2010年9月29日水曜日

JAXAの最後は番外編

・激闘相模原市立博物館

眠気的な意味で。

さて、JAXAを後にして相模原市立博物館に移動したハヤカワさん一行ですが、その前にちと報告を。

前の記事にも追記したのですが、JAXAの展示で衛星の模型の支えにリポDが使用されていた件についての情報を得ました。
全天周映画について書くためにWikipediaでハヤブサの行程を調べていたのですが、ハヤブサがイトカワに着陸するときに管制室の様子をインターネットで中継しており、その際管制室に次々とリポDの瓶が積みあがったのが評判となり、後に大正製薬からJAXA担当者にリポDが2カートン贈られたのだそうです。
あのリポDはその辺りの事情を知っている人には分かるシャレなのでしょう。

以上、報告終わり。レポ開始。

※おっと、一応注意書き。小惑星探査機「はやぶさ」は、正式な表記はひらがななんですが、本文中では地の文章と混じってわかりにくくなってしまうため故意にカタカナでハヤブサとしています。



全天周映画上映開始10分ほど前に相模原市立博物館に到着。ロビーにはイトカワの模型が展示されていたが、地表に豆粒のようなハヤブサが貼り付いているそうなので、しばし探してみる。まあこういうものは来館者が見やすい位置にあるのが定石なので、正面から見たらすぐに見つかった。先ほどの実物大模型が意外に大きかった印象があるだけに、イトカワとの対比ではあまりにも小さいのに驚かされる。

模型の展示ケースそのすぐ横には、上映待ちの列がすでに20~30人ほどできている。やはり平日だけに少ないというか、平日なのによくこれだけというべきか。

最後尾に付くと、入場を開始するまでに我々の後ろに10人ほど増えたようだ。JAXAで見かけた一般の見学者もいる。やはり考えることは同じだ。

並んでから5分も待たずに入場開始。プラネタリウムの内部は思ったより広い。人が少ないこともあるのだろうが、以前、今日も同行している友人と観に行ったサンシャイン60のプラネタリウムよりも空間に余裕がある感じがする。

客席は雛壇状になっているが、どこが一番見やすいかはなにせ初めてのことだけにわからない。他の入場者は上段に陣取っている者が多い。わき目も振らずそこへ向かったところからすると、上段の方が見やすいのだろうか。取り敢えず、よく分かっていない我々は中段ぐらいのところに席を取った。

シートは背もたれが大きく倒れるようになっているので、まずはそれを最大まで倒して視界が頂点に向くように寝転がる。だがしかし、後述するがこれが友人に悲劇をもたらすことになる。

照明が落とされ、諸注意のアナウンスが済んだところでいよいよ上映開始。

映画は、ハヤブサが打ち上げられるところを宇宙から見た構図から始まる。画面には地球が大写しになっていて、打ち上げの軌跡は割と端っこのほうだったため、探すのに苦労した。

Mロケットから順調に切り離され、ハヤブサは勇躍宇宙へと漕ぎ出す。

しかし、広大な宇宙のCGが映し出されると、その美しさに感動するより前に「無限に広がる大宇宙……」やら「航星日誌、宇宙暦××××年……」などといったセリフが脳内で再生されてしまうハヤカワさんは立派なオタクである。最近はあまり訓練されているとはいいがたいが。

CGはとにかく綺麗で、ハヤブサの機体がスクリーン一面を埋め尽くすようなドアップになってもまったくアラが出ない。
なお、バックの星が煌かないのは手抜きではなく、宇宙空間には光を散乱させる大気のようなものがほとんどないため、もともと煌かないのだ。意外と知らない人が多いようなので一応書いておく。

本編に戻ろう。

映画の内容はハヤブサの全行程の中で、地球スイングバイとイトカワでのサンプル採取が山場だ。山場以外はほとんどハヤブサが宇宙を飛んでいるのを様々な角度で映して、それに叙情的なナレーションが付いているだけ。まあ、山場ばっかりだと疲れちゃうからな。だが、後述するがそれが友人に悲劇をもたらした。

ちなみに、この叙情的なナレーションの主は俳優の篠田三郎氏。ハヤカワさんのようなお年寄りにはウルトラマンタロウの東光太郎と言った方が通りが早い。もっとも、上映中はまったくそんなことには気付かなかったのだが。落ち着いた、映像を邪魔しないナレーションという点では非常によいと思われたのだが、後述するがそれが友人に(ry

※ここでちょっと注意しときますと、これ以降のハヤカワさんの解説では、映画で語られたものに、家に帰ってから調べたことが付け加えられています。上手いこと書き分けられなかったため、ちょっとごっちゃになってますので、まあアレですよ「いんだよ、細けぇこたあ!」ということをお含み置きください。

さて、第一の山場地球スイングバイでは、飛行ルートを四角いフレームの連続として描き、その中をハヤブサが通過していくことで、針の穴を通すコントロールを表現していた。分かりやすくていい演出だと思うが、その難しさや外れたらどうなるかということが省かれているのは残念だ。

それ以外にも、時間の制約も大きいのだろうが、ハヤブサのみに焦点が当てられていて、それを支えた地球の管制室でのさまざまな苦心や努力が、ナレーションにおいても、まったく表現されていないのは個人的に残念だ。なんだかハヤブサだけが頑張ったような印象になってしまう。この映画がWikipediaなどで“叙情的”と評されているのはこの辺りが原因だろう。

まあ、あんまりその辺を詳しくやりすぎても、帰還の報道で初めて興味を持ったような一般の観客には分かりにくいだろうし、その筋のマニアはにとっては知ってることばかりでつまらないものになってしまうのかもしれない。JAXAはことあるごとにネットで中継していたから、新しい事実なんてものはそうありはしないだろうし。

さて、本編はいよいよ最大の山場であるイトカワでの活動場面になった。着陸前の事前探査でイトカワの質量が想定よりも小さかったことで、その構造を類推した画像が出たり、ちょっと科学映画らしくなってきた。

事前探査が終わり、着陸地点が決定されて、いよいよイトカワでの試料採取である。

ここに来て初めてハヤブサがすでに満身創痍であることが語られた。

まず、姿勢を制御するためのリアクションホイールという装置が3基中2基故障していること。
後に調べたところ、これらは同時に故障したのではなく、イトカワへの接近前には故障していたのは1基だけだったようだ。3軸制御ではリアクションホイールが最低2基あれば姿勢制御は可能なので、そこまでは想定内の運用だということ。ところが、イトカワとのランデブーを行ったところ、そこでさらに1基が故障したらしい。

これはかなりマズイ。代わりに化学ロケットを併用して姿勢制御をすることになったが、これはリアクションホイールよりも大雑把にしか制御できない。地球からの制御には片道16分もの通信時間がかかるのだから、状況に合わせた微妙な調節など不可能だろう。さらに、これは帰還用の燃料を一部消費することになる。燃料にはトラブルに備えて多少の余裕が持たせてあったとはいえ、少しでも使いすぎると帰還不能になる可能性がある非常に危険な賭けでもある。

だが、ハヤブサはそれを敢行した。

このあたりでちょっと涙腺が緩んできたが、ハヤカワさんは男の子なので人前では泣かないように必死でこらえるのだ。涙で画面が曇って細かいところを見逃すともったいないし。

1回目の着陸シーケンスはリハーサルであるが、異常があり失敗。映画ではこの部分は省かれていたような気がする。

再度リハーサルを行い、この時に、ついさっきJAXAで見てきたばかりのターゲットマーカーが投下された。そういえば、公募した名前が刻まれた記念プレートも置いてきたはずだが、そのタイミングについては触れられてなかったような気がする。

3回目のリハーサルでミネルヴァが投下されたということなのだが、これも映画では省かれていたような気がする。

いよいよ本番、しかし、降下中にハヤブサ自身が異常を感知してシーケンスを中断するが、その後再び降下し着陸に成功する。しかし、本来なら着陸して試料を採取し、すぐに上昇するはずが、30分あまりもイトカワ上で停止していたらしい。これは地上の管制室では通信状態の都合で把握できていなくて、通信の途絶が長時間にわたったため、緊急離陸させたそうだ。この辺りの細かい事情も映画では省かれていたような。

まあ、調べればすぐ分かることだからいいっちゃいいのだが、一般の人は調べないだろうから、あんまり省きすぎるとハヤブサだけが独りで頑張ったような印象になってしまうなあ。大きな仕事は多くの人の関わりや支えがあって初めて成し遂げられるってことをきちんと描いた方が教育的にもいいような気がするのだが。

2回目の降下に挑み、これには成功。弾丸を発射して試料を採取する場面が描かれる。実際には弾丸が正常に発射されたかどうかよくわかっていないらしいが。なお、このシーンはかなり長い時間を使っているが、ほんの1秒程度のことだそうだ。

採取が終了して、イトカワから最後の離脱。ここで拍手をしたくなったが、他にも観客がいるのでガマンする。ハヤカワさん大人だから。決して涙で何も見えなくなっていたわけではない。こう書くといかにもハヤカワさんが号泣していたような印象を与えるが、ちょっとウルッとはしたものの、本当に泣いてませんから。ええ、泣いてませんとも! 男が泣いていいのは生まれたときと親が死んだときとサイフを落としたときだけなんだいっ!

これで無事帰還かと思いきや、帰路もまた山あり谷あり。こうした話はハヤカワさん『現代萌衛星図鑑』の原型になった同人誌ですでに知っているのだが、映画的にはちょっとあっさりした印象。エンジンは故障するわバッテリーは上がるわ燃料は漏れるわ姿勢制御ができなくて太陽電池が発電しなくなるわ、終いには通信が途絶してあわや宇宙の孤児となるところまで。まあこうした内部のトラブルは画面的には描きにくいし、外見的には軸がブレていたりイオンエンジンの噴流が減ってる程度しか変化ないし、制作時には状況が分からなくて映像化しようがないことも多かったのかもしれない。

※映画の完成はハヤブサ帰還の1年以上前になる2009年3月のこと。それから逆算すると企画は通信が回復して帰還の望みが出た2007年頃か。調べりゃ分かるのかもしれないが重要なことでもないので調べない。

なんとか通信が回復して、地球へ帰還する目処が立ったところでハヤブサ本体の出番は終了。

最後の場面では大気圏に突入してウーメラ砂漠(?)に落下するカプセルが描かれるが、これは当初の計画通りなので、おそらく想像で作られたものではあろうが、相当緻密な現地取材をしたのか、かなり実際に近いものになっていると思う。ハヤブサの帰還を受けて画像を修正したという話も聞かないし、そこまでの時間や費用はなかっただろうし。

映画の概要はこんなところか。途中で小説を書いたりしてたもので、見てきてから20日ぐらい経ってしまったため、記憶にブレがあるかもしれない。っていうか確実にあるので、気になる人は実際に映画を見て確認したほうがいい。映画のウェブサイトに上映館の情報がある。“はやぶさ”“映画”でググれ!

なお、最前から書いてはいるが、ハヤブサにトラブルが起きたのはイトカワに到着してからではなくて、出発当初から4基あるイオンエンジンのうち、1基は出力が不安定なために動作していないし、帰路ではそれがついに3基停止し、動作するのは1基にまで減少している(生きているエンジンが2基になり、1基を予備として温存して1基のみで運用していた時期もあるそうだ。それも最後には全基故障して、当初から停止していたため使用していなかったエンジンの中和器を利用してなんとか復活させたりしている)。これは映像では表現されているものの、説明が一切ないため、知らなければなんでエンジンからガスの噴流が出ていないのかまったく分からない。例によってミネルヴァのことはガン無視である。せめてナレーションだけでも入れて欲しかった。

また、全天周というだけあって、首をあちこちに廻らさないと見逃してしまうものが多くていけない。これから見るという人はかなり首にくることは覚悟したほうがいい。入場者の多くが上段の席に行ったが、そっちはそれほどキツくはないのかも知れないので、これから行くという人は気を付けておこう。

40分ちょいで上映終了、照明が点けられると、隣の友人が開口一番「寝ちゃった」とか言う。ハヤカワさんはまったく気付かなかったが、シートの寝心地がよかったのか、ナレーションの落ち着き具合が絶妙だったのか、かなり早い段階で落ちていたようだ。なんともったいないことを!

※友人にこの記事を読んで記憶の摺り合わせをしてもらったところ、彼が落ちたのは地球スイングバイに入る前の解説の辺りで、目を覚ましたのは最初のタッチダウンの途中ぐらいらしいく、全部見逃していたわけではないようだ。それと、映画に集中していたハヤカワさんは全然気にならなかったのだが、すぐ後ろのあたりにいた女性たちがかなりハヤブサ萌え状態になっていたらしい。そういえば、上映前には随分楽しげにお喋りをしていらっしゃったような気がする。

一旦プラネタリウムを出て、次は続いて金星探査機「あかつき」の、今度はプラネタリウム番組を見る。入場者はハヤブサの半分もいない。お前らホントは宇宙好きなんじゃねぇだろ?! なんてことは思っても口には出さない。だってハヤカワさん大人だから。

内容は、プラネタリウム番組といっはても、プラネタリウム的な星を映写するというのはほんの最初だけ、相模原から見た金星の動きを紹介するものだけ。後はあかつきの行程や金星の秘密についてなど、概要をプロジェクト代表の大先生(名前忘れた)が解説してくれる映像。ハヤブサではなんとか耐えたハヤカワさんだったが、こっちの番組では一瞬まぶたが落ちてしまった。だがガン寝はしてない! 信じて、おーねがい。

この映像だが、大先生と生のナレーションで掛け合いがあるのだが、ナレーションがちと走り気味で、ナレーションが質問してから先生が答えてくれるまで少々間が空いたりしていた。まあ生だし。

番組は40分程度で無事に終了した。晩飯までにちょっと時間があるので博物館の常設展示物を見てみることに。

そういえば、相模原は日本の近代的な測量が初めて行われた土地で、市内の何処かにその始点だかが残っているらしい。そんなものも紹介されているのだろうか?

相模原の土地組成など天地開闢から、縄文や弥生の土器の展示へ続き、中世を盛大にカッ飛ばして突然後北条期になるという、歴史家にとってはかなり不思議な展示内容だ。相模原ってその途中何にもなかったっけ? 「いんだよ、細かけぇこたあ!」ああまた松田さんが降臨してしまった。と、展示が江戸時代の農村に到達したところで、追い出しの放送が流れる。この博物館、なんと5時で閉館だそうだ。

これだからお役所仕事は!

博物館を出るとそろそろ日が傾き始めている。エントランスの真正面に見えるJAXAのゲートはあかつきが出発した場所だった。

帰路は徒歩で最寄りのJR横浜線淵野辺駅まで移動し、電車で町田へ。少しブラブラしてから夕食を摂って解散。

帰路、うっかりまんがタイムきららを買い忘れる。つうこんのいちげき。普段なら次号発売直前でも買えるものが、たった2~3日で書店から姿を消すとは。けいおん厨を甘く見ていた。転売屋は犬のウンコ踏め!

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