで買ってこないと。
※CDを拭くときは、中心から外側に向かって放射状に拭くようにしましょう。できれば専用のクリーナーでやったほうがいいようですね。アルコール除菌ティッシュも有効ですが、CDの材質によってはレーベル面のプリントが剥げたり、記録面が白くなって読み出しがエラーしたりすることがあるようです。トラブっても自己責任ですから、事前によく調べてからにした方がいいですね。
※なんとなく「フィリップス トレー」といったキーワードで結構ググられているような気がする記事ですが、本題じゃなくて申し訳ないような。ここはかねてから考えてた「トレー開閉用ギアを複製して直せるか?」を敢行してみたほうがよかろうかな?←11月12日
唯じゃねぇ!
くそぅ。
創刊号から欠かさず購入していた『まんがタイムきらら』を、「けいおん!」最終回バブルのおかげで買い損ねてしまった。
雑誌はよほどのことがないと再販されないし、特に今回は付録があるから進行的にまず無理だろう。
ハヤカワさんは付録にも「けいおん!」にもこれといって興味はないというのに、なんてこった。
※今回のタイトルは、ハヤカワさんお気に入りの音楽家である某平沢進氏がTwitterで物議を醸したという発言をテキトーに意訳したものです。「けいおん!」の登場人物の名前の元ネタということで、あらぬ方向から注目を集めているらしいです。
ヒラサワといえば、そろそろパチモデルも動かしたいけど、出るところがないんだよなあ。今回のコピマニはやることさえ気が付かないうちに出演バンド決まってたし。
創刊号から欠かさず購入していた『まんがタイムきらら』を、「けいおん!」最終回バブルのおかげで買い損ねてしまった。
雑誌はよほどのことがないと再販されないし、特に今回は付録があるから進行的にまず無理だろう。
ハヤカワさんは付録にも「けいおん!」にもこれといって興味はないというのに、なんてこった。
※今回のタイトルは、ハヤカワさんお気に入りの音楽家である某平沢進氏がTwitterで物議を醸したという発言をテキトーに意訳したものです。「けいおん!」の登場人物の名前の元ネタということで、あらぬ方向から注目を集めているらしいです。
ヒラサワといえば、そろそろパチモデルも動かしたいけど、出るところがないんだよなあ。今回のコピマニはやることさえ気が付かないうちに出演バンド決まってたし。
2010年9月15日水曜日
今日の雑感001
今の日本で最も重要なのは雇用の創出ではなく、人材の流動性の確保。
新卒主義でありながら即戦力を求める企業は、“床上手な処女”を求める童貞の妄想レベル。
経営者の仕事は、仕事を作ること。
労働者の仕事は、その仕事で成果を作ること。
組織における階層は、仕事に対して要求される能力の階層である。
上層部と末端に同レベルの仕事を求めるのは、旧軍にも通ずるいきすぎた精兵主義。
末端の労働者の努力だけで仕事と利益が得られるのであれば、もともと経営者は必要ない。
人が動かす組織において、人を減らすのは最大のリスクである。
時代を読めずに仕事を減らし、あげく労働者を解雇する経営者は無能であると公言していると同然。
人件費や必要とされる製造コストを極限まで減らさなければ競争力を維持できない製品は、もともと価格以外に競争力を持っていない、無駄な機能の塊でしかない。
そしてそれを作る企業は無能の集まりである。
新卒主義でありながら即戦力を求める企業は、“床上手な処女”を求める童貞の妄想レベル。
経営者の仕事は、仕事を作ること。
労働者の仕事は、その仕事で成果を作ること。
組織における階層は、仕事に対して要求される能力の階層である。
上層部と末端に同レベルの仕事を求めるのは、旧軍にも通ずるいきすぎた精兵主義。
末端の労働者の努力だけで仕事と利益が得られるのであれば、もともと経営者は必要ない。
人が動かす組織において、人を減らすのは最大のリスクである。
時代を読めずに仕事を減らし、あげく労働者を解雇する経営者は無能であると公言していると同然。
人件費や必要とされる製造コストを極限まで減らさなければ競争力を維持できない製品は、もともと価格以外に競争力を持っていない、無駄な機能の塊でしかない。
そしてそれを作る企業は無能の集まりである。
2010年9月13日月曜日
無制限一本勝負
ハヤカワさんは長いこと『オンラインゲームすごい攻略やってます』(双葉社・休刊)というムックで、リネージュ2というMMORPGの記事を書いていたのですが、昨年これが休刊になるとともに仕事をほぼすべて失いました。
それでも、増刊を出す可能性があるということで、休刊後も情報集めを兼ねてプレイを続けていました。しかし、休刊から1年以上経ち、途中に増刊号のネタになりそうなアップデートが2回あったにもかかわらず、編集部からまったく音沙汰がないことから、今後増刊が出る可能性は非常に薄いと考えられます。このため、この夏にちょうど課金が切れることからリネージュ2を休止したものです。
なお、ここまでは前置きなので内容は余り関係ありませんからこの先を読むに当たって記憶している必要はありません。
そのリネージュ2はサービス開始から6周年なのですが、確か3周年からだったと思いますが、毎年この時期にファンフィクションコンテストというイベントを開催しています。
要は2次創作というものですね。
このコンテストはオープン参加、つまりプロでもアマでも関係なく参加することができるのですが、ハヤカワさんは半分運営側の関係者という立場もあって、過去のコンテストは参加を自粛していました。それほど気にすることもないのでしょうが、やはりコンテストを開催する運営会社内部に知人がいる状態で、万が一何がしかの賞を頂いてしまった場合、痛くない腹を探られるという可能性もありますので。
今年は運営会社との関係がなくなってから1年経ちますし、休止の記念としてハヤカワさんもノベル部門に1本の短編小説を投稿しました。
タイトルは『レイド部下ストーリーズ~傭兵哀歌~』というもの(リネージュ2の公式ウェブサイトhttp://lineage2.plaync.jp/event/6thAnniv/fanfiction.aspxで読むことができますので、おヒマな方はどうぞ)なのですが、もちろん何のタイトルにも輝くことはありませんでした。
それはまあ、長年ライターをやっていたとはいえ、小説なぞを書いて衆目に晒すというのは初めての経験ですから当たり前のことです。ただでさえ仕事以外の文章を書くのが大っ嫌いなんですし。
で、コンテストの投稿規程では最大で8000文字までということになっているのですが、ハヤカワさんはどうも書き始めると止らなくなるという悪いクセがあり、第一稿を書き上げたときには規定の1.5倍ほどになっていました。いや、それでも大分内容を省いたつもりだったのですが、進めば進むほどほど細部の描写が増えていってしまうため、できるだけ細かいところには目をつぶりながら、なんとか結末まで書き上げた状態でこの体たらくです。
これは困った。投稿規定に合っていなければ、どんなによい作品でも一次選考でハネられてしまいます。ハヤカワさんはあわてて行を削り、最後には1文字単位でギリギリまで減量してなんとか締め切りに間に合わせることができました。
しかし、なんとか間に合ったとはいうものの、物語の大筋は理解できるものの、その背景や登場人物の性格といった本筋を補強する部分をバッサリ削ってしまったため、悔いの残る作品になってしまったことは否定できません。
細かく見ていけばいろいろな問題はあるのですが、特に大きいのはキャラクターのセリフ回しと、若いオークがパルチザンのアジトに到着してからの件ですね。
前者は、キャラクターの性格を表すための重要なもので、例えば意味のないことを延々としゃべるキャラクターが、二言三言しかしゃべらなかったら、そのキャラクターの意味がありません。
後者は、不遇な暮らしから一転、成功への階段を登ろうとする状況を描くことで、結末の残酷さを寄り強調するためのエピソードでした。これがないことによって、結末の悲惨さがかなり弱まってしまいましたね。
とはいえ、一部にはこの不出来な物語を読んで気に入ってくれた人がいたのは嬉しい限りです。
またもダラダラ長くなってしまいましたが、ここいらで結論に入りましょう。
こうしてブログを書くことで文章脳のウォーミングアップができましたので、そろそろ『レイド部下ストーリーズ~傭兵哀歌~』のアンリミテッド版を執筆しようと思います。
根が怠惰なハヤカワさんのことですから、いつになるかわかりませんが、こうしてブログで公表しておけば放りっぱなしにはしないでしょう。
そんな決意表明。
※こっからは愚痴。
ファンフィクションの感想を見たくていろいろなブログを回ってみたのですが、最近は突然大音量で音楽を鳴らすところが多くていけませんね。普段ヘッドホンで音楽を聴きながらPCを弄っているので、かなり心臓と耳に悪いです。そして、大概そういうブログは重くてなかなか開かなくてイライラする。できれば聴きたい人だけ聴けるようにしておいて欲しいです。
聴きたくなければ消せばいいという意見もあるでしょうが、そういうブログに限って複数の音源が置いてあって、どれが鳴っているのか一見して分からなかったり、そもそも消音のためのボタンがどこにあるか分かりにくかったりします。
ハヤカワさんは日曜音楽家でもあるので、耳にダメージを与える大音響の被害はちょっと切実だったりします。
それでも、増刊を出す可能性があるということで、休刊後も情報集めを兼ねてプレイを続けていました。しかし、休刊から1年以上経ち、途中に増刊号のネタになりそうなアップデートが2回あったにもかかわらず、編集部からまったく音沙汰がないことから、今後増刊が出る可能性は非常に薄いと考えられます。このため、この夏にちょうど課金が切れることからリネージュ2を休止したものです。
なお、ここまでは前置きなので内容は余り関係ありませんからこの先を読むに当たって記憶している必要はありません。
そのリネージュ2はサービス開始から6周年なのですが、確か3周年からだったと思いますが、毎年この時期にファンフィクションコンテストというイベントを開催しています。
要は2次創作というものですね。
このコンテストはオープン参加、つまりプロでもアマでも関係なく参加することができるのですが、ハヤカワさんは半分運営側の関係者という立場もあって、過去のコンテストは参加を自粛していました。それほど気にすることもないのでしょうが、やはりコンテストを開催する運営会社内部に知人がいる状態で、万が一何がしかの賞を頂いてしまった場合、痛くない腹を探られるという可能性もありますので。
今年は運営会社との関係がなくなってから1年経ちますし、休止の記念としてハヤカワさんもノベル部門に1本の短編小説を投稿しました。
タイトルは『レイド部下ストーリーズ~傭兵哀歌~』というもの(リネージュ2の公式ウェブサイトhttp://lineage2.plaync.jp/event/6thAnniv/fanfiction.aspxで読むことができますので、おヒマな方はどうぞ)なのですが、もちろん何のタイトルにも輝くことはありませんでした。
それはまあ、長年ライターをやっていたとはいえ、小説なぞを書いて衆目に晒すというのは初めての経験ですから当たり前のことです。ただでさえ仕事以外の文章を書くのが大っ嫌いなんですし。
で、コンテストの投稿規程では最大で8000文字までということになっているのですが、ハヤカワさんはどうも書き始めると止らなくなるという悪いクセがあり、第一稿を書き上げたときには規定の1.5倍ほどになっていました。いや、それでも大分内容を省いたつもりだったのですが、進めば進むほどほど細部の描写が増えていってしまうため、できるだけ細かいところには目をつぶりながら、なんとか結末まで書き上げた状態でこの体たらくです。
これは困った。投稿規定に合っていなければ、どんなによい作品でも一次選考でハネられてしまいます。ハヤカワさんはあわてて行を削り、最後には1文字単位でギリギリまで減量してなんとか締め切りに間に合わせることができました。
しかし、なんとか間に合ったとはいうものの、物語の大筋は理解できるものの、その背景や登場人物の性格といった本筋を補強する部分をバッサリ削ってしまったため、悔いの残る作品になってしまったことは否定できません。
細かく見ていけばいろいろな問題はあるのですが、特に大きいのはキャラクターのセリフ回しと、若いオークがパルチザンのアジトに到着してからの件ですね。
前者は、キャラクターの性格を表すための重要なもので、例えば意味のないことを延々としゃべるキャラクターが、二言三言しかしゃべらなかったら、そのキャラクターの意味がありません。
後者は、不遇な暮らしから一転、成功への階段を登ろうとする状況を描くことで、結末の残酷さを寄り強調するためのエピソードでした。これがないことによって、結末の悲惨さがかなり弱まってしまいましたね。
とはいえ、一部にはこの不出来な物語を読んで気に入ってくれた人がいたのは嬉しい限りです。
またもダラダラ長くなってしまいましたが、ここいらで結論に入りましょう。
こうしてブログを書くことで文章脳のウォーミングアップができましたので、そろそろ『レイド部下ストーリーズ~傭兵哀歌~』のアンリミテッド版を執筆しようと思います。
根が怠惰なハヤカワさんのことですから、いつになるかわかりませんが、こうしてブログで公表しておけば放りっぱなしにはしないでしょう。
そんな決意表明。
※こっからは愚痴。
ファンフィクションの感想を見たくていろいろなブログを回ってみたのですが、最近は突然大音量で音楽を鳴らすところが多くていけませんね。普段ヘッドホンで音楽を聴きながらPCを弄っているので、かなり心臓と耳に悪いです。そして、大概そういうブログは重くてなかなか開かなくてイライラする。できれば聴きたい人だけ聴けるようにしておいて欲しいです。
聴きたくなければ消せばいいという意見もあるでしょうが、そういうブログに限って複数の音源が置いてあって、どれが鳴っているのか一見して分からなかったり、そもそも消音のためのボタンがどこにあるか分かりにくかったりします。
ハヤカワさんは日曜音楽家でもあるので、耳にダメージを与える大音響の被害はちょっと切実だったりします。
JAXAの続き
続き
首尾よくチケットを手に入れたところで、いよいよ主目的のJAXA相模原キャンパスに突入。守衛所で記名して見学者用のIDカードをもらい、案内に従って施設に向かう。
が、ここで丁度食堂が開く時間になった。ここの食堂は見学者も利用できるため、職員で混む前に腹ごしらえをしておくことにする。
食堂のメニューは至極一般的な定食やカレー、ラーメンといったもの。当たり前の話だが、JAXAといえど宇宙食が日常的に食べられるわけではない。
ハヤカワさんが選んだのは日替わりAランチの横須賀海軍コロッケ定食。450円。安い。これだから官公庁の食堂は好きだ。
食事を摂りながら、これから回る算段をし、職員で混み始めたのを見計らって席を立つ。
食堂のすぐ隣にはJAXA生協の売店があり、ここでは日用品の他に宇宙食などのお土産類も売っているのだが、最初にここへ入ってしまうと見学そっちのけになってしまうため、帰りに立ち寄ることにする。
ちなみに、友人はアメリカ旅行のお土産として宇宙食をもらったことがあるそうだが、あんまり美味しいものではなかったらしい。だが、聞くところによると日本の宇宙食はかなり美味しく、飛行士の間でも人気が高かったという。外に貼り出してあるお土産品のリストによると、たこ焼きや大学いももあるらしい。友人は日清が開発した宇宙用ラーメンを欲しがっていたが、これはお土産としては売っていない特別なものなのだそうだ。じゃ、ダメじゃん。
後ろ髪引かれる思いで生協を後にして、まずは屋外展示のM-3IIS(実物大模型)とM-V(実物)を見にいく。
まずはロケットモーターを覗いてみるが、これは残念ながら模型だった。かなり簡単な作りで、なんとなくノズルっぽい形をしているだけで、穴も開いていない。以前、筑波でロケットモーターの展示を見たが、あんな精密機械を屋外に出しっぱなしにしておくこともできないのだろう。
それでもロケットの実物というのは滅多に見られるものではないし、テレビや写真でしか知らない物の大きさを実感できるというのは悪くない。そういえばその昔、船の科学館で宇宙博というイベントで、米国のサターン1Bロケットが展示してあるのを見たが、あれは実物だったのだろうか? なにせ子供の頃のことだから記憶も定かではないし、その当時の知識では分かりようもない。アポロ司令船は透明樹脂製のカバーで保護されていたから本物だったはずだが。
普通ならここでひとつ写真でも撮ろうかというところだが、実はハヤカワさん、昨年引っ越したときに古いカメラを棄てて以来、特に必要もなかったのでカメラを買わなかった。
ちょっとメモ代わりに撮るなら携帯で十分だし、今回もなんとかなるかと思っていたのだが、敷地の都合で広角レンズがなければ全体像を撮ることができないため、携帯での撮影は諦めた。
もっとも、通路の脇に置かれているため、昼時で通行する職員が多く、カメラがあっても取れなかった可能性が高い。職員の邪魔をしてまで写真を撮る趣味はないのだ。
まあ、このブログも自分用の覚書でしかないから、写真を貼らなくても問題はない。要は自分がきちんと眼で見て確かめていればいいのだ。
屋外展示の見学が終わり、屋内の展示室に向かう。
だんだん書くのが面倒になってきたがさらに続く。
※それはそれとして、ここの日本語入力がおかしくなる件だが、なんとなく法則性が分かってきた。とはいっても仕様上の問題っぽいので対策のとりようもないのだが。
首尾よくチケットを手に入れたところで、いよいよ主目的のJAXA相模原キャンパスに突入。守衛所で記名して見学者用のIDカードをもらい、案内に従って施設に向かう。
が、ここで丁度食堂が開く時間になった。ここの食堂は見学者も利用できるため、職員で混む前に腹ごしらえをしておくことにする。
食堂のメニューは至極一般的な定食やカレー、ラーメンといったもの。当たり前の話だが、JAXAといえど宇宙食が日常的に食べられるわけではない。
ハヤカワさんが選んだのは日替わりAランチの横須賀海軍コロッケ定食。450円。安い。これだから官公庁の食堂は好きだ。
食事を摂りながら、これから回る算段をし、職員で混み始めたのを見計らって席を立つ。
食堂のすぐ隣にはJAXA生協の売店があり、ここでは日用品の他に宇宙食などのお土産類も売っているのだが、最初にここへ入ってしまうと見学そっちのけになってしまうため、帰りに立ち寄ることにする。
ちなみに、友人はアメリカ旅行のお土産として宇宙食をもらったことがあるそうだが、あんまり美味しいものではなかったらしい。だが、聞くところによると日本の宇宙食はかなり美味しく、飛行士の間でも人気が高かったという。外に貼り出してあるお土産品のリストによると、たこ焼きや大学いももあるらしい。友人は日清が開発した宇宙用ラーメンを欲しがっていたが、これはお土産としては売っていない特別なものなのだそうだ。じゃ、ダメじゃん。
後ろ髪引かれる思いで生協を後にして、まずは屋外展示のM-3IIS(実物大模型)とM-V(実物)を見にいく。
まずはロケットモーターを覗いてみるが、これは残念ながら模型だった。かなり簡単な作りで、なんとなくノズルっぽい形をしているだけで、穴も開いていない。以前、筑波でロケットモーターの展示を見たが、あんな精密機械を屋外に出しっぱなしにしておくこともできないのだろう。
それでもロケットの実物というのは滅多に見られるものではないし、テレビや写真でしか知らない物の大きさを実感できるというのは悪くない。そういえばその昔、船の科学館で宇宙博というイベントで、米国のサターン1Bロケットが展示してあるのを見たが、あれは実物だったのだろうか? なにせ子供の頃のことだから記憶も定かではないし、その当時の知識では分かりようもない。アポロ司令船は透明樹脂製のカバーで保護されていたから本物だったはずだが。
普通ならここでひとつ写真でも撮ろうかというところだが、実はハヤカワさん、昨年引っ越したときに古いカメラを棄てて以来、特に必要もなかったのでカメラを買わなかった。
ちょっとメモ代わりに撮るなら携帯で十分だし、今回もなんとかなるかと思っていたのだが、敷地の都合で広角レンズがなければ全体像を撮ることができないため、携帯での撮影は諦めた。
もっとも、通路の脇に置かれているため、昼時で通行する職員が多く、カメラがあっても取れなかった可能性が高い。職員の邪魔をしてまで写真を撮る趣味はないのだ。
まあ、このブログも自分用の覚書でしかないから、写真を貼らなくても問題はない。要は自分がきちんと眼で見て確かめていればいいのだ。
屋外展示の見学が終わり、屋内の展示室に向かう。
だんだん書くのが面倒になってきたがさらに続く。
※それはそれとして、ここの日本語入力がおかしくなる件だが、なんとなく法則性が分かってきた。とはいっても仕様上の問題っぽいので対策のとりようもないのだが。
2010年9月12日日曜日
コップの中のアラ見てたのネェ~
よいリーダーとは、率いている組織・団体に最大の利益をもたらすことができる人物である。
ただし、可能な限り最小のリスクで。
菅は理想主義に過ぎて利益を軽視する傾向が強い。
小沢は必要以上にリスクを作り出す。
まあ、どっちもどっちだろう。
その両方を兼ね備えた上に決断能力がない鳩山よりはマシだろうけど。
こんな民主党にボコボコにされて立ち上がれない自民党はもうダメだなあ。
正直、衆愚政治もそろそろ限界に来てることだから、そろそろ末期のローマみたいに帝政になった方がいいんじゃないだろうか? ただし世襲は禁止で。
ただし、可能な限り最小のリスクで。
菅は理想主義に過ぎて利益を軽視する傾向が強い。
小沢は必要以上にリスクを作り出す。
まあ、どっちもどっちだろう。
その両方を兼ね備えた上に決断能力がない鳩山よりはマシだろうけど。
こんな民主党にボコボコにされて立ち上がれない自民党はもうダメだなあ。
正直、衆愚政治もそろそろ限界に来てることだから、そろそろ末期のローマみたいに帝政になった方がいいんじゃないだろうか? ただし世襲は禁止で。
2010年9月11日土曜日
自然エネルギーってダイジョブ?
テレビとかでエコ特集が頻繁に組まれる今日この頃。
そういった場面で必ずといっていいほど取り上げられるのが“自然エネルギー”というやつだ。
具体的にいうと、風力発電や太陽光発電というもの。
これらを現在使用されている火力発電や原子力発電の代替にしようということで、クリーンでエコな夢のエネルギーといった感じの扱いであったりする。
国もなんだかえらく後押しをして普及させようとしているのだが、ハヤカワさんはこの自然エネルギーの利用にはちょっと疑問を持っている。
実は、10年ほど前のことだが、ハヤカワさんは平沢進という音楽家の主催するイベントに参加して、自前の自然エネルギー発電機を開発してみたりしたことがあった。
それはそれで非常に楽しい経験で、ハヤカワさんはそのイベントの後も密かにいろんな自然エネルギー発電について勉強をしていた。
だが、今はそれをしていない。
なぜかというと、 自然エネルギーを無闇に広げてしまうと、却って地球環境に大きな悪影響を及ぼすのではないかと考えてしまったからなのだ。
例えば風力発電だが、これは風によって風車を回して、その回転力で発電機を回すというものだ。
最近ではそれ用の風車がいろいろなところに建っていたりするので、小さなものなら日常的に目にするようになってきた。
で、風車によって風のエネルギーを利用するということは、風車を通過した以後の風は以前よりそのエネルギーを失っていることになる。つまりは風が弱くなるということだ。
するとどうなるだろう。弱まった風は空気を遠方まで運ぶ力を失い、空気とともに運ばれていた様々な物が届くべき場所に届かなくなる可能性がある。それにはもちろん熱も含まれる。
風力発電をあまり大規模に展開してしまった場合、最悪の場合大気の循環を阻害することにもなりかねないのではないだろうか。
また、太陽光発電だが、これは太陽電池の製造にかかる環境負荷も問題であるが、商用として大規模に展開した場合、個人の住宅の屋根などとは比べ物にならない広い場所に太陽電池パネルを設置しなければならない。
すると、それが地上であれ海上であれ、パネルの設置まではそこに届いていた太陽の熱が途中でさえぎられてしまうことになる。地上であれば地温の上昇を妨げ、海上であれば海水の対流を阻害し、最後には海流を変えてしまうことにもなりかねないのではないだろうか?
だがしかし、ハヤカワさんは「だから原子力や火力がいい」というつもりはない。これらのエネルギーが持つデメリットはわざわざ解説する必要がないほどにいろいろなメディアに取り上げられている。
でも、自然エネルギーもすべてを解決する夢のエネルギーではない。
要するになにが言いたいかというと、効率を考えるならばエネルギー源の種類は少なくして集中的に投資した方がいいということはわかる。だが、リスクの軽減を考えるなら、少数のエネルギー源に依存しないで、いろいろなところからちょっとずつもらってくる方が安全なんじゃないか?
省エネしつつ、リスクを分散していかないと、あとでとんでもないしっぺ返しをくらうことになるのだろう。
そういった場面で必ずといっていいほど取り上げられるのが“自然エネルギー”というやつだ。
具体的にいうと、風力発電や太陽光発電というもの。
これらを現在使用されている火力発電や原子力発電の代替にしようということで、クリーンでエコな夢のエネルギーといった感じの扱いであったりする。
国もなんだかえらく後押しをして普及させようとしているのだが、ハヤカワさんはこの自然エネルギーの利用にはちょっと疑問を持っている。
実は、10年ほど前のことだが、ハヤカワさんは平沢進という音楽家の主催するイベントに参加して、自前の自然エネルギー発電機を開発してみたりしたことがあった。
それはそれで非常に楽しい経験で、ハヤカワさんはそのイベントの後も密かにいろんな自然エネルギー発電について勉強をしていた。
だが、今はそれをしていない。
なぜかというと、 自然エネルギーを無闇に広げてしまうと、却って地球環境に大きな悪影響を及ぼすのではないかと考えてしまったからなのだ。
例えば風力発電だが、これは風によって風車を回して、その回転力で発電機を回すというものだ。
最近ではそれ用の風車がいろいろなところに建っていたりするので、小さなものなら日常的に目にするようになってきた。
で、風車によって風のエネルギーを利用するということは、風車を通過した以後の風は以前よりそのエネルギーを失っていることになる。つまりは風が弱くなるということだ。
するとどうなるだろう。弱まった風は空気を遠方まで運ぶ力を失い、空気とともに運ばれていた様々な物が届くべき場所に届かなくなる可能性がある。それにはもちろん熱も含まれる。
風力発電をあまり大規模に展開してしまった場合、最悪の場合大気の循環を阻害することにもなりかねないのではないだろうか。
また、太陽光発電だが、これは太陽電池の製造にかかる環境負荷も問題であるが、商用として大規模に展開した場合、個人の住宅の屋根などとは比べ物にならない広い場所に太陽電池パネルを設置しなければならない。
すると、それが地上であれ海上であれ、パネルの設置まではそこに届いていた太陽の熱が途中でさえぎられてしまうことになる。地上であれば地温の上昇を妨げ、海上であれば海水の対流を阻害し、最後には海流を変えてしまうことにもなりかねないのではないだろうか?
だがしかし、ハヤカワさんは「だから原子力や火力がいい」というつもりはない。これらのエネルギーが持つデメリットはわざわざ解説する必要がないほどにいろいろなメディアに取り上げられている。
でも、自然エネルギーもすべてを解決する夢のエネルギーではない。
要するになにが言いたいかというと、効率を考えるならばエネルギー源の種類は少なくして集中的に投資した方がいいということはわかる。だが、リスクの軽減を考えるなら、少数のエネルギー源に依存しないで、いろいろなところからちょっとずつもらってくる方が安全なんじゃないか?
省エネしつつ、リスクを分散していかないと、あとでとんでもないしっぺ返しをくらうことになるのだろう。
大人の遠足~JAXA相模原キャンパス~
9月10日(金)快晴
会社勤めをしている友人が遅い夏休みをとるということなので、このところ低下気味の血中宇宙濃度を上げるために、JAXA相模原キャンパスまで遊びにいってきた。
10時30分相模大野着。11時に集合の予定なのだが、先に銀行に行きたいので少し早めの到着。用事といっても記帳するだけ。しかし、現在の居留地には支店もATMもないので遠出するついでにやっておかなければならないのだ。
南口にATMがあるらしいのでまずはソチラに移動。ロータリーの向こう側だ。移動がメンドイが仕方がない。記帳を済ませて中央口に戻ろうとしたところ、友人から到着したとのメールが入る。改札前で合流し、北口のバス乗り場へ。運行予定表によると、20分ほど時間がある模様。待つにも茶をするにも中途ハンパなので駅ビルで涼むためテナントを見てみるが、面白そうな店は上層階の方にあるため、移動だけで時間が過ぎてしまいそうだ。かといって婦人服を見てもしょうがないということで、バス停に戻る。まあおかげで適当に時間は潰れてくれた。いい具合に目的地に向かうバスの停留所は日陰になる場所だったので並んでいても辛くはない。すぐにバス来たし。
相模大野北口からJAXAの最寄りまでは20分ほどだった。料金は250円。
バスを降りると道端に市立博物館の方向を示す看板を見つけた。JAXAはその向かいにあるので、これに従っていけばいいはず。この相模原市立博物館はプラネタリウムが設置されていて、今の時期はここでハヤブサの全天周映画をやっている。今回はこれを見るのも目的のひとつになっている。
5分ほど歩くとうっそうとした木立が見えてきた。どうやらここがJAXAらしい。しかし、まず先に市立博物館に行かねばならない。全天周映画は入場者数に制限があるので、先にチケットを確保しておくためだ。夏休み過ぎの平日だからそう混むとも思えないのだが、1日1回しか上映がないので念には念を入れておきたい。誰しも考えることは同じようで、博物館のチケット販売機には、少数ではあるが、我々と同じようにチケットを買う人がいた。とはいえさすがに余裕でチケットを入手できた。500円。それと、ハヤブサの後に金星に向かう探査衛星あかつきの番組があるそうなので、こちらもゲット。同じく500円。
以下続く。
しかし、ここのブログは文字入力の動作がヘンだ。多言語対応の弊害だろうか? まあ、別のエディタで作成したものを貼り付ける分には不便はないが。
会社勤めをしている友人が遅い夏休みをとるということなので、このところ低下気味の血中宇宙濃度を上げるために、JAXA相模原キャンパスまで遊びにいってきた。
10時30分相模大野着。11時に集合の予定なのだが、先に銀行に行きたいので少し早めの到着。用事といっても記帳するだけ。しかし、現在の居留地には支店もATMもないので遠出するついでにやっておかなければならないのだ。
南口にATMがあるらしいのでまずはソチラに移動。ロータリーの向こう側だ。移動がメンドイが仕方がない。記帳を済ませて中央口に戻ろうとしたところ、友人から到着したとのメールが入る。改札前で合流し、北口のバス乗り場へ。運行予定表によると、20分ほど時間がある模様。待つにも茶をするにも中途ハンパなので駅ビルで涼むためテナントを見てみるが、面白そうな店は上層階の方にあるため、移動だけで時間が過ぎてしまいそうだ。かといって婦人服を見てもしょうがないということで、バス停に戻る。まあおかげで適当に時間は潰れてくれた。いい具合に目的地に向かうバスの停留所は日陰になる場所だったので並んでいても辛くはない。すぐにバス来たし。
相模大野北口からJAXAの最寄りまでは20分ほどだった。料金は250円。
バスを降りると道端に市立博物館の方向を示す看板を見つけた。JAXAはその向かいにあるので、これに従っていけばいいはず。この相模原市立博物館はプラネタリウムが設置されていて、今の時期はここでハヤブサの全天周映画をやっている。今回はこれを見るのも目的のひとつになっている。
5分ほど歩くとうっそうとした木立が見えてきた。どうやらここがJAXAらしい。しかし、まず先に市立博物館に行かねばならない。全天周映画は入場者数に制限があるので、先にチケットを確保しておくためだ。夏休み過ぎの平日だからそう混むとも思えないのだが、1日1回しか上映がないので念には念を入れておきたい。誰しも考えることは同じようで、博物館のチケット販売機には、少数ではあるが、我々と同じようにチケットを買う人がいた。とはいえさすがに余裕でチケットを入手できた。500円。それと、ハヤブサの後に金星に向かう探査衛星あかつきの番組があるそうなので、こちらもゲット。同じく500円。
以下続く。
しかし、ここのブログは文字入力の動作がヘンだ。多言語対応の弊害だろうか? まあ、別のエディタで作成したものを貼り付ける分には不便はないが。
2010年9月9日木曜日
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