今年最後の雑感。
いろいろと思うところはあるが一言だけ言っとこう。
民主党に政権を与えたヒトは全財産国庫に差し出して括ってください。
あとは纏めきれないので日常雑記。
ハヤカワさんが使ってる録画装置はPC内蔵と外付けの2種類があるんだけども、外付けの方はコンデンサが劣化してて寒くなると止っちゃうのね。内蔵側はそういった心配はないんだけど、逆に冷却してないと熱でぶっ壊れちゃうんだわ。
そんなワケで、寒い上に録画したい番組が多い年末年始はいろいろと頭を悩ませなくてはならない。
外付けに懐炉貼ってみたり、録画のスケジュールを考えて寒くない時間を割り当ててみたりね。
で、「今年はそんな苦労とオサラバさっ!」と、半引退してたPCに予備の内蔵型録画装置を取り付けて復帰させることにした。11年の7月でアナログ放送は終わっちゃうから、予備をとっておかなくてもよくなるしね。
ということで、半年振りぐらいに旧いPCに火を入れたんだけど、どうも電源が劣化しているようで、キーンという高周波音が出ちゃうのだ。起動も不安定な感じだしね。おまけにDVD-Rドライブも壊れてるっぽい。
しょうがないんで、アマゾンで安い電源だけ注文したのが、ようやくさっき届いた。普通なら昨日届くはずなんだけどね。年末で配送がガタガタだからしょうがないか。
それにしても、10年ぶりぐらいに病院に行ったり、余計な買い物をしなくちゃならなかったりと、あんまりよろしくない年末であることよ。
※喪中に付き年賀は欠礼させていただきますよ?
※今日は年越し蕎麦をいただくために早めに仕事場から帰ってきた。んで、夜中にあるはずのリネ2の新年イベントに参加するため、普段使いのノートPCにクライアントをインストールしたものの、フレヤまではギリギリ動いてくれていたのが、今回の新しいクライアントはついにダメでございました。そんなワケで新年イベントは欠席とさせていただきます。くそぅ。
2010年12月31日金曜日
2010年12月30日木曜日
今日の雑感016
右ヒザの半月板がおかしい。
痛みは引いてきたけど、まだ多少歩きにくいところがある。
15年ぐらい前に同じところを傷めたことがあったので、医者に行って調べてもらったら、右ヒザ外側の半月板が切れたか空洞になっているかだそうだ。
様子を見て日常生活に支障がなければそのまま放置でいいそうだが、痛みが引かず歩き難さも解消できないようなら内視鏡手術になるかもしれないらしい。
トシゃあとりたかねぇなあ。
※いろいろ放置気味で年を越すことになっており、真に遺憾である。
※なんかしらんが『鉄道少女隊』で検索されたフシがある。この言葉を知ってる人間なんかほとんどいないはずだし、それを知ってるってことはここのことも知ってるはずなのに、誰だ?
※いつの間にか300ビューを超えていた。閲覧者は日本だけでなく、ドイツやアメリカ、マレーシアにまで及んでいる。なんと国際的なブログであろうか。
※ハハー! 南アフリカからもお客さんが来たぞ! ワールドカップイヤーに間に合ってよかったねっ!←12月31日
※無料期間なので1年半ぶりにAIONをやってみた。2.0になってるらしいが、低レベル帯は特に変わったような感じはないな。業者のシャウトは減ったみたいだけど、ハヤカワさんがいる辺りは相変わらず物言わぬ連中ばかりだ。中のヒトを求めて久々にパンデモニウムにでも行ってみようかと思ったが、重いんだよなぁあそこ。
痛みは引いてきたけど、まだ多少歩きにくいところがある。
15年ぐらい前に同じところを傷めたことがあったので、医者に行って調べてもらったら、右ヒザ外側の半月板が切れたか空洞になっているかだそうだ。
様子を見て日常生活に支障がなければそのまま放置でいいそうだが、痛みが引かず歩き難さも解消できないようなら内視鏡手術になるかもしれないらしい。
トシゃあとりたかねぇなあ。
※いろいろ放置気味で年を越すことになっており、真に遺憾である。
※なんかしらんが『鉄道少女隊』で検索されたフシがある。この言葉を知ってる人間なんかほとんどいないはずだし、それを知ってるってことはここのことも知ってるはずなのに、誰だ?
※いつの間にか300ビューを超えていた。閲覧者は日本だけでなく、ドイツやアメリカ、マレーシアにまで及んでいる。なんと国際的なブログであろうか。
※ハハー! 南アフリカからもお客さんが来たぞ! ワールドカップイヤーに間に合ってよかったねっ!←12月31日
※無料期間なので1年半ぶりにAIONをやってみた。2.0になってるらしいが、低レベル帯は特に変わったような感じはないな。業者のシャウトは減ったみたいだけど、ハヤカワさんがいる辺りは相変わらず物言わぬ連中ばかりだ。中のヒトを求めて久々にパンデモニウムにでも行ってみようかと思ったが、重いんだよなぁあそこ。
2010年12月24日金曜日
ネタメモ010(ルーデル教会)
ドイツ福音ルーデル教会
東方の辺境であるロシアの地をスツーカ神の福音で満たし、迷えるイワンどもを鋼鉄の棺桶もろとも神の御許に送ることを無上とする教会。片足を失っても伝道を止めなかった不屈のハンス・ウルリッヒ・ルーデル師によって創始された。同様の教義を持つ教派として、シモ・ヘイヘ師によるフィンランドナガン教団が知られている。
しかし、露助どもは異教徒なのでルーデル師のお導きをもってしても残念ながら全員地獄行きであったとされる。
近年の伝道ではルーデル師より直接祝福を与えられた福音伝道者A-10師が30mm福音機関アヴェンジャーで迷えるイラク人どもを相当アレしたらしいが、残念なことにやはり全員地獄行きであったという。
※時節柄クリスマスっぽいネタにしてみたがどうか?
※リネ2の『帰っておいでよ』キャンペーンにも引っかからなかったハヤカワさん、ヤケを起こして新アカを作って始めた模様。
東方の辺境であるロシアの地をスツーカ神の福音で満たし、迷えるイワンどもを鋼鉄の棺桶もろとも神の御許に送ることを無上とする教会。片足を失っても伝道を止めなかった不屈のハンス・ウルリッヒ・ルーデル師によって創始された。同様の教義を持つ教派として、シモ・ヘイヘ師によるフィンランドナガン教団が知られている。
しかし、露助どもは異教徒なのでルーデル師のお導きをもってしても残念ながら全員地獄行きであったとされる。
近年の伝道ではルーデル師より直接祝福を与えられた福音伝道者A-10師が30mm福音機関アヴェンジャーで迷えるイラク人どもを相当アレしたらしいが、残念なことにやはり全員地獄行きであったという。
※時節柄クリスマスっぽいネタにしてみたがどうか?
※リネ2の『帰っておいでよ』キャンペーンにも引っかからなかったハヤカワさん、ヤケを起こして新アカを作って始めた模様。
2010年12月13日月曜日
今日の雑感015
悪いこたあいわねえからよ
観とけ
※なんか今日からリネ2が限定で無料解放されてるらしいのね。こりゃちっと復帰してみっかな、と思ってwktkしながら公式サイトを覗いてみたら、ハヤカワさんのアカウントはちょっぴり休止期間が足りないもんだから無料にならなくてしょんぼり。←12月14日
※Chromeってさ、やたらとYOU TUBEが観易いって宣伝してるけどさ、他のブラウザだと問題なく表示される動画がガクガクだってのはどういうことよ?←12月16日
観とけ
※なんか今日からリネ2が限定で無料解放されてるらしいのね。こりゃちっと復帰してみっかな、と思ってwktkしながら公式サイトを覗いてみたら、ハヤカワさんのアカウントはちょっぴり休止期間が足りないもんだから無料にならなくてしょんぼり。←12月14日
※Chromeってさ、やたらとYOU TUBEが観易いって宣伝してるけどさ、他のブラウザだと問題なく表示される動画がガクガクだってのはどういうことよ?←12月16日
ネタメモ009(ギン姉)
ギンガお姉ちゃん伝説
略して“ギン姉伝”
……なんとゆー今更感
自分で書いてて気絶するかと思った
わかんないヒトはとりあえず『魔法少女リリカルなのはStrikerS』を観るとよろしい
あ、後半だけでいいぞ
※んー、スパムコメントを書き込もうとして必死になってるボットがいるにゃー。とりあえずちね。
略して“ギン姉伝”
……なんとゆー今更感
自分で書いてて気絶するかと思った
わかんないヒトはとりあえず『魔法少女リリカルなのはStrikerS』を観るとよろしい
あ、後半だけでいいぞ
※んー、スパムコメントを書き込もうとして必死になってるボットがいるにゃー。とりあえずちね。
2010年12月8日水曜日
今日の雑感014
朝日新聞で“あかつき”の記事が連日一面だねえ。
ハヤカワさん、小田原に越してくる前は長いこと新聞を購読してなかったからよくわからないんだけど、科学技術関係の記事って前からこんなに扱いよかったっけ?
※失敗しちゃったねー。まあ、技術開発はすべて成功が約束されているわけではないからやる価値があるんだしねー。今回の失敗を詳細に分析して、次に生かせればそれでいいんだよねー。←12月8日
※軌道再投入のチャンスは6年後つってるけど、新たに機器の故障が発生したり、太陽フレアで吹き飛ばされたりするかもしれないから予断は許さんなあ。←12月9日
※あかつき、ダメっぽいねー。確かに一基しかない軌道制御用エンジンに実証実験レベルのセラミックスラスターを搭載しちゃうのはちょっと冒険だったと思うよ? でもさあ、小さな機体に詰め込みすぎとかいう御高説を後付けで垂れてくださる方々がいらっさるけどさあ、単目的だと十分な予算が下りないから複数の目的を纏めてようやく1機でっち上げられるっていう予算編成の方に問題があるんじゃねえの?←12月11日
※雑多なネタが増えてきたのでラベルに“自転車”を増やした。“宇宙”か“科学”も増やそうかな。←12月9日
※明日は四十九日の法要。←12月10日
ハヤカワさん、小田原に越してくる前は長いこと新聞を購読してなかったからよくわからないんだけど、科学技術関係の記事って前からこんなに扱いよかったっけ?
※失敗しちゃったねー。まあ、技術開発はすべて成功が約束されているわけではないからやる価値があるんだしねー。今回の失敗を詳細に分析して、次に生かせればそれでいいんだよねー。←12月8日
※軌道再投入のチャンスは6年後つってるけど、新たに機器の故障が発生したり、太陽フレアで吹き飛ばされたりするかもしれないから予断は許さんなあ。←12月9日
※あかつき、ダメっぽいねー。確かに一基しかない軌道制御用エンジンに実証実験レベルのセラミックスラスターを搭載しちゃうのはちょっと冒険だったと思うよ? でもさあ、小さな機体に詰め込みすぎとかいう御高説を後付けで垂れてくださる方々がいらっさるけどさあ、単目的だと十分な予算が下りないから複数の目的を纏めてようやく1機でっち上げられるっていう予算編成の方に問題があるんじゃねえの?←12月11日
※雑多なネタが増えてきたのでラベルに“自転車”を増やした。“宇宙”か“科学”も増やそうかな。←12月9日
※明日は四十九日の法要。←12月10日
2010年12月5日日曜日
ネタメモ008(都電)
都電ファイト
昭和30年代ぐらいの東京で、市街を縦横無尽に走る都電網を利用したアクションを展開するのだ。
都営交通局の精鋭たちが、武装都電を駆り、都営交通の安全を脅かす非合法活動組織たちと対決するぞ!
武装都電の主砲として搭載された30mmTDEN砲は、目標に対して220gの弾頭を初速720m/sで毎分1030発も投射することができるぞ。相手が主力戦車でも、装甲を貫徹できなくても無数の着弾の衝撃で内部機器や乗員をボロボロにして行動不能に陥らせるんだ。もちろんハンパな怪獣なんかあっという間に挽肉になって、明日の朝には闇市に並ぶことになるぞ。
場所を東京に限定しないで、どっかの国のとある都市にしてもいいかもしれない。その街ではなんらかの理由で自動車が使えなくなっていて、警察も代わりに発達した路面電車網を利用することになっている。このため、一般の旅客用路面電車に混じって警察用路面電車が走っている。こういうのはどうだろう。
国際紛争の影響で、国内輸送用に使ってた自動車は全部徴発されているとかね。一次大戦では、ヴェルダン要塞に兵員を運ぶためにパリのタクシーを総動員したとかいうのもあったし。自国に自動車産業がない国だと、徴発された自動車の穴埋めをするためには輸入に頼らなくてはならないし、輸出国がやはり国際紛争にかかわっていた場合、アメリカのような巨大な工業力がなければ他国に輸出する分までは手が回らないだろう。自動車は政府要人や軍人ぐらいしか使えないことにしておこう。ハナシの舞台が地方都市ならこれらも滅多なことでは登場しないはずだ。非合法活動組織はやはり非合法な手段で少数の自動車を持っている。でも保守部品やガソリンが貴重だからあんまり無理な使い方はできない。これと警察路面電車の追いかけっこということにしようか。
ラノベ的には婦警さんを大量に出したいところだが、銃後であれば男は子供と年寄りばっかりで、残りは女性ということになるから、警察路面電車を女性ばかりの要員で運用していてもおかしくない。鉄道少女隊の世界観の流用だね。
ちょっとこっちの方向で設定作ってみようか。
※どこかにこういうバカなことを考えるだけでお金をくれる国はないものか。移住させてくれるならエッチな画像を見るだけでお金をくれる国のことは諦めてもいい。
※自転車のことを書こうと思ってたんだけど、写真を入れたケータイを仕事場に忘れてきてしまったのでまた後日。
昭和30年代ぐらいの東京で、市街を縦横無尽に走る都電網を利用したアクションを展開するのだ。
都営交通局の精鋭たちが、武装都電を駆り、都営交通の安全を脅かす非合法活動組織たちと対決するぞ!
武装都電の主砲として搭載された30mmTDEN砲は、目標に対して220gの弾頭を初速720m/sで毎分1030発も投射することができるぞ。相手が主力戦車でも、装甲を貫徹できなくても無数の着弾の衝撃で内部機器や乗員をボロボロにして行動不能に陥らせるんだ。もちろんハンパな怪獣なんかあっという間に挽肉になって、明日の朝には闇市に並ぶことになるぞ。
場所を東京に限定しないで、どっかの国のとある都市にしてもいいかもしれない。その街ではなんらかの理由で自動車が使えなくなっていて、警察も代わりに発達した路面電車網を利用することになっている。このため、一般の旅客用路面電車に混じって警察用路面電車が走っている。こういうのはどうだろう。
国際紛争の影響で、国内輸送用に使ってた自動車は全部徴発されているとかね。一次大戦では、ヴェルダン要塞に兵員を運ぶためにパリのタクシーを総動員したとかいうのもあったし。自国に自動車産業がない国だと、徴発された自動車の穴埋めをするためには輸入に頼らなくてはならないし、輸出国がやはり国際紛争にかかわっていた場合、アメリカのような巨大な工業力がなければ他国に輸出する分までは手が回らないだろう。自動車は政府要人や軍人ぐらいしか使えないことにしておこう。ハナシの舞台が地方都市ならこれらも滅多なことでは登場しないはずだ。非合法活動組織はやはり非合法な手段で少数の自動車を持っている。でも保守部品やガソリンが貴重だからあんまり無理な使い方はできない。これと警察路面電車の追いかけっこということにしようか。
ラノベ的には婦警さんを大量に出したいところだが、銃後であれば男は子供と年寄りばっかりで、残りは女性ということになるから、警察路面電車を女性ばかりの要員で運用していてもおかしくない。鉄道少女隊の世界観の流用だね。
ちょっとこっちの方向で設定作ってみようか。
※どこかにこういうバカなことを考えるだけでお金をくれる国はないものか。移住させてくれるならエッチな画像を見るだけでお金をくれる国のことは諦めてもいい。
※自転車のことを書こうと思ってたんだけど、写真を入れたケータイを仕事場に忘れてきてしまったのでまた後日。
2010年12月4日土曜日
今日の雑感013
ウィキリークスに対する攻撃が激しくなっている。
機密情報を暴露された政治側からだけでなく、既存のメディアからの攻撃も顕著だ。
これは、ウィキリークスの暴露が、既存メディアの最大の武器が“情報の恣意的な選択”であったことまでも暴露してしまったからだ。
先日の某朝日新聞のコラムでは、「外交機密はまだしも各国指導者の人物評まで暴露することはないのではないか」といった意味の文が書かれていた。
この一文が何を意味するのか。そう、某朝日新聞は、自分たちが流したいと考える情報のみを流す、つまりは某朝日新聞に掲載される記事は、記者や編成部によって篩を掛けられた、操作された情報であると公言しているのだ。
だがしかし、篩に掛けられて表に出てこなかった情報に本当に価値はないのか?
真に価値のある情報が、意図するしないにかかわらず、闇に葬られている可能性はないのか?
これは某朝日新聞に限らない。すべての既存メディアが発する情報は、そのすべてがメディアの主観によって篩に掛けられているのである。
これに対しウィキリークスは、情報の真偽について裏は取っているものの、持ち込まれた情報はその内容に軽重をつけずに公開し、その内容の評価は受け取る側に委ねられる。
膨大な一次情報がすべて公開されることは、それを読み解くためには受け手に高い情報処理能力を要求することになるが、特定少数による情報の操作は発生しない(もっとも、これにはウィキリークスがすべてを公開していることが保証されていなければならないのだが)。
情報の操作で利益を得てきた既存メディアにとって、その存在そのものに対する危機となるのだ。
先日、尖閣諸島で発生した事件の動画がYOU TUBEに流出したが、既存メディアの対応はその内容の価値ではなく、流出させた海上保安官や所属官庁での情報の取り扱いにへ報道が集中したように思える。
これも、既存メディアが自分たちの篩を通過していない生の(実際は編集されたものであったが)重要情報が公にされたことに対する危機感が噴出したものではないだろうか?
メディアによる世界支配などという中二病めいたことを言うつもりはない。情報処理能力が低い者のためには、それを編集して分かりやすくすることも必要だし、既存メディアはその役割は果たしていると言える。
しかし、政治や事件事故に限らず、その検証を多面的に行うためには、あらゆる階層の人々が操作されていない一次情報に触れられなければならないのだ。
ところが既存メディアは、それを自己の既得権益にしてしまっている。そして、ウィキリークスのようにすべてを明らかにすることはその既得権益を反故にするものであるため、ヒステリックなまでの攻撃が行われるのだ。
※ああ、また殺伐としたものを書いてしまった。明日は気楽に自転車のことでも書こう。
機密情報を暴露された政治側からだけでなく、既存のメディアからの攻撃も顕著だ。
これは、ウィキリークスの暴露が、既存メディアの最大の武器が“情報の恣意的な選択”であったことまでも暴露してしまったからだ。
先日の某朝日新聞のコラムでは、「外交機密はまだしも各国指導者の人物評まで暴露することはないのではないか」といった意味の文が書かれていた。
この一文が何を意味するのか。そう、某朝日新聞は、自分たちが流したいと考える情報のみを流す、つまりは某朝日新聞に掲載される記事は、記者や編成部によって篩を掛けられた、操作された情報であると公言しているのだ。
だがしかし、篩に掛けられて表に出てこなかった情報に本当に価値はないのか?
真に価値のある情報が、意図するしないにかかわらず、闇に葬られている可能性はないのか?
これは某朝日新聞に限らない。すべての既存メディアが発する情報は、そのすべてがメディアの主観によって篩に掛けられているのである。
これに対しウィキリークスは、情報の真偽について裏は取っているものの、持ち込まれた情報はその内容に軽重をつけずに公開し、その内容の評価は受け取る側に委ねられる。
膨大な一次情報がすべて公開されることは、それを読み解くためには受け手に高い情報処理能力を要求することになるが、特定少数による情報の操作は発生しない(もっとも、これにはウィキリークスがすべてを公開していることが保証されていなければならないのだが)。
情報の操作で利益を得てきた既存メディアにとって、その存在そのものに対する危機となるのだ。
先日、尖閣諸島で発生した事件の動画がYOU TUBEに流出したが、既存メディアの対応はその内容の価値ではなく、流出させた海上保安官や所属官庁での情報の取り扱いにへ報道が集中したように思える。
これも、既存メディアが自分たちの篩を通過していない生の(実際は編集されたものであったが)重要情報が公にされたことに対する危機感が噴出したものではないだろうか?
メディアによる世界支配などという中二病めいたことを言うつもりはない。情報処理能力が低い者のためには、それを編集して分かりやすくすることも必要だし、既存メディアはその役割は果たしていると言える。
しかし、政治や事件事故に限らず、その検証を多面的に行うためには、あらゆる階層の人々が操作されていない一次情報に触れられなければならないのだ。
ところが既存メディアは、それを自己の既得権益にしてしまっている。そして、ウィキリークスのようにすべてを明らかにすることはその既得権益を反故にするものであるため、ヒステリックなまでの攻撃が行われるのだ。
※ああ、また殺伐としたものを書いてしまった。明日は気楽に自転車のことでも書こう。
2010年12月3日金曜日
ネタメモ007(ヤガーたん)
ロシアの森から魔法の臼に乗ってやってきた
魔法少女ヤガーたん
人間大好き! ただし食欲的な意味でね。だけど神の祝福を受けた者は食べられないんだ。
ロシアが共産主義国家だった頃は宗教が否定されていたから食べ物に困らなかったのに、共産党が崩壊する数年前に宗教が自由化されてからというものの、忌々しいロシア正教会が復活したせいでなかなか獲物が見つからなくなってハラペコ状態になっちゃった。
そんなある日、風の噂で日本という国では人々が心に神を持たなくなっているって話を聞いたヤガーたん、それなら食べ放題だと思って一路東を目指したよ。
有体に言えば不法入国なんだけど、ヤガーたんの魔法の臼は地表スレスレを飛ぶからジャッジシステムにも引っかからなかったんだ。
とこるがどっこい、やっと日本に着いてみたら、確かに日本人は心に神を持たなくなっていたけど、怨敵ロシア正教会もドデンと構えていて、ヤガーたんのゴハンを邪魔してきたよ。
そうはいっても、ロシアよりも活動しやすくなったヤガーたん。悪い心を持った者を見つけては、魔法の長い杵で殴り倒して、アレしてアレ(グロ描写のため自主規制)するぞ。痕跡は魔法の箒の一掃きでナイナイするからダイジョブ。
そうそう、ヤガーたん性格はひねくれ者なんだけど、正しい心を持った者には何かと手助けしてくれたりもするんだ。多分ツンデレなんだね。
でも、ヤガーたんを本気で怒らせると冬将軍を呼び出しちゃうから気をつけよう。冬将軍の猛威の前には世界最強の大陸軍も尻に帆かけて逃げ出すぞ。ツァーリボンバで核の冬を呼ぶのもいいかもしれないね。
ヤガーたんの魔法の臼は、杵で引っ叩くと動くんだそうだけど、そういえば『チキチキマシン猛レース』のゼッケン1番ガンセキオープンもドライバーとナビゲーターがお互いの頭を棍棒で殴るとスピードアップするね。何か関係あるのかな?
※それにしてもこうも仕事がないとは恐れイリヤのバーサーカー。年末のバイトも全滅だ。
魔法少女ヤガーたん
人間大好き! ただし食欲的な意味でね。だけど神の祝福を受けた者は食べられないんだ。
ロシアが共産主義国家だった頃は宗教が否定されていたから食べ物に困らなかったのに、共産党が崩壊する数年前に宗教が自由化されてからというものの、忌々しいロシア正教会が復活したせいでなかなか獲物が見つからなくなってハラペコ状態になっちゃった。
そんなある日、風の噂で日本という国では人々が心に神を持たなくなっているって話を聞いたヤガーたん、それなら食べ放題だと思って一路東を目指したよ。
有体に言えば不法入国なんだけど、ヤガーたんの魔法の臼は地表スレスレを飛ぶからジャッジシステムにも引っかからなかったんだ。
とこるがどっこい、やっと日本に着いてみたら、確かに日本人は心に神を持たなくなっていたけど、怨敵ロシア正教会もドデンと構えていて、ヤガーたんのゴハンを邪魔してきたよ。
そうはいっても、ロシアよりも活動しやすくなったヤガーたん。悪い心を持った者を見つけては、魔法の長い杵で殴り倒して、アレしてアレ(グロ描写のため自主規制)するぞ。痕跡は魔法の箒の一掃きでナイナイするからダイジョブ。
そうそう、ヤガーたん性格はひねくれ者なんだけど、正しい心を持った者には何かと手助けしてくれたりもするんだ。多分ツンデレなんだね。
でも、ヤガーたんを本気で怒らせると冬将軍を呼び出しちゃうから気をつけよう。冬将軍の猛威の前には世界最強の大陸軍も尻に帆かけて逃げ出すぞ。ツァーリボンバで核の冬を呼ぶのもいいかもしれないね。
ヤガーたんの魔法の臼は、杵で引っ叩くと動くんだそうだけど、そういえば『チキチキマシン猛レース』のゼッケン1番ガンセキオープンもドライバーとナビゲーターがお互いの頭を棍棒で殴るとスピードアップするね。何か関係あるのかな?
※それにしてもこうも仕事がないとは恐れイリヤのバーサーカー。年末のバイトも全滅だ。
2010年11月30日火曜日
冬が来る前に
核の?
いや、普通の冬のことだから。気圧配置冬型だから。今回そういうおハナシじゃないから。
とまあ、恒例の一人ツッコミも無事済んだところでボチボチ話を始めさせていただきますよ?
えー、本日は月末でございましたので、家賃の振込みやらなにやで駅前に出たわけですが、ついでにまぬけ屋雑貨店を覗いたところ、「TVブランケット」とかいうモノがお安く(800円弱)で売っていたので、近頃寒くなってきたこともあって、試しに買ってみたハヤカワさんでございます。
「TVブランケット」とかいうと大層なモノに聞こえますな。いったいどういったシロモノなんでしょうな。
ハァ、なるほどテレビを観るときなんかにソファに寝っ転がりますですな。そうい場合に掛けるとちょっとした寒さを凌げて大変よろしいブランケットでございますか。んで、リモコンの操作や本なんかを読むのに便利なように筒袖が付いていると。……要はフリース素材の掻巻でございますね。
ったく、それならそうとそう書きゃいいじゃねえか。立派な日本語があるんだからよう。
それをいかにも“アメリカからやってきた新しい防寒具”といったカンジで売るからまぬけ屋のやることは信用できませんね。まあ、メーカーからしてそんなカンジで売りたいようなパッケージになってるんで、まぬけ屋だけのことじゃないんでございますけどね。
でまあ、文句は置いといて、ちゃっちゃと用事を済ませて家に戻ったところで、早速使ってみることにいたしましたよ。
掻巻ってのはガウンのように筒袖が付いた布団のことをいうわけですが、元来寝具なので、ガウンのように前で合わせずに背中で合わせるように着込みますよ。
こうしてブランケットで全身を包むようにしたところで椅子に座ってみたところ、これだけでもかなり温かくございますな。ただ、首周りは衿状になっていないので少し風が入りますが、この辺は中に襟付きの服を着ればいいだけなので大した問題じゃあございませんよ。
全長が180cmあるので、足元まで十分にカバーできる点はこれまで使っていた膝掛けよりもいいかもしれませんですな。
さて、今の時期はこれだけでも十分に温かいのではあるものの、この先まだ寒くなることを考えてちょっと実験をしておくことにいたしましょう。
ハヤカワさん、冬にパソコン机に向かうとき用に「一人用炬燵」という、ちっちゃい櫓に100wのヒーターが入ってて、机の下とかに置いて足元を温めるブツを持っていますよ。
だがしかし、一般的な炬燵が500wぐらいであるのに対して、一人用炬燵は出力が低いため、本当に足元しか温まりません。
そのため、厳冬期にはパソコンを炬燵に移すかエアコンで暖房をしなければなりません。
ところが、炬燵で長時間パソコンを扱うとどうしても腰にきてしまいます。エアコンで部屋全体を温めればパソコン机で作業ができるのでその辺の問題はないのですが、今度は電気代がエライことになっちゃいますね。空気も乾燥いたしますし。
※ハヤカワさんちはアパートなので石油ストーブの使用は禁止されてございます。みんな内緒で使ってるみたいですが。なぜなら、メーターボックスの中に前の住人が残していったと思われる灯油のポリタンクが残されていたからですよ。
そこで、今回は一人用炬燵を今まで通りパソコン机の足元に置いて、その上にブランケットを被せて“股火鉢”状態にしてみることにいたしましたよ。一人用炬燵は寝るときに布団の中にいれて使っても大丈夫と説明書に書いてあったので、使い方としては間違ってませんね。櫓があるからブランケットがヒーターに直接触れて燃えてしまうようなことはないですよ。櫓の隙間から無理矢理捻り込むようなマネをすりゃあ別でしょうけど。
で、実験の結果ですが、袖が太めでちょっとウルサイものの、温かさについては予想以上で非常に快適でございました。締め切り間際に椅子で仮眠しても風邪を引かずに済むかもしれない。いや、そういう状況にはなりたくはございませんが。
なんにしても、これならエアコンなしで冬を越すことも夢じゃあございませね。
難点は本物の炬燵と一緒で、一旦机の前に座ったら二度と動く気にならないことぐらいですか。
後はアレだ、手元をなんとかすれば完璧ですな。キーボードを打つためにはあんまり重装備にはできないし、今のところは指貫手袋を使ってますが、なんか他にいい方法はないですかね。
※たまには大上段に構えないで日常のコト書いたっていいじゃん。
※あんまり話題がバラバラなんで、ググるさんの広告がナニ出していいかスッゲー困ってるっぽいのが面白いですノウ。
いや、普通の冬のことだから。気圧配置冬型だから。今回そういうおハナシじゃないから。
とまあ、恒例の一人ツッコミも無事済んだところでボチボチ話を始めさせていただきますよ?
えー、本日は月末でございましたので、家賃の振込みやらなにやで駅前に出たわけですが、ついでにまぬけ屋雑貨店を覗いたところ、「TVブランケット」とかいうモノがお安く(800円弱)で売っていたので、近頃寒くなってきたこともあって、試しに買ってみたハヤカワさんでございます。
「TVブランケット」とかいうと大層なモノに聞こえますな。いったいどういったシロモノなんでしょうな。
ハァ、なるほどテレビを観るときなんかにソファに寝っ転がりますですな。そうい場合に掛けるとちょっとした寒さを凌げて大変よろしいブランケットでございますか。んで、リモコンの操作や本なんかを読むのに便利なように筒袖が付いていると。……要はフリース素材の掻巻でございますね。
ったく、それならそうとそう書きゃいいじゃねえか。立派な日本語があるんだからよう。
それをいかにも“アメリカからやってきた新しい防寒具”といったカンジで売るからまぬけ屋のやることは信用できませんね。まあ、メーカーからしてそんなカンジで売りたいようなパッケージになってるんで、まぬけ屋だけのことじゃないんでございますけどね。
でまあ、文句は置いといて、ちゃっちゃと用事を済ませて家に戻ったところで、早速使ってみることにいたしましたよ。
掻巻ってのはガウンのように筒袖が付いた布団のことをいうわけですが、元来寝具なので、ガウンのように前で合わせずに背中で合わせるように着込みますよ。
こうしてブランケットで全身を包むようにしたところで椅子に座ってみたところ、これだけでもかなり温かくございますな。ただ、首周りは衿状になっていないので少し風が入りますが、この辺は中に襟付きの服を着ればいいだけなので大した問題じゃあございませんよ。
全長が180cmあるので、足元まで十分にカバーできる点はこれまで使っていた膝掛けよりもいいかもしれませんですな。
さて、今の時期はこれだけでも十分に温かいのではあるものの、この先まだ寒くなることを考えてちょっと実験をしておくことにいたしましょう。
ハヤカワさん、冬にパソコン机に向かうとき用に「一人用炬燵」という、ちっちゃい櫓に100wのヒーターが入ってて、机の下とかに置いて足元を温めるブツを持っていますよ。
だがしかし、一般的な炬燵が500wぐらいであるのに対して、一人用炬燵は出力が低いため、本当に足元しか温まりません。
そのため、厳冬期にはパソコンを炬燵に移すかエアコンで暖房をしなければなりません。
ところが、炬燵で長時間パソコンを扱うとどうしても腰にきてしまいます。エアコンで部屋全体を温めればパソコン机で作業ができるのでその辺の問題はないのですが、今度は電気代がエライことになっちゃいますね。空気も乾燥いたしますし。
※ハヤカワさんちはアパートなので石油ストーブの使用は禁止されてございます。みんな内緒で使ってるみたいですが。なぜなら、メーターボックスの中に前の住人が残していったと思われる灯油のポリタンクが残されていたからですよ。
そこで、今回は一人用炬燵を今まで通りパソコン机の足元に置いて、その上にブランケットを被せて“股火鉢”状態にしてみることにいたしましたよ。一人用炬燵は寝るときに布団の中にいれて使っても大丈夫と説明書に書いてあったので、使い方としては間違ってませんね。櫓があるからブランケットがヒーターに直接触れて燃えてしまうようなことはないですよ。櫓の隙間から無理矢理捻り込むようなマネをすりゃあ別でしょうけど。
で、実験の結果ですが、袖が太めでちょっとウルサイものの、温かさについては予想以上で非常に快適でございました。締め切り間際に椅子で仮眠しても風邪を引かずに済むかもしれない。いや、そういう状況にはなりたくはございませんが。
なんにしても、これならエアコンなしで冬を越すことも夢じゃあございませね。
難点は本物の炬燵と一緒で、一旦机の前に座ったら二度と動く気にならないことぐらいですか。
後はアレだ、手元をなんとかすれば完璧ですな。キーボードを打つためにはあんまり重装備にはできないし、今のところは指貫手袋を使ってますが、なんか他にいい方法はないですかね。
※たまには大上段に構えないで日常のコト書いたっていいじゃん。
※あんまり話題がバラバラなんで、ググるさんの広告がナニ出していいかスッゲー困ってるっぽいのが面白いですノウ。
2010年11月24日水曜日
北の国から
今回の砲撃は示威行為の域は出ないだろう。少なくとも北はそう考えているはずだ。
米韓中のいずれも朝鮮半島で戦争が起きることで、失うものはあれど得られるものはほとんどないといっていいため、それを望むことはないからだ。
いや、拡大を最も望んでいないどころか、それを恐れているのは当の北なのかもしれない。
なぜなら、北が本気で朝鮮戦争の再開を望むのであれば、初撃は辺境への砲撃ではなくソウルへの攻撃でなければならない。もしくは、今回の砲撃で米韓政府が混乱している隙をついて、休戦ラインを超越した全面的な地上侵攻がなければおかしいのだ。
現状では北の軍がそのような動きを見せている様子はない。推定される北の継戦能力からして短期決戦以外は不可能だし。
つまるところは、米韓の政治的な出方を探る、もしくは動きを引き出すための威力偵察であると考えるのが自然だろう。
しかし、この報復はいたずらに中国を刺激しないように、極めて微妙なラインを狙わざるを得ないという制限がついてしまう。
というか、中国が北を見捨てることがないという前提があるからこそ、中国との関係悪化を恐れる国際社会が強硬な態度に出られないと踏んで、北はこうした危険な賭けに出られるのだ。
ここがイラクやアフガニスタンとの大きな違いである。北に対して大規模な軍事行動を起こせば、それは中国の喉もとにナイフを突きつけるのと同等であるのだ。
放し飼いになっている躾の悪い犬が自分に噛み付きそうになったからといって、いきなり撃ち殺してしまったら、責任があるとはいっても飼い主は気を悪くするだろう。もし飼い主が自分の責任を棚に上げて恫喝してくるようなタイプならタダではすまなくなってしまう。
報復に中国を巻き込むのが理想ではあるが、北が中国の面子を潰すような行為に出ない限りは表立って報復に加担させるのは難しいと思われる。恐らく、すでに米国は水面下で容認できる報復のラインについて中国との合意を得るための交渉に入っているだろう。
中間選挙で大敗し、内外政に手詰まり感が漂うオバマ政権にとって、ここで華々しい外交的成果を上げることができれば、難しい舵取りではあるが、それだけに失地を回復することができる大きなチャンスなのだ。
砲撃を「報道で知った」レベルのわが国の政府にこうした動きは不可能だ。下手に得点を稼ごうなどとは考えず、せめて足を引っ張らない程度に口をつぐんでいるぐらいにしておいて欲しい。
正しい情報の収集と分析、それに基く根回しがなければ外交は明後日の方にしか向かわないのだ。
まあ、それすらできないのがわが民主政権なのだが。
※昨日のページビューが異様に多いと思ったら、自分が開いた分までカウントされていた。それでもなんとなく多いな。ま、いっか。
※例え話を変えたよ。
※こういう時に怖いのはナーバスになった人々の過剰反応。偶発戦争ってのは大概そこから始まるからね。現場の人たちは神経すり減らして大変だろうけども。
米韓中のいずれも朝鮮半島で戦争が起きることで、失うものはあれど得られるものはほとんどないといっていいため、それを望むことはないからだ。
いや、拡大を最も望んでいないどころか、それを恐れているのは当の北なのかもしれない。
なぜなら、北が本気で朝鮮戦争の再開を望むのであれば、初撃は辺境への砲撃ではなくソウルへの攻撃でなければならない。もしくは、今回の砲撃で米韓政府が混乱している隙をついて、休戦ラインを超越した全面的な地上侵攻がなければおかしいのだ。
現状では北の軍がそのような動きを見せている様子はない。推定される北の継戦能力からして短期決戦以外は不可能だし。
つまるところは、米韓の政治的な出方を探る、もしくは動きを引き出すための威力偵察であると考えるのが自然だろう。
実際、今回砲撃があった地域は、南北双方が自己の軍事的勢力圏であると主張していて、以前から艦艇に銃撃を加えるといった程度の小競合いが発生している。砲撃前後の北の主張もそれに沿ったものだ。
こうした北の挑発には暖簾に腕押しといった対応がいちばん効くのだが(要はネット上の荒らし行為への対応のようなものだ)、とはいっても民間人にも被害が出るほどの攻撃では無視するわけにもいかない。米韓は北に不必要な自信をつけさせないためにも何がしかの報復行為を迫られることんになる。特に死傷者を出した韓国はある程度の措置を取らなければ、ネットの普及によって暴走しやすくなっている国民感情が政権の基盤を揺るがす事態にもなりかねない。
しかし、この報復はいたずらに中国を刺激しないように、極めて微妙なラインを狙わざるを得ないという制限がついてしまう。
というか、中国が北を見捨てることがないという前提があるからこそ、中国との関係悪化を恐れる国際社会が強硬な態度に出られないと踏んで、北はこうした危険な賭けに出られるのだ。
ここがイラクやアフガニスタンとの大きな違いである。北に対して大規模な軍事行動を起こせば、それは中国の喉もとにナイフを突きつけるのと同等であるのだ。
放し飼いになっている躾の悪い犬が自分に噛み付きそうになったからといって、いきなり撃ち殺してしまったら、責任があるとはいっても飼い主は気を悪くするだろう。もし飼い主が自分の責任を棚に上げて恫喝してくるようなタイプならタダではすまなくなってしまう。
報復に中国を巻き込むのが理想ではあるが、北が中国の面子を潰すような行為に出ない限りは表立って報復に加担させるのは難しいと思われる。恐らく、すでに米国は水面下で容認できる報復のラインについて中国との合意を得るための交渉に入っているだろう。
中間選挙で大敗し、内外政に手詰まり感が漂うオバマ政権にとって、ここで華々しい外交的成果を上げることができれば、難しい舵取りではあるが、それだけに失地を回復することができる大きなチャンスなのだ。
砲撃を「報道で知った」レベルのわが国の政府にこうした動きは不可能だ。下手に得点を稼ごうなどとは考えず、せめて足を引っ張らない程度に口をつぐんでいるぐらいにしておいて欲しい。
正しい情報の収集と分析、それに基く根回しがなければ外交は明後日の方にしか向かわないのだ。
まあ、それすらできないのがわが民主政権なのだが。
※昨日のページビューが異様に多いと思ったら、自分が開いた分までカウントされていた。それでもなんとなく多いな。ま、いっか。
※例え話を変えたよ。
※こういう時に怖いのはナーバスになった人々の過剰反応。偶発戦争ってのは大概そこから始まるからね。現場の人たちは神経すり減らして大変だろうけども。
2010年11月23日火曜日
2010年11月19日金曜日
今日の雑感012
最近、ハヤカワさんの業界では電子書籍ってのが話題の中心になってますな。
んで、現役の小説家の方々が、自分たちで電子書籍を出版する会社を作るそうですよ。
もう電子書籍に夢が膨らんじゃっててね、文章と一緒に音楽(坂本龍一ですって)が流れたり、挿絵が出たりする画期的な小説になるんだそうですね。
……すいません、これ“サウンドノベル”とどう違うんですか? 誰かハヤカワさんに教えてくださいよ。
んで、現役の小説家の方々が、自分たちで電子書籍を出版する会社を作るそうですよ。
もう電子書籍に夢が膨らんじゃっててね、文章と一緒に音楽(坂本龍一ですって)が流れたり、挿絵が出たりする画期的な小説になるんだそうですね。
……すいません、これ“サウンドノベル”とどう違うんですか? 誰かハヤカワさんに教えてくださいよ。
2010年11月12日金曜日
自転車ショー歌
数日前から愛用の自転車が妙にフラつくようになったのね。で、よくよく調べてみたら後輪が丸ボウズになってた。
それだけならまだしも、ゴムが劣化して亀裂が入ってたりした。
こりゃこのまま乗ってるとチューブまでいっちまうなあ、ということで、タイヤを交換することにしたよ。
都合よく駅前のまぬけ屋雑貨店の自転車売り場に、ちょうどサイズが合う交換用のタイヤが置いてあったので、自力でやってみることにした。WEBで交換の方法をざっと調べたんだけど、やっぱり知識と実践ではちょっとした違いがあったりする。まあハヤカワさんの自転車が内装式変速機ってワリとやっかいなヤツだったこともあるんで、覚え書き程度にレポをしてみよう。次にやるときに便利だし。
ところで、状況のメモとしてケータイで写真を撮りながらやってたんだけど、通信速度が遅いのでなかなかPCに送ることができない。んだもんで、写真が揃ったところからボチボチと書いていくことにするよ。
※だいたい書けたかな。しかし、ここのブログのエディタは写真を入れる時の動作がわかりにくいね。妙なHTML文吐き出すし。
1)
これがハヤカワさんの愛車だ。
今は無きヨコタサイクルというアッセンブルメーカーが作ったもの。この手の自転車としてはちょっと重いが、折りたたむと玄関に収納できるので防犯上よろしいものだ。
下準備として、ハンドル周りについているミラーやベルなどは外しておいた。
なお、作業場はリビングで、床に汚れや傷を付けないために薄いスポンジにアルミを蒸着させたキャンプ用のシートを敷いてある。冬場は炬燵の下に敷く断熱シートとして利用しているものだが、こういう時にも役に立つ。
それにしても、溝がすっかり消滅しているだけでなく、あと少しでチューブまで露出してしまうほど磨り減っていた。すごく危険な状態であることは間違いない。ブレの原因はおそらくこれだろう。

先月ぐらいにチェックしたときはこんな傷はなかったので、やはりここ数日で急激にきたのだと思う。
これもブレに相当影響してるだろうな。
こうなったら何が何でも交換しないと、パンクだけで済めば御の字、転倒して大怪我をする可能性もあるだろう。
3)
タイヤを交換するとなると、まずはフレームからリムごと外さなくてはならない。前輪ならただナットを外すだけでいいが、後輪にはチェーンや内装式変速機、スタンド、ドラムブレーキなどさまざまなパーツが付いているため少々手間がかかる。
自転車屋の手間賃も後輪の方が高いらしい。
こちらは変速機側。逆さにして変速機のカバーを外した状態。
車軸の中央に変速機用のピンが出ていて、手前のレバーがそれを押すことでギアが変わる。
車軸には外側から、ナット、ワッシャー、泥除けのステー、変速機レバーのマウント、スタンドの順に重ねられている。
このためかなり作業できる範囲が狭く、最初は手持ちのモンキースパナでナットを回そうとしたのだが、ギリギリでモンキーの頭が入っただけで、ほとんどナットを回せなかった。力任せにやるとナットの角を舐めたり、他の部品を傷つけてしまいそうだ。
ボックスレンチが使えれば楽なのだが、この構造では薄型スパナか、頭が小さいメガネスパナでなければ無理だ。なぜか手持ちに丁度合うサイズのスパナが無い。そういえば、このサイズのスパナは昔乗っていたバイクの車載工具に混ぜてしまっていた。売った時に回収するのを忘れていたようだ。ので、急遽ホームセンターまでメガネスパナを買いに走ることに。いや、まぬけ屋でも売ってるんだけどね、さすがに工具となるとあそこは信用できんのよ。
4)
こちらはチェーン側のナット。特に障害物がないのでモンキーでも簡単に回せた。
光源の関係で少し暗いが、外側からナット、ワッシャー、泥除けのステー、フレームを挟んでチェーンのテンションを調整するためのネジが付いているのがわかる。
5)
メガネスパナを買ってきたところで、両側のナットをどうにか緩めることができた。
ちなみに、変速機側のナットだが、メガネスパナを使う時には変速機のピンを指で押し込んで、その隙にスパナを差し込まなくてはならない。そんなに力が必要なものでもないのだが、手間は手間。周囲が油だらけなのでテープなどで固定しておけないから、なにか上手い方法はないだろうか。次までの課題だな。
車輪が自由に動くようになったのでチェーンを外す。この時、ペダル側のチェーンも外しておかないと、車輪をフレームから完全に外すことができない。
この時点で手は油だらけ。もう少し時間があれば古い油を落としたかった。
6)
チェーンのテンションを調整するネジ。車軸に通す穴がオフセットされているので、組み付ける時に間違わないように注意しなければいけないのでメモ代わりの写真。
なお、これに使うナットはナイロンロックナットになっている。他のと混じらないように分けておいた方がいいだろう。
7)
変速機側も無事に外れた。
ブレーキワイヤーとブレーキをフレームに固定しているネジも外さないといけない。
ブレーキワイヤーをブレーキユニットに留めているネジは、前後に動くアームに付いているため、外す時には力が入れにくい。泥汚れも付いているので高分子潤滑剤を少し吹いて緩みやすくした。ただし、後でちゃんと拭いておかないと走行中に緩んだりするので大変だ。
天井の明かりだけなのでシャッター速度が遅く、写真が少しピンボケになってしまったが、まあ困らないからいいか。
8)
車輪を外したところでタイヤから空気を抜く。
抜かないとタイヤは外せないよ?
バルブを固定しているネジを緩めて少しバルブを引いてやればすぐにブシッと抜けるが、いきなりネジを完全に外してしまうとバルブが空気圧で飛んだりするので気をつけよう。どこかへ飛んで見失ったり、もし当ったら怪我をしかねないぞ。
写真は外したバルブ。わかりにくいが虫ゴムが少し傷んでいる。100均のパンク修理キットに入っていたので、ついでに交換しておこう。
虫ゴムはかなり奥まで入れないといけないが、バルブに少し水をつけておくと滑りがよくなって比較的楽に入れることができるぞ。
9)
タイヤを外すために使うタイヤレバーという工具。
まぬけ屋で買うと3本で500円ぐらいするが、100均のパンク修理キットに2本入っていたのでこれを利用する。
でも、やっぱり3本あった方が作業しやすかったと思う。今回、足らない分はプライヤーの柄などで代用した。
ちなみに、樹脂製と金属製があって、専門家は金属製の方が丈夫でいいと言っているな。しかし、ハヤカワさんの自転車はリムがアルミ製で傷つきやすいし、シロウトが金属製を使うとチューブなんかを傷つけてしまいそうな気がしたので樹脂製のを買った。
この工具のヘラ状の方をリムとタイヤの間に差し込んでテコの原理で穿り出し、フック状の方をスポークに引っ掛けて固定するのだ。
そうしておかないと、せっかくリムから穿り出したタイヤが元に戻っちゃうぞ。
同じ要領で次々と穿り出し、全周の三分の一ぐらいまで外せば後は手でも外せる。
作業中は両手を使っていたので写真が残せなかったよ。
10)
ちょっと分かりにくいが、タイヤがリムから外れて中のチューブが見えている。
先にチューブをズルズル引きずり出してから、タイヤを完全にリムから外してしまおう。
11)
古いタイヤを外した状態の車輪。
リムの中央に見える黒い帯は、リムテープというものだそうだ。なんでも、スポークでチューブが傷つけられるのを防ぐ役目のものらしい。これが切れていたりしたら、パンクの原因になるので交換しないといけないのだが、見たところ問題はなさそうなのでこのままで作業を続ける。
12)
これが新しいタイヤ。直径が20インチで幅が1.75インチという、折り畳み自転車ではよく使われているサイズ。
そういえば、スパナを買いに行ったホームセンターでも同じものが同じ値段で売っていた。くそぅ知っていればまぬけ屋を儲けさせるようなマネをしなくても済んだのに。
13)
まず、新しいタイヤにチューブをバルブの部分だけ押し込み、リムのバルブの穴に合わせてタイヤの縁を片側だけリムに嵌める。
バルブの周囲は、ゴム製のチューブと金属製のバルブを接合する場所だから、ゴムが他の場所より厚くなっていてとっても硬いし、バルブが長く飛び出しているから、タイヤを嵌めてからだと押し込もうと思っても難しいんだね。うん、ハヤカワさん最初失敗した。後でも入れられるんじゃないかと思ってやってみたら入らなかっよ。
タイヤの片側がリムに納まったら、チューブをタイヤの中に入れていこう。
チューブ全体をタイヤに入れてから嵌めてもいいような気がするけど、チューブをリムに挟んでしまうとパンクの元だから、多分その危険を少なくするためなんじゃないかな。
チューブがタイヤの中に入ったのを確認して、タイヤを完全に嵌めよう。チューブを傷つけないためにも、手作業でやった方がいいみたいだ。最後の方は力のない人だとキツイかもしれないので、タイヤレバーを使うといい。レバーを外す時とは裏返しにして、ヘラのしゃくれた方をリムに引っ掛けてタイヤの縁を滑らすようにするとやりやすいだろう。
終わったらリムとタイヤの間をチェックして、チューブが挟まれていないかきちんと確認しよう。
14)
これでどうにか完成。最後に、バルブがリムから垂直に出ているか確認しよう。これが斜めになっていると、空気を入れた時にバルブの根元にムリな力がかかってしまい、最悪チューブが裂けてしまうような事故にもなりかねないのだそうだ。
もし斜めになっていたら、タイヤを少しずらして調節する。空気が入る前ならそれほど力を入れなくても動くはずだ。
後は外した時とは逆の手順でフレームに戻してやればいい。ついでにチェーンのテンションも調整しておこう。張った状態でチェーンを押して、1~2cm動くぐらいがいいようだ。チェーンは緩んでいても張り過ぎてもよくないのだ。
また、今回はドラムブレーキのワイヤーを外してしまっているので、ワイヤーの調整も忘れずに。チェーンの調整次第では、外す前と同じ場所で留めてもブレーキの効きが変わってしまうことがあるのだ。
今回の作業時間はおよそ2時間弱。いろいろ手探りの部分があった割には早く終わったと思う。
いろいろノウハウを溜め込めたから、次はもっと早くできるだろう。まあ、当分やる機会はないだろうけど。
それだけならまだしも、ゴムが劣化して亀裂が入ってたりした。
こりゃこのまま乗ってるとチューブまでいっちまうなあ、ということで、タイヤを交換することにしたよ。
都合よく駅前のまぬけ屋雑貨店の自転車売り場に、ちょうどサイズが合う交換用のタイヤが置いてあったので、自力でやってみることにした。WEBで交換の方法をざっと調べたんだけど、やっぱり知識と実践ではちょっとした違いがあったりする。まあハヤカワさんの自転車が内装式変速機ってワリとやっかいなヤツだったこともあるんで、覚え書き程度にレポをしてみよう。次にやるときに便利だし。
ところで、状況のメモとしてケータイで写真を撮りながらやってたんだけど、通信速度が遅いのでなかなかPCに送ることができない。んだもんで、写真が揃ったところからボチボチと書いていくことにするよ。
※だいたい書けたかな。しかし、ここのブログのエディタは写真を入れる時の動作がわかりにくいね。妙なHTML文吐き出すし。
1)
これがハヤカワさんの愛車だ。
今は無きヨコタサイクルというアッセンブルメーカーが作ったもの。この手の自転車としてはちょっと重いが、折りたたむと玄関に収納できるので防犯上よろしいものだ。
2a)
これが件のタイヤ。作業をやりやすくするために自転車は逆さにしてある。下準備として、ハンドル周りについているミラーやベルなどは外しておいた。
なお、作業場はリビングで、床に汚れや傷を付けないために薄いスポンジにアルミを蒸着させたキャンプ用のシートを敷いてある。冬場は炬燵の下に敷く断熱シートとして利用しているものだが、こういう時にも役に立つ。
それにしても、溝がすっかり消滅しているだけでなく、あと少しでチューブまで露出してしまうほど磨り減っていた。すごく危険な状態であることは間違いない。ブレの原因はおそらくこれだろう。
2b)
側面にも深い亀裂が入っている。

先月ぐらいにチェックしたときはこんな傷はなかったので、やはりここ数日で急激にきたのだと思う。
これもブレに相当影響してるだろうな。
こうなったら何が何でも交換しないと、パンクだけで済めば御の字、転倒して大怪我をする可能性もあるだろう。
3)
タイヤを交換するとなると、まずはフレームからリムごと外さなくてはならない。前輪ならただナットを外すだけでいいが、後輪にはチェーンや内装式変速機、スタンド、ドラムブレーキなどさまざまなパーツが付いているため少々手間がかかる。
自転車屋の手間賃も後輪の方が高いらしい。
こちらは変速機側。逆さにして変速機のカバーを外した状態。
車軸の中央に変速機用のピンが出ていて、手前のレバーがそれを押すことでギアが変わる。
車軸には外側から、ナット、ワッシャー、泥除けのステー、変速機レバーのマウント、スタンドの順に重ねられている。
このためかなり作業できる範囲が狭く、最初は手持ちのモンキースパナでナットを回そうとしたのだが、ギリギリでモンキーの頭が入っただけで、ほとんどナットを回せなかった。力任せにやるとナットの角を舐めたり、他の部品を傷つけてしまいそうだ。
ボックスレンチが使えれば楽なのだが、この構造では薄型スパナか、頭が小さいメガネスパナでなければ無理だ。なぜか手持ちに丁度合うサイズのスパナが無い。そういえば、このサイズのスパナは昔乗っていたバイクの車載工具に混ぜてしまっていた。売った時に回収するのを忘れていたようだ。ので、急遽ホームセンターまでメガネスパナを買いに走ることに。いや、まぬけ屋でも売ってるんだけどね、さすがに工具となるとあそこは信用できんのよ。
4)
こちらはチェーン側のナット。特に障害物がないのでモンキーでも簡単に回せた。
光源の関係で少し暗いが、外側からナット、ワッシャー、泥除けのステー、フレームを挟んでチェーンのテンションを調整するためのネジが付いているのがわかる。
5)
メガネスパナを買ってきたところで、両側のナットをどうにか緩めることができた。
ちなみに、変速機側のナットだが、メガネスパナを使う時には変速機のピンを指で押し込んで、その隙にスパナを差し込まなくてはならない。そんなに力が必要なものでもないのだが、手間は手間。周囲が油だらけなのでテープなどで固定しておけないから、なにか上手い方法はないだろうか。次までの課題だな。
車輪が自由に動くようになったのでチェーンを外す。この時、ペダル側のチェーンも外しておかないと、車輪をフレームから完全に外すことができない。
この時点で手は油だらけ。もう少し時間があれば古い油を落としたかった。
6)
チェーンのテンションを調整するネジ。車軸に通す穴がオフセットされているので、組み付ける時に間違わないように注意しなければいけないのでメモ代わりの写真。
なお、これに使うナットはナイロンロックナットになっている。他のと混じらないように分けておいた方がいいだろう。
7)
変速機側も無事に外れた。
ブレーキワイヤーとブレーキをフレームに固定しているネジも外さないといけない。
ブレーキワイヤーをブレーキユニットに留めているネジは、前後に動くアームに付いているため、外す時には力が入れにくい。泥汚れも付いているので高分子潤滑剤を少し吹いて緩みやすくした。ただし、後でちゃんと拭いておかないと走行中に緩んだりするので大変だ。
天井の明かりだけなのでシャッター速度が遅く、写真が少しピンボケになってしまったが、まあ困らないからいいか。

車輪を外したところでタイヤから空気を抜く。
抜かないとタイヤは外せないよ?
バルブを固定しているネジを緩めて少しバルブを引いてやればすぐにブシッと抜けるが、いきなりネジを完全に外してしまうとバルブが空気圧で飛んだりするので気をつけよう。どこかへ飛んで見失ったり、もし当ったら怪我をしかねないぞ。
写真は外したバルブ。わかりにくいが虫ゴムが少し傷んでいる。100均のパンク修理キットに入っていたので、ついでに交換しておこう。
虫ゴムはかなり奥まで入れないといけないが、バルブに少し水をつけておくと滑りがよくなって比較的楽に入れることができるぞ。
9)
タイヤを外すために使うタイヤレバーという工具。
まぬけ屋で買うと3本で500円ぐらいするが、100均のパンク修理キットに2本入っていたのでこれを利用する。
でも、やっぱり3本あった方が作業しやすかったと思う。今回、足らない分はプライヤーの柄などで代用した。
ちなみに、樹脂製と金属製があって、専門家は金属製の方が丈夫でいいと言っているな。しかし、ハヤカワさんの自転車はリムがアルミ製で傷つきやすいし、シロウトが金属製を使うとチューブなんかを傷つけてしまいそうな気がしたので樹脂製のを買った。
この工具のヘラ状の方をリムとタイヤの間に差し込んでテコの原理で穿り出し、フック状の方をスポークに引っ掛けて固定するのだ。
そうしておかないと、せっかくリムから穿り出したタイヤが元に戻っちゃうぞ。
同じ要領で次々と穿り出し、全周の三分の一ぐらいまで外せば後は手でも外せる。
作業中は両手を使っていたので写真が残せなかったよ。
10)
ちょっと分かりにくいが、タイヤがリムから外れて中のチューブが見えている。
先にチューブをズルズル引きずり出してから、タイヤを完全にリムから外してしまおう。
11)
古いタイヤを外した状態の車輪。
リムの中央に見える黒い帯は、リムテープというものだそうだ。なんでも、スポークでチューブが傷つけられるのを防ぐ役目のものらしい。これが切れていたりしたら、パンクの原因になるので交換しないといけないのだが、見たところ問題はなさそうなのでこのままで作業を続ける。
12)
これが新しいタイヤ。直径が20インチで幅が1.75インチという、折り畳み自転車ではよく使われているサイズ。
そういえば、スパナを買いに行ったホームセンターでも同じものが同じ値段で売っていた。くそぅ知っていればまぬけ屋を儲けさせるようなマネをしなくても済んだのに。
13)
まず、新しいタイヤにチューブをバルブの部分だけ押し込み、リムのバルブの穴に合わせてタイヤの縁を片側だけリムに嵌める。
バルブの周囲は、ゴム製のチューブと金属製のバルブを接合する場所だから、ゴムが他の場所より厚くなっていてとっても硬いし、バルブが長く飛び出しているから、タイヤを嵌めてからだと押し込もうと思っても難しいんだね。うん、ハヤカワさん最初失敗した。後でも入れられるんじゃないかと思ってやってみたら入らなかっよ。
タイヤの片側がリムに納まったら、チューブをタイヤの中に入れていこう。
チューブ全体をタイヤに入れてから嵌めてもいいような気がするけど、チューブをリムに挟んでしまうとパンクの元だから、多分その危険を少なくするためなんじゃないかな。
チューブがタイヤの中に入ったのを確認して、タイヤを完全に嵌めよう。チューブを傷つけないためにも、手作業でやった方がいいみたいだ。最後の方は力のない人だとキツイかもしれないので、タイヤレバーを使うといい。レバーを外す時とは裏返しにして、ヘラのしゃくれた方をリムに引っ掛けてタイヤの縁を滑らすようにするとやりやすいだろう。
終わったらリムとタイヤの間をチェックして、チューブが挟まれていないかきちんと確認しよう。
14)
これでどうにか完成。最後に、バルブがリムから垂直に出ているか確認しよう。これが斜めになっていると、空気を入れた時にバルブの根元にムリな力がかかってしまい、最悪チューブが裂けてしまうような事故にもなりかねないのだそうだ。
もし斜めになっていたら、タイヤを少しずらして調節する。空気が入る前ならそれほど力を入れなくても動くはずだ。
後は外した時とは逆の手順でフレームに戻してやればいい。ついでにチェーンのテンションも調整しておこう。張った状態でチェーンを押して、1~2cm動くぐらいがいいようだ。チェーンは緩んでいても張り過ぎてもよくないのだ。
また、今回はドラムブレーキのワイヤーを外してしまっているので、ワイヤーの調整も忘れずに。チェーンの調整次第では、外す前と同じ場所で留めてもブレーキの効きが変わってしまうことがあるのだ。
今回の作業時間はおよそ2時間弱。いろいろ手探りの部分があった割には早く終わったと思う。
いろいろノウハウを溜め込めたから、次はもっと早くできるだろう。まあ、当分やる機会はないだろうけど。
2010年11月9日火曜日
今日の雑感011
寒いので炬燵を出すと急に暖かくなるワナ。
それはそれとして、親がテレビを買い換えたので、代わりにエコポイントの申請をしてみたわけですが、ありゃあ政府の陰謀ですなあ。
テレビを買った電器屋で申請用紙の付いた冊子をもらっていたので、それを見ながら書いてみたものの、これがすっげえわかりにくい。その上、名前や電話番号までは分かるとしても、なぜ生年月日まで書かせるのか? 添付する書類も、保証書やなんやはコピーでいいのに、レシートだけは原本じゃないとダメだとかね。んで、申請書を書き終わったら確認のためコピーを残しとけとかね。おかげで何度もコンビニまでコピーを取りに行く羽目になりましたよ。今年になって近くにローソンができたからいいものの、そうでなけりゃ自転車で上り坂を5分ぐらい走っていかなけりゃならないところだ。
で、さらにわからないのがポイントでもらえる商品ね。
ハヤカワさんちでは牛肉やらブランド米やらには興味がないもんで、手頃な商品券と交換しようと思ったわけですが、冊子に載ってるリストには、ごく狭い地域でしか使えないプリペイドカードや商品券ばっかりで、とてもじゃないが交換しようなんて気にはなれませんよ。第一、交換したところでハヤカワさんの居住地じゃ使えないものばっかりだし。
だがしかし、これは流石におかしいだろうと思って冊子をよく見てみると、すっげえ小さく“ウェブサイトにもっとたくさんリストがあるよ”とか書いてあるじゃありませんか。
早速のぞいてみるハヤカワさんですが、そうしたらアレだ、そこには全国普く使えるような便利な商品券がいっぱい載ってましたよ!
おめぇ、こりゃ年寄りやネットに疎い人だと気が付かないよ? んで、ほとんど役に立たないような地域振興券みたいのと交換しちゃうよ? よくてブランド米だ。これも希望小売価格での交換だから割高だしよ。
まったく、煩雑な手続きで申請する意欲を失わせて、さらに魅力のない交換商品でより意欲を奪うという二段構えで申請数を減らそうというワナですよ。役人どもの悪知恵には孔明もびっくりだ。
※なんか4日間ぐらい誰もきてないね。まいっか。←11月11日 あ、ゾロ目だ
※むう、弱音を吐くと急にアクセスが増えるぞ? どうやって感知してるんだろう?←11月12日
それはそれとして、親がテレビを買い換えたので、代わりにエコポイントの申請をしてみたわけですが、ありゃあ政府の陰謀ですなあ。
テレビを買った電器屋で申請用紙の付いた冊子をもらっていたので、それを見ながら書いてみたものの、これがすっげえわかりにくい。その上、名前や電話番号までは分かるとしても、なぜ生年月日まで書かせるのか? 添付する書類も、保証書やなんやはコピーでいいのに、レシートだけは原本じゃないとダメだとかね。んで、申請書を書き終わったら確認のためコピーを残しとけとかね。おかげで何度もコンビニまでコピーを取りに行く羽目になりましたよ。今年になって近くにローソンができたからいいものの、そうでなけりゃ自転車で上り坂を5分ぐらい走っていかなけりゃならないところだ。
で、さらにわからないのがポイントでもらえる商品ね。
ハヤカワさんちでは牛肉やらブランド米やらには興味がないもんで、手頃な商品券と交換しようと思ったわけですが、冊子に載ってるリストには、ごく狭い地域でしか使えないプリペイドカードや商品券ばっかりで、とてもじゃないが交換しようなんて気にはなれませんよ。第一、交換したところでハヤカワさんの居住地じゃ使えないものばっかりだし。
だがしかし、これは流石におかしいだろうと思って冊子をよく見てみると、すっげえ小さく“ウェブサイトにもっとたくさんリストがあるよ”とか書いてあるじゃありませんか。
早速のぞいてみるハヤカワさんですが、そうしたらアレだ、そこには全国普く使えるような便利な商品券がいっぱい載ってましたよ!
おめぇ、こりゃ年寄りやネットに疎い人だと気が付かないよ? んで、ほとんど役に立たないような地域振興券みたいのと交換しちゃうよ? よくてブランド米だ。これも希望小売価格での交換だから割高だしよ。
まったく、煩雑な手続きで申請する意欲を失わせて、さらに魅力のない交換商品でより意欲を奪うという二段構えで申請数を減らそうというワナですよ。役人どもの悪知恵には孔明もびっくりだ。
※なんか4日間ぐらい誰もきてないね。まいっか。←11月11日 あ、ゾロ目だ
※むう、弱音を吐くと急にアクセスが増えるぞ? どうやって感知してるんだろう?←11月12日
2010年11月5日金曜日
今日の雑感010
現在世間を騒がせている漏洩についてはあんまりお粗末過ぎて語る気も起きませんなあ。
さて、それはさておいて、今日も今日とてメールボックスにはスパムが景気よく流れ込んでくるわけですが、コレがインターネットの帯域の大半を占めているらしいですなあ。P2Pなんてのもかなり帯域を占有しているといわれるものの、スパムに比べればハナクソみたいなものだそうで。
んで、なんでスパムが止まないかというと、それはメールが無料だからなんですな。
無料だから無制限にスパムを出したとしても一銭も損にはならず、10万通に1通でも引っかかる阿呆がいれば大儲けというわけですよ。あ、大半のスパム業者はセキュリティの脆弱なPCを乗っ取って踏み台にしているから、メールサーバ運用の固定費すらかけてなかったりするようですよ。
そんな現状を変えるには、メールを有料化するのが一番なんですよ。1通当りの費用なんか1円以下で十分。たとえ1通1銭だとしても、スパム業者なんか日に何十万通も出すんだから、それだけでも数万円のメール代になりますからね。今みたいな数撃ちゃ当たる的なことやってたんじゃあすぐ赤字になっちまいますよ。
業者にPCを乗っ取られて気が付かないってのも、大抵はPCがちょっと重くなるぐらいしか実害がないからだし、突然身に覚えのない請求がやってくれば嫌でも気が付きますからね。よほどの阿呆でもないかぎりセキュリティを考えるようになるでしょ。
メール依存の小僧どもにも多少はブレーキがかかるだろうし、メールの有料化はいいことずくめなんですよ。
課金の徴収方法や、その利益を誰が手に入れるのかでモメるような気はしますが。なんならハヤカワさんがいただくというのはどうか?
※また面接に落ちたよ。どうやら世界はハヤカワさんに仕事をさせる気はないみたいだ。←11月7日
※表面上なにも動いていないが、水面下ではいろいろと画策しているので、近いうちに見せられればとは思う。←11月8日
さて、それはさておいて、今日も今日とてメールボックスにはスパムが景気よく流れ込んでくるわけですが、コレがインターネットの帯域の大半を占めているらしいですなあ。P2Pなんてのもかなり帯域を占有しているといわれるものの、スパムに比べればハナクソみたいなものだそうで。
んで、なんでスパムが止まないかというと、それはメールが無料だからなんですな。
無料だから無制限にスパムを出したとしても一銭も損にはならず、10万通に1通でも引っかかる阿呆がいれば大儲けというわけですよ。あ、大半のスパム業者はセキュリティの脆弱なPCを乗っ取って踏み台にしているから、メールサーバ運用の固定費すらかけてなかったりするようですよ。
そんな現状を変えるには、メールを有料化するのが一番なんですよ。1通当りの費用なんか1円以下で十分。たとえ1通1銭だとしても、スパム業者なんか日に何十万通も出すんだから、それだけでも数万円のメール代になりますからね。今みたいな数撃ちゃ当たる的なことやってたんじゃあすぐ赤字になっちまいますよ。
業者にPCを乗っ取られて気が付かないってのも、大抵はPCがちょっと重くなるぐらいしか実害がないからだし、突然身に覚えのない請求がやってくれば嫌でも気が付きますからね。よほどの阿呆でもないかぎりセキュリティを考えるようになるでしょ。
メール依存の小僧どもにも多少はブレーキがかかるだろうし、メールの有料化はいいことずくめなんですよ。
課金の徴収方法や、その利益を誰が手に入れるのかでモメるような気はしますが。なんならハヤカワさんがいただくというのはどうか?
※また面接に落ちたよ。どうやら世界はハヤカワさんに仕事をさせる気はないみたいだ。←11月7日
※表面上なにも動いていないが、水面下ではいろいろと画策しているので、近いうちに見せられればとは思う。←11月8日
2010年11月1日月曜日
今日の雑感009
父の葬儀もなんとか終わり、そろそろ通常営業に戻します。
介護の手も必要なくなったことだし、少し仕事関係で攻勢に出なければ。
※当面の生活費のこともあるので、明日バイトの面接にいく。←11月3日
介護の手も必要なくなったことだし、少し仕事関係で攻勢に出なければ。
※当面の生活費のこともあるので、明日バイトの面接にいく。←11月3日
2010年10月22日金曜日
鉄少メモ001
成層圏プラットホームにもそろそろ飽きてきたので新しい、というか古いネタを引っ張り出してリニューアルを敢行するのである。
NCブログでちょっと公開した『鉄道少女隊』というヤツなんだが、基本設定をいじくって再出発しようと思うのだ。
とりあえず、現時点での基本的な設定を掲載しておこう。
・鉄道少女隊世界設定
この物語の部隊となる世界は、地理歴史とも現在の世界とほぼ同じである。
時代は一次大戦直後から二次大戦直前までの、いわゆる戦間期に当たる。
これより少し前の時代、先進地域である欧州で各国が競うように国家事業としての物流インフラに注力し、その成果である巨大な鉄道網による活発な物流が国家の旺盛な経済発展の支えとなっていた。
しかし、拡大する各国の経済活動が国境を越えて衝突するようになると、各地で地域紛争が絶えない時代となり、紛争国同士による互いの鉄道の封鎖や破壊により鉄道の運行に支障をきたすようになってしまった。
このため、特に港湾を持たない内陸国家では経済の疲弊が激しく、海運によって最低限の物流を確保することができた沿岸国家でも、内陸国家との物流量が激減したことによる経済活動の低下は無視できるものではなくなっていた。
紛争が長期化してきた頃、これら疲弊した国家の一部では、鉄道を共同運営することにより、紛争が発生しても一定の物流が確保できるように事態を改善しようとする動きが始まった。
これらの国家間では国際鉄道委員会とよばれる超国家的組織が設置され、各国は国家のインフラとして整備されてきた鉄道を国際鉄道委員会に委譲することで、委員会が国家の思惑に左右されることなく独自の裁量で鉄道の経営をおこない、国家間の紛争が物流に影響することを防ぐことを考えた。巨大な植民地や領土を保有し、その経済圏内で自給を可能とする大国は知らず、国外との物流が経済の死命を決する小国にとって、紛争に影響されない経済活動は、たとえ紛争当事国であっても歓迎すべきことであった。要するに、経済面での相互安全保障を実現するために、物流網から国家の影響を排除する仕組みを形成したのである。
これに、地中海貿易の復権による大国化を目指すイタリア、スエズ運河を利用して英国の海上貿易支配を崩そうと考えるフランスが便乗し、紛争による封鎖に最も影響を受ける内陸国であり、永世中立であるスイス連邦を中心にして国際鉄道委員会を設立するための事前会議が召集されることとなった。この会議によって、国家ごとによってバラバラな鉄道の規格を統一して円滑な国際物流を実現するための連絡調整機関であった欧州鉄道会議を母体として、国際鉄道委員会(設立当初は欧州鉄道委員会であった)の設立が宣言されたのである。
そして1905年、イタリア-スイス間にシンプロントンネルが開通したことを以って、国際鉄道委員会の本格的な活動が開始される。国際鉄道委員会の管理下にある鉄道路線とその沿線では、紛争下であっても貨物取り扱い量の減少を最低限に抑えることに成功し、加盟国の経済も設立以前の水準を回復し、さらに発展を見せるまでになった。
この成功は他の国家を刺激し、国際鉄道委員会への加盟を求める国家が増加していった。そして、いつしか国際鉄道委員会は欧州だけでなく他の地域の国家までもを呑み込む巨大組織へと成長したのである。
この物語は、このような時代背景において、国際鉄道委員会に加盟したばかりの極東の新興国出身の少女が、国際鉄道委員会の保安局員として世界をめぐる冒険へ旅立つところから始まる。
※入院中の父親が壊れつつある。←10月22日
※父危篤の報あり。←10月25日
※今夜が池田ァァッ! ちが、山だ。←10月26日
※10月27日午前3時30分、永眠。
※10月28日通夜。
※10月29日本葬。
NCブログでちょっと公開した『鉄道少女隊』というヤツなんだが、基本設定をいじくって再出発しようと思うのだ。
とりあえず、現時点での基本的な設定を掲載しておこう。
・鉄道少女隊世界設定
この物語の部隊となる世界は、地理歴史とも現在の世界とほぼ同じである。
時代は一次大戦直後から二次大戦直前までの、いわゆる戦間期に当たる。
これより少し前の時代、先進地域である欧州で各国が競うように国家事業としての物流インフラに注力し、その成果である巨大な鉄道網による活発な物流が国家の旺盛な経済発展の支えとなっていた。
しかし、拡大する各国の経済活動が国境を越えて衝突するようになると、各地で地域紛争が絶えない時代となり、紛争国同士による互いの鉄道の封鎖や破壊により鉄道の運行に支障をきたすようになってしまった。
このため、特に港湾を持たない内陸国家では経済の疲弊が激しく、海運によって最低限の物流を確保することができた沿岸国家でも、内陸国家との物流量が激減したことによる経済活動の低下は無視できるものではなくなっていた。
紛争が長期化してきた頃、これら疲弊した国家の一部では、鉄道を共同運営することにより、紛争が発生しても一定の物流が確保できるように事態を改善しようとする動きが始まった。
これらの国家間では国際鉄道委員会とよばれる超国家的組織が設置され、各国は国家のインフラとして整備されてきた鉄道を国際鉄道委員会に委譲することで、委員会が国家の思惑に左右されることなく独自の裁量で鉄道の経営をおこない、国家間の紛争が物流に影響することを防ぐことを考えた。巨大な植民地や領土を保有し、その経済圏内で自給を可能とする大国は知らず、国外との物流が経済の死命を決する小国にとって、紛争に影響されない経済活動は、たとえ紛争当事国であっても歓迎すべきことであった。要するに、経済面での相互安全保障を実現するために、物流網から国家の影響を排除する仕組みを形成したのである。
これに、地中海貿易の復権による大国化を目指すイタリア、スエズ運河を利用して英国の海上貿易支配を崩そうと考えるフランスが便乗し、紛争による封鎖に最も影響を受ける内陸国であり、永世中立であるスイス連邦を中心にして国際鉄道委員会を設立するための事前会議が召集されることとなった。この会議によって、国家ごとによってバラバラな鉄道の規格を統一して円滑な国際物流を実現するための連絡調整機関であった欧州鉄道会議を母体として、国際鉄道委員会(設立当初は欧州鉄道委員会であった)の設立が宣言されたのである。
そして1905年、イタリア-スイス間にシンプロントンネルが開通したことを以って、国際鉄道委員会の本格的な活動が開始される。国際鉄道委員会の管理下にある鉄道路線とその沿線では、紛争下であっても貨物取り扱い量の減少を最低限に抑えることに成功し、加盟国の経済も設立以前の水準を回復し、さらに発展を見せるまでになった。
この成功は他の国家を刺激し、国際鉄道委員会への加盟を求める国家が増加していった。そして、いつしか国際鉄道委員会は欧州だけでなく他の地域の国家までもを呑み込む巨大組織へと成長したのである。
この物語は、このような時代背景において、国際鉄道委員会に加盟したばかりの極東の新興国出身の少女が、国際鉄道委員会の保安局員として世界をめぐる冒険へ旅立つところから始まる。
※入院中の父親が壊れつつある。←10月22日
※父危篤の報あり。←10月25日
※今夜が池田ァァッ! ちが、山だ。←10月26日
※10月27日午前3時30分、永眠。
※10月28日通夜。
※10月29日本葬。
2010年10月17日日曜日
ネタメモ005(往還機)
さて、ようやく往還機にたどり着いたぞ。
往還機を考える時に問題となるのが、大気中と宇宙空間という、大きく異なった2つの環境下で動作させなければならないということ。そして、それを解決した上で、運用コストを如何に引き下げるかということだ。
大気中を飛行する航空機は大気を様々な形で利用して飛んでいる。しかし、宇宙空間ではそれを利用することはできない。
具体的に言うと、重力に逆らって機体を空中に浮かせる揚力と、内燃機関(レシプロ機関だけでなくジェット機関も内燃機関に含まれるぞ)を動作させるのに必要な酸素だ。
宇宙空間で動作するロケット機関もやはり内燃機関の一種であるが、酸素のない宇宙空間で動作させるために、大量の酸素を固体や液体の形で持っている。打ち上げ時に大気中を飛行している最中でも、外部からの酸素供給を受けずに、自前の酸素で動いているのだ。つまり、大気中の酸素が利用できれば持っていかなくてもいい重量を持ち上げているということだ。
これは、酸素のない宇宙空間だけでなく、地球の重力を振り切るのに必要な超高速(およそ時速28000km≒マッハ22)で確実に動作するジェット機関が存在しないためだ。
そこで現在、酸素を利用できる機関として、スクラムジェットという機関が研究されている。これが実用化されれば、大気圏を脱出するまでの分の酸素は持たなくてもよくなるため、重量の大幅軽減ができることになる。つまり、同じ重量を宇宙に打ち上げるのであれば、より低出力な機関で可能性になるわけだ。機関は出力が大きくなるほど製造やメンテナンス、消費燃料などのコストが増大する傾向にある。スクラムジェットは運用の低コスト化には必須の技術だといえるだろう。
だがしかし、スクラムジェットにも問題がある。
とりあえず、実用のための技術的問題が解決されたとしよう。しかし、スクラムジェットの動作速度領域はマッハ5~15とされている。マッハ15以上はおそらく酸素を利用できない高度になるため、旧来のロケット機関になるから(デッドウェイトの点を除けば)大きな問題はない。しかし、成層圏プラットホームが飛行する亜音速域から、スクラムジェットが動作するマッハ5までの加速には別の機関が必要になってしまうのだ。このために別の機関を搭載するとなると、これまでのターボジェットなどでは燃料も異なる(スクラムジェットは燃焼速度が高いため水素を燃料とすることが有力視されている。これには液体ロケット機関と燃料を共通化できるメリットもある)し、さらなるデッドウェイトを抱え込むことになるので、スクラムジェットの採用によって生まれた重量面でのメリットが消し飛んでしまうのだ。
<書きかけ>
大気圏再突入時の最大の敵は“熱”だ。
現在の宇宙機では、落下による速度を空気抵抗で熱に変えて減少させている。スペースシャトルでは、地上の滑走路に着陸するため、滑走路の長さや着地時に受ける衝撃の大きさから、一定以下の速度に減速しなければならない。減速を空気抵抗のみに頼った場合、機体と空気の摩擦によって大きな熱が発生することになる。まあ、これは自動車のブレーキが摩擦によって運動エネルギーを熱エネルギーに変換して減速するのと同じだから、避けることはできないわけだ。
ということは、熱を減少させるには減速率を落としてやればいいわけだ。
減速率を落とすためには、大気圏再突入時と着陸時の速度の差を小さくすることが考えられる。
先に説明したように、地上の滑走路に着陸するための速度というのは滑走路の長さや機体強度などから上限が決まってしまうから、差を縮めるためには再突入速度の方を低下させるということになる。
ところが、大気圏再突入時の速度というのは厳密な計算によって決まっていて、それよりも速くても遅くても失敗してしまうのだ。この辺りの細かい内容はこんなブログでは説明しきれないので、気になる場合は自分でググってもらいたい。
ものすごく簡単に言うと、水面で石を跳ねさせる「水切り」という遊びを思い出してもらいたい。水面が大気圏で石が往還機だとすると、速度が速すぎると往還機は大気圏に弾かれてしまい、遅すぎるとすぐに沈んでしまうのだ。すぐに沈むなら問題ないと思われるだろうが、上に書いたようにすぐに沈むと減速率が高すぎて高熱を発し、地上に辿り着く前に燃え尽きてしまうのだ。
どっちも速度を変更するのが難しい、となればその途中でなんらかの方法で減速するしかないということになる。
スペースシャトルはマッハ20以上の高速で再突入し、地上近くではおよそ700km、着地時にはおよそ350kmに減速するようだ。ということは、成層圏プラットホームが亜音速で移動するとすれば、往還機を相対速度0で回収することが可能になるわけだ。ああ、やっと成層圏プラットホームの価値が出てきたぞ。
また、減速距離を長くすれば、それだけ減速率を低く抑えることが可能だ。スペースシャトルは、リフティングボディという揚力を発生する機体形状で作られているが、いかんせん帰還時は動力を持たないため、滑空というよりは制御された落下と言ったほうが正しい。打ち上げ時の問題もあって翼の大型化ができない以上、現状よりも減速率を低くすることはできないだろう。
しかし、十分な出力を持った動力があれば水平飛行が可能になるため、減速率(落下率と言い換えてもいいだろう)を大幅に減少させることが可能だ。
ふと思ったんだけど、スペースシャトルって冷戦時代の遺物でもあるんだよね。もしかしたら、ホントはもっと減速率を減らす降下方法とかがあったのに、共産圏の領空を飛行できないからああなったんだったりして。妄言だけど。
※書きかけ、これからどんどん長くなる。
往還機を考える時に問題となるのが、大気中と宇宙空間という、大きく異なった2つの環境下で動作させなければならないということ。そして、それを解決した上で、運用コストを如何に引き下げるかということだ。
大気中を飛行する航空機は大気を様々な形で利用して飛んでいる。しかし、宇宙空間ではそれを利用することはできない。
具体的に言うと、重力に逆らって機体を空中に浮かせる揚力と、内燃機関(レシプロ機関だけでなくジェット機関も内燃機関に含まれるぞ)を動作させるのに必要な酸素だ。
宇宙空間で動作するロケット機関もやはり内燃機関の一種であるが、酸素のない宇宙空間で動作させるために、大量の酸素を固体や液体の形で持っている。打ち上げ時に大気中を飛行している最中でも、外部からの酸素供給を受けずに、自前の酸素で動いているのだ。つまり、大気中の酸素が利用できれば持っていかなくてもいい重量を持ち上げているということだ。
これは、酸素のない宇宙空間だけでなく、地球の重力を振り切るのに必要な超高速(およそ時速28000km≒マッハ22)で確実に動作するジェット機関が存在しないためだ。
そこで現在、酸素を利用できる機関として、スクラムジェットという機関が研究されている。これが実用化されれば、大気圏を脱出するまでの分の酸素は持たなくてもよくなるため、重量の大幅軽減ができることになる。つまり、同じ重量を宇宙に打ち上げるのであれば、より低出力な機関で可能性になるわけだ。機関は出力が大きくなるほど製造やメンテナンス、消費燃料などのコストが増大する傾向にある。スクラムジェットは運用の低コスト化には必須の技術だといえるだろう。
だがしかし、スクラムジェットにも問題がある。
とりあえず、実用のための技術的問題が解決されたとしよう。しかし、スクラムジェットの動作速度領域はマッハ5~15とされている。マッハ15以上はおそらく酸素を利用できない高度になるため、旧来のロケット機関になるから(デッドウェイトの点を除けば)大きな問題はない。しかし、成層圏プラットホームが飛行する亜音速域から、スクラムジェットが動作するマッハ5までの加速には別の機関が必要になってしまうのだ。このために別の機関を搭載するとなると、これまでのターボジェットなどでは燃料も異なる(スクラムジェットは燃焼速度が高いため水素を燃料とすることが有力視されている。これには液体ロケット機関と燃料を共通化できるメリットもある)し、さらなるデッドウェイトを抱え込むことになるので、スクラムジェットの採用によって生まれた重量面でのメリットが消し飛んでしまうのだ。
<書きかけ>
大気圏再突入時の最大の敵は“熱”だ。
現在の宇宙機では、落下による速度を空気抵抗で熱に変えて減少させている。スペースシャトルでは、地上の滑走路に着陸するため、滑走路の長さや着地時に受ける衝撃の大きさから、一定以下の速度に減速しなければならない。減速を空気抵抗のみに頼った場合、機体と空気の摩擦によって大きな熱が発生することになる。まあ、これは自動車のブレーキが摩擦によって運動エネルギーを熱エネルギーに変換して減速するのと同じだから、避けることはできないわけだ。
ということは、熱を減少させるには減速率を落としてやればいいわけだ。
減速率を落とすためには、大気圏再突入時と着陸時の速度の差を小さくすることが考えられる。
先に説明したように、地上の滑走路に着陸するための速度というのは滑走路の長さや機体強度などから上限が決まってしまうから、差を縮めるためには再突入速度の方を低下させるということになる。
ところが、大気圏再突入時の速度というのは厳密な計算によって決まっていて、それよりも速くても遅くても失敗してしまうのだ。この辺りの細かい内容はこんなブログでは説明しきれないので、気になる場合は自分でググってもらいたい。
ものすごく簡単に言うと、水面で石を跳ねさせる「水切り」という遊びを思い出してもらいたい。水面が大気圏で石が往還機だとすると、速度が速すぎると往還機は大気圏に弾かれてしまい、遅すぎるとすぐに沈んでしまうのだ。すぐに沈むなら問題ないと思われるだろうが、上に書いたようにすぐに沈むと減速率が高すぎて高熱を発し、地上に辿り着く前に燃え尽きてしまうのだ。
どっちも速度を変更するのが難しい、となればその途中でなんらかの方法で減速するしかないということになる。
スペースシャトルはマッハ20以上の高速で再突入し、地上近くではおよそ700km、着地時にはおよそ350kmに減速するようだ。ということは、成層圏プラットホームが亜音速で移動するとすれば、往還機を相対速度0で回収することが可能になるわけだ。ああ、やっと成層圏プラットホームの価値が出てきたぞ。
また、減速距離を長くすれば、それだけ減速率を低く抑えることが可能だ。スペースシャトルは、リフティングボディという揚力を発生する機体形状で作られているが、いかんせん帰還時は動力を持たないため、滑空というよりは制御された落下と言ったほうが正しい。打ち上げ時の問題もあって翼の大型化ができない以上、現状よりも減速率を低くすることはできないだろう。
しかし、十分な出力を持った動力があれば水平飛行が可能になるため、減速率(落下率と言い換えてもいいだろう)を大幅に減少させることが可能だ。
ふと思ったんだけど、スペースシャトルって冷戦時代の遺物でもあるんだよね。もしかしたら、ホントはもっと減速率を減らす降下方法とかがあったのに、共産圏の領空を飛行できないからああなったんだったりして。妄言だけど。
※書きかけ、これからどんどん長くなる。
2010年10月14日木曜日
ネタメモ004(ヘルベス)
成層圏プラットホームの話が途中ですが、リネ2のテオン掲示板に書き込んだレスが元スレごと消されてしまったので、ここに書いときます。なお、『傭兵哀歌』本編が次のページに流れているのでご注意ください。
元スレは「ベスペル アヴェンジャー(片手鈍器)にオプションでヘルスを付けるから、トライビューナルを撃つときのセリフを考えよ」というようなものでした。
で、ハヤカワさんがレスしたのが以下の台詞。
……元スレが消されたのはハヤカワさんのせいですかね?
いや、ハヤカワさん運営に何も言われてないからきっと大丈夫さっ!
ヒマなヒトはここのことを元スレの主に教えてあげるといいかも?
元スレ主はホラ、あの人間活火山のヒトですよ。
※この2、3日の体調不良はどうやらミネラル不足だった模様。おやつに黒糖かりんとう食ったら3時間で治った。←10月14日
※今朝、公式掲示板を見ようと思ったら、なぜかサイトに繋がらない。こりゃアレが原因で遮断でもされたかと焦るが、どうやら公式サイトが落ちていたようだ。今は繋がるので一安心。←10月15日
※ウム、昨日はブログ開設以来初めて閲覧者0を記録したぞ。もうダメだ。←10月15日
元スレは「ベスペル アヴェンジャー(片手鈍器)にオプションでヘルスを付けるから、トライビューナルを撃つときのセリフを考えよ」というようなものでした。
で、ハヤカワさんがレスしたのが以下の台詞。
“治せ! ヘルベス! 医者に行け!!”
……元スレが消されたのはハヤカワさんのせいですかね?
いや、ハヤカワさん運営に何も言われてないからきっと大丈夫さっ!
ヒマなヒトはここのことを元スレの主に教えてあげるといいかも?
元スレ主はホラ、あの人間活火山のヒトですよ。
※この2、3日の体調不良はどうやらミネラル不足だった模様。おやつに黒糖かりんとう食ったら3時間で治った。←10月14日
※今朝、公式掲示板を見ようと思ったら、なぜかサイトに繋がらない。こりゃアレが原因で遮断でもされたかと焦るが、どうやら公式サイトが落ちていたようだ。今は繋がるので一安心。←10月15日
※ウム、昨日はブログ開設以来初めて閲覧者0を記録したぞ。もうダメだ。←10月15日
2010年10月8日金曜日
ネタメモ003(成層圏プラットホーム続き)
往還機用のプラットホームを成層圏に置く話の続き。
成層圏プラットホームはどんな機体になるんだろう?
今のところ成層圏を恒常的に飛行する物体というのはないんだが(米国の偵察機SR-71は高度25kmぐらいを飛ぶが、恒常的というほどの頻度ではない、と思う)、成層圏で電波の中継とか衛星がやるような仕事を肩代わりするための無人飛行船っていうのが考えられているので、これを叩き台にしてみよう。
これがまだ実現していないのは、成層圏は空気が薄いから十分な浮力を与えるためには機体が大型化してしまうこと(もちろん固定翼機の揚力も減る)と、空気が薄いといっても流れはあって、場合によっては50m/s(時速にすると180kmぐらい)の強風が吹くこと。大型化した機体は強風で流されやすい。そうなると、中継局としてはちょっと使い難いものになってしまうのだ。
風で煽られると機体がヘシ曲がっちゃったりするしね。まあこれは機体を柔構造にすればなんとかなるんだが、そうすると他の機器との兼ね合いが難しくなってしまうらしい。
というのも、飛行船で使用する機器を動かすには、当然のことながらエネルギーが必要だ。定期航路でもあれば別だが、ちょいちょい気軽に燃料を補給できる場所でもないことからすると、自給自足できる方が望ましい。核動力というのも考えられるが、放射線の遮蔽を十分にやるとすっげー重くなるし、事故が起きたときの影響を考えると無理だろう。
そうなると、もともと衛星の仕事の肩代わりなんだから、衛星と同じように太陽電池パネルを使用するのが手っ取り早い方法だ。数をそろえればプロペラ推進用のモーターも動かせるだろうから、風で流されることの対策にもなる。
しかし、太陽電池パネルを貼るにはしっかりした土台が必要だ。柔構造の軟式飛行船(でっかい風船だと思ってよろしい)ではそこが難しいようだ。1枚や2枚ならともかく、推進用のエネルギーとなるとそれなりの数が必要になるはずだ。
そういや、風の影響が大きいことを考えてたけども、静止状態に置くためには、常に推進している必要があるんだった。衛星軌道なら一度必要な速度を与えてやればそれで済むが、空気抵抗がある高度だと機体の大きさもあるし減速率はパねぇはずだ。さて、手元に資料がないんだけど、どのくらいの速度が必要になるだろう? 人工衛星だと周回軌道(静止軌道ではない)では7.9km/s(時速にすると28440km!)も出さなけりゃならない。静止軌道は少なくともこれより速いはずだ。遅けりゃ落っこっちまうんだからね。まあこれは重力に逆らう遠心力を速度で出す必要があるからこうなるんだけど、浮力体である飛行船だと純粋に地球の自転に同期する速度があればいいことになる。
ちなみに、赤道上での速度は時速にすると1700kmになるらしい。ああ、軽く音速を突破してしまった。もっとも、地球上にある物体は慣性によって自転と同期して動き続けようとするから、実際は空気抵抗や風によって減衰する分を補うだけで済むんだけど。まあどっち、めんどくさい計算だ。
それと、この速度は高度と緯度によって変化する点も見逃せない。ぶっちゃけ自転軸の上空なら“0”なのだ。とはいっても、高緯度だと往還機を打ち上げる時に自転の速度を利用することができなくなるから、できるだけ赤道上空が望ましいのは地上基地と同じ。
まあそんなこんなで、どうやら実用上必要な速度としては時速200km前後のようだ。これが巡航速度だから、位置の調整や何やで時速400km程度出せれば十分だろう。速いなら速いにこしたこたぁないのだが、過大な出力は過大な重量として跳ね返ってくるからあんまりおすすめできない。とりあえず、必要とされる速度の2倍ぐらいのマージンを取っておけば緊急時でもだいたい対応できるはず。これなら現状のテクノロジーでも可能だね。
ということは推進器はプロペラだ。想定した速度だとジェットよりもプロペラの方が効率がいい。動力源はレシプロ、電動モーター、ターボプロップなどが候補になるが、動力の自給を考えると電動モーターが最善だ。十分な出力が得られるかどうかは別として。このへんは技術の進歩が解決するだろうし。
暫定的に浮かべるポイントを太平洋の赤道付近、上空20kmにということに決めよう。
さて、これを往還機用のプラットホームにするとなると、往還機の収容機構だけでなく、整備機構、燃料(液体燃料ロケットの場合は液体酸素や液体水素を保存する極低温に耐えられるタンクが必要)やブースターが必要ならそれの収容場所、往還機に積載する貨物や乗客が待機する場所、それらを地上から運んでくる航空機の収容機構、管制や動力、ここで働く人々のための施設と、ざっと考えただけでもこれだけは必要になる。お土産売り場も忘れちゃいけない。宇宙まんじゅういかがっすかーっ! こりゃ軟式飛行船ではちと実現が難しそうだ。
じゃあこのアイデアはボツか? でも負けない。ここを無理矢理にでも科学力(ちから)で調伏するのが“えすえふ”というものだ。
基本構造に飛行船のような浮力体を利用するのは悪くないと思う。成層圏で固定翼機を静止状態に置くとなると、空気が薄いことによる揚力の低下を考えなくてはならないし、翼の揚力は速度が高いほうが大きくなる傾向があるから、低速な成層圏プラットホームでは、対流圏を飛ぶ飛行機よりも相当に長大な翼が必要になってしまう。そうなると重量や剛性の点で軟式飛行船よりも難しいかもしれない。
だから、揚力を補償するために浮力体を利用したほうがいいと思うわけだ。要するに、ネタメモ001のところでちょっと触れたハイブリッド型飛行船が使えるのではないだろうか。
つまり、成層圏プラットホームは基本的に対気速度が0になることはない(風がなけりゃ自力で動けばいい)のだから、翼はある程度の揚力を発生させることができる。足りない分をガスの浮力で補えばいいわけだ。これであればすべてをガスの浮力で賄うよりも機体を小型化でき、すべてを翼の揚力で賄う固定翼機よりも翼を小型化できるわけだ。
余談だが、飛行船のような大型の機体の場合、十分な速度があれば機首をわずかに上げるだけで機体そのものが相当大きな揚力を発生する。実際の飛行船でも、長距離飛行時には機首を3~5度程度上げることで揚力を稼ぎ、浮力ガスを節約するという手法が使われていたそうだ。気嚢の密封が悪い時代では、浮力ガスは時間の経過などで減少してしまうため、長距離飛行の場合は補充がかなり大変だったらしい。戦前にグラーフツェペリンが世界周遊の際に日本に立ち寄り、霞ヶ浦で浮力ガスや各種消耗品の補充をしたが、そのときの費用25万ドルの大半は浮力ガスと燃料の代金だったそうだ。
剛性の問題については、全体をブロック構造にして、それぞれに必要十分な浮力を与え、それを柔構造のジョイントで接合して風の影響を吸収するのはどうか? 要するに複数のハイブリッド型飛行船を繋いで1つの構造物とするわけだ。これを連環の計といいます。いかん、孔明の罠だ! まあ成層圏で火計はないから大丈夫だと思うよ? ミッソー! ミッソー! ミッソー! ←酔っ払いついでにR-360でアフターバーナーやったときは死ぬかと思った。
ということで、赤道上空20kmにハイブリッド型飛行船を複数連結した構造物を浮かべたぞ。
これでどうにか成層圏プラットホームの土台になる構造物を空中に浮かべたわけだが、これを航空機の発着場にする場合、技術的に大きな問題に直面せざるを得ない。
それは後流だ。
航空機に限らず、物体が空気の中を移動するとその後方には複雑な空気の渦が発生する。いわゆる乱気流というやつだ。固定されている物体に対して空気が動く、つまりは風、でも同じことで、高層ビルで問題になるビル風というのがそれに当たる。
この乱気流は飛行時には抵抗として働くだけでなく、その後方を飛行する物体に対して様々な悪影響を与えるものだ。
航空母艦を例に取ると、理着艦時の航空母艦は風上に向けて全速力で航行するが、このとき風を切る艦橋が強い乱気流を巻き起こす。さらに通常型空母だと煙突からの排気も加わわる。これらは複雑な乱気流を引き起こし、航空母艦後方に接近した艦載機の着艦姿勢を乱し、最悪の場合は着艦に失敗して大きな事故となる。現在の艦載機は自重が10トン以上あったりするので影響は少ないが、昔のプロペラ機ではこの乱気流に巻き込まれて操縦不能になり墜落という深刻な事故になるケースも少なくはなかったのだ。
で、後流は構造物が大きければそれだけ大きな渦となる。大型の航空機では、単に風を切ることによる乱気流だけでなく、翼端から翼端渦と呼ばれる巨大な渦を発生させる。これは大きな抵抗となって航続性に影響を与えるので、近年は長距離を飛ぶ大型機にはそれを軽減するウィングレットという小翼が取り付けられているものが多い。そして、翼端渦は大型機の後方に位置する航空機に対しては乱気流となって襲い掛かる。後方にいるのが同様に大型の機体であればそれほど影響はないが、これが軽飛行機などの小型機では操縦不能による墜落の危険があるのだ。
成層圏プラットホームもおそらくその巨大さ、現有の航空母艦より大きくなると思われるから相当な後流が発生することが予想される。成層圏の空気が薄いといっても、他の航空機に対してその影響は大きいだろう。空気が薄い分揚力も低下しているわけだし。
こうなると、大型の輸送機はともかく、無動力で滑空しかできないタイプの往還機では後流に巻き込まれたときの立て直しが難しいため収容は相当困難だろうと考えられる。十分な動力と姿勢制御が可能な翼がある往還機であれば、CCVなど電子的な姿勢制御技術が発達している現在なら収容可能だろう。収容方法にもよるが。
収容方法だが、まず考えられるのが空母と同じように航空甲板を用意する方法。これはすっげー面積が必要になる代わりに、整備やペイロードの積み替えが比較的楽にできる。カタパルト射出にすればかなりの大重量までイケル可能性は高い。電磁カタパルトなんかいいかもしれない。次世代の米海軍空母に採用される予定だし。
ただ、これの欠点は、着艦する航空機や往還機の重量まで成層圏プラットホームが背負わなけりゃならないってとこだな。予備浮力を十分用意できるか、できたとしても重量の変化によって高度が頻繁に変わるのはあまりよろしくない。高度調整で浮力ガスをあんまり放出しちゃうと補給が大変だしね。固定翼の揚力でも高度を調整できるが、これには速度の上下が必要だから、静止という点であまりよろしくないね。
あと、着艦する機体が後流に影響されやすいというのもある。一番懸念しなけりゃいけないポイントだ。
長大な飛行甲板をどうやって保持するかってのも難点だね。甲板がぐにゃぐにゃじゃあ着艦したくてもできなくなる。プラットホームに柔軟性を持たせられないと構造が破壊されやすいし。
他の収容方法としては、成層圏プラットホームからブームを出して、それに航空機や往還機を引っ掛けるという方法もある。戦闘機の空中給油をイメージすると分かりやすいだろう。後流から離れたところで引っ掛けて、固定したら近くまで引っ張り上げれば後流による不安定はほぼ解消できるだろう。重量の点でも、翼を持っている航空機であれば、その揚力を利用できるから、プラットホームの負担は大幅に減少するはずだ。飛行甲板は整備用など最小限でいいから、プラットホームの剛性の問題も出難いだろう。大気圏再突入直後で高温になっている往還機を直接載せなくてもいいのは便利かもしれない。
しかし、この方式はペイロードの積み替えや整備は難しいと思われる。旅客ぐらいならなんとかなるだろうが、大容積貨物を地上から来た航空機と往還機の間で積み替えるのは至難の業だ。万一落っことしたらエライ事故になる可能性がある。整備もやり難い。往還機は1往復ごとに整備が必要になるだろうが、それを成層圏プラットホーム上で十分にできないようであれば、毎回地上におろさなければならないので、成層圏プラットホームの意味がなくなってしまう。整備回数が減らせるようになれば大きな問題にはならないだろうが。この辺りはテクノロジーレベルの設定しだいか。
それと、結構問題になると思われるのが、往還機が成層圏プラットホームと速度をシンクロさせられるかどうかという点だ。前述のように成層圏プラットホームは時速200kmぐらいの速度しか出ない。一般的なプロペラ機の巡航速度としても遅い方だろう。プロペラ機時代末期の豪華旅客機ロッキードコンステレーションですら巡航速度が525km/hなのだ。
しかし、往還機はマッハの領域で飛行するものなので、これをプラットホームと同等の速度まで落とすと間違いなく失速する。根本的に翼や機体の構造が低速には馴染まない。これにプラットホームと同程度の速度で飛行できる翼をつけると、マッハ領域では確実に破壊されるし、仮に破壊されないとしても、宇宙では巨大なデッドウェイトになってしまう。
ということは、大きな速度差がある機体同士をすれ違いざまに接続するという技術が必要になるわけだ。フルトン回収システムの転用でなんとかなるかな。検討が必要だろう。とりあえず、収容を一発勝負にしないためには、往還機側に動力があって帰還時にも大気中を一定時間自由に飛行できるようにしておく必要がある。
これを解決するために、往還機を亜音速域で飛行する母機で射出回収する方法が考えられる。プラットホームへの収容は母機と一緒。これは技術的には悪くない、が、これなら地上から母機に載せて飛ばせばいいということにもなるので成層圏プラットホームの存在意義的に問題かもしれない。てかさ、元々は母機を常に成層圏に置いといたほうが都合よくね? から発展して成層圏プラットホームになっているわけだから、やっぱり親子式は棄てるべきだろう。
でも、飛行甲板だと空母と絵的に変わんないよねえ。甲板作業員が風圧で殉職しそうだ。
それじゃあ、成層圏プラットホームの速度を亜音速域まで上げられるようにして、通常は成層圏で静止、往還機の回収時は加速することにしようかね。一定範囲内を楕円(陸上競技のトラック的な)を描くように飛行してるのでもいいか。亜音速で。速度が上がれば揚力に余裕ができるできるから、重量物の積載もできるだろう。
問題は、現在のプロペラ機では亜音速飛行が難しいことだ。機体が700kmを超えた辺りでプロペラブレードの先端が音速を突破しちまうのだ。後退角付きプロペラを推進式に配置すれば、理論的にはプロペラ機での水平音速飛行も可能なんだけどね。効率はあんまりよくないみたいだが。かといって、ジェット機関は燃料補給の問題があるからあまりよろしくない。いっそ原子力ジェットか? まあ後退角付きプロペラが妥当なところか。
往還機の回収はフルトンシステムの改良型かな。速度が同期できるなら、プラットホームから空中給油機みたいなブームを延ばして掴むというのもアリか。
成層圏プラットホームの仕様はこんなとこだろうか。
次はこれ用の往還機について考えよう。
※ようこそ、リネ2の人々よ。テオン板で宣伝したおかげで見に来る人が飛躍的に増えましたね。でもね、コメントを書けとまでは言わないけど、リアクションぐらいしてってもバチは当らないと思うのよ? クリックするだけだし。
※リネ2関係で来る人向けに、傭兵哀歌の裏設定をちょっと書いておくよ。パルチザンのアジトはアデン王国のど真ん中で孤立しているんだけども、なんで傭兵に高給を払えるんでしょうね? 口約束だけで実際は払わないという考え方もあるんだけど、こういうことするとすぐに噂として広がるから新規の応募者がいなくなってしまう可能性が高い。酔っ払いを騙してサインさせるとかじゃないと。
じゃあ、実際に払っているとして、どこからアデナが供給されてるんだろうか? キャッツアイが近隣から略奪をしているという話は出てくるけど、これで賄い切れるとはハヤカワさんは思っていない。
さてそれじゃホントにどこから?
ハヤカワさんの想像ではドワーフ族の「天秤のギルド」が資金提供をしていると思うのだよ。天秤のギルドは、アデン王国と商売をしながら、裏でグレシアと通じていて、戦争でどちらが勝ったとしても利権を握れるように、さらには戦争を長期化させることによって商売を増やそうとしているわけだ。でも、アデナはともかくグレシアから兵士を輸送することまでは難しい。
だから、パルチザンのアジトでは資金はあっても人員は足りないという状況になっているんだね。
ちなみに、パルチザンのアジトに出入りしているドワーフの商人は個人でやっている振りをして、実は天秤のギルドの上層部から指令を受けて派遣されているのだ。アレだね、エリア88のマッコイ爺さんみたいなもんだね。いや、どっちかってえとプロジェクト4か。だから雑貨だけじゃなく武器や防具も扱っているぞ。
最初はこの辺りのことも盛り込もうと考えていたのだが、長くなりすぎるのと本筋から離れてしまうことからカットした。その名残が若いオークが紙とペンを買いに行く場面なんだね。まあ、まるっぽ切ってもよかったんだけど、そのうちまた別の物語を書くときの伏線として残しておいたんだよ。
※昨日から体調がおかしいと思ったら、ちょっと風邪ひいたッぽい。更新が滞る可能性あり。←10/12
※先週から父親が入院中。
成層圏プラットホームはどんな機体になるんだろう?
今のところ成層圏を恒常的に飛行する物体というのはないんだが(米国の偵察機SR-71は高度25kmぐらいを飛ぶが、恒常的というほどの頻度ではない、と思う)、成層圏で電波の中継とか衛星がやるような仕事を肩代わりするための無人飛行船っていうのが考えられているので、これを叩き台にしてみよう。
これがまだ実現していないのは、成層圏は空気が薄いから十分な浮力を与えるためには機体が大型化してしまうこと(もちろん固定翼機の揚力も減る)と、空気が薄いといっても流れはあって、場合によっては50m/s(時速にすると180kmぐらい)の強風が吹くこと。大型化した機体は強風で流されやすい。そうなると、中継局としてはちょっと使い難いものになってしまうのだ。
風で煽られると機体がヘシ曲がっちゃったりするしね。まあこれは機体を柔構造にすればなんとかなるんだが、そうすると他の機器との兼ね合いが難しくなってしまうらしい。
というのも、飛行船で使用する機器を動かすには、当然のことながらエネルギーが必要だ。定期航路でもあれば別だが、ちょいちょい気軽に燃料を補給できる場所でもないことからすると、自給自足できる方が望ましい。核動力というのも考えられるが、放射線の遮蔽を十分にやるとすっげー重くなるし、事故が起きたときの影響を考えると無理だろう。
そうなると、もともと衛星の仕事の肩代わりなんだから、衛星と同じように太陽電池パネルを使用するのが手っ取り早い方法だ。数をそろえればプロペラ推進用のモーターも動かせるだろうから、風で流されることの対策にもなる。
しかし、太陽電池パネルを貼るにはしっかりした土台が必要だ。柔構造の軟式飛行船(でっかい風船だと思ってよろしい)ではそこが難しいようだ。1枚や2枚ならともかく、推進用のエネルギーとなるとそれなりの数が必要になるはずだ。
そういや、風の影響が大きいことを考えてたけども、静止状態に置くためには、常に推進している必要があるんだった。衛星軌道なら一度必要な速度を与えてやればそれで済むが、空気抵抗がある高度だと機体の大きさもあるし減速率はパねぇはずだ。さて、手元に資料がないんだけど、どのくらいの速度が必要になるだろう? 人工衛星だと周回軌道(静止軌道ではない)では7.9km/s(時速にすると28440km!)も出さなけりゃならない。静止軌道は少なくともこれより速いはずだ。遅けりゃ落っこっちまうんだからね。まあこれは重力に逆らう遠心力を速度で出す必要があるからこうなるんだけど、浮力体である飛行船だと純粋に地球の自転に同期する速度があればいいことになる。
ちなみに、赤道上での速度は時速にすると1700kmになるらしい。ああ、軽く音速を突破してしまった。もっとも、地球上にある物体は慣性によって自転と同期して動き続けようとするから、実際は空気抵抗や風によって減衰する分を補うだけで済むんだけど。まあどっち、めんどくさい計算だ。
それと、この速度は高度と緯度によって変化する点も見逃せない。ぶっちゃけ自転軸の上空なら“0”なのだ。とはいっても、高緯度だと往還機を打ち上げる時に自転の速度を利用することができなくなるから、できるだけ赤道上空が望ましいのは地上基地と同じ。
まあそんなこんなで、どうやら実用上必要な速度としては時速200km前後のようだ。これが巡航速度だから、位置の調整や何やで時速400km程度出せれば十分だろう。速いなら速いにこしたこたぁないのだが、過大な出力は過大な重量として跳ね返ってくるからあんまりおすすめできない。とりあえず、必要とされる速度の2倍ぐらいのマージンを取っておけば緊急時でもだいたい対応できるはず。これなら現状のテクノロジーでも可能だね。
ということは推進器はプロペラだ。想定した速度だとジェットよりもプロペラの方が効率がいい。動力源はレシプロ、電動モーター、ターボプロップなどが候補になるが、動力の自給を考えると電動モーターが最善だ。十分な出力が得られるかどうかは別として。このへんは技術の進歩が解決するだろうし。
暫定的に浮かべるポイントを太平洋の赤道付近、上空20kmにということに決めよう。
さて、これを往還機用のプラットホームにするとなると、往還機の収容機構だけでなく、整備機構、燃料(液体燃料ロケットの場合は液体酸素や液体水素を保存する極低温に耐えられるタンクが必要)やブースターが必要ならそれの収容場所、往還機に積載する貨物や乗客が待機する場所、それらを地上から運んでくる航空機の収容機構、管制や動力、ここで働く人々のための施設と、ざっと考えただけでもこれだけは必要になる。お土産売り場も忘れちゃいけない。宇宙まんじゅういかがっすかーっ! こりゃ軟式飛行船ではちと実現が難しそうだ。
じゃあこのアイデアはボツか? でも負けない。ここを無理矢理にでも科学力(ちから)で調伏するのが“えすえふ”というものだ。
基本構造に飛行船のような浮力体を利用するのは悪くないと思う。成層圏で固定翼機を静止状態に置くとなると、空気が薄いことによる揚力の低下を考えなくてはならないし、翼の揚力は速度が高いほうが大きくなる傾向があるから、低速な成層圏プラットホームでは、対流圏を飛ぶ飛行機よりも相当に長大な翼が必要になってしまう。そうなると重量や剛性の点で軟式飛行船よりも難しいかもしれない。
だから、揚力を補償するために浮力体を利用したほうがいいと思うわけだ。要するに、ネタメモ001のところでちょっと触れたハイブリッド型飛行船が使えるのではないだろうか。
つまり、成層圏プラットホームは基本的に対気速度が0になることはない(風がなけりゃ自力で動けばいい)のだから、翼はある程度の揚力を発生させることができる。足りない分をガスの浮力で補えばいいわけだ。これであればすべてをガスの浮力で賄うよりも機体を小型化でき、すべてを翼の揚力で賄う固定翼機よりも翼を小型化できるわけだ。
余談だが、飛行船のような大型の機体の場合、十分な速度があれば機首をわずかに上げるだけで機体そのものが相当大きな揚力を発生する。実際の飛行船でも、長距離飛行時には機首を3~5度程度上げることで揚力を稼ぎ、浮力ガスを節約するという手法が使われていたそうだ。気嚢の密封が悪い時代では、浮力ガスは時間の経過などで減少してしまうため、長距離飛行の場合は補充がかなり大変だったらしい。戦前にグラーフツェペリンが世界周遊の際に日本に立ち寄り、霞ヶ浦で浮力ガスや各種消耗品の補充をしたが、そのときの費用25万ドルの大半は浮力ガスと燃料の代金だったそうだ。
剛性の問題については、全体をブロック構造にして、それぞれに必要十分な浮力を与え、それを柔構造のジョイントで接合して風の影響を吸収するのはどうか? 要するに複数のハイブリッド型飛行船を繋いで1つの構造物とするわけだ。これを連環の計といいます。いかん、孔明の罠だ! まあ成層圏で火計はないから大丈夫だと思うよ? ミッソー! ミッソー! ミッソー! ←酔っ払いついでにR-360でアフターバーナーやったときは死ぬかと思った。
ということで、赤道上空20kmにハイブリッド型飛行船を複数連結した構造物を浮かべたぞ。
これでどうにか成層圏プラットホームの土台になる構造物を空中に浮かべたわけだが、これを航空機の発着場にする場合、技術的に大きな問題に直面せざるを得ない。
それは後流だ。
航空機に限らず、物体が空気の中を移動するとその後方には複雑な空気の渦が発生する。いわゆる乱気流というやつだ。固定されている物体に対して空気が動く、つまりは風、でも同じことで、高層ビルで問題になるビル風というのがそれに当たる。
この乱気流は飛行時には抵抗として働くだけでなく、その後方を飛行する物体に対して様々な悪影響を与えるものだ。
航空母艦を例に取ると、理着艦時の航空母艦は風上に向けて全速力で航行するが、このとき風を切る艦橋が強い乱気流を巻き起こす。さらに通常型空母だと煙突からの排気も加わわる。これらは複雑な乱気流を引き起こし、航空母艦後方に接近した艦載機の着艦姿勢を乱し、最悪の場合は着艦に失敗して大きな事故となる。現在の艦載機は自重が10トン以上あったりするので影響は少ないが、昔のプロペラ機ではこの乱気流に巻き込まれて操縦不能になり墜落という深刻な事故になるケースも少なくはなかったのだ。
で、後流は構造物が大きければそれだけ大きな渦となる。大型の航空機では、単に風を切ることによる乱気流だけでなく、翼端から翼端渦と呼ばれる巨大な渦を発生させる。これは大きな抵抗となって航続性に影響を与えるので、近年は長距離を飛ぶ大型機にはそれを軽減するウィングレットという小翼が取り付けられているものが多い。そして、翼端渦は大型機の後方に位置する航空機に対しては乱気流となって襲い掛かる。後方にいるのが同様に大型の機体であればそれほど影響はないが、これが軽飛行機などの小型機では操縦不能による墜落の危険があるのだ。
成層圏プラットホームもおそらくその巨大さ、現有の航空母艦より大きくなると思われるから相当な後流が発生することが予想される。成層圏の空気が薄いといっても、他の航空機に対してその影響は大きいだろう。空気が薄い分揚力も低下しているわけだし。
こうなると、大型の輸送機はともかく、無動力で滑空しかできないタイプの往還機では後流に巻き込まれたときの立て直しが難しいため収容は相当困難だろうと考えられる。十分な動力と姿勢制御が可能な翼がある往還機であれば、CCVなど電子的な姿勢制御技術が発達している現在なら収容可能だろう。収容方法にもよるが。
収容方法だが、まず考えられるのが空母と同じように航空甲板を用意する方法。これはすっげー面積が必要になる代わりに、整備やペイロードの積み替えが比較的楽にできる。カタパルト射出にすればかなりの大重量までイケル可能性は高い。電磁カタパルトなんかいいかもしれない。次世代の米海軍空母に採用される予定だし。
ただ、これの欠点は、着艦する航空機や往還機の重量まで成層圏プラットホームが背負わなけりゃならないってとこだな。予備浮力を十分用意できるか、できたとしても重量の変化によって高度が頻繁に変わるのはあまりよろしくない。高度調整で浮力ガスをあんまり放出しちゃうと補給が大変だしね。固定翼の揚力でも高度を調整できるが、これには速度の上下が必要だから、静止という点であまりよろしくないね。
あと、着艦する機体が後流に影響されやすいというのもある。一番懸念しなけりゃいけないポイントだ。
長大な飛行甲板をどうやって保持するかってのも難点だね。甲板がぐにゃぐにゃじゃあ着艦したくてもできなくなる。プラットホームに柔軟性を持たせられないと構造が破壊されやすいし。
他の収容方法としては、成層圏プラットホームからブームを出して、それに航空機や往還機を引っ掛けるという方法もある。戦闘機の空中給油をイメージすると分かりやすいだろう。後流から離れたところで引っ掛けて、固定したら近くまで引っ張り上げれば後流による不安定はほぼ解消できるだろう。重量の点でも、翼を持っている航空機であれば、その揚力を利用できるから、プラットホームの負担は大幅に減少するはずだ。飛行甲板は整備用など最小限でいいから、プラットホームの剛性の問題も出難いだろう。大気圏再突入直後で高温になっている往還機を直接載せなくてもいいのは便利かもしれない。
しかし、この方式はペイロードの積み替えや整備は難しいと思われる。旅客ぐらいならなんとかなるだろうが、大容積貨物を地上から来た航空機と往還機の間で積み替えるのは至難の業だ。万一落っことしたらエライ事故になる可能性がある。整備もやり難い。往還機は1往復ごとに整備が必要になるだろうが、それを成層圏プラットホーム上で十分にできないようであれば、毎回地上におろさなければならないので、成層圏プラットホームの意味がなくなってしまう。整備回数が減らせるようになれば大きな問題にはならないだろうが。この辺りはテクノロジーレベルの設定しだいか。
それと、結構問題になると思われるのが、往還機が成層圏プラットホームと速度をシンクロさせられるかどうかという点だ。前述のように成層圏プラットホームは時速200kmぐらいの速度しか出ない。一般的なプロペラ機の巡航速度としても遅い方だろう。プロペラ機時代末期の豪華旅客機ロッキードコンステレーションですら巡航速度が525km/hなのだ。
しかし、往還機はマッハの領域で飛行するものなので、これをプラットホームと同等の速度まで落とすと間違いなく失速する。根本的に翼や機体の構造が低速には馴染まない。これにプラットホームと同程度の速度で飛行できる翼をつけると、マッハ領域では確実に破壊されるし、仮に破壊されないとしても、宇宙では巨大なデッドウェイトになってしまう。
ということは、大きな速度差がある機体同士をすれ違いざまに接続するという技術が必要になるわけだ。フルトン回収システムの転用でなんとかなるかな。検討が必要だろう。とりあえず、収容を一発勝負にしないためには、往還機側に動力があって帰還時にも大気中を一定時間自由に飛行できるようにしておく必要がある。
これを解決するために、往還機を亜音速域で飛行する母機で射出回収する方法が考えられる。プラットホームへの収容は母機と一緒。これは技術的には悪くない、が、これなら地上から母機に載せて飛ばせばいいということにもなるので成層圏プラットホームの存在意義的に問題かもしれない。てかさ、元々は母機を常に成層圏に置いといたほうが都合よくね? から発展して成層圏プラットホームになっているわけだから、やっぱり親子式は棄てるべきだろう。
でも、飛行甲板だと空母と絵的に変わんないよねえ。甲板作業員が風圧で殉職しそうだ。
それじゃあ、成層圏プラットホームの速度を亜音速域まで上げられるようにして、通常は成層圏で静止、往還機の回収時は加速することにしようかね。一定範囲内を楕円(陸上競技のトラック的な)を描くように飛行してるのでもいいか。亜音速で。速度が上がれば揚力に余裕ができるできるから、重量物の積載もできるだろう。
問題は、現在のプロペラ機では亜音速飛行が難しいことだ。機体が700kmを超えた辺りでプロペラブレードの先端が音速を突破しちまうのだ。後退角付きプロペラを推進式に配置すれば、理論的にはプロペラ機での水平音速飛行も可能なんだけどね。効率はあんまりよくないみたいだが。かといって、ジェット機関は燃料補給の問題があるからあまりよろしくない。いっそ原子力ジェットか? まあ後退角付きプロペラが妥当なところか。
往還機の回収はフルトンシステムの改良型かな。速度が同期できるなら、プラットホームから空中給油機みたいなブームを延ばして掴むというのもアリか。
成層圏プラットホームの仕様はこんなとこだろうか。
次はこれ用の往還機について考えよう。
※ようこそ、リネ2の人々よ。テオン板で宣伝したおかげで見に来る人が飛躍的に増えましたね。でもね、コメントを書けとまでは言わないけど、リアクションぐらいしてってもバチは当らないと思うのよ? クリックするだけだし。
※リネ2関係で来る人向けに、傭兵哀歌の裏設定をちょっと書いておくよ。パルチザンのアジトはアデン王国のど真ん中で孤立しているんだけども、なんで傭兵に高給を払えるんでしょうね? 口約束だけで実際は払わないという考え方もあるんだけど、こういうことするとすぐに噂として広がるから新規の応募者がいなくなってしまう可能性が高い。酔っ払いを騙してサインさせるとかじゃないと。
じゃあ、実際に払っているとして、どこからアデナが供給されてるんだろうか? キャッツアイが近隣から略奪をしているという話は出てくるけど、これで賄い切れるとはハヤカワさんは思っていない。
さてそれじゃホントにどこから?
ハヤカワさんの想像ではドワーフ族の「天秤のギルド」が資金提供をしていると思うのだよ。天秤のギルドは、アデン王国と商売をしながら、裏でグレシアと通じていて、戦争でどちらが勝ったとしても利権を握れるように、さらには戦争を長期化させることによって商売を増やそうとしているわけだ。でも、アデナはともかくグレシアから兵士を輸送することまでは難しい。
だから、パルチザンのアジトでは資金はあっても人員は足りないという状況になっているんだね。
ちなみに、パルチザンのアジトに出入りしているドワーフの商人は個人でやっている振りをして、実は天秤のギルドの上層部から指令を受けて派遣されているのだ。アレだね、エリア88のマッコイ爺さんみたいなもんだね。いや、どっちかってえとプロジェクト4か。だから雑貨だけじゃなく武器や防具も扱っているぞ。
最初はこの辺りのことも盛り込もうと考えていたのだが、長くなりすぎるのと本筋から離れてしまうことからカットした。その名残が若いオークが紙とペンを買いに行く場面なんだね。まあ、まるっぽ切ってもよかったんだけど、そのうちまた別の物語を書くときの伏線として残しておいたんだよ。
※昨日から体調がおかしいと思ったら、ちょっと風邪ひいたッぽい。更新が滞る可能性あり。←10/12
※先週から父親が入院中。
2010年10月5日火曜日
ネタメモ002(成層圏プラットホーム)
ナイトさんのお誕生日が近いので「ちょこっとコース」で課金してみたハヤカワさん。しかし、近所のローソンでネットキャッシュを買おうとしたら、最低金額が2000円でやんの。昔は1000円からあったような気がするんだけどなあ。おかげでサイフが空っぽになっちまったよ。
はいっ、ここまで愚痴。
さて、そろそろ商業宇宙旅行が視野に入ってきた今日この頃なので、宇宙に行く方法について考えてみよう。
米国のスペースシャトルが退役目前ということもあり、これからしばらく宇宙に行くには旧来の使い捨てロケットに頼らざるを得ない。商用衛星を打ち上げられる規模ならアリアンやH-IIとかもあるけれど、有人となると現状ではロシアが運用しているソユーズ一択になってしまう。厨華なんだか有人宇宙機を打ち上げたけど、安定した打ち上げができるほどではないようだ。技術的にもソユーズの劣化版でしかないみたいだし。まあ、将来を見込んで海南島に打ち上げ基地を作ってるみたいだが。
だがしかし、ハヤカワさんの考えるところによると、地上からの打ち上げ方式では、コスト的に安定した商用宇宙旅行は難しいと思うのだ。ロケットなんていうものは燃料がほとんどの重量を占めていて、あとはモーターとガワだけだとはいっても、打ち上げが増えれば使い棄てられる資源も無視できないものになるし、やぱり将来的には往還機が必要になるだろう。
軌道エレベーターっていう手も考えられているが、これはちょっと技術的に未来過ぎる。これができとしても、あと何十年かかかるだろうし、その間を繋ぐ技術として往還機が欲しい。宇宙旅行のロマン的にも。
しかし、最初の往還機であるスペースシャトルは残念ながらコスト的には大失敗だといわざるを得ないものだった。
機体の製造コストが高騰したのもあるが、運用コストの増大はそれ以上だったようだ。試作の段階で耐熱タイルがボロボロ剥がれたり、運用が始まってからは帰還のたびに耐熱タイルを張り替えなけりゃならなかったりな。本来往還機はコスト削減のために企画されたはずなのが、蓋を開けたら使い捨てよりコストが高くなっちゃったのだ。
それでも、大容積の貨物を搭載したまま打ち上げたり、衛星を回収して地上に持ち帰るなどという仕事は、他国の往還機が計画段階から進んでいないこともあって需要があり、今までだましだまし使われ続けてきたわけだ。
宇宙開発が進んでくれば、こうした需要は増大すると考えられる。まあ衛星の修理なんかは宇宙空間でできるようになればそこでやることになるんだろうが、そうした仕事に必要な施設を構築するためにも、当分の間は地球からモノを運んだり、宇宙から降ろしたりなくてはならない。
んで、往還機が難しいのは、宇宙へ行く機能と大気圏を飛ぶ機能の両方を同時に持っていなけりゃならないところだ。
大気圏を効率よく飛ぶためには、大気中を利用できるエンジンと翼があったほうがいいが、これは宇宙に行くとまったく機能しない無用の長物だから、宇宙に無駄な重量を運ばなければならないことになる。
宇宙を飛ぶためだけの装備だと、揚力を発生させて機体を支える翼がないから、大気圏を飛ぶには常に音速以上である必要があるし、大気中の酸素を酸化剤に利用しないエンジンは酸化剤を同時に持っていかないと動かないから、これも無駄な重量を抱え込むことになるわけだ。
両方で動作するエンジンがあればいいんだが、今のところそこまで都合のいいエンジンは存在しない。
次に問題になるのが大気圏再突入時に発生する熱。
そらもうハヤブサが燃え尽きたり、スペースシャトルが燃え尽きちゃったりするぐらいすごい熱が発生するんだから大変だ。
ただ、この熱なんだが、大気の圧縮熱と摩擦熱が大部分を占めるということだから、降下速度を遅くすることができれば下げることができるんじゃないだろうか? で、これを実際にやってみたのが民間で初めての有人宇宙機に認定されたスペースシップワンだ。宇宙空間といっても、厳密に言うと準軌道高度への弾道飛行なんだそうだが、この機体は大型の翼というかエアブレーキを備えていて、降下時はこれを利用して速度を遅くすることでスペースシャトルほど耐熱構造を強化せずに済んでいるわけだ。
で、スペースシップワンのもう一つの特徴は、ある程度の高度までは母機に吊り下げられて移動し、そこからロケットモーターを噴かして宇宙まで飛ぶのだ。これは、宇宙までの距離を少なくできるし、速度0からの加速もしなくていいから燃料の節約になり機体を小型化できる。つまり、宇宙に運ぶ重量を減らせるからエンジンも小型でいいということになる。
もっとも、この考え方自体は古くからあるもので、スペースシップワンのオリジナルではない。過去には米国のX-15なんかがB-52を改造した母機から発進して宇宙に行っている。最大到達高度は108kmぐらいだから間違いなく宇宙空間だ。
それと、発射時の騒音や安全性という点でも空中発射は有利だ。宇宙ロケットの打ち上げは地球の自転で発生する遠心力を利用するため、赤道近くが望ましい。さらに、打ち上げに失敗したとき地上に被害が及ばないように、打ち上げ基地の東側が海上や無人の荒野であることも重要だ。宇宙に出るまでに他国の領空に入ってしまうと、領空侵犯にもなりかねない。北は気にせずやるが、まあこれは多分に嫌がらせの意味もあるから向こうにとっては失敗してもそれなりに意味があるのかもしれない。
このため、米国はフロリダ半島東側のケープカナベラル、EUはフランスの海外県である南米ギアナ、日本は種子島と内之浦を基地として利用してきたわけだ。ロシア(当時ソ連)は低緯度地域に海に面したような場所がないため、内陸のバイコヌール基地を作った。こう考えると、フィリピンなんか打ち上げ基地を誘致するといいのかもね。まあ、アメリカ以外のを作ろうとすれば横槍が入るだろうけど。
空中発射の場合はこうした制約はあまりない。太平洋や大西洋、インド洋といったなんの障害もない場所まで母機にぶら下げていけばいいんだから。
で、次は帰還の話。
スペースシップワンもX-15も帰還は滑空して地上に着地するようになっている。
これは、地上基地のほうが整備やなにやらで有利だということもあるが、両者が帰還時には動力を持たない滑空機であることも影響しているだろう。現状の技術では高速で降下してくる滑空機、しかも一般的なグライダーのような機動性は持たない、を空中収容するなんてことは不可能に近いのだ。
空中収容の場合、母機と往還機が両方とも動いているから、会合点を厳密に計算しないといけないことになる。しかも、往還機が滑空機だとほぼ落ちていくだけだから、多少速度を変えたり左右に動くことはできる、ほぼ一発勝負になってしまう。往還機がいわゆるグライダーみたいに巨大な翼を持っていれば別だが、地球から飛び出したり、大気圏に再突入するときの速度から考えると現実的ではない。
しかし、地上基地への帰還の場合、地上の天候などの条件によっては帰還ができない場合がある。スペースシャトルみたいに地球上のあちこちに基地を用意したり、それらが利用できない場合は地球周回軌道上で待機することもある。乗員用酸素や食料残量、バッテリーといったとの勝負だから、これは最後の手段だといえるだろう。
で、ハヤカワさんがこういうことを考えていったところ、成層圏辺りにでっかいプラットホームを浮かべて、そこで打ち上げや回収をやるってのはどうよ? っていうことになったわけだ。キャプテンスカーレットのクラウドベースみたいなのをね。
やっと結論というか、思考の開始点までやってきた。
次は、これを実現するために必要な技術なんかを考えてみよう。
※さっき100HIT超えた。約1か月かかったねえ。早いのか遅いのかようわかりませんが、来てくれた人はありがとう。←10月6日深夜
※10月7日はスミスさんのお誕生日。忘れずにお誕生日プレゼントをもらいにいかないと。←もろた
※ハヤカワさんがお話を作るときは、こうやって最初に物語の舞台になる場所について有り得ることや有り得ないことを徹底的に考えていく。すると、そこでいったいどんなことが起こるのかということがわかる。お話をご都合主義にしないためには、ここをどれだけ細かく作れるかがカギになる。
舞台ができてしまえば、そこにキャラクターを配置して、あとはハヤカワさんがキャラクターが行動を起こすための状況を組み込んでやることで、お話は自動的に動き出してくれるのだ。
例えば、成層圏のプラットホームで爆発事故が起きたとしよう。すると、外は大気圏内とはいっても人間が生身で出て行くことはできないような場所だから、内部でどうやって解決していくかということになる。もし外に出るならそれなりの装備を用意しなくてはならない。それをどうやって手に入れるか? とかね。少なくともパラシュートを背負って飛び降りるなんてことはできるわけがないので、そういうことはやっちゃいけないというお約束ができる。
お約束があれば、それを破る方法を考えることもできる。
人間は宇宙空間に生身で放り出されるとすぐに死んでしまう。一般的な常識ではこうなんだが、実は訓練された宇宙飛行士なんかだと、生身のままでも1~2分間は行動できるらしい。呼吸が可能ならもう少し延ばすこともできるようだ。
となると、爆発事故で外に放り出されても、そのぐらいの時間でたどり着ける距離に安全地帯があれば、生還することも可能だということになる。安全地帯がギリギリの距離であればあるほどエピソードとしては面白くなる。
ハヤカワさんがグダグダと長文を書いているのは、こうした理由からであって、何の意味もないことではなかったりするんだ、ということ。書かないと考えが整理し難いからね。まあ言い訳ですわね。
※10/11 なんだか体調悪ぅー。追記するようなことが頭でまとまらない。
はいっ、ここまで愚痴。
さて、そろそろ商業宇宙旅行が視野に入ってきた今日この頃なので、宇宙に行く方法について考えてみよう。
米国のスペースシャトルが退役目前ということもあり、これからしばらく宇宙に行くには旧来の使い捨てロケットに頼らざるを得ない。商用衛星を打ち上げられる規模ならアリアンやH-IIとかもあるけれど、有人となると現状ではロシアが運用しているソユーズ一択になってしまう。厨華なんだか有人宇宙機を打ち上げたけど、安定した打ち上げができるほどではないようだ。技術的にもソユーズの劣化版でしかないみたいだし。まあ、将来を見込んで海南島に打ち上げ基地を作ってるみたいだが。
だがしかし、ハヤカワさんの考えるところによると、地上からの打ち上げ方式では、コスト的に安定した商用宇宙旅行は難しいと思うのだ。ロケットなんていうものは燃料がほとんどの重量を占めていて、あとはモーターとガワだけだとはいっても、打ち上げが増えれば使い棄てられる資源も無視できないものになるし、やぱり将来的には往還機が必要になるだろう。
軌道エレベーターっていう手も考えられているが、これはちょっと技術的に未来過ぎる。これができとしても、あと何十年かかかるだろうし、その間を繋ぐ技術として往還機が欲しい。宇宙旅行のロマン的にも。
しかし、最初の往還機であるスペースシャトルは残念ながらコスト的には大失敗だといわざるを得ないものだった。
機体の製造コストが高騰したのもあるが、運用コストの増大はそれ以上だったようだ。試作の段階で耐熱タイルがボロボロ剥がれたり、運用が始まってからは帰還のたびに耐熱タイルを張り替えなけりゃならなかったりな。本来往還機はコスト削減のために企画されたはずなのが、蓋を開けたら使い捨てよりコストが高くなっちゃったのだ。
それでも、大容積の貨物を搭載したまま打ち上げたり、衛星を回収して地上に持ち帰るなどという仕事は、他国の往還機が計画段階から進んでいないこともあって需要があり、今までだましだまし使われ続けてきたわけだ。
宇宙開発が進んでくれば、こうした需要は増大すると考えられる。まあ衛星の修理なんかは宇宙空間でできるようになればそこでやることになるんだろうが、そうした仕事に必要な施設を構築するためにも、当分の間は地球からモノを運んだり、宇宙から降ろしたりなくてはならない。
んで、往還機が難しいのは、宇宙へ行く機能と大気圏を飛ぶ機能の両方を同時に持っていなけりゃならないところだ。
大気圏を効率よく飛ぶためには、大気中を利用できるエンジンと翼があったほうがいいが、これは宇宙に行くとまったく機能しない無用の長物だから、宇宙に無駄な重量を運ばなければならないことになる。
宇宙を飛ぶためだけの装備だと、揚力を発生させて機体を支える翼がないから、大気圏を飛ぶには常に音速以上である必要があるし、大気中の酸素を酸化剤に利用しないエンジンは酸化剤を同時に持っていかないと動かないから、これも無駄な重量を抱え込むことになるわけだ。
両方で動作するエンジンがあればいいんだが、今のところそこまで都合のいいエンジンは存在しない。
次に問題になるのが大気圏再突入時に発生する熱。
そらもうハヤブサが燃え尽きたり、スペースシャトルが燃え尽きちゃったりするぐらいすごい熱が発生するんだから大変だ。
ただ、この熱なんだが、大気の圧縮熱と摩擦熱が大部分を占めるということだから、降下速度を遅くすることができれば下げることができるんじゃないだろうか? で、これを実際にやってみたのが民間で初めての有人宇宙機に認定されたスペースシップワンだ。宇宙空間といっても、厳密に言うと準軌道高度への弾道飛行なんだそうだが、この機体は大型の翼というかエアブレーキを備えていて、降下時はこれを利用して速度を遅くすることでスペースシャトルほど耐熱構造を強化せずに済んでいるわけだ。
で、スペースシップワンのもう一つの特徴は、ある程度の高度までは母機に吊り下げられて移動し、そこからロケットモーターを噴かして宇宙まで飛ぶのだ。これは、宇宙までの距離を少なくできるし、速度0からの加速もしなくていいから燃料の節約になり機体を小型化できる。つまり、宇宙に運ぶ重量を減らせるからエンジンも小型でいいということになる。
もっとも、この考え方自体は古くからあるもので、スペースシップワンのオリジナルではない。過去には米国のX-15なんかがB-52を改造した母機から発進して宇宙に行っている。最大到達高度は108kmぐらいだから間違いなく宇宙空間だ。
それと、発射時の騒音や安全性という点でも空中発射は有利だ。宇宙ロケットの打ち上げは地球の自転で発生する遠心力を利用するため、赤道近くが望ましい。さらに、打ち上げに失敗したとき地上に被害が及ばないように、打ち上げ基地の東側が海上や無人の荒野であることも重要だ。宇宙に出るまでに他国の領空に入ってしまうと、領空侵犯にもなりかねない。北は気にせずやるが、まあこれは多分に嫌がらせの意味もあるから向こうにとっては失敗してもそれなりに意味があるのかもしれない。
このため、米国はフロリダ半島東側のケープカナベラル、EUはフランスの海外県である南米ギアナ、日本は種子島と内之浦を基地として利用してきたわけだ。ロシア(当時ソ連)は低緯度地域に海に面したような場所がないため、内陸のバイコヌール基地を作った。こう考えると、フィリピンなんか打ち上げ基地を誘致するといいのかもね。まあ、アメリカ以外のを作ろうとすれば横槍が入るだろうけど。
空中発射の場合はこうした制約はあまりない。太平洋や大西洋、インド洋といったなんの障害もない場所まで母機にぶら下げていけばいいんだから。
で、次は帰還の話。
スペースシップワンもX-15も帰還は滑空して地上に着地するようになっている。
これは、地上基地のほうが整備やなにやらで有利だということもあるが、両者が帰還時には動力を持たない滑空機であることも影響しているだろう。現状の技術では高速で降下してくる滑空機、しかも一般的なグライダーのような機動性は持たない、を空中収容するなんてことは不可能に近いのだ。
空中収容の場合、母機と往還機が両方とも動いているから、会合点を厳密に計算しないといけないことになる。しかも、往還機が滑空機だとほぼ落ちていくだけだから、多少速度を変えたり左右に動くことはできる、ほぼ一発勝負になってしまう。往還機がいわゆるグライダーみたいに巨大な翼を持っていれば別だが、地球から飛び出したり、大気圏に再突入するときの速度から考えると現実的ではない。
しかし、地上基地への帰還の場合、地上の天候などの条件によっては帰還ができない場合がある。スペースシャトルみたいに地球上のあちこちに基地を用意したり、それらが利用できない場合は地球周回軌道上で待機することもある。乗員用酸素や食料残量、バッテリーといったとの勝負だから、これは最後の手段だといえるだろう。
で、ハヤカワさんがこういうことを考えていったところ、成層圏辺りにでっかいプラットホームを浮かべて、そこで打ち上げや回収をやるってのはどうよ? っていうことになったわけだ。キャプテンスカーレットのクラウドベースみたいなのをね。
やっと結論というか、思考の開始点までやってきた。
次は、これを実現するために必要な技術なんかを考えてみよう。
※さっき100HIT超えた。約1か月かかったねえ。早いのか遅いのかようわかりませんが、来てくれた人はありがとう。←10月6日深夜
※10月7日はスミスさんのお誕生日。忘れずにお誕生日プレゼントをもらいにいかないと。←もろた
※ハヤカワさんがお話を作るときは、こうやって最初に物語の舞台になる場所について有り得ることや有り得ないことを徹底的に考えていく。すると、そこでいったいどんなことが起こるのかということがわかる。お話をご都合主義にしないためには、ここをどれだけ細かく作れるかがカギになる。
舞台ができてしまえば、そこにキャラクターを配置して、あとはハヤカワさんがキャラクターが行動を起こすための状況を組み込んでやることで、お話は自動的に動き出してくれるのだ。
例えば、成層圏のプラットホームで爆発事故が起きたとしよう。すると、外は大気圏内とはいっても人間が生身で出て行くことはできないような場所だから、内部でどうやって解決していくかということになる。もし外に出るならそれなりの装備を用意しなくてはならない。それをどうやって手に入れるか? とかね。少なくともパラシュートを背負って飛び降りるなんてことはできるわけがないので、そういうことはやっちゃいけないというお約束ができる。
お約束があれば、それを破る方法を考えることもできる。
人間は宇宙空間に生身で放り出されるとすぐに死んでしまう。一般的な常識ではこうなんだが、実は訓練された宇宙飛行士なんかだと、生身のままでも1~2分間は行動できるらしい。呼吸が可能ならもう少し延ばすこともできるようだ。
となると、爆発事故で外に放り出されても、そのぐらいの時間でたどり着ける距離に安全地帯があれば、生還することも可能だということになる。安全地帯がギリギリの距離であればあるほどエピソードとしては面白くなる。
ハヤカワさんがグダグダと長文を書いているのは、こうした理由からであって、何の意味もないことではなかったりするんだ、ということ。書かないと考えが整理し難いからね。まあ言い訳ですわね。
※10/11 なんだか体調悪ぅー。追記するようなことが頭でまとまらない。
2010年10月4日月曜日
傭兵哀歌Sequel
※先日掲載した「レイド部下ストーリーズ~傭兵哀歌~」の後日譚。例によって「リネージュ2」プレイヤー以外には分かりにくいのでお覚悟を。
数日前に冒険者たちの襲撃を受け、ボスを中心に甚大な被害を蒙ったパルチザンのアジトであったが、負傷していた兵の復帰も重傷者を除いて始まったこともあり、復旧のための作業が本格化していた。
作業は襲撃の翌日から昼夜を問わず続けられていたが、この日は気候の安定したアデン地方にしては珍しく、朝方から降り始めた雨はなかなか止む気配を見せなかった。夕刻になっても雨足は一向に弱まらず、足場が悪い中での夜間の作業は危険であるため止む無く中断が決定され、兵たちは少数の歩哨だけ残してそれぞれの宿舎に戻り、連日の作業で疲れた体を休めることとなった。
雨は夜半近くになってわずかに弱まったものの、翌朝までは続くであろうと思われた。山中のアジトは時たま巡回してくる歩哨以外は動くものもなく、久しぶりに静かな夜を迎え、日付が変わろうとする頃にはほとんどの兵士が寝静まっていた。
しかし、雨音に遮られて多くの者が気付いていなかったが、錬兵場には昼間と同じように大勢の訓練兵たちが集合しようとしていた。
整列した訓練兵の前では教官が、周囲を意識して低く抑えてはいるものの、普段の訓練と同じように鋭い声で矢継ぎ早に命令を下していく。
「小隊傾注! これより夜間行軍の訓練を行う! 1分以内に準備を終わらせろ!」
「毛皮を濡らすな! 濡れた毛皮は体力を消耗させるぞ! 今のうちに十分に油を含ませておけ!」
「いいか、訓練と言えどアジト外での行動である以上敵と遭遇する可能性が皆無なわけではない、決して油断はするな!」
「雨は自分の気配を消してくれるが、敵の気配もまた掴みにくくなる。不意の遭遇戦では何が起こるか分からん。死にたくなければ一時たりとも気を抜くな!」
そして、最後に教官は防水シートに包まれた大きな荷物を指さした。補給品であろうか、これだけの量が準備されているとなると相当長距離の行軍であることが予想される。
「お前たちも分かっているとは思うが、この荷物は重要なものだ、極力揺らさぬよう努めよ! 乱暴に扱う者は懲罰の対象になるぞ! なお、担ぎ手は半刻毎に交代! 疲労で行軍速度を落とさぬよう注意せよ! 明日の朝には戻らねばならん!」
コートを着込み、雨避けの油を全身に塗り終わった訓練兵たちは再び整列し、負担を均等にするため体格の近い者から選び出された担ぎ手たちが、輿に乗せられた荷物に不要な衝撃を与えないよう慎重に担ぎ上げる。
「よし、準備はできたな? では小隊進め!」
教官の先導で訓練兵たちが出発しようとしたその時、錬兵場脇の草叢を掻き分けて数名の屈強な兵が現れ、その後に続いてオル マフム ロードが悠然と歩みだしてきた。
「か、閣下、夜分にこのような場所にいらっしゃるとは、何か急な事態でも? まさかまた冒険者どもが?!」
突然のことに教官だけでなく訓練兵たちも瞬時に硬直し、ロードを注視する。
「いやそうではない、少々目が冴えて眠れぬがゆえ、復旧状況を見回っておったところにこの騒ぎを聞きつけたものである。今宵は訓練があるとは聞いておらぬが、なぜ訓練兵を集結させているのか?」
どうやら予定にない訓練を行おうとしたところに不審を抱かれてしまったようだ。しかし、訓練の内容を決定する権限が教官にある以上、ジェネラルといえども口を挟む筋のことではない。自信を持って正当な答えを返せばよいだけである。
「はい、それであれば今晩は雨天でもあり、夜間行軍の訓練に適していると考え、自分の独断で召集したものです!」
「左様か、ご苦労である」
「いえ、先の襲撃により、兵力の大幅な減少を余儀なくされておりますがゆえ、少々過酷にはなりますが、訓練兵どもを一刻も早く戦力化するべく務めるのは、自分の職務において当然であると考えます」
「よろしい。貴様の教官としての仕事には満足しておる。良いようにせよ」
「ありがとうございますっ!」
教官の答えに満足して頷き、このまま踵を返すと思われたロードだったが、なぜか担ぎ上げられた荷物に目を留め、振り向きざまに質問を投げかけてきた。
「時にその大きな荷物はなんであるか?」
不意打ちであった。先の答えでロードを納得させることができたと安堵していただけに、教官は一瞬返答に窮してしまった。
「こ、これは、……そうです、物資の輸送訓練を兼ねるため準備したものであります!」
このわずかな戸惑いに不審を抱いたのか、それとも最初から不審に思っていたのか、ロードは荷物に近付くと鼻を鳴らして丹念に匂いを確認する。
「ふん、隠さんでもよい。儂の鼻はそこまで衰えてはおらんぞ? 荷物の中身はあのオークなのであろう? 貴様は訓練を装い、司令部に上申することなく彼の村にこれを送り届けるつもりであるな?!」
この言葉に教官の背筋は一瞬にして凍りつく。ロードの指摘通り、荷物の中には補給物資の間に隠すように、先の戦いで倒れた若いオークの体が納められていたのだ。
教官は、若いオークの身に起きたことを自分の責任と受け止め、せめて自らの手で彼を母親の元に返そうと、若いオークと同期の訓練兵の中から有志を募り、この雨を利用して密かにエンク オークの村への強行軍に出ようとしていたのだ。
「申し訳ありません、戻り次第いかなる罰でもお受けいたしますので、この場はどうか御容赦下さい!」
教官は腰を大きく折り、地面に着かんばかりに頭を下げてロードに懇願する。無断で根拠地を離れることは、場合によって脱走とも見做されかねない。最悪の場合は軍法会議にかけられることを覚悟しなければならない重大な軍紀違反なのだ。
ロードは頭を下げたままの教官をじっと見つめている。
それはほんの1分にも満たない時間であったが、その場に居る者にとっては無限にも感じられた。
「閣下っ!」
凍りついた空気を破るように、整列した訓練兵の中から1人が前に出た。
「オレたちからもお願げえします。こかあどうで見逃して下せえ!」
彼が頭を下げると、それを合図にしたように他の訓練兵たちも次々に前に出て、ロードに向かって頭を下げ始める。
「オレからもお願げえしやす!」
「お願いしやす、オレたちゃヤツをあのまんま放っておくなんざ、できやしねえんです」
「オレもです!」
「おいらもお願えしやす!」
その中には、若いオークと訓練を共にした魔法職の者だけでなく、同期とはいえ彼とは直接関係のなかった物理アタッカー職までもがいる。
最後には、荷物を担いだ者以外は全員がロードの慈悲を求めて頭を下げていた。
彼らがこの行軍に志願したのは戦友への思いも確かににあっただろう。
だが、それだけではない。いずれ前線にでて戦う彼らにとって、自分が倒れた時に正当な扱いを受けるために、先に倒れた者を不当に扱うことは絶対にあってはならないという必死の念があったのだ。
頭を巡らし、表情も変えずに訓練兵たちを一瞥したロードであったが、教官の方に向き直すと突然表情を崩し、ニヤリと笑う。
「バカモノどもめ、貴様ら何を勘違いしておる? 我が軍のために身命を賭して戦った兵士に報いるのは当然のことである。それを誰が罰することができようか。只今この場で発令するがゆえ、正規の任務としてしっかりと送り届けるように。よいな? なお、アジトを離れるのに訓練兵だけでは心もとなかろう、貴様に儂の護衛兵を預けるので存分に使うがよい。正規兵と行動を共にすることは、訓練兵にもよい勉強になろう」
ロードの言葉があまりに意外であったため、教官はそれを聞くとしばし放心したような表情になり、そして状況を理解すると先ほどよりもさらに深く頭を下げた。
「閣下……ありがとうございます!」
「礼などいらん。本来なら儂が率先して命じなければならないことである。だが、言い訳にはならんが、復旧に手をとられて後手になってしまっておった。彼と母親には詫びねばならん」
「閣下、僭越ではありますが、自分が名代として閣下のお心を彼の母親に伝えることをお許しください」
「よろしい、貴様に儂の名代として以後の処理を一任する。では儂は司令部へ戻るぞ。以上!」
「はいっ! ありがとうございますっ!」
その場の全員が最敬礼で見送る中、ロードは振り返ることなく、現れたのと同じように草叢の中を悠然と歩いて行った。
雨の中、荷を担ぎ隊列を組んだ訓練兵たちは粛々と進む。
「担ぎ手は歩調を乱せ! その方が揺れが少なくなるぞ!」
教官はすべてに気を配り、細かな指示を飛ばす。
「斥候は先行して地形を偵察せよ! 残りの者は荷物を中心に縦列を組み前進!」
濡れた斜面の下生えは滑りやすい。訓練兵は暗闇でも目が効くオル マフムが多いが、それでも慎重に進まねばたちまち足を滑らせてしまうだろう。殊に今は間違っても落下さるようなことがあってはならない荷物を運んでいるのだ。前を行く斥候が安全そうな道を探しては邪魔な枝葉や潅木を山刀で切り払い、荷物が通れるだけの広さを確保し、少しずつ荷物を前進させる。
馴れない作業ではあったが、教官と訓練兵たちはなんとかアジトとクルマ湿地の境界近くまで進み、ようやく森が途切れ見通しのよい平原に到達しようとしていた。
しかし、そろそろ全員に疲労が溜まりつつある。この先は平原であるだけに移動は楽になるが、見通しがよければ敵からもこちらを発見しやすくなるということでもあるため、より迅速な移動が求められる。
疲労によるもたつきは命取りになりかねないと判断した教官は、森を出る直前で小休止して疲労を回復させ、その後に平原を一気に突っ切ることにした。
行軍を停止させ、全員に警戒を厳しくするように命じたのと同時に、前方の木の陰から肥満した大きな影がのそりと現れ、教官たちの前に立ちはだかった。
「誰だっ! なぜそこにいる? 返答の次第によっては命はないぞ! くそっ斥候はなぜ見逃したのかっ!」
教官が影に向かって厳しい声で誰何し、同時に手練の護衛兵が訓練兵を抑えて先頭に出る。
「よう、教官殿。夜中だってのに生徒どもを引き連れて遠足かい?」
この陽気な声の持ち主は、影の正体は、若いオークの上官であったキャッツアイであった。
「これはキャッツアイ様! もうお怪我はよろしいのですか?」
冒険者の襲撃によって深手を負わされ、財宝をほとんど奪われてしまったキャッツアイであったが、持ち前の身のこなしで致命傷だけは避け、ヒーラーたちの夜を徹した手当てにより、この2、3日でなんとか生命の危機を脱するまでに回復していた。
「おう、まだあっちこっち痛むけどよ、まあ1人で出歩ける程度にゃあなったぜ」
当人は気楽そうに応えるが、あの惨状を知るものからすれば、とうてい信じられるものではない。相当な無理をしているのだろう。これは何かあると教官は直感した。
「それは何よりでした。して、そのようなお体で散歩とも思えませんが?」
「お前ら遠出すんだろ? ちょいとついでを頼みてえんだがいいかい?」
「ついでですか? 我々はこれより夜間行軍の訓練ですので、キャッツアイ様といえど御用を承ることはことは難しくありますが?」
キャッツアイが軍隊的な規則を嫌うとはいっても、非番でもない者に私用をいいつけるようなことはない。しかも、わざわざ傷だらけの体をおしてのことだ。
「なに、手間を取らせるようなもんじゃねえ。ただちょいとコイツを一緒に持ってってもらいてえだけだ」
キャッツアイは使い込まれた皮袋を身構える教官に投げる。それはがしゃりと重い金属音を立てて教官の手の中に納まった。
「これは……もしやアデナですな?」
皮袋には魔法がかけてあり実際よりもかなり重量が軽くなっているはずだが、それでもずしりと重い手ごたえが感じられるところからすると、相当な額が入っているだろう事は想像に難くない。
「ああ、こないだ冒険者どもに散々毟られちまった後だから大したこたあできねえけどよ、向こうのお袋さんによ、当面の暮らしの足しにしてくれってな。……まあ、こんなことで詫びになるとも思わねえけどよ」
「キャッツアイ様も我々の目的をご存知でしたか……お気遣いありがとうございます。彼に代わってお礼を申し上げます」
「何にしても……野郎、生真面目なのが災いしちまったな」
「はい、よい若者でしたが……すべては自分の教育が至らなかったせいです」
「いや、おめぇはよくやってくれたよ。野郎の仕事はいってえ悪りいもんじゃあなかったぜ。……ただ、ほんのちいっと早すぎたんだよ。もうちっとだけ実戦の勘所を教えてやれればよ、こんなことにゃあならなかったかも知れねえと思うとよ」
「……あと少し自分の手元において生き残る術を叩き込んでおいたら……そう思うと悔やんでも悔やみきれません」
「なあ、そう手前ぇを責めるもんじゃねえよ。オレだって野郎を先に逃がしてやれなかったんだしよ……手前ぇのことに手一杯で手下ぁ見殺しにしちまうなんざ……へっ、親分親分って持ち上げられていい気になってたのがよ、ざまあねえや」
キャッツアイは雨が顔に落ちるのも構わず空を見上げる。しとどに濡れたキャッツアイの顔には、雨ではないものが混じっているのかもしれない。
「キャッツアイ様……」
教官が何かを言おうとしたが、キャッツアイはそれを遮る。
「いや、もうよしにとこう。今さら何を言ってもあの野郎がここに帰ってくるこたあねえんだ。さあ、お前たちゃもう行きな。あんまり立ち話してっと向こうに着くまでに夜が明けっちまうぜ」
「はい、では失礼します。小休止終了! 行軍を再開する!」
訓練兵たちは再び整列し、荷物を担ぎ上げる。
「おう、ひよっこども、冒険者に気ぃつけろよ!」
「キャッツアイ様も御自愛を。小隊出発!」
しとしとと降り続く雨の中、大きな荷物を担いだオル マフムの群れは、音もなく闇の中へと消えていく。
それから1つ2つ季節を経てのこと。
ディオン丘陵地帯の近くでは、片手と片目のないオークと、杖を突き足を引き摺ったオークが、お互いを気遣うかのように寄り添い、ゆっくりと歩いていく姿を見かけたという噂が人々の口の端に上ったという。
だが、それがあの若いオークと年老いたオークであったのかを知る術は、今はもう、残されてはいない。
数日前に冒険者たちの襲撃を受け、ボスを中心に甚大な被害を蒙ったパルチザンのアジトであったが、負傷していた兵の復帰も重傷者を除いて始まったこともあり、復旧のための作業が本格化していた。
作業は襲撃の翌日から昼夜を問わず続けられていたが、この日は気候の安定したアデン地方にしては珍しく、朝方から降り始めた雨はなかなか止む気配を見せなかった。夕刻になっても雨足は一向に弱まらず、足場が悪い中での夜間の作業は危険であるため止む無く中断が決定され、兵たちは少数の歩哨だけ残してそれぞれの宿舎に戻り、連日の作業で疲れた体を休めることとなった。
雨は夜半近くになってわずかに弱まったものの、翌朝までは続くであろうと思われた。山中のアジトは時たま巡回してくる歩哨以外は動くものもなく、久しぶりに静かな夜を迎え、日付が変わろうとする頃にはほとんどの兵士が寝静まっていた。
しかし、雨音に遮られて多くの者が気付いていなかったが、錬兵場には昼間と同じように大勢の訓練兵たちが集合しようとしていた。
整列した訓練兵の前では教官が、周囲を意識して低く抑えてはいるものの、普段の訓練と同じように鋭い声で矢継ぎ早に命令を下していく。
「小隊傾注! これより夜間行軍の訓練を行う! 1分以内に準備を終わらせろ!」
「毛皮を濡らすな! 濡れた毛皮は体力を消耗させるぞ! 今のうちに十分に油を含ませておけ!」
「いいか、訓練と言えどアジト外での行動である以上敵と遭遇する可能性が皆無なわけではない、決して油断はするな!」
「雨は自分の気配を消してくれるが、敵の気配もまた掴みにくくなる。不意の遭遇戦では何が起こるか分からん。死にたくなければ一時たりとも気を抜くな!」
そして、最後に教官は防水シートに包まれた大きな荷物を指さした。補給品であろうか、これだけの量が準備されているとなると相当長距離の行軍であることが予想される。
「お前たちも分かっているとは思うが、この荷物は重要なものだ、極力揺らさぬよう努めよ! 乱暴に扱う者は懲罰の対象になるぞ! なお、担ぎ手は半刻毎に交代! 疲労で行軍速度を落とさぬよう注意せよ! 明日の朝には戻らねばならん!」
コートを着込み、雨避けの油を全身に塗り終わった訓練兵たちは再び整列し、負担を均等にするため体格の近い者から選び出された担ぎ手たちが、輿に乗せられた荷物に不要な衝撃を与えないよう慎重に担ぎ上げる。
「よし、準備はできたな? では小隊進め!」
教官の先導で訓練兵たちが出発しようとしたその時、錬兵場脇の草叢を掻き分けて数名の屈強な兵が現れ、その後に続いてオル マフム ロードが悠然と歩みだしてきた。
「か、閣下、夜分にこのような場所にいらっしゃるとは、何か急な事態でも? まさかまた冒険者どもが?!」
突然のことに教官だけでなく訓練兵たちも瞬時に硬直し、ロードを注視する。
「いやそうではない、少々目が冴えて眠れぬがゆえ、復旧状況を見回っておったところにこの騒ぎを聞きつけたものである。今宵は訓練があるとは聞いておらぬが、なぜ訓練兵を集結させているのか?」
どうやら予定にない訓練を行おうとしたところに不審を抱かれてしまったようだ。しかし、訓練の内容を決定する権限が教官にある以上、ジェネラルといえども口を挟む筋のことではない。自信を持って正当な答えを返せばよいだけである。
「はい、それであれば今晩は雨天でもあり、夜間行軍の訓練に適していると考え、自分の独断で召集したものです!」
「左様か、ご苦労である」
「いえ、先の襲撃により、兵力の大幅な減少を余儀なくされておりますがゆえ、少々過酷にはなりますが、訓練兵どもを一刻も早く戦力化するべく務めるのは、自分の職務において当然であると考えます」
「よろしい。貴様の教官としての仕事には満足しておる。良いようにせよ」
「ありがとうございますっ!」
教官の答えに満足して頷き、このまま踵を返すと思われたロードだったが、なぜか担ぎ上げられた荷物に目を留め、振り向きざまに質問を投げかけてきた。
「時にその大きな荷物はなんであるか?」
不意打ちであった。先の答えでロードを納得させることができたと安堵していただけに、教官は一瞬返答に窮してしまった。
「こ、これは、……そうです、物資の輸送訓練を兼ねるため準備したものであります!」
このわずかな戸惑いに不審を抱いたのか、それとも最初から不審に思っていたのか、ロードは荷物に近付くと鼻を鳴らして丹念に匂いを確認する。
「ふん、隠さんでもよい。儂の鼻はそこまで衰えてはおらんぞ? 荷物の中身はあのオークなのであろう? 貴様は訓練を装い、司令部に上申することなく彼の村にこれを送り届けるつもりであるな?!」
この言葉に教官の背筋は一瞬にして凍りつく。ロードの指摘通り、荷物の中には補給物資の間に隠すように、先の戦いで倒れた若いオークの体が納められていたのだ。
教官は、若いオークの身に起きたことを自分の責任と受け止め、せめて自らの手で彼を母親の元に返そうと、若いオークと同期の訓練兵の中から有志を募り、この雨を利用して密かにエンク オークの村への強行軍に出ようとしていたのだ。
「申し訳ありません、戻り次第いかなる罰でもお受けいたしますので、この場はどうか御容赦下さい!」
教官は腰を大きく折り、地面に着かんばかりに頭を下げてロードに懇願する。無断で根拠地を離れることは、場合によって脱走とも見做されかねない。最悪の場合は軍法会議にかけられることを覚悟しなければならない重大な軍紀違反なのだ。
ロードは頭を下げたままの教官をじっと見つめている。
それはほんの1分にも満たない時間であったが、その場に居る者にとっては無限にも感じられた。
「閣下っ!」
凍りついた空気を破るように、整列した訓練兵の中から1人が前に出た。
「オレたちからもお願げえします。こかあどうで見逃して下せえ!」
彼が頭を下げると、それを合図にしたように他の訓練兵たちも次々に前に出て、ロードに向かって頭を下げ始める。
「オレからもお願げえしやす!」
「お願いしやす、オレたちゃヤツをあのまんま放っておくなんざ、できやしねえんです」
「オレもです!」
「おいらもお願えしやす!」
その中には、若いオークと訓練を共にした魔法職の者だけでなく、同期とはいえ彼とは直接関係のなかった物理アタッカー職までもがいる。
最後には、荷物を担いだ者以外は全員がロードの慈悲を求めて頭を下げていた。
彼らがこの行軍に志願したのは戦友への思いも確かににあっただろう。
だが、それだけではない。いずれ前線にでて戦う彼らにとって、自分が倒れた時に正当な扱いを受けるために、先に倒れた者を不当に扱うことは絶対にあってはならないという必死の念があったのだ。
頭を巡らし、表情も変えずに訓練兵たちを一瞥したロードであったが、教官の方に向き直すと突然表情を崩し、ニヤリと笑う。
「バカモノどもめ、貴様ら何を勘違いしておる? 我が軍のために身命を賭して戦った兵士に報いるのは当然のことである。それを誰が罰することができようか。只今この場で発令するがゆえ、正規の任務としてしっかりと送り届けるように。よいな? なお、アジトを離れるのに訓練兵だけでは心もとなかろう、貴様に儂の護衛兵を預けるので存分に使うがよい。正規兵と行動を共にすることは、訓練兵にもよい勉強になろう」
ロードの言葉があまりに意外であったため、教官はそれを聞くとしばし放心したような表情になり、そして状況を理解すると先ほどよりもさらに深く頭を下げた。
「閣下……ありがとうございます!」
「礼などいらん。本来なら儂が率先して命じなければならないことである。だが、言い訳にはならんが、復旧に手をとられて後手になってしまっておった。彼と母親には詫びねばならん」
「閣下、僭越ではありますが、自分が名代として閣下のお心を彼の母親に伝えることをお許しください」
「よろしい、貴様に儂の名代として以後の処理を一任する。では儂は司令部へ戻るぞ。以上!」
「はいっ! ありがとうございますっ!」
その場の全員が最敬礼で見送る中、ロードは振り返ることなく、現れたのと同じように草叢の中を悠然と歩いて行った。
雨の中、荷を担ぎ隊列を組んだ訓練兵たちは粛々と進む。
「担ぎ手は歩調を乱せ! その方が揺れが少なくなるぞ!」
教官はすべてに気を配り、細かな指示を飛ばす。
「斥候は先行して地形を偵察せよ! 残りの者は荷物を中心に縦列を組み前進!」
濡れた斜面の下生えは滑りやすい。訓練兵は暗闇でも目が効くオル マフムが多いが、それでも慎重に進まねばたちまち足を滑らせてしまうだろう。殊に今は間違っても落下さるようなことがあってはならない荷物を運んでいるのだ。前を行く斥候が安全そうな道を探しては邪魔な枝葉や潅木を山刀で切り払い、荷物が通れるだけの広さを確保し、少しずつ荷物を前進させる。
馴れない作業ではあったが、教官と訓練兵たちはなんとかアジトとクルマ湿地の境界近くまで進み、ようやく森が途切れ見通しのよい平原に到達しようとしていた。
しかし、そろそろ全員に疲労が溜まりつつある。この先は平原であるだけに移動は楽になるが、見通しがよければ敵からもこちらを発見しやすくなるということでもあるため、より迅速な移動が求められる。
疲労によるもたつきは命取りになりかねないと判断した教官は、森を出る直前で小休止して疲労を回復させ、その後に平原を一気に突っ切ることにした。
行軍を停止させ、全員に警戒を厳しくするように命じたのと同時に、前方の木の陰から肥満した大きな影がのそりと現れ、教官たちの前に立ちはだかった。
「誰だっ! なぜそこにいる? 返答の次第によっては命はないぞ! くそっ斥候はなぜ見逃したのかっ!」
教官が影に向かって厳しい声で誰何し、同時に手練の護衛兵が訓練兵を抑えて先頭に出る。
「よう、教官殿。夜中だってのに生徒どもを引き連れて遠足かい?」
この陽気な声の持ち主は、影の正体は、若いオークの上官であったキャッツアイであった。
「これはキャッツアイ様! もうお怪我はよろしいのですか?」
冒険者の襲撃によって深手を負わされ、財宝をほとんど奪われてしまったキャッツアイであったが、持ち前の身のこなしで致命傷だけは避け、ヒーラーたちの夜を徹した手当てにより、この2、3日でなんとか生命の危機を脱するまでに回復していた。
「おう、まだあっちこっち痛むけどよ、まあ1人で出歩ける程度にゃあなったぜ」
当人は気楽そうに応えるが、あの惨状を知るものからすれば、とうてい信じられるものではない。相当な無理をしているのだろう。これは何かあると教官は直感した。
「それは何よりでした。して、そのようなお体で散歩とも思えませんが?」
「お前ら遠出すんだろ? ちょいとついでを頼みてえんだがいいかい?」
「ついでですか? 我々はこれより夜間行軍の訓練ですので、キャッツアイ様といえど御用を承ることはことは難しくありますが?」
キャッツアイが軍隊的な規則を嫌うとはいっても、非番でもない者に私用をいいつけるようなことはない。しかも、わざわざ傷だらけの体をおしてのことだ。
「なに、手間を取らせるようなもんじゃねえ。ただちょいとコイツを一緒に持ってってもらいてえだけだ」
キャッツアイは使い込まれた皮袋を身構える教官に投げる。それはがしゃりと重い金属音を立てて教官の手の中に納まった。
「これは……もしやアデナですな?」
皮袋には魔法がかけてあり実際よりもかなり重量が軽くなっているはずだが、それでもずしりと重い手ごたえが感じられるところからすると、相当な額が入っているだろう事は想像に難くない。
「ああ、こないだ冒険者どもに散々毟られちまった後だから大したこたあできねえけどよ、向こうのお袋さんによ、当面の暮らしの足しにしてくれってな。……まあ、こんなことで詫びになるとも思わねえけどよ」
「キャッツアイ様も我々の目的をご存知でしたか……お気遣いありがとうございます。彼に代わってお礼を申し上げます」
「何にしても……野郎、生真面目なのが災いしちまったな」
「はい、よい若者でしたが……すべては自分の教育が至らなかったせいです」
「いや、おめぇはよくやってくれたよ。野郎の仕事はいってえ悪りいもんじゃあなかったぜ。……ただ、ほんのちいっと早すぎたんだよ。もうちっとだけ実戦の勘所を教えてやれればよ、こんなことにゃあならなかったかも知れねえと思うとよ」
「……あと少し自分の手元において生き残る術を叩き込んでおいたら……そう思うと悔やんでも悔やみきれません」
「なあ、そう手前ぇを責めるもんじゃねえよ。オレだって野郎を先に逃がしてやれなかったんだしよ……手前ぇのことに手一杯で手下ぁ見殺しにしちまうなんざ……へっ、親分親分って持ち上げられていい気になってたのがよ、ざまあねえや」
キャッツアイは雨が顔に落ちるのも構わず空を見上げる。しとどに濡れたキャッツアイの顔には、雨ではないものが混じっているのかもしれない。
「キャッツアイ様……」
教官が何かを言おうとしたが、キャッツアイはそれを遮る。
「いや、もうよしにとこう。今さら何を言ってもあの野郎がここに帰ってくるこたあねえんだ。さあ、お前たちゃもう行きな。あんまり立ち話してっと向こうに着くまでに夜が明けっちまうぜ」
「はい、では失礼します。小休止終了! 行軍を再開する!」
訓練兵たちは再び整列し、荷物を担ぎ上げる。
「おう、ひよっこども、冒険者に気ぃつけろよ!」
「キャッツアイ様も御自愛を。小隊出発!」
しとしとと降り続く雨の中、大きな荷物を担いだオル マフムの群れは、音もなく闇の中へと消えていく。
それから1つ2つ季節を経てのこと。
ディオン丘陵地帯の近くでは、片手と片目のないオークと、杖を突き足を引き摺ったオークが、お互いを気遣うかのように寄り添い、ゆっくりと歩いていく姿を見かけたという噂が人々の口の端に上ったという。
だが、それがあの若いオークと年老いたオークであったのかを知る術は、今はもう、残されてはいない。
2010年10月1日金曜日
今日の雑感008
1)
報道の自由には、
報道“する”自由だけでなく、
報道“しない”自由が含まれていることを忘れてはならない。
実のところ、それがマスメディアの最大の武器である。
彼らは自己の都合で報道内容を自由に選択する。
一般市民は、マスメディアが知るべきであると考えるものしか知らされない。
彼らが知るべきではないと考えるものは、それがいかに重要なことであろうと一切知らされることはないのだ。人々の意識において、知らないことは存在しないのと同じだ。
ネットの普及によってこの問題は解消されたように見えるが、ネットは能動的に知ろうとする者には情報を与えてくれる(それが正しいか正しくないかは別の議論だ)が、受動的である者には何も与えてくれないということを見過ごしてはならない。
そして、多くの一般人は受動的であるのだ。
2)
どのような戦争であれ、すべては利益を基準にして行われる。
勝利が利益を生むならば戦争は開始されるし、そうでなければ開始されない。
ただし、その利益は経済に直結するものだけではないことに注意が必要だ。
反戦運動は、それを不利益と考える為政者には有効だが、それでも反戦運動の不利益よりも大きな利益をもたらす可能性が十分にあれば、武力の行使は躊躇されない。
そもそも反戦運動を不利益とは考えない為政者に対してはまったく効果はない。
戦争を起こさないためには、戦争が利益を生まない構造を国際的に構築するしかない。
3)
戦略的互恵関係とは、相互の依存度が均等である場合にのみ有効な考え方だ。
依存度の格差が大きければ、それが少ない方(もしくは少ないと考える方)によって簡単に破棄または利用される危険があるのだ。
政府は対独戦が終結した瞬間に日ソ中立条約がいとも簡単に反故にされたことを憶えていないのだろうか。
資源小国が優位に立つためには人材と技術を育てることが重要だ。
技術移転を行うのはよいが、中核技術だけは流出させてはならないし、人を安易に切り捨てる企業は潰してしまってもかまわない。
※9月分を読み返して思うが、それにしても楽しいハナシが全然ないブログであることよ。それだけ世間に楽しいことがないということなのかもしれないし、そうではないのかもしれない。
※そういやアレだ、ブログのタイトルなんですがね、「人魚亭異聞~無法街の素浪人」っていう三船敏郎が主演した時代劇が元になってるんですよ。だから、最初「ハヤカワ亭異聞~ウホッGUYのスロー人」にしようとしたんですが、試しにそれでググってみたらアッチ方面の人が大量に来ちゃいそうな勢いだったので踏みとどまりました。
※現在、「傭兵哀歌」の後日譚を執筆中。本編を流さないために新しい記事を増やせないのが悩ましい。←終了
報道の自由には、
報道“する”自由だけでなく、
報道“しない”自由が含まれていることを忘れてはならない。
実のところ、それがマスメディアの最大の武器である。
彼らは自己の都合で報道内容を自由に選択する。
一般市民は、マスメディアが知るべきであると考えるものしか知らされない。
彼らが知るべきではないと考えるものは、それがいかに重要なことであろうと一切知らされることはないのだ。人々の意識において、知らないことは存在しないのと同じだ。
ネットの普及によってこの問題は解消されたように見えるが、ネットは能動的に知ろうとする者には情報を与えてくれる(それが正しいか正しくないかは別の議論だ)が、受動的である者には何も与えてくれないということを見過ごしてはならない。
そして、多くの一般人は受動的であるのだ。
2)
どのような戦争であれ、すべては利益を基準にして行われる。
勝利が利益を生むならば戦争は開始されるし、そうでなければ開始されない。
ただし、その利益は経済に直結するものだけではないことに注意が必要だ。
反戦運動は、それを不利益と考える為政者には有効だが、それでも反戦運動の不利益よりも大きな利益をもたらす可能性が十分にあれば、武力の行使は躊躇されない。
そもそも反戦運動を不利益とは考えない為政者に対してはまったく効果はない。
戦争を起こさないためには、戦争が利益を生まない構造を国際的に構築するしかない。
3)
戦略的互恵関係とは、相互の依存度が均等である場合にのみ有効な考え方だ。
依存度の格差が大きければ、それが少ない方(もしくは少ないと考える方)によって簡単に破棄または利用される危険があるのだ。
政府は対独戦が終結した瞬間に日ソ中立条約がいとも簡単に反故にされたことを憶えていないのだろうか。
資源小国が優位に立つためには人材と技術を育てることが重要だ。
技術移転を行うのはよいが、中核技術だけは流出させてはならないし、人を安易に切り捨てる企業は潰してしまってもかまわない。
※9月分を読み返して思うが、それにしても楽しいハナシが全然ないブログであることよ。それだけ世間に楽しいことがないということなのかもしれないし、そうではないのかもしれない。
※そういやアレだ、ブログのタイトルなんですがね、「人魚亭異聞~無法街の素浪人」っていう三船敏郎が主演した時代劇が元になってるんですよ。だから、最初「ハヤカワ亭異聞~ウホッGUYのスロー人」にしようとしたんですが、試しにそれでググってみたらアッチ方面の人が大量に来ちゃいそうな勢いだったので踏みとどまりました。
※現在、「傭兵哀歌」の後日譚を執筆中。本編を流さないために新しい記事を増やせないのが悩ましい。←終了
2010年9月29日水曜日
JAXAの最後は番外編
・激闘相模原市立博物館
眠気的な意味で。
さて、JAXAを後にして相模原市立博物館に移動したハヤカワさん一行ですが、その前にちと報告を。
前の記事にも追記したのですが、JAXAの展示で衛星の模型の支えにリポDが使用されていた件についての情報を得ました。
全天周映画について書くためにWikipediaでハヤブサの行程を調べていたのですが、ハヤブサがイトカワに着陸するときに管制室の様子をインターネットで中継しており、その際管制室に次々とリポDの瓶が積みあがったのが評判となり、後に大正製薬からJAXA担当者にリポDが2カートン贈られたのだそうです。
あのリポDはその辺りの事情を知っている人には分かるシャレなのでしょう。
以上、報告終わり。レポ開始。
※おっと、一応注意書き。小惑星探査機「はやぶさ」は、正式な表記はひらがななんですが、本文中では地の文章と混じってわかりにくくなってしまうため故意にカタカナでハヤブサとしています。
全天周映画上映開始10分ほど前に相模原市立博物館に到着。ロビーにはイトカワの模型が展示されていたが、地表に豆粒のようなハヤブサが貼り付いているそうなので、しばし探してみる。まあこういうものは来館者が見やすい位置にあるのが定石なので、正面から見たらすぐに見つかった。先ほどの実物大模型が意外に大きかった印象があるだけに、イトカワとの対比ではあまりにも小さいのに驚かされる。
模型の展示ケースそのすぐ横には、上映待ちの列がすでに20~30人ほどできている。やはり平日だけに少ないというか、平日なのによくこれだけというべきか。
最後尾に付くと、入場を開始するまでに我々の後ろに10人ほど増えたようだ。JAXAで見かけた一般の見学者もいる。やはり考えることは同じだ。
並んでから5分も待たずに入場開始。プラネタリウムの内部は思ったより広い。人が少ないこともあるのだろうが、以前、今日も同行している友人と観に行ったサンシャイン60のプラネタリウムよりも空間に余裕がある感じがする。
客席は雛壇状になっているが、どこが一番見やすいかはなにせ初めてのことだけにわからない。他の入場者は上段に陣取っている者が多い。わき目も振らずそこへ向かったところからすると、上段の方が見やすいのだろうか。取り敢えず、よく分かっていない我々は中段ぐらいのところに席を取った。
シートは背もたれが大きく倒れるようになっているので、まずはそれを最大まで倒して視界が頂点に向くように寝転がる。だがしかし、後述するがこれが友人に悲劇をもたらすことになる。
照明が落とされ、諸注意のアナウンスが済んだところでいよいよ上映開始。
映画は、ハヤブサが打ち上げられるところを宇宙から見た構図から始まる。画面には地球が大写しになっていて、打ち上げの軌跡は割と端っこのほうだったため、探すのに苦労した。
Mロケットから順調に切り離され、ハヤブサは勇躍宇宙へと漕ぎ出す。
しかし、広大な宇宙のCGが映し出されると、その美しさに感動するより前に「無限に広がる大宇宙……」やら「航星日誌、宇宙暦××××年……」などといったセリフが脳内で再生されてしまうハヤカワさんは立派なオタクである。最近はあまり訓練されているとはいいがたいが。
CGはとにかく綺麗で、ハヤブサの機体がスクリーン一面を埋め尽くすようなドアップになってもまったくアラが出ない。
なお、バックの星が煌かないのは手抜きではなく、宇宙空間には光を散乱させる大気のようなものがほとんどないため、もともと煌かないのだ。意外と知らない人が多いようなので一応書いておく。
本編に戻ろう。
映画の内容はハヤブサの全行程の中で、地球スイングバイとイトカワでのサンプル採取が山場だ。山場以外はほとんどハヤブサが宇宙を飛んでいるのを様々な角度で映して、それに叙情的なナレーションが付いているだけ。まあ、山場ばっかりだと疲れちゃうからな。だが、後述するがそれが友人に悲劇をもたらした。
ちなみに、この叙情的なナレーションの主は俳優の篠田三郎氏。ハヤカワさんのようなお年寄りにはウルトラマンタロウの東光太郎と言った方が通りが早い。もっとも、上映中はまったくそんなことには気付かなかったのだが。落ち着いた、映像を邪魔しないナレーションという点では非常によいと思われたのだが、後述するがそれが友人に(ry
※ここでちょっと注意しときますと、これ以降のハヤカワさんの解説では、映画で語られたものに、家に帰ってから調べたことが付け加えられています。上手いこと書き分けられなかったため、ちょっとごっちゃになってますので、まあアレですよ「いんだよ、細けぇこたあ!」ということをお含み置きください。
さて、第一の山場地球スイングバイでは、飛行ルートを四角いフレームの連続として描き、その中をハヤブサが通過していくことで、針の穴を通すコントロールを表現していた。分かりやすくていい演出だと思うが、その難しさや外れたらどうなるかということが省かれているのは残念だ。
それ以外にも、時間の制約も大きいのだろうが、ハヤブサのみに焦点が当てられていて、それを支えた地球の管制室でのさまざまな苦心や努力が、ナレーションにおいても、まったく表現されていないのは個人的に残念だ。なんだかハヤブサだけが頑張ったような印象になってしまう。この映画がWikipediaなどで“叙情的”と評されているのはこの辺りが原因だろう。
まあ、あんまりその辺を詳しくやりすぎても、帰還の報道で初めて興味を持ったような一般の観客には分かりにくいだろうし、その筋のマニアはにとっては知ってることばかりでつまらないものになってしまうのかもしれない。JAXAはことあるごとにネットで中継していたから、新しい事実なんてものはそうありはしないだろうし。
さて、本編はいよいよ最大の山場であるイトカワでの活動場面になった。着陸前の事前探査でイトカワの質量が想定よりも小さかったことで、その構造を類推した画像が出たり、ちょっと科学映画らしくなってきた。
事前探査が終わり、着陸地点が決定されて、いよいよイトカワでの試料採取である。
ここに来て初めてハヤブサがすでに満身創痍であることが語られた。
まず、姿勢を制御するためのリアクションホイールという装置が3基中2基故障していること。
後に調べたところ、これらは同時に故障したのではなく、イトカワへの接近前には故障していたのは1基だけだったようだ。3軸制御ではリアクションホイールが最低2基あれば姿勢制御は可能なので、そこまでは想定内の運用だということ。ところが、イトカワとのランデブーを行ったところ、そこでさらに1基が故障したらしい。
これはかなりマズイ。代わりに化学ロケットを併用して姿勢制御をすることになったが、これはリアクションホイールよりも大雑把にしか制御できない。地球からの制御には片道16分もの通信時間がかかるのだから、状況に合わせた微妙な調節など不可能だろう。さらに、これは帰還用の燃料を一部消費することになる。燃料にはトラブルに備えて多少の余裕が持たせてあったとはいえ、少しでも使いすぎると帰還不能になる可能性がある非常に危険な賭けでもある。
だが、ハヤブサはそれを敢行した。
このあたりでちょっと涙腺が緩んできたが、ハヤカワさんは男の子なので人前では泣かないように必死でこらえるのだ。涙で画面が曇って細かいところを見逃すともったいないし。
1回目の着陸シーケンスはリハーサルであるが、異常があり失敗。映画ではこの部分は省かれていたような気がする。
再度リハーサルを行い、この時に、ついさっきJAXAで見てきたばかりのターゲットマーカーが投下された。そういえば、公募した名前が刻まれた記念プレートも置いてきたはずだが、そのタイミングについては触れられてなかったような気がする。
3回目のリハーサルでミネルヴァが投下されたということなのだが、これも映画では省かれていたような気がする。
いよいよ本番、しかし、降下中にハヤブサ自身が異常を感知してシーケンスを中断するが、その後再び降下し着陸に成功する。しかし、本来なら着陸して試料を採取し、すぐに上昇するはずが、30分あまりもイトカワ上で停止していたらしい。これは地上の管制室では通信状態の都合で把握できていなくて、通信の途絶が長時間にわたったため、緊急離陸させたそうだ。この辺りの細かい事情も映画では省かれていたような。
まあ、調べればすぐ分かることだからいいっちゃいいのだが、一般の人は調べないだろうから、あんまり省きすぎるとハヤブサだけが独りで頑張ったような印象になってしまうなあ。大きな仕事は多くの人の関わりや支えがあって初めて成し遂げられるってことをきちんと描いた方が教育的にもいいような気がするのだが。
2回目の降下に挑み、これには成功。弾丸を発射して試料を採取する場面が描かれる。実際には弾丸が正常に発射されたかどうかよくわかっていないらしいが。なお、このシーンはかなり長い時間を使っているが、ほんの1秒程度のことだそうだ。
採取が終了して、イトカワから最後の離脱。ここで拍手をしたくなったが、他にも観客がいるのでガマンする。ハヤカワさん大人だから。決して涙で何も見えなくなっていたわけではない。こう書くといかにもハヤカワさんが号泣していたような印象を与えるが、ちょっとウルッとはしたものの、本当に泣いてませんから。ええ、泣いてませんとも! 男が泣いていいのは生まれたときと親が死んだときとサイフを落としたときだけなんだいっ!
これで無事帰還かと思いきや、帰路もまた山あり谷あり。こうした話はハヤカワさん『現代萌衛星図鑑』の原型になった同人誌ですでに知っているのだが、映画的にはちょっとあっさりした印象。エンジンは故障するわバッテリーは上がるわ燃料は漏れるわ姿勢制御ができなくて太陽電池が発電しなくなるわ、終いには通信が途絶してあわや宇宙の孤児となるところまで。まあこうした内部のトラブルは画面的には描きにくいし、外見的には軸がブレていたりイオンエンジンの噴流が減ってる程度しか変化ないし、制作時には状況が分からなくて映像化しようがないことも多かったのかもしれない。
※映画の完成はハヤブサ帰還の1年以上前になる2009年3月のこと。それから逆算すると企画は通信が回復して帰還の望みが出た2007年頃か。調べりゃ分かるのかもしれないが重要なことでもないので調べない。
なんとか通信が回復して、地球へ帰還する目処が立ったところでハヤブサ本体の出番は終了。
最後の場面では大気圏に突入してウーメラ砂漠(?)に落下するカプセルが描かれるが、これは当初の計画通りなので、おそらく想像で作られたものではあろうが、相当緻密な現地取材をしたのか、かなり実際に近いものになっていると思う。ハヤブサの帰還を受けて画像を修正したという話も聞かないし、そこまでの時間や費用はなかっただろうし。
映画の概要はこんなところか。途中で小説を書いたりしてたもので、見てきてから20日ぐらい経ってしまったため、記憶にブレがあるかもしれない。っていうか確実にあるので、気になる人は実際に映画を見て確認したほうがいい。映画のウェブサイトに上映館の情報がある。“はやぶさ”“映画”でググれ!
なお、最前から書いてはいるが、ハヤブサにトラブルが起きたのはイトカワに到着してからではなくて、出発当初から4基あるイオンエンジンのうち、1基は出力が不安定なために動作していないし、帰路ではそれがついに3基停止し、動作するのは1基にまで減少している(生きているエンジンが2基になり、1基を予備として温存して1基のみで運用していた時期もあるそうだ。それも最後には全基故障して、当初から停止していたため使用していなかったエンジンの中和器を利用してなんとか復活させたりしている)。これは映像では表現されているものの、説明が一切ないため、知らなければなんでエンジンからガスの噴流が出ていないのかまったく分からない。例によってミネルヴァのことはガン無視である。せめてナレーションだけでも入れて欲しかった。
また、全天周というだけあって、首をあちこちに廻らさないと見逃してしまうものが多くていけない。これから見るという人はかなり首にくることは覚悟したほうがいい。入場者の多くが上段の席に行ったが、そっちはそれほどキツくはないのかも知れないので、これから行くという人は気を付けておこう。
40分ちょいで上映終了、照明が点けられると、隣の友人が開口一番「寝ちゃった」とか言う。ハヤカワさんはまったく気付かなかったが、シートの寝心地がよかったのか、ナレーションの落ち着き具合が絶妙だったのか、かなり早い段階で落ちていたようだ。なんともったいないことを!
※友人にこの記事を読んで記憶の摺り合わせをしてもらったところ、彼が落ちたのは地球スイングバイに入る前の解説の辺りで、目を覚ましたのは最初のタッチダウンの途中ぐらいらしいく、全部見逃していたわけではないようだ。それと、映画に集中していたハヤカワさんは全然気にならなかったのだが、すぐ後ろのあたりにいた女性たちがかなりハヤブサ萌え状態になっていたらしい。そういえば、上映前には随分楽しげにお喋りをしていらっしゃったような気がする。
一旦プラネタリウムを出て、次は続いて金星探査機「あかつき」の、今度はプラネタリウム番組を見る。入場者はハヤブサの半分もいない。お前らホントは宇宙好きなんじゃねぇだろ?! なんてことは思っても口には出さない。だってハヤカワさん大人だから。
内容は、プラネタリウム番組といっはても、プラネタリウム的な星を映写するというのはほんの最初だけ、相模原から見た金星の動きを紹介するものだけ。後はあかつきの行程や金星の秘密についてなど、概要をプロジェクト代表の大先生(名前忘れた)が解説してくれる映像。ハヤブサではなんとか耐えたハヤカワさんだったが、こっちの番組では一瞬まぶたが落ちてしまった。だがガン寝はしてない! 信じて、おーねがい。
この映像だが、大先生と生のナレーションで掛け合いがあるのだが、ナレーションがちと走り気味で、ナレーションが質問してから先生が答えてくれるまで少々間が空いたりしていた。まあ生だし。
番組は40分程度で無事に終了した。晩飯までにちょっと時間があるので博物館の常設展示物を見てみることに。
そういえば、相模原は日本の近代的な測量が初めて行われた土地で、市内の何処かにその始点だかが残っているらしい。そんなものも紹介されているのだろうか?
相模原の土地組成など天地開闢から、縄文や弥生の土器の展示へ続き、中世を盛大にカッ飛ばして突然後北条期になるという、歴史家にとってはかなり不思議な展示内容だ。相模原ってその途中何にもなかったっけ? 「いんだよ、細かけぇこたあ!」ああまた松田さんが降臨してしまった。と、展示が江戸時代の農村に到達したところで、追い出しの放送が流れる。この博物館、なんと5時で閉館だそうだ。
これだからお役所仕事は!
博物館を出るとそろそろ日が傾き始めている。エントランスの真正面に見えるJAXAのゲートはあかつきが出発した場所だった。
帰路は徒歩で最寄りのJR横浜線淵野辺駅まで移動し、電車で町田へ。少しブラブラしてから夕食を摂って解散。
帰路、うっかりまんがタイムきららを買い忘れる。つうこんのいちげき。普段なら次号発売直前でも買えるものが、たった2~3日で書店から姿を消すとは。けいおん厨を甘く見ていた。転売屋は犬のウンコ踏め!
眠気的な意味で。
さて、JAXAを後にして相模原市立博物館に移動したハヤカワさん一行ですが、その前にちと報告を。
前の記事にも追記したのですが、JAXAの展示で衛星の模型の支えにリポDが使用されていた件についての情報を得ました。
全天周映画について書くためにWikipediaでハヤブサの行程を調べていたのですが、ハヤブサがイトカワに着陸するときに管制室の様子をインターネットで中継しており、その際管制室に次々とリポDの瓶が積みあがったのが評判となり、後に大正製薬からJAXA担当者にリポDが2カートン贈られたのだそうです。
あのリポDはその辺りの事情を知っている人には分かるシャレなのでしょう。
以上、報告終わり。レポ開始。
※おっと、一応注意書き。小惑星探査機「はやぶさ」は、正式な表記はひらがななんですが、本文中では地の文章と混じってわかりにくくなってしまうため故意にカタカナでハヤブサとしています。
全天周映画上映開始10分ほど前に相模原市立博物館に到着。ロビーにはイトカワの模型が展示されていたが、地表に豆粒のようなハヤブサが貼り付いているそうなので、しばし探してみる。まあこういうものは来館者が見やすい位置にあるのが定石なので、正面から見たらすぐに見つかった。先ほどの実物大模型が意外に大きかった印象があるだけに、イトカワとの対比ではあまりにも小さいのに驚かされる。
模型の展示ケースそのすぐ横には、上映待ちの列がすでに20~30人ほどできている。やはり平日だけに少ないというか、平日なのによくこれだけというべきか。
最後尾に付くと、入場を開始するまでに我々の後ろに10人ほど増えたようだ。JAXAで見かけた一般の見学者もいる。やはり考えることは同じだ。
並んでから5分も待たずに入場開始。プラネタリウムの内部は思ったより広い。人が少ないこともあるのだろうが、以前、今日も同行している友人と観に行ったサンシャイン60のプラネタリウムよりも空間に余裕がある感じがする。
客席は雛壇状になっているが、どこが一番見やすいかはなにせ初めてのことだけにわからない。他の入場者は上段に陣取っている者が多い。わき目も振らずそこへ向かったところからすると、上段の方が見やすいのだろうか。取り敢えず、よく分かっていない我々は中段ぐらいのところに席を取った。
シートは背もたれが大きく倒れるようになっているので、まずはそれを最大まで倒して視界が頂点に向くように寝転がる。だがしかし、後述するがこれが友人に悲劇をもたらすことになる。
照明が落とされ、諸注意のアナウンスが済んだところでいよいよ上映開始。
映画は、ハヤブサが打ち上げられるところを宇宙から見た構図から始まる。画面には地球が大写しになっていて、打ち上げの軌跡は割と端っこのほうだったため、探すのに苦労した。
Mロケットから順調に切り離され、ハヤブサは勇躍宇宙へと漕ぎ出す。
しかし、広大な宇宙のCGが映し出されると、その美しさに感動するより前に「無限に広がる大宇宙……」やら「航星日誌、宇宙暦××××年……」などといったセリフが脳内で再生されてしまうハヤカワさんは立派なオタクである。最近はあまり訓練されているとはいいがたいが。
CGはとにかく綺麗で、ハヤブサの機体がスクリーン一面を埋め尽くすようなドアップになってもまったくアラが出ない。
なお、バックの星が煌かないのは手抜きではなく、宇宙空間には光を散乱させる大気のようなものがほとんどないため、もともと煌かないのだ。意外と知らない人が多いようなので一応書いておく。
本編に戻ろう。
映画の内容はハヤブサの全行程の中で、地球スイングバイとイトカワでのサンプル採取が山場だ。山場以外はほとんどハヤブサが宇宙を飛んでいるのを様々な角度で映して、それに叙情的なナレーションが付いているだけ。まあ、山場ばっかりだと疲れちゃうからな。だが、後述するがそれが友人に悲劇をもたらした。
ちなみに、この叙情的なナレーションの主は俳優の篠田三郎氏。ハヤカワさんのようなお年寄りにはウルトラマンタロウの東光太郎と言った方が通りが早い。もっとも、上映中はまったくそんなことには気付かなかったのだが。落ち着いた、映像を邪魔しないナレーションという点では非常によいと思われたのだが、後述するがそれが友人に(ry
※ここでちょっと注意しときますと、これ以降のハヤカワさんの解説では、映画で語られたものに、家に帰ってから調べたことが付け加えられています。上手いこと書き分けられなかったため、ちょっとごっちゃになってますので、まあアレですよ「いんだよ、細けぇこたあ!」ということをお含み置きください。
さて、第一の山場地球スイングバイでは、飛行ルートを四角いフレームの連続として描き、その中をハヤブサが通過していくことで、針の穴を通すコントロールを表現していた。分かりやすくていい演出だと思うが、その難しさや外れたらどうなるかということが省かれているのは残念だ。
それ以外にも、時間の制約も大きいのだろうが、ハヤブサのみに焦点が当てられていて、それを支えた地球の管制室でのさまざまな苦心や努力が、ナレーションにおいても、まったく表現されていないのは個人的に残念だ。なんだかハヤブサだけが頑張ったような印象になってしまう。この映画がWikipediaなどで“叙情的”と評されているのはこの辺りが原因だろう。
まあ、あんまりその辺を詳しくやりすぎても、帰還の報道で初めて興味を持ったような一般の観客には分かりにくいだろうし、その筋のマニアはにとっては知ってることばかりでつまらないものになってしまうのかもしれない。JAXAはことあるごとにネットで中継していたから、新しい事実なんてものはそうありはしないだろうし。
さて、本編はいよいよ最大の山場であるイトカワでの活動場面になった。着陸前の事前探査でイトカワの質量が想定よりも小さかったことで、その構造を類推した画像が出たり、ちょっと科学映画らしくなってきた。
事前探査が終わり、着陸地点が決定されて、いよいよイトカワでの試料採取である。
ここに来て初めてハヤブサがすでに満身創痍であることが語られた。
まず、姿勢を制御するためのリアクションホイールという装置が3基中2基故障していること。
後に調べたところ、これらは同時に故障したのではなく、イトカワへの接近前には故障していたのは1基だけだったようだ。3軸制御ではリアクションホイールが最低2基あれば姿勢制御は可能なので、そこまでは想定内の運用だということ。ところが、イトカワとのランデブーを行ったところ、そこでさらに1基が故障したらしい。
これはかなりマズイ。代わりに化学ロケットを併用して姿勢制御をすることになったが、これはリアクションホイールよりも大雑把にしか制御できない。地球からの制御には片道16分もの通信時間がかかるのだから、状況に合わせた微妙な調節など不可能だろう。さらに、これは帰還用の燃料を一部消費することになる。燃料にはトラブルに備えて多少の余裕が持たせてあったとはいえ、少しでも使いすぎると帰還不能になる可能性がある非常に危険な賭けでもある。
だが、ハヤブサはそれを敢行した。
このあたりでちょっと涙腺が緩んできたが、ハヤカワさんは男の子なので人前では泣かないように必死でこらえるのだ。涙で画面が曇って細かいところを見逃すともったいないし。
1回目の着陸シーケンスはリハーサルであるが、異常があり失敗。映画ではこの部分は省かれていたような気がする。
再度リハーサルを行い、この時に、ついさっきJAXAで見てきたばかりのターゲットマーカーが投下された。そういえば、公募した名前が刻まれた記念プレートも置いてきたはずだが、そのタイミングについては触れられてなかったような気がする。
3回目のリハーサルでミネルヴァが投下されたということなのだが、これも映画では省かれていたような気がする。
いよいよ本番、しかし、降下中にハヤブサ自身が異常を感知してシーケンスを中断するが、その後再び降下し着陸に成功する。しかし、本来なら着陸して試料を採取し、すぐに上昇するはずが、30分あまりもイトカワ上で停止していたらしい。これは地上の管制室では通信状態の都合で把握できていなくて、通信の途絶が長時間にわたったため、緊急離陸させたそうだ。この辺りの細かい事情も映画では省かれていたような。
まあ、調べればすぐ分かることだからいいっちゃいいのだが、一般の人は調べないだろうから、あんまり省きすぎるとハヤブサだけが独りで頑張ったような印象になってしまうなあ。大きな仕事は多くの人の関わりや支えがあって初めて成し遂げられるってことをきちんと描いた方が教育的にもいいような気がするのだが。
2回目の降下に挑み、これには成功。弾丸を発射して試料を採取する場面が描かれる。実際には弾丸が正常に発射されたかどうかよくわかっていないらしいが。なお、このシーンはかなり長い時間を使っているが、ほんの1秒程度のことだそうだ。
採取が終了して、イトカワから最後の離脱。ここで拍手をしたくなったが、他にも観客がいるのでガマンする。ハヤカワさん大人だから。決して涙で何も見えなくなっていたわけではない。こう書くといかにもハヤカワさんが号泣していたような印象を与えるが、ちょっとウルッとはしたものの、本当に泣いてませんから。ええ、泣いてませんとも! 男が泣いていいのは生まれたときと親が死んだときとサイフを落としたときだけなんだいっ!
これで無事帰還かと思いきや、帰路もまた山あり谷あり。こうした話はハヤカワさん『現代萌衛星図鑑』の原型になった同人誌ですでに知っているのだが、映画的にはちょっとあっさりした印象。エンジンは故障するわバッテリーは上がるわ燃料は漏れるわ姿勢制御ができなくて太陽電池が発電しなくなるわ、終いには通信が途絶してあわや宇宙の孤児となるところまで。まあこうした内部のトラブルは画面的には描きにくいし、外見的には軸がブレていたりイオンエンジンの噴流が減ってる程度しか変化ないし、制作時には状況が分からなくて映像化しようがないことも多かったのかもしれない。
※映画の完成はハヤブサ帰還の1年以上前になる2009年3月のこと。それから逆算すると企画は通信が回復して帰還の望みが出た2007年頃か。調べりゃ分かるのかもしれないが重要なことでもないので調べない。
なんとか通信が回復して、地球へ帰還する目処が立ったところでハヤブサ本体の出番は終了。
最後の場面では大気圏に突入してウーメラ砂漠(?)に落下するカプセルが描かれるが、これは当初の計画通りなので、おそらく想像で作られたものではあろうが、相当緻密な現地取材をしたのか、かなり実際に近いものになっていると思う。ハヤブサの帰還を受けて画像を修正したという話も聞かないし、そこまでの時間や費用はなかっただろうし。
映画の概要はこんなところか。途中で小説を書いたりしてたもので、見てきてから20日ぐらい経ってしまったため、記憶にブレがあるかもしれない。っていうか確実にあるので、気になる人は実際に映画を見て確認したほうがいい。映画のウェブサイトに上映館の情報がある。“はやぶさ”“映画”でググれ!
なお、最前から書いてはいるが、ハヤブサにトラブルが起きたのはイトカワに到着してからではなくて、出発当初から4基あるイオンエンジンのうち、1基は出力が不安定なために動作していないし、帰路ではそれがついに3基停止し、動作するのは1基にまで減少している(生きているエンジンが2基になり、1基を予備として温存して1基のみで運用していた時期もあるそうだ。それも最後には全基故障して、当初から停止していたため使用していなかったエンジンの中和器を利用してなんとか復活させたりしている)。これは映像では表現されているものの、説明が一切ないため、知らなければなんでエンジンからガスの噴流が出ていないのかまったく分からない。例によってミネルヴァのことはガン無視である。せめてナレーションだけでも入れて欲しかった。
また、全天周というだけあって、首をあちこちに廻らさないと見逃してしまうものが多くていけない。これから見るという人はかなり首にくることは覚悟したほうがいい。入場者の多くが上段の席に行ったが、そっちはそれほどキツくはないのかも知れないので、これから行くという人は気を付けておこう。
40分ちょいで上映終了、照明が点けられると、隣の友人が開口一番「寝ちゃった」とか言う。ハヤカワさんはまったく気付かなかったが、シートの寝心地がよかったのか、ナレーションの落ち着き具合が絶妙だったのか、かなり早い段階で落ちていたようだ。なんともったいないことを!
※友人にこの記事を読んで記憶の摺り合わせをしてもらったところ、彼が落ちたのは地球スイングバイに入る前の解説の辺りで、目を覚ましたのは最初のタッチダウンの途中ぐらいらしいく、全部見逃していたわけではないようだ。それと、映画に集中していたハヤカワさんは全然気にならなかったのだが、すぐ後ろのあたりにいた女性たちがかなりハヤブサ萌え状態になっていたらしい。そういえば、上映前には随分楽しげにお喋りをしていらっしゃったような気がする。
一旦プラネタリウムを出て、次は続いて金星探査機「あかつき」の、今度はプラネタリウム番組を見る。入場者はハヤブサの半分もいない。お前らホントは宇宙好きなんじゃねぇだろ?! なんてことは思っても口には出さない。だってハヤカワさん大人だから。
内容は、プラネタリウム番組といっはても、プラネタリウム的な星を映写するというのはほんの最初だけ、相模原から見た金星の動きを紹介するものだけ。後はあかつきの行程や金星の秘密についてなど、概要をプロジェクト代表の大先生(名前忘れた)が解説してくれる映像。ハヤブサではなんとか耐えたハヤカワさんだったが、こっちの番組では一瞬まぶたが落ちてしまった。だがガン寝はしてない! 信じて、おーねがい。
この映像だが、大先生と生のナレーションで掛け合いがあるのだが、ナレーションがちと走り気味で、ナレーションが質問してから先生が答えてくれるまで少々間が空いたりしていた。まあ生だし。
番組は40分程度で無事に終了した。晩飯までにちょっと時間があるので博物館の常設展示物を見てみることに。
そういえば、相模原は日本の近代的な測量が初めて行われた土地で、市内の何処かにその始点だかが残っているらしい。そんなものも紹介されているのだろうか?
相模原の土地組成など天地開闢から、縄文や弥生の土器の展示へ続き、中世を盛大にカッ飛ばして突然後北条期になるという、歴史家にとってはかなり不思議な展示内容だ。相模原ってその途中何にもなかったっけ? 「いんだよ、細かけぇこたあ!」ああまた松田さんが降臨してしまった。と、展示が江戸時代の農村に到達したところで、追い出しの放送が流れる。この博物館、なんと5時で閉館だそうだ。
これだからお役所仕事は!
博物館を出るとそろそろ日が傾き始めている。エントランスの真正面に見えるJAXAのゲートはあかつきが出発した場所だった。
帰路は徒歩で最寄りのJR横浜線淵野辺駅まで移動し、電車で町田へ。少しブラブラしてから夕食を摂って解散。
帰路、うっかりまんがタイムきららを買い忘れる。つうこんのいちげき。普段なら次号発売直前でも買えるものが、たった2~3日で書店から姿を消すとは。けいおん厨を甘く見ていた。転売屋は犬のウンコ踏め!
2010年9月26日日曜日
今日の雑感007
そろそろCOCOMを復活させるべきなんじゃないかね。
世界最大の独裁国家にして人権の抑圧者であり大量破壊兵器を公然と所持している厨華をのさばらせたのは国際政治の最大の失策かもしれない。
ソ連と同じように自己崩壊するって高をくくってたんだろうなあ。
とりあえずは周辺諸国と連携して締め上げていくしかないのだが。
いっそのこと台湾とチベットを独立国家として国連で承認しちまうとか。
まあ、暴発するだけだろうけど。
何にしても1か所に依存しすぎると危険なのはエネルギーも経済も政治も同じ。
現状で、厨華の膨張政策に唯一対抗し得るのは日米同盟であり、厨華の脅威に晒されている周辺諸国はその抑止力に大きく期待していたが、今回の日本の失策によって、それらの国は大いに失望させられることとなった。これは今後の外交において計り知れない影響を与えるだろう。
特にベトナムにおいては、南シナ海と背後のラオスが厨華の支配下に置かれることで、孤立状態に置かれる危険があり、そのためかつての仇敵である米国の空母ジョージワシントンの来航を歓迎し、政府高官による同艦訪問まで行っているのだ。
こうした機も捉えられない程度の国際感覚なのに、APECの会議なんか横浜でやったって、外交上の得点なんか稼げやしない。せいぜい道が変に混んでハヤカワさんが迷惑するぐらいのことだ。
てか、今の状態が続くと厨華は欠席するかも知れんね。
そしたら、人民日報の見出しが「我が代表堂々欠席す」とかなるかな。
まあ、そこまで引き摺る前に民主党は頭下げちゃうんだろうな。んなもん向こうが勝手に臍曲げてんだからほっときゃいいのに。
※ぐぐるさんがオススメしてくるから“リアクション”ちゅうのを増やしてみたよ。なんか拍手ボタンみたいなもんらしい。
※見てる人がいるかどうかわからんけど一応注意しときますと、ハヤカワさんは一度書いた記事に次々と追記していく手法を採用しています。過去記事だからってスルーしていると、いつの間にかエラク違ったものになっていることがあるから、目を離さない方がいいですよ。
世界最大の独裁国家にして人権の抑圧者であり大量破壊兵器を公然と所持している厨華をのさばらせたのは国際政治の最大の失策かもしれない。
ソ連と同じように自己崩壊するって高をくくってたんだろうなあ。
とりあえずは周辺諸国と連携して締め上げていくしかないのだが。
いっそのこと台湾とチベットを独立国家として国連で承認しちまうとか。
まあ、暴発するだけだろうけど。
何にしても1か所に依存しすぎると危険なのはエネルギーも経済も政治も同じ。
現状で、厨華の膨張政策に唯一対抗し得るのは日米同盟であり、厨華の脅威に晒されている周辺諸国はその抑止力に大きく期待していたが、今回の日本の失策によって、それらの国は大いに失望させられることとなった。これは今後の外交において計り知れない影響を与えるだろう。
特にベトナムにおいては、南シナ海と背後のラオスが厨華の支配下に置かれることで、孤立状態に置かれる危険があり、そのためかつての仇敵である米国の空母ジョージワシントンの来航を歓迎し、政府高官による同艦訪問まで行っているのだ。
こうした機も捉えられない程度の国際感覚なのに、APECの会議なんか横浜でやったって、外交上の得点なんか稼げやしない。せいぜい道が変に混んでハヤカワさんが迷惑するぐらいのことだ。
てか、今の状態が続くと厨華は欠席するかも知れんね。
そしたら、人民日報の見出しが「我が代表堂々欠席す」とかなるかな。
まあ、そこまで引き摺る前に民主党は頭下げちゃうんだろうな。んなもん向こうが勝手に臍曲げてんだからほっときゃいいのに。
※ぐぐるさんがオススメしてくるから“リアクション”ちゅうのを増やしてみたよ。なんか拍手ボタンみたいなもんらしい。
※見てる人がいるかどうかわからんけど一応注意しときますと、ハヤカワさんは一度書いた記事に次々と追記していく手法を採用しています。過去記事だからってスルーしていると、いつの間にかエラク違ったものになっていることがあるから、目を離さない方がいいですよ。
2010年9月24日金曜日
傭兵哀歌 Unlimited
※この小説は、ハヤカワさんが仕事でずっとかかわっていた「リネージュ2」というMMORPGのファンフクションコンテストに投稿したものを原型としています。しかし、このコンテストは文字数の制限が非常に厳しかったため、当初の構想をすべて詰め込むことができませんでした。このため、コンテストの終了を以って、これに大幅な加筆と修正を加え、可能な限り構想に近付けたものです。ファンフィクションという性質上、リネージュ2のプレイヤー以外には分かりくいところが多いかもしれませんが、プレイヤー以外の方でもお時間があれば目を通していただけると幸いです。どえらく長いですが。
※また手を入れているので部分的に中途半端になってますよ。
・レイド部下ストーリーズ~傭兵哀歌~(無制限版)
「敵襲ーっ! ディオンの冒険者どもだーっ! 総員急ぎ迎撃体勢を取れーっ!」
朝靄に包まれた静寂を破り、伝令たちがパルチザンのアジトのそこここで襲撃の報せを大声で叫ぶ。
瞬時に山中のいたるところから、どこに隠れていたのか、武器を手にした無数のオル マフムの兵士たちが飛び出し、あらかじめ決められた持ち場へと駆けていく。
アジト全体が蜂の巣を突付いたような騒ぎとなり、最奥部近くの陣を仕切るボスのキャッツアイとその部下たちの下にも間を置かず伝令がやってきた。
「キャッツアイ様に報告! すでに麓のタラキン様は討ち取られた模様です!」
「そうかい、で、ヤツらは真っ直ぐこけえ向かってるのかい?」
「いえ、タラキン様の後はフレイムロード シャダールの方へ向かったようです」
「親分、ヤツらがあっちに引っかかってる間に準備ぃしちまいましょう」
「そうだな、もうタラキンの奴がやられちまったってんならそう時間があるってわけでもねえだろうからな。よし、みんな予ねての手配通りにやりな!」
「へいっ!」
キャッツアイの命令が下り、部下たちは急いで冒険者たちを迎え撃つ体勢を整える。
「おい、新入り、ボヤボヤするな! 急いでに配置に付け!!」
「お、おうっ!!」
殺気立ったバンデットにどやされ、突然のことにポカンとした表情で座っていた若いエンク オーク シャーマンはあわてて立ち上がると、使い古した安物のワンドを握り、いつでも回復魔法がかけられるように直属の上官であるキャッツアイの後方に立つ。
「くそぅ、来週になれば休暇でかあちゃんのところに帰れるってのに、わざわざこんな時に来やがって……」
まだ姿を見せない襲撃者に対して呪いの言葉を吐きながら若いオークは身構えるが、全身は緊張でガチガチになっていて、呼吸は周囲にそれと分かるほど荒い。
「おい、若いの、ヤツらが来るのはまだ先だ。今からそんなに力を入れちまってたんじゃあ、いざってときにゃ体ぁ固まって動けなくなっちまうぜ? いつもの仕事みてえに楽にしてなけりゃいけねえよ」
やはりキャッツアイ直属である古参のオーク シャーマンが努めて気楽そうな色で声をかけるが、若いオークはバネ仕掛けの人形のように何度も頷きはするものの、眼は冒険者たちが登ってくるはずの山道を見据えたままで、その言葉が耳に届いているのかどうか分からない。
それから小一時間も経っただろうか、一党は臨戦態勢のままじりじりとしながら待ち構えるが、未だに冒険者たちが姿を現す気配はない。戦況を報せる伝令もしばらく前からパッタリと途絶えてしまった。だが、時折アジトの中腹から聞こえてくる叫び声からすると、冒険者たちが満足してディオンに戻ったというわけではなさそうだ。
状況が分からないまま待ち続けることに切れかけたバンデットが悪態を吐き、苛立ち紛れに近くの木立に向かって矢を射込む。突然のことに驚いた鳥たちが甲高い声を上げながらバサバサと音を立てて飛び立つが、普段は陽気で口数が多いキャッツアイでさえそれに目を向けようともしない。ボスらしく引きつった笑顔を作って余裕を見せようとはしているものの、所詮元は盗賊の出身である。相手の隙を突いての侵入や逃走には長けていても、自らの根拠地に急襲を受けるような事態には慣れていないのだ。そしてそれは、この場にいる全員が同じであった。
張り詰めた空気の中で、若いオークの掌にはジワジワと汗が滲み、いつしか指の間から滴り落ちるほどになっていた。
ピチャピチャと汗が地面で跳ねる音がして、ようやくそれに気が付いた若いオークが、万一にも手を滑らせてはいけないと汚れた手ぬぐいでワンドを拭おうとしたとき、飛び交う怒号とともに、冒険者たちのものと思われる多数の武器や鎧がぶつかり合う騒々しい音が近付いてきた。
「来たぞっ! 全員油断するなっ!」
耳敏いバンデットが真っ先にその音を聞きつけて叫び、キャッツアイと部下たちは長時間の待機で緩みかけた体勢を慌てて立て直す。
そして、喧しい金属音がいっそう大きくなり、麓から続く坂の曲がり角でキラリと何かが光るのが見えたかと思うと、大勢の冒険者たちの、血にまみれた剣を鞘に納めようともせずに早足でこちらへ向かってくる姿が、若いオークの目に飛び込んできた。
冒険者の群れは、キャッツアイと若いオークたちが待ち構える陣地から数十メートルほど離れた地点に達すると、リーダーと思われる男の指示で突然その歩みを止めた。様々な種族を取り混ぜたその数は、一見するところ30名をやや下回るほどであろうか。
『全員着いたか? 遅れたもんはいねぇな?』
リーダーは近くの岩の上に立ち、乱雑に並んだ冒険者たちの顔を、大仰に頭を廻らせて確認する。どうやら全員揃っているようだ。満足気に口角を上げ、声を張り上げて指示を飛ばす。
『よしっ! ここいらで少し休んでマナの回復をするぜ! まだ先は長えんだ、無理してもしょうがねえ。マナが足りてるもんはまあ自由にしてなっ!』
麓からの連戦で魔法職の多くがマナを使い切ってしまっている。ここまで一気に駆け上がってきた勢いが途切れるのは癪だが、バケモノに大ダメージを与えられる攻撃魔法や、盾職を支えるヒーラーが使い物にならないようでは討伐の成功はおぼつかないのだ。冒険者たちは思い思いに精神の秘薬を使ったり、それでも足りない者はその場に座り込んでマナの回復に専念する。
『それじゃあオレも一休みすっからよ、マナが十分になったら教えてくれや。なに、そこのバケモノどもなら他のと違って多少は利口だからよ、この人数相手にノコノコ地から出てくるようなバカな真似はしねえさ。お前ぇたちも安心して休むといいぜ!』
そう言うと立っていた岩の上に座り込んで、腰につけた決して小奇麗とは言い難い袋の中から携行食の包みを取り出した。
リーダーが黴臭い硬パンから小さな欠片をナイフで切り取って口に運ぼうとしたとき、手持ち無沙汰なのか、手下の冒険者が一人近付いてきて何事かを囁いた。
『ねえねえ大将、つかぬことを伺えやすけどね、こかぁマフムどもの棲処なんですよねえ?』
『あぁ? 手前ぁ周り見てわかんねえのか? 人がメシ食おうってときにくだらねえこと尋くんじゃねえやっ!』
『いえ、いくらあっしが鈍いってもそのぐれえはわかりまさあね。でもね大将、こかぁマフムの棲処でやしょ、なのになんであそこにゃオークが混じってるんでやしょうね?』
手下が指さした先には、キャッツアイの背後でこちらを睨みながらワンドを握り締めるオーク シャーマンがいた。
『……そうだな、そう言われてみりゃおかしな話だな……』
この襲撃よりもしばらく前のことである。ディオン丘陵地帯の隅に棲息するエンク オークの集落では、親子らしき若いオークと年老いたオークとが口論をしていた。
「だからな、かあちゃんよ、フローランの辺りにいるリザードマンから聞いた話じゃよ、向こうに行くとアデナさえ積めば人殺しのお尋ね者でも構わず治してくれる医者がいるってことなんだよ!」
かあちゃん、そう呼ばれた年老いたオークは、長年に亘る冒険者との戦いで無数の“死がもたらす傷”を受け、ずいぶんと前から、杖に頼らなければ歩くこともままならない体になってしまっていた。今も、平らな岩の上に腰掛けているが、自由に曲げることができない両足は前の方に放り出したままだ。
「そいつならよ、きっとオレたちみたいな下級オークだって治してくれるにちげぇねえんだ。なんにも考えるこたあねえじゃねえか!」
「でもねえ、あんたはそう言うけどね……」
年老いたオークは、若いオークの話に気が乗らないのか目を逸らし、痛むのであろう膝をさすりながら口ごもる。
「確か、ブラジャー……違ぇ……ブラック ジャックでもねえし……そうだ、ブラック ジャッジとかいうヤツだぜ! フローラン村のとこのよ、川ッぺりにいるんだってよ! 見た目はダークエルフっぽいらしいんだが、誰も正体をしらねぇらしいんだ。ちっと胡散臭ぇけどよ、腕は確かだってえもっはらの噂だからよ。それによ、そいつの正体がどうだって、かあちゃんの足が治るってんなら構うこっちゃねえしな!」
年老いたオークの様子も気にかけない風に若いオークは勢い込んで話し続けるが、年老いたオークは自分の足を見ていた顔をゆっくり上げると話を遮った。
「あのね、たしかにそういった噂ならあたしも近所で聞いたことがあるよ。でもさ、そのお医者はべらぼうに高いアデナを取るって話だろう? とうちゃんが冒険者どもにやられちまってからこっち、下級オークのあたしたちにゃあ食べてくのが精一杯、とってもそんなお医者に払えるような余分なアデナなんかはありゃしないんだよ?」
その言葉を聞いて、若いオークはしてやったりという表情でにやりと笑う。
「へへへ、かあちゃんならきっとそう言うと思ってたぜ。でもよ、そんな心配は金輪際いらねえんだよ!」
若いオークは腰の物入れに手を入れると一枚の紙を取り出し、年老いたオークの目の前に突き出した。
それは、パルチザンのアジトに巣食うオル マフムの軍隊が、近隣の友好種族の集落に配布している傭兵募集のチラシだった。
「なあ、こいつを見てくれよ! パルチザンのアジトで傭兵になりゃあよ、たった一年勤めるだけでこんな大金が貰えるんだぜ!」
チラシには、勧誘のための勇ましい文句とともに、下級オークの暮らしでは十年かけても手に入らないような高給が記されていた。
「これならよ、かあちゃんをブラック ジャッジに診せたって、たんまりオツリがくるってもんだぜ!」
意気が上がる若いオークとは対照的に、年老いたオークの表情は曇ったままだ。
このチラシを配布したパルチザンのアジトとは、かつてグレシア軍がアデン大陸に侵攻してきたとき、その先鋒として大陸を席巻したオル マフム傭兵軍が拠点としている土地である。
しかし、アデン王国軍の反攻により戦線が押し戻されると、グレシア軍の上級司令部はパルチザンのアジトに残された傭兵軍を見捨てて本国に後退してしまった。こうしてアデン王国の真っ只中に孤立してしまったパルチザンのアジトであったが、峻険な山地に築かれた強固な陣地はアデン王国軍の猛攻を耐え凌ぎ、グルーディン村近郊の棄てられた露営地とともに、抵抗拠点として一応の確保に成功したのだった。
とはいえ、現在では戦線が北部のエルモア地方やグレシア本国に移動し、完全に戦略的な価値を失ってしまったためグレシア本国との連絡も途絶し、略奪等で賄える資金面はともかく、総体的にはじり貧の状態に陥っているといわれる。恐らく、本来傭兵であるはずのオル マフムが傭兵募集のチラシを撒いているという不可解な状況は、グレシア本国からの補充兵や増援が期待できない状態で戦力を維持するための苦肉の策なのだろう。
しばらくは黙って若いオークの話を聴いていた年老いたオークが、やおら口を開く。
「……ねえ、あんたがあたしの体ことを考えてくれるのはうれしいけどさ、傭兵なんてのは危ない仕事なんだろう? とうちゃんがいなくなっちまってからはさ、あたしゃあんたがだけが生きてく支えだったんだよ? もし今あんたまでいなくなっちまったら、あたしゃこれから先どうすりゃいいんだい? アデナがあればそりゃあ多少は暮らし向きもよくなるだろうさ。でもね、家族が一緒に暮らせるより幸せなこたあないんだよ? ねえ、後生だから考え直しておくれよ」
年老いたオークの搾り出すような重い言葉に、若いオークは先ほどまでの高揚した気分を失いつつあった。だが、まだ若いオークは拗ねたように口を尖らせながら食い下がる。
「そんなこといったってよぅ……じゃあかあちゃんはよ、これからもずっとまともに歩けないような体でいいってのかよぅ」
「……まあ、そりゃあ昔みたいにさ、自由に歩けるようになりゃあいいとは思うけどさ……だからってあんたがケガなんかしちまったら元も子もないんだよ? 第一、あんたに兵隊なんか務まるのかい? まだこの辺りの冒険者と戦ったこともないんだろう?」
このところ、ディオン周辺では冒険者の数がめっきり減り、エンク オークの集落でも彼らと戦った経験のない者が増えていて、若いオークもまたその一人だった。
「まあ……そこんとかぁ確かにかあちゃんの言う通りだけどよ……」
痛いところを衝かれた若いオークはそれ以上反論ができず、ついに黙ってしまった。
「あんたがやさしい子だってえのはかあちゃんがいちばんよく知ってるんだよ。あんたがヒーローだったとうちゃんの跡を継がずにシャーマンになったのも、あたしの体のことを治そうとしてくれたからだろう? 村の者は前に出て戦えない腰抜けだなんて陰口を叩くけどさ、あたしゃあちっともそんなことは思っちゃいないよ? でもね、あたしにゃあその気持ちだけで十分なんだよ。それに、あんたみたいなやさしい子は冒険者と戦うなんてことにゃあ向いてないんだよ。お願いだからもう兵隊になろうなんて物騒なことはもう考えないでおくれよ?」
若いオークは目を逸らして少しずつ下を向いてしまい、ついには無言のまま小さく頷いた。
「さあ、わかったら晩御飯にしようじゃないか。たんと食べてぐっすり寝ちまえばさ、明日にはもっといい思案が浮かぶってもんだよ!」
年老いたオークに促されるまま、若いオークは緩慢な動きで食卓に着いた。押し黙って俯いたまま食べ物を口に運ぶ若いオークに、年老いたオークはあれこれと世話を焼きながら話しかけるが、若いオークはそれに答えようとはしない。気まずい雰囲気ながらもとりあえず食べるものを食べ終わり、ようやく若いオークが重い口を開いた。
「かあちゃん……オレ……」
「なんだい?」
「いや、なんでもねぇよ……オレぁもう寝らあな、おやすみ」
「なんだかはっきりしないねえ。まあいいさ、ゆっくりおやすみ」
若いオークはそれ以上何も語ることはなく、寝床にもぐってしまった。
それからの数日が過ぎたが、若いオークは口数こそ少ないものの、いつもと同じように食料集めに出かけては帰ってくるという変哲のない日常に戻っていた。若いオークも年老いたオークも互いに話を蒸し返すようなことはしなかったし、そのつもりもないようだった。
だがある朝、普段のように朝食の支度を終えた年老いたオークが若いオークを起こそうと声をかけると、いつもなら眠そうな声で返事があるのだが、その日に限ってはそれがなかった。
「おかしいねぇ、昨日遅かったわけでもないのに、まだ目を覚ましてないのかねぇ?」
不審に思い、杖を頼りに若いオークの寝台の側まで行くと、彼が寝ているはずの粗末な寝台はもぬけの殻だった。それだけではない、普段は寝台の下に仕舞っている、狩りの道具などわずかな手回り品を入れたズダ袋もなくなっている。若いオークが近くへ出ているのではないことは明らかであった。
「……そうかい、やっぱり行っちまったんだね……まったく、男の子ってえのは……無鉄砲なとこはとうちゃんそっくりだねえ……」
主を失い冷え切った寝台を撫でながら、年老いたオークは寂しく微笑む。その歪に曲がった背中はいつもよりもずっと小さく見えた。
その頃、ディオン丘陵地帯とクルマ湿地を分断する山地の中を、若いオークが息を切らせながらパルチザンのアジトに向かって早足で歩いていた。
「ハァハァ、なんとかかあちゃんに気付かれずに村を出られたな。もう追いかけてこられる距離でもねえし、ここいらで朝飯を食っちまおうか」
若いオークはひとりごちて近くにあった手ごろな切り株に腰を下ろし、足元に置いたズダ袋を開けて、かねてから用意してあった食べ物を取り出そうとした。だが、その中には食料や手回り品と一緒に、入れた覚えのない古ぼけたワンドが1本入っていた。
それは、年老いたオークが村に侵入してくる冒険者たちと戦っていた頃に使っていたものだった。
ある時、倒した冒険者から戦利品として手に入れたワンドは、世間から見れば安物にすぎないが、貧しい下級オークにとっては貴重な品であり、若いオークは年老いたオークが今でも時折手入れをしては、誰にも触らせないように大事にしまっているのをよく目にしていたものだ。
「かあちゃん……」
そう、年老いたオークは、若いオークがいずれ出て行ってしまうことを予感していたのだ。たとえ一時は止められたところで、いつかそれを振り切ってしまうことは避けられないだろう。ならばその時が訪れたとき、少しでも若いオークの助けになればと、大切なワンドを、こっそりズダ袋の中に忍ばせたのだった。
年老いたオークの気持ちを知った若いオークの眼からは自然と大粒の涙が溢れてくる。しかし、若いオークはそれを流れるままに拭こうともせず、貪るように数切れの干し肉と果物の粗末な食事を終えると、力強く立ち上がり、再びパルチザンのアジトを目指して歩き出した。
「ふう、なんとか冒険者の野郎どもに見つからずに済んだな」
日も傾きかけた頃になってようやくパルチザンのアジトの麓にたどり着いた若いオークは、額から噴出す汗を手で拭いながら山道を登り始める。
巡礼者のネクロポリスを過ぎた当りを通り過ぎようとしたとき、道端で、ガサッと小さな音がしたのと同時に、
「止れっ! 何者だ! 貴様オークだな? 見たところアデン軍の者ではないようだが、ここに何の用だっ、さっさと答えろっ!」
突然の怒鳴り声とともに草叢から飛び出してきたのは、弓を構えたオル マフムの兵士だった。
「お、お、オレぁ、あの、あれで……」
不意に弓を向けられた上、恐ろしい形相で誰何する兵士に気圧された若いオークはすっかり肝を潰し、まともにしゃべることができない。
「早く答えろっ! 答えねば射殺すぞっ!」
だが、それには構わずオル マフムの兵士は誰何を続け、彼が持つ弓は真っ直ぐに若いオークの心臓を狙って外さない。これが決して脅しではないことは、兵士の眼光に射すくめられた若いオークには十分すぎるほど理解できた。
「ち、ちょっと、ま、待ってくれ、オレぁ、こ、これで……」
はっと思いついて若いオークは、おぼつかない手でズダ袋の中を探ろうとしたが、
「動くなっ! 両手を上に上げろっ!」
オル マフムの兵士はそれを制止して、近くの草叢に潜んでいた仲間を呼び、ズダ袋の中を検めさせた。
ズダ袋の中身が地面に撒き散らされ、オル マフムはそれを一つずつ確認していく。
「手ぬぐい、ロープ、干し肉、狩用のナイフか、なまくらだな。ふむ、これといって危険なものは見当たらんな。ああ、こりゃずいぶんと古ぼけたワンドだな。使い物になるのか? ……ん? これは何だ?」
兵士が荷物の中の小さく畳まれた紙切れを広げると、それは自分たちがばら撒いた傭兵募集のチラシだった。顔を見合わせて頷いた兵士たちは、同時に大きく溜息を吐く。
「なんだ、貴様は傭兵の志願者かよ。それならここから少し進んだ右手の砦が窓口になっているんでな、そこに募集係がいるからそいつに会え。まったく、それならそうと早く言えばいいのに、人騒がせなヤツだぜ」
兵士たちはブツブツ言いながら、現れたときとは別人のような緩慢さで草叢に戻って行った。
「ふぅ、あれが本物の兵隊ってやつかぁ、オレに務まるのかなあ? いけねえ、早いとこ荷物を拾わねえと」
心臓を狙う弓の恐怖から解放され、一人取り残された若いオークはしばらく放心したように佇んでいたが、なんとか気を取り直して散らばった荷物をズダ袋の中に詰め込み始める。荷物に付いた土埃を手で掃いながら、一瞬このまま村に戻ろうかと思ったが、ここまで来ておめおめと帰るわけにはいかない。
ズダ袋を担ぐと、若いオークは再び山道を歩みだした。
「ようこそパルチザンのアジトへ! 今しがた歩哨から連絡があった傭兵志願というオークは貴様だな?」
若いオークが指示された場所へ到着すると、そこにはやけに愛想のいいオル マフムが座っていた。これが兵士の言っていた募集係なのだろう。
「なるほど、見たところディオン丘陵地帯のエンク オーク シャーマンか。我らオル マフムにはヒーラーがおらんからな、回復魔法が使える者は歓迎するぞ。それに貴様の種族は昔は共にアデン軍に立ち向かった大切な友人だ。よろしい、入隊を許可しよう。さあ、この書類に名前を書けば契約成立だ」
案外簡単な手続きに少々拍子抜けした若いオークだったが、書類の傍らに備えてあったペンをとると、募集係の気が変わらないうちにと思ってか、大急ぎで名前を記入する。
「へい、書けました! オレぁ必ずお役に立ちまさあ!」
「うむ、元気があってよろしい。では明日からすぐに新兵訓練を受けてもらうことになるぞ。ああそうだ、傭兵の武器は自弁になるが、一応準備をしてあるか見せてもらうことになっておるがいいな?」
「え? 自弁? ってえと?」
募集係がわずかに怪訝そうな表情に変わる。
「チラシにも書いてあっただろう? 武器は得意とするものを志願者が自分で用意することとなっているし、そのための高給でもある。まさか貴様も給料に釣られただけの食い詰め者なのではあるまいな? いや、チラシを撒いて以来、毎日朝からそういった輩が多数押しかけておって、追い返すのも一苦労なのだ。仮にそんな不心得者を採用してしまったら、そやつが除隊になるだけでは済まず、許可を出した儂まで叱責を受けてしまう。いいか、もう一度聞くが貴様は大丈夫だろうな?」
「オレぁ、そんなこたあ……」
正しく図星であった。高給に目を奪われてチラシを細かいところまで読まなかった若いオークには返す言葉がない。
とたんに目の前の募集係の、本人は笑っているつもりで剥き出した鋭い牙が、今にも自分の喉笛に食らいついてくるように思えてきた。
「どうした? 早く見せてくれんか? なに、形式だけのことであるし、決して取り上げたりはしないから心配することはないぞ?」
内心パニックになり、ダラダラと冷や汗を流しながらここを乗り切る上手い言い訳を考える若いオークだったが、辛抱強く待っていた募集係が痺れを切らして立ち上がろうとした頃になって、ようやく年老いたオークがズダ袋に入れてくれたワンドのことを思い出した。
「あ、あの、これでっ!」
若いオークは急いでズダ袋の中に手を突っ込んでワンドを取り出すと、腰を浮かせた募集係に差し出した。
「なんだ、あるなら早く出せばいいものを。ふむ、安物だが手入れはいいようだな。だが、訓練期間なら問題はあるまい。だが実戦ではちと足りんかも知れんな。まあ訓練が終わる頃には最初の給料が出るから、それでもっと高級なものに買い換えればいいだろう」
大切なワンドを安物よばわりされたのには少し腹が立ったが、おかげで無事に入隊することができ、若いオークはほっと胸を撫で下ろす。
その日は簡単な身体検査の後、訓練兵の兵舎へと案内され、他に十名ほどの訓練兵とともに大部屋に寝台が与えられた。
枕元に備えられた私物入れに荷物をズダ袋ごと放り込み、若いオークは硬い寝台に寝転んで休もうとするが、今日はあまりに多くのことがありすぎて、身も心も疲れているはずなのになかなか寝付くことができない。
窓の外にはエンク オークの村で見ていたのと変わらぬ月が浮かんでいる。それを見ているとどうしても村に残してきた母親のことを思い出してしまう。若いオークは月を見るのを止めようと思ったが、闇夜を煌々と照らす満月の光は、いつまでも彼の目を捕らえて離さなかった。
明くる朝、ガンガンとバケツを力任せに叩く音と共に響く怒鳴り声で、若いオークは目を覚ました。どうやら昨夜は知らぬ間に眠ってしまったようだ。
「総員起こしーっ! さあ、ボヤボヤするなっ! いいかっ、ブタ野郎どもっ、お前たちはお客さんじゃないんだっ! さっさと起きて飯を食ったらすぐに訓練場に集合しろっ! グズグズ言いたいやつがいたら前に出ろ! オレが今すぐそのケツに矢を100万本ブチ込んでやるぞっ! 駆け足っ進めっ!」
オル マフムの教官は、バイウムでさえ一発で目を覚ましそうな大声で訓練兵たちを残らず叩き起こし、朝食もそこそこに兵士になるための厳しい訓練へと放り込んだ。
若いオークはヒーラーであるため、魔法知識の座学や精神集中の訓練など、近接職よりは体力的には楽であったが、若いオークは今までこれといった戦いを経験していないし、軍隊のような集団生活にも縁がなかったため要領が悪く、なかなか教官の言う通りのことができない。
実際、ただ魔法を使うだけなら食料集めの狩りでもやっていたので問題はないのだが、軍隊では集団戦が基本であるため、他の魔法職との高度な連携を要求される。そんなことは今まで考えたこともなかっただけに、いきなり上手くできるはずもないのだ。
こうして、訓練を始めてから数日の間は、指導教官から日に数十回も怒鳴られる毎日だった。しかし、オル マフムたちは多少出来が悪くとも貴重なヒーラーを手放すつもりは毛頭ないようで、若いオークがいくら落ち零れそうになっても、決して首にするようなことは言わなかった。若いオークも、元々が真面目で素直な性格であるだけでなく、アデナを稼ぐまではここを追い出されるわけに行かないという事情も手伝って、厳しい訓練にも音を上げず、担当教官の指導に付いていった。
そして、訓練開始から1か月も経つと、同室だった訓練兵が櫛の歯が欠けるように消えていったにもかかわらず、若いオークは残り、訓練でも教官の命令を即座に理解して的確に行動できるまでに成長していた。
この様子を見て教官は目を細め、今まで以上に厳しいが、戦場で生き残るために欠かせない技術や知識を惜しげもなく若いオークに与えてくれた。
訓練期間も終わりに近付いたある日、若いオークがいつものように詠唱の練習をしていると、訓練場では滅多に見かけることがないオル マフム ロードが現れ、教官を呼ぶとなにやら立ち話を始めた。
「なるほど、それならば丁度よい者がおります。おい、お前ちょっとこっちに来い!」
教官が若いオークに声をかける。
「え、オレですかい?」
「そうだ、グズグズするな、駆け足!」
ロードはドタドタと音を立てて走ってきた若いオークを上から下まで検分するようにじろじろと眺めまわす。
「このオーク シャーマンかね? まだ訓練が終わっていないようだが大丈夫か?」
「はい、飲み込みが少し遅いところはありますが、命令にはきちんと従いますし、一度憶えたことは確実にこなせるようになっております。実戦経験を積めばいずれよい兵士になるでしょう」
「ふむ、君の推薦なら間違いはなかろう。よろしい、そこのオーク シャーマン、貴様は今日で訓練を打ち切り、キャッツアイ殿の専属ヒーラーとして実戦部隊に配属する」
「へ?」
今ひとつ事態が理解できていない若いオークに、教官の叱咤が飛ぶ。
「へ? ではない! キャッツアイ様はこのアジトでも最強のボスのお1人だ。その専属に配されるというのは大変な出世なのだから、ありがたくお受けしろ! それから、返事は“へい”ではなく“はい”だっ! わかったら復唱っ!」
「は、はい、オレぁ、もとい、自分はっキャッツアイ様の専属ヒーラーに配されることを了解いたしましたっ!」
「よしっ、ではすぐに荷物を持って移動、駆け足!」
「へいっ!」
「“へい”ではないっ! “はい”だっ!」
「はいーっ!」
若いオークが敬礼もそこそこに兵舎へ向かって走っていくと、教官とロードはその背中を苦笑しながら見送る。
「よいのかね? もう少し手元に置いて育てたいような顔をしておるぞ?」
「いいえ、確かにまだ教育の足りないところはありますが、戦場こそが若者を兵士にする最良の場と心得ます。いかに素晴らしい原石であっても磨かなければ決して光りませんし、磨き方を間違えれば歪な輝きになってしまいます。キャッツアイ様の下であればきっとよい経験が積めることでしょう」
「そうかね、ならばよいが。では儂は戻るとする。訓練を続けるように」
「了解いたしました!」
「おお、お前ぇさんが新しいヒーラーってやつかい? まあそう肩に力ぁ入れるなよ、どうせここんところはアデン軍の連中も冒険者どももあんまり来ねえんだからよ。お互い気楽にやろうぜ」
若いオークが配属されたボスのキャッツアイは、元々は大盗賊として近隣の村々に恐れられていた者だ。そのためか、今まで出会ったオル マフムの兵士たちよりもずっとくだけた性格をしている。仕事もアデン軍や冒険者と戦うというものではなく、アデン王国の村々を襲撃して、金品や食料を略奪してくるというものだ。パルチザンのアジトの兵站を担うという点では重要性が高いものの、大軍同士がぶつかるような激しい戦闘に巻き込まれることはほとんどない。さらに、部下の中には先輩のオーク シャーマンもいるため、ヒーラの負担もそれほど大きくはない。訓練途中での突然の配備は、専属のヒーラーであった者が満期除隊になり欠員が出たためであったが、こうした点が教官がいうところの“よい環境”なのだろう。
「よ、よろしくお願えしますっ!」
「がははは、だから硬くなるなって。他のボスのとこは知りゃあしねえが、オレは元々が軍人じゃねえから、堅っ苦しいやり方ってえのがどうにも苦手でな、ここの連中にゃあざっくばらんにするように言ってんだ。その代わりにな、オレは仕事であんまり細けえことは言わねからよ、なるたけ手前で考えて動くようにしなくちゃいけねえぜ?」
「へいっ! オレぁ一所懸命やらしてもらいます!」
キャッツアイはその返事を聞いて、太鼓腹を揺らして満足げに笑う。
「がはははは、いい若けえのじゃねえか。相変わらず野郎の見立ては間違いがねえぜ。よし、じゃあ早いとこ寝床を決めて荷物を置いてきな。おう、お前たち。新しい弟分だ、せいぜい面倒を見てやんな」
キャッツアイは部下たちに若いオークの世話をするように命じてくれた。
それからは、常にキャッツアイの側について、ディオンやギランなどの村々へ略奪に出かけるのが若いオークの仕事になった。とはいっても、実際に略奪をするのはキャッツアイの役割で、ヒーラーである若いオークの出番は、仕事に失敗して逃げ出すときの警備兵との戦闘程度だ。そして、キャッツアイの盗賊としての腕前は本物で、失敗することは滅多になかったし、仮にそうなったとしても、被害を最小限に抑えて逃走する技と勘を備えていた。おかげで若いオークはさほど危険な目に合わずに順調に実戦をこなし、やがて簡単な仕事であればメインヒーラーを任されるまでになっていった。
キャッツアイや他の部下たちも若いオークの成長を喜び、決して新入りだからといって軽く見るようなことはなく、もちろんつまらないミスをすれば厳しく叱られるが、対等の仲間として扱ってくれた。
まだ物心も付かぬうちに父親を失い、母親と2人だけで、村のオークたちの哀れみと蔑みの入り混じった視線に曝されながら生きてきた若いオークにとって、初めて得た心を許せる仲間たちとの生活は、今まで経験したことのない満足感を与えてくれた。いつしか若いオークの胸中には、この仲間たちと一緒なら、どんな苦境にも耐えられるという確信が芽生え、大きく育とうとしていた。
だがしかし、今が充実すればするほど、村に残してきた母親のことが、黙って出てきてしまったことへの後悔とともに、若いオークの心の隅に引っかかったまま離れることはなかった。
キャッツアイの下に配属されてから2か月ほどもたち、だいぶん実戦にも馴れてきた頃、若いオークは急にキャッツアイから呼び出された。
「なに、折り入ってって話じゃねえからそう畏まんな。まああれだ、お前、訓練の頃からから数えると入隊して3か月ぐれえになるんだよな?」
「へい、その通りです」
「そうかい、ならそろそろ休暇をやらなくちゃいけねえ。いや、ここの軍隊じゃそういう決まりになってんだ。近頃あ仕事に馴れてきたってもよ、お前もちっと疲れが出る頃だろう? ちょうど来週あたりからオレの仕事もヒマになることだしよ、ここいらで2、3日ゆっくり骨休めしてきちゃあどうだ?」
「休暇ですか? そんならオレぁ手前の村に帰ってもいいんですか?」
「おう、逃げ出すんじゃなけりゃどこに行ったって構いやしねえことになってるからな、そこいらは自由にするといいぜ」
「そいつぁありがてえ。そんなら、村のもんに休暇で帰るって手紙を出してえんですが、こいつもいいんですかね?」
「手紙? お前、随分ハイカラなもん知ってやがんな。ああもちろん構わねえよ。確かお前の村はディオン丘陵地帯だったな。あそこなら露営地へ行く伝令の通り道だからな、オレの口利きだって言やあついでに持ってってくれるだろうぜ。そうだ、紙やペンはあるのかい? なけりゃ出入りのドワーフが扱ってるはずだから聞いてみな。今日当たりなら裏山の抜け道に店を出してるはずだぜ?」
「へい、ありがとうございます」
若いオークがパルチザンのアジトとエルフ村との境を通る間道に出ると、そこにはキャッツアイの言ったとおり、ドワーフの少女が雑貨を並べた露店を開いていた。
「よう、ドワーフさんよ、済まねえが紙とペンを少し分けてもらえねえかい?」
「おや? お兄さんボクの店に来るのは初めてだね? 見たところシャーマンだからヒーラーさんってとこかな? うん、紙とペンなら扱ってるよ」
「ちょいと手紙を出してえんでよ、小洒落た紙があるといいんだがな」
「ああ、便箋ってやつだね。それなら前に仕入れたのがあったはずだよ。ええと……あったあった!」
ドワーフの少女は、自分の身長と変わらないほどの大きな荷物に頭を突っ込んでしばらくゴソゴソと中を探していたが、どうにか一冊の古い便箋を見つけ、パタパタと手で埃を払って若いオークに手渡した。
「パルチザンのアジトじゃあんまり使う人がいないから少し古くなっちゃったけど、まだ黄ばんだりしてないから大丈夫だよ」
「おう、ありがてえ。じゃあそいつをもらおうかい」
「毎度ありー。ねえねえ、お兄さん。それは見習い用の武器だよね? もっといいのに買い換えないの? 便箋も買ってもらったことだし、今なら安くしておくよ?」
「いや、こいつはちょっと訳有りでよ、親分も構わねえっていってくれてるしよ、当分買い換えるつもりはねえんだよ」
「そう? ボクも無理にとは言わないけどね。でも、気が変わったらいつでも声をかけてよね。もちろん武器や防具だけじゃなくてもいいんだよ! 欲しいものを言ってくれればドワーフ商人の名にかけて必ず仕入れて見せるからね!」
宿舎に戻ると、若いオークは早速備え付けの小さな机に向かい、何度も何度も書き直しながら手紙を書いた。
丸めた背中に向かって、休暇を羨ましがる同僚たちがちょっかいをかけてきたが、それは悪意があってのことではないし、何より久々に母親に会える嬉しさでいっぱいになっている若いオークは気にかけず、同僚たちはからかいがいがない相手と見て、早々に自分の寝床へ戻っていった。
その夜、若いオークの机では、小さな灯りが消えることはなかった。
翌朝、眠い目をこすりながら書き上げた手紙を、棄てられた露営地に向かって伝令が出発する直前に、どうにか託すことができた。
手紙を出し終えた若いオークがキャッツアイの下に戻ったその時である。ディオンの強欲な冒険者どもが、ボスたちが蓄えた財宝を奪うために襲撃してきたという報せがパルチザンのアジトを揺るがしたのだ。
『いってえなんででやしょうかねぇ』
『ああ、オレにも皆目わからねぇなぁ』
リーダーと手下がオル マフムに混じっているオークのことで相変わらず首を捻っていると、別の手下から声がかかった。
『大将、もうすぐヒーラーのマナが回復しますんで次の指示をお願いします』
リーダーはハッと我に返り、手下を怒鳴りつける。
『バカヤロウ! んなこたぁオレの知ったことか! どうしても知りたいってんだったら、あっち行って当人に聴いて来い!』
『滅相もねぇ、ヘタに1人で出てったりしたら、たちまちペロリと食われちまいまさあ。でえち、あっしゃ化物どもの言葉なんか知りゃあしませんよ』
『だったらグダグダくっ喋ってねぇでさっさと仕度しやがれ! いつまでもウロウロしてっと化物の代わりにオレが手前ぇのド頭ぁカチ割って脳味噌残らず啜っちまうぞっ!』
『ひぃ、そいつぁ勘弁して下せえーー』
手下がスタコラ逃げていくと、リーダーはやおら岩の上に立ち上がり、他の冒険者たちに大声で指示を出す。
『おう、それじゃそろそろ補助魔法にしようじゃねえか! 終わったらすぐに取っ掛かるから近接は配置に付いとけ! いいけぇ? くれぐれも先走るんじゃねぇぞ!』
欲に目を血走らせた冒険者たちは、キャッツアイたちが立て篭もる陣の前に展開すると次々に補助魔法を掛け、逸る気持ちを抑えて攻撃開始の合図を待つ。
『かかれっ!』
リーダーが号令とともに高く掲げた手を振り下ろすと、冒険者たちは堰を切ったように、キャッツアイへと襲い掛かった。
戦闘が始まると、若いオーク シャーマンは必死でキャッツアイに回復魔法をかけ、バンデットはキャッツアイの行動の自由を縛る、冒険者たちの盾役に弓を射掛ける。しかし、彼らの努力も空しく多数の冒険者の刃を受けるキャッツアイの生命力は、わずかずつではあるが、確実に減っていく。
冒険者たちのヒーラーも、キャッツアイとバンデットの攻撃を一身に受け止める盾役に回復魔法を集中し、どうやら序盤はそれぞれのヒーラーの回復魔法を頼みにした持久戦の様相を呈してきたようだ。
だが、そこで突然、冒険者たちのリーダーが叫んだ。
『化物のくせにいちいち回復しやがってうぜぇな。ソウルショットやスピリットショットだってタダじゃあねえんだ、先に取り巻きのヒーラーどもを片付けちめえっ!』
本来、下級オークのシャーマンでは元々大した量のマナがあるわけでなく、この冒険者たちのように十分な戦力があるのならば無視して力で押し切るのが正攻法である。しかし、ここまでの戦いで得られた戦利品が思ったよりも少なかったのだろう。リーダーはその不足を血で埋め合わせようと考え、大きな脅威にはならないものまでをも殲滅するという残酷な決断を下した。
いや、彼を責めるまい。彼とて今はリーダーとして手下の冒険者たちに祭り上げられているが、それも手下たちを満足させることができてのことである。もし指揮の手際が悪かったり、十分な稼ぎを与えることができなければ、すぐに手下たちは離反してしまい、リーダーはたちまち一介の冒険者へと落ちることになる。生き残るのに必死なのはどちらも同じなのだ。
リーダーの命令一下、今までキャッツアイ1人に向けられていた血に飢えた剣が、若いオークや同僚たちへ向きを変えて殺到してくる。
ボスの直属として多少生命力を強化されているとはいえ、ろくな攻撃魔法も持たない下級オークのシャーマンでは、襲い掛かる無数の刃に抗う手段はない。若いオークはなんとか避けようと足掻き、隙を見ては少しでも仲間たちの傷を癒そうと回復魔法をかけ続ける。
キャッツアイも攻撃の負担が少なくなった機会を利用して、部下たちを襲う冒険者に挑もうと横目で様子を探るが、冒険者の盾役が的確に行動を抑え込んでくるため、どうにも身動きが取れないでいる。
「くそぅ、お前らもうちっとだけ頑張ってくれっ! このナイト野郎をブッ倒したらすぐに助けにいっからよ!」
そう叫ぶキャッツアイであったが、手厚い回復魔法に支えられた盾役は、キャッツアイとバンデットの集中攻撃を受けても小揺るぎもしない。
若いオークは大勢の冒険者から手傷を負わされながらも、盾役が倒れてキャッツアイが自由になればと一縷の望みをかけて回復魔法の手を緩めなかったが、ついに頼みのマナも尽き、冒険者たちに取り囲まれてしまった。
周りを見ると、すでにバンデットたちと古参のオーク シャーマンは倒されており、そちらを手にかけた者たちも生き残った若いオークに集まってくる。
一か八か、わずかに開けた方向に逃れようとしても、より数を増やした冒険者に道をふさがれてしまい叶わなかった。弄るように若いオークの周囲を踊る白刃は、少しずつ若いオークの生命力を削いでいく。彼の命があと1分も保たず地上から消え去るであろうことは想像に難くなかった。
「バカヤロウッ! 今ここでお前がブッ倒れちまったら、故郷のお袋さんはどうなっちまうんだよ?! 四の五の言わずに早えぇとこ逃げやがれっ!」
「すまねえ、親分!」
「かあちゃん……ごめん……ごめんよ……」
生命の灯火が消えようとするその刹那、薄れる意識の中で、若いオークはかすかな声でそう繰り返し呟いていた。
『ははは、こりゃ涙じゃねぇか! 皆見ねぇな、コイツ泣いてやがるんだぜ!』
『へぇ、下級オークも泣くのかい? 汗の見間違いじゃあないのかね?』
『おや、なんだかブツブツ言ってるみてぇだな』
『おりゃあ下級オークの言葉なんざぁ知りゃしねぇが、どうせ命乞いでもしてるんだろうよ。まぁかまわねえ、さっさと片付けちまおう!』
そして、若いオークの頭上に、冒険者の無慈悲な剣が振り下ろされた。
「じゃあ、オークのバァさん、こいつが預かった手紙だ。確かに渡したぜ?」
「ああ、こりゃあ確かに息子の字だよ。マフムの兄さん、遠いところをありがとうよぅ」
「なあに、礼なんざいらねえよ、どうせ露営地まで伝令に行くついでなんだ。さて、俺ぁ先ぃ急ぐんでこれで失礼するぜ!」
「そうかい、もう少しゆっくりしていきゃあいいのによぅ。そうだ、こりゃたいしたもんじゃあないけどさ、道中で食べておくれよ」
「おお、こりゃフローティング アイの干し肉じゃねえか。オレはコイツが大好物なんだぜ。舌がピリピリ痺れるのがたまらなくてよ。すまねぇなバァさん、それじゃ遠慮なく頂いていくぜ」
オル マフムの伝令は干し肉の包みを背嚢に詰め込むと、再び棄てられた露営地を目指して走り出した。
「ありがとうよぅ、道中気ぃつけてなぁ」
年老いたオークは、駆けて行くオル マフムの背中が木立に紛れてしまうまで見送ると、傍らの岩に腰を下ろして受け取ったばかりの手紙に目を落とした。
手紙には、つたない字で、キャッツアイというボスの部下になったこと、近く休暇がもらえるので一度村へ帰ること、そして黙って出て行ったことへの詫びと、年老いたオークの体への気遣いがぶっきらぼうな言葉で記されていた。
「……あの子から手紙をもらうなんて初めてなんじゃないかね……それにしてももっと字を練習させときゃよかったね……ミミズがのたくったみたいで読み難いったらありゃしないよ……」
誰が見ているというわけでもないのに、照れくさいのかブツブツと文句を言いながらも最後の1文字まで何度も繰り返して読む年老いたオークの顔はほころび、知らずに目頭には涙が溜まっていく。そして、それが一滴、手紙に落ちた。
年老いたオークはあわててそれを手で拭うと、手紙を丁寧に畳んで腰の物入れに仕舞い、杖を頼りに立ち上がる。
「さあ、今のうちにあの子の好きなもんでも用意しといてやろうかね。ああそうだ、寝床も新しい藁に換えておかないとね。こりゃ久しぶりに忙しくなるねえ」
よちよちと歩き出す年老いたオークの耳に、丘陵地帯を巡る気まぐれな風に乗り、どこか遠くで冒険者たちの上げる凱歌が、かすかに、聴こえてきた。
※また手を入れているので部分的に中途半端になってますよ。
・レイド部下ストーリーズ~傭兵哀歌~(無制限版)
「敵襲ーっ! ディオンの冒険者どもだーっ! 総員急ぎ迎撃体勢を取れーっ!」
朝靄に包まれた静寂を破り、伝令たちがパルチザンのアジトのそこここで襲撃の報せを大声で叫ぶ。
瞬時に山中のいたるところから、どこに隠れていたのか、武器を手にした無数のオル マフムの兵士たちが飛び出し、あらかじめ決められた持ち場へと駆けていく。
アジト全体が蜂の巣を突付いたような騒ぎとなり、最奥部近くの陣を仕切るボスのキャッツアイとその部下たちの下にも間を置かず伝令がやってきた。
「キャッツアイ様に報告! すでに麓のタラキン様は討ち取られた模様です!」
「そうかい、で、ヤツらは真っ直ぐこけえ向かってるのかい?」
「いえ、タラキン様の後はフレイムロード シャダールの方へ向かったようです」
「親分、ヤツらがあっちに引っかかってる間に準備ぃしちまいましょう」
「そうだな、もうタラキンの奴がやられちまったってんならそう時間があるってわけでもねえだろうからな。よし、みんな予ねての手配通りにやりな!」
「へいっ!」
キャッツアイの命令が下り、部下たちは急いで冒険者たちを迎え撃つ体勢を整える。
「おい、新入り、ボヤボヤするな! 急いでに配置に付け!!」
「お、おうっ!!」
殺気立ったバンデットにどやされ、突然のことにポカンとした表情で座っていた若いエンク オーク シャーマンはあわてて立ち上がると、使い古した安物のワンドを握り、いつでも回復魔法がかけられるように直属の上官であるキャッツアイの後方に立つ。
「くそぅ、来週になれば休暇でかあちゃんのところに帰れるってのに、わざわざこんな時に来やがって……」
まだ姿を見せない襲撃者に対して呪いの言葉を吐きながら若いオークは身構えるが、全身は緊張でガチガチになっていて、呼吸は周囲にそれと分かるほど荒い。
「おい、若いの、ヤツらが来るのはまだ先だ。今からそんなに力を入れちまってたんじゃあ、いざってときにゃ体ぁ固まって動けなくなっちまうぜ? いつもの仕事みてえに楽にしてなけりゃいけねえよ」
やはりキャッツアイ直属である古参のオーク シャーマンが努めて気楽そうな色で声をかけるが、若いオークはバネ仕掛けの人形のように何度も頷きはするものの、眼は冒険者たちが登ってくるはずの山道を見据えたままで、その言葉が耳に届いているのかどうか分からない。
それから小一時間も経っただろうか、一党は臨戦態勢のままじりじりとしながら待ち構えるが、未だに冒険者たちが姿を現す気配はない。戦況を報せる伝令もしばらく前からパッタリと途絶えてしまった。だが、時折アジトの中腹から聞こえてくる叫び声からすると、冒険者たちが満足してディオンに戻ったというわけではなさそうだ。
状況が分からないまま待ち続けることに切れかけたバンデットが悪態を吐き、苛立ち紛れに近くの木立に向かって矢を射込む。突然のことに驚いた鳥たちが甲高い声を上げながらバサバサと音を立てて飛び立つが、普段は陽気で口数が多いキャッツアイでさえそれに目を向けようともしない。ボスらしく引きつった笑顔を作って余裕を見せようとはしているものの、所詮元は盗賊の出身である。相手の隙を突いての侵入や逃走には長けていても、自らの根拠地に急襲を受けるような事態には慣れていないのだ。そしてそれは、この場にいる全員が同じであった。
張り詰めた空気の中で、若いオークの掌にはジワジワと汗が滲み、いつしか指の間から滴り落ちるほどになっていた。
ピチャピチャと汗が地面で跳ねる音がして、ようやくそれに気が付いた若いオークが、万一にも手を滑らせてはいけないと汚れた手ぬぐいでワンドを拭おうとしたとき、飛び交う怒号とともに、冒険者たちのものと思われる多数の武器や鎧がぶつかり合う騒々しい音が近付いてきた。
「来たぞっ! 全員油断するなっ!」
耳敏いバンデットが真っ先にその音を聞きつけて叫び、キャッツアイと部下たちは長時間の待機で緩みかけた体勢を慌てて立て直す。
そして、喧しい金属音がいっそう大きくなり、麓から続く坂の曲がり角でキラリと何かが光るのが見えたかと思うと、大勢の冒険者たちの、血にまみれた剣を鞘に納めようともせずに早足でこちらへ向かってくる姿が、若いオークの目に飛び込んできた。
冒険者の群れは、キャッツアイと若いオークたちが待ち構える陣地から数十メートルほど離れた地点に達すると、リーダーと思われる男の指示で突然その歩みを止めた。様々な種族を取り混ぜたその数は、一見するところ30名をやや下回るほどであろうか。
『全員着いたか? 遅れたもんはいねぇな?』
リーダーは近くの岩の上に立ち、乱雑に並んだ冒険者たちの顔を、大仰に頭を廻らせて確認する。どうやら全員揃っているようだ。満足気に口角を上げ、声を張り上げて指示を飛ばす。
『よしっ! ここいらで少し休んでマナの回復をするぜ! まだ先は長えんだ、無理してもしょうがねえ。マナが足りてるもんはまあ自由にしてなっ!』
麓からの連戦で魔法職の多くがマナを使い切ってしまっている。ここまで一気に駆け上がってきた勢いが途切れるのは癪だが、バケモノに大ダメージを与えられる攻撃魔法や、盾職を支えるヒーラーが使い物にならないようでは討伐の成功はおぼつかないのだ。冒険者たちは思い思いに精神の秘薬を使ったり、それでも足りない者はその場に座り込んでマナの回復に専念する。
『それじゃあオレも一休みすっからよ、マナが十分になったら教えてくれや。なに、そこのバケモノどもなら他のと違って多少は利口だからよ、この人数相手にノコノコ地から出てくるようなバカな真似はしねえさ。お前ぇたちも安心して休むといいぜ!』
そう言うと立っていた岩の上に座り込んで、腰につけた決して小奇麗とは言い難い袋の中から携行食の包みを取り出した。
リーダーが黴臭い硬パンから小さな欠片をナイフで切り取って口に運ぼうとしたとき、手持ち無沙汰なのか、手下の冒険者が一人近付いてきて何事かを囁いた。
『ねえねえ大将、つかぬことを伺えやすけどね、こかぁマフムどもの棲処なんですよねえ?』
『あぁ? 手前ぁ周り見てわかんねえのか? 人がメシ食おうってときにくだらねえこと尋くんじゃねえやっ!』
『いえ、いくらあっしが鈍いってもそのぐれえはわかりまさあね。でもね大将、こかぁマフムの棲処でやしょ、なのになんであそこにゃオークが混じってるんでやしょうね?』
手下が指さした先には、キャッツアイの背後でこちらを睨みながらワンドを握り締めるオーク シャーマンがいた。
『……そうだな、そう言われてみりゃおかしな話だな……』
この襲撃よりもしばらく前のことである。ディオン丘陵地帯の隅に棲息するエンク オークの集落では、親子らしき若いオークと年老いたオークとが口論をしていた。
「だからな、かあちゃんよ、フローランの辺りにいるリザードマンから聞いた話じゃよ、向こうに行くとアデナさえ積めば人殺しのお尋ね者でも構わず治してくれる医者がいるってことなんだよ!」
かあちゃん、そう呼ばれた年老いたオークは、長年に亘る冒険者との戦いで無数の“死がもたらす傷”を受け、ずいぶんと前から、杖に頼らなければ歩くこともままならない体になってしまっていた。今も、平らな岩の上に腰掛けているが、自由に曲げることができない両足は前の方に放り出したままだ。
「そいつならよ、きっとオレたちみたいな下級オークだって治してくれるにちげぇねえんだ。なんにも考えるこたあねえじゃねえか!」
「でもねえ、あんたはそう言うけどね……」
年老いたオークは、若いオークの話に気が乗らないのか目を逸らし、痛むのであろう膝をさすりながら口ごもる。
「確か、ブラジャー……違ぇ……ブラック ジャックでもねえし……そうだ、ブラック ジャッジとかいうヤツだぜ! フローラン村のとこのよ、川ッぺりにいるんだってよ! 見た目はダークエルフっぽいらしいんだが、誰も正体をしらねぇらしいんだ。ちっと胡散臭ぇけどよ、腕は確かだってえもっはらの噂だからよ。それによ、そいつの正体がどうだって、かあちゃんの足が治るってんなら構うこっちゃねえしな!」
年老いたオークの様子も気にかけない風に若いオークは勢い込んで話し続けるが、年老いたオークは自分の足を見ていた顔をゆっくり上げると話を遮った。
「あのね、たしかにそういった噂ならあたしも近所で聞いたことがあるよ。でもさ、そのお医者はべらぼうに高いアデナを取るって話だろう? とうちゃんが冒険者どもにやられちまってからこっち、下級オークのあたしたちにゃあ食べてくのが精一杯、とってもそんなお医者に払えるような余分なアデナなんかはありゃしないんだよ?」
その言葉を聞いて、若いオークはしてやったりという表情でにやりと笑う。
「へへへ、かあちゃんならきっとそう言うと思ってたぜ。でもよ、そんな心配は金輪際いらねえんだよ!」
若いオークは腰の物入れに手を入れると一枚の紙を取り出し、年老いたオークの目の前に突き出した。
それは、パルチザンのアジトに巣食うオル マフムの軍隊が、近隣の友好種族の集落に配布している傭兵募集のチラシだった。
「なあ、こいつを見てくれよ! パルチザンのアジトで傭兵になりゃあよ、たった一年勤めるだけでこんな大金が貰えるんだぜ!」
チラシには、勧誘のための勇ましい文句とともに、下級オークの暮らしでは十年かけても手に入らないような高給が記されていた。
「これならよ、かあちゃんをブラック ジャッジに診せたって、たんまりオツリがくるってもんだぜ!」
意気が上がる若いオークとは対照的に、年老いたオークの表情は曇ったままだ。
このチラシを配布したパルチザンのアジトとは、かつてグレシア軍がアデン大陸に侵攻してきたとき、その先鋒として大陸を席巻したオル マフム傭兵軍が拠点としている土地である。
しかし、アデン王国軍の反攻により戦線が押し戻されると、グレシア軍の上級司令部はパルチザンのアジトに残された傭兵軍を見捨てて本国に後退してしまった。こうしてアデン王国の真っ只中に孤立してしまったパルチザンのアジトであったが、峻険な山地に築かれた強固な陣地はアデン王国軍の猛攻を耐え凌ぎ、グルーディン村近郊の棄てられた露営地とともに、抵抗拠点として一応の確保に成功したのだった。
とはいえ、現在では戦線が北部のエルモア地方やグレシア本国に移動し、完全に戦略的な価値を失ってしまったためグレシア本国との連絡も途絶し、略奪等で賄える資金面はともかく、総体的にはじり貧の状態に陥っているといわれる。恐らく、本来傭兵であるはずのオル マフムが傭兵募集のチラシを撒いているという不可解な状況は、グレシア本国からの補充兵や増援が期待できない状態で戦力を維持するための苦肉の策なのだろう。
しばらくは黙って若いオークの話を聴いていた年老いたオークが、やおら口を開く。
「……ねえ、あんたがあたしの体ことを考えてくれるのはうれしいけどさ、傭兵なんてのは危ない仕事なんだろう? とうちゃんがいなくなっちまってからはさ、あたしゃあんたがだけが生きてく支えだったんだよ? もし今あんたまでいなくなっちまったら、あたしゃこれから先どうすりゃいいんだい? アデナがあればそりゃあ多少は暮らし向きもよくなるだろうさ。でもね、家族が一緒に暮らせるより幸せなこたあないんだよ? ねえ、後生だから考え直しておくれよ」
年老いたオークの搾り出すような重い言葉に、若いオークは先ほどまでの高揚した気分を失いつつあった。だが、まだ若いオークは拗ねたように口を尖らせながら食い下がる。
「そんなこといったってよぅ……じゃあかあちゃんはよ、これからもずっとまともに歩けないような体でいいってのかよぅ」
「……まあ、そりゃあ昔みたいにさ、自由に歩けるようになりゃあいいとは思うけどさ……だからってあんたがケガなんかしちまったら元も子もないんだよ? 第一、あんたに兵隊なんか務まるのかい? まだこの辺りの冒険者と戦ったこともないんだろう?」
このところ、ディオン周辺では冒険者の数がめっきり減り、エンク オークの集落でも彼らと戦った経験のない者が増えていて、若いオークもまたその一人だった。
「まあ……そこんとかぁ確かにかあちゃんの言う通りだけどよ……」
痛いところを衝かれた若いオークはそれ以上反論ができず、ついに黙ってしまった。
「あんたがやさしい子だってえのはかあちゃんがいちばんよく知ってるんだよ。あんたがヒーローだったとうちゃんの跡を継がずにシャーマンになったのも、あたしの体のことを治そうとしてくれたからだろう? 村の者は前に出て戦えない腰抜けだなんて陰口を叩くけどさ、あたしゃあちっともそんなことは思っちゃいないよ? でもね、あたしにゃあその気持ちだけで十分なんだよ。それに、あんたみたいなやさしい子は冒険者と戦うなんてことにゃあ向いてないんだよ。お願いだからもう兵隊になろうなんて物騒なことはもう考えないでおくれよ?」
若いオークは目を逸らして少しずつ下を向いてしまい、ついには無言のまま小さく頷いた。
「さあ、わかったら晩御飯にしようじゃないか。たんと食べてぐっすり寝ちまえばさ、明日にはもっといい思案が浮かぶってもんだよ!」
年老いたオークに促されるまま、若いオークは緩慢な動きで食卓に着いた。押し黙って俯いたまま食べ物を口に運ぶ若いオークに、年老いたオークはあれこれと世話を焼きながら話しかけるが、若いオークはそれに答えようとはしない。気まずい雰囲気ながらもとりあえず食べるものを食べ終わり、ようやく若いオークが重い口を開いた。
「かあちゃん……オレ……」
「なんだい?」
「いや、なんでもねぇよ……オレぁもう寝らあな、おやすみ」
「なんだかはっきりしないねえ。まあいいさ、ゆっくりおやすみ」
若いオークはそれ以上何も語ることはなく、寝床にもぐってしまった。
それからの数日が過ぎたが、若いオークは口数こそ少ないものの、いつもと同じように食料集めに出かけては帰ってくるという変哲のない日常に戻っていた。若いオークも年老いたオークも互いに話を蒸し返すようなことはしなかったし、そのつもりもないようだった。
だがある朝、普段のように朝食の支度を終えた年老いたオークが若いオークを起こそうと声をかけると、いつもなら眠そうな声で返事があるのだが、その日に限ってはそれがなかった。
「おかしいねぇ、昨日遅かったわけでもないのに、まだ目を覚ましてないのかねぇ?」
不審に思い、杖を頼りに若いオークの寝台の側まで行くと、彼が寝ているはずの粗末な寝台はもぬけの殻だった。それだけではない、普段は寝台の下に仕舞っている、狩りの道具などわずかな手回り品を入れたズダ袋もなくなっている。若いオークが近くへ出ているのではないことは明らかであった。
「……そうかい、やっぱり行っちまったんだね……まったく、男の子ってえのは……無鉄砲なとこはとうちゃんそっくりだねえ……」
主を失い冷え切った寝台を撫でながら、年老いたオークは寂しく微笑む。その歪に曲がった背中はいつもよりもずっと小さく見えた。
その頃、ディオン丘陵地帯とクルマ湿地を分断する山地の中を、若いオークが息を切らせながらパルチザンのアジトに向かって早足で歩いていた。
「ハァハァ、なんとかかあちゃんに気付かれずに村を出られたな。もう追いかけてこられる距離でもねえし、ここいらで朝飯を食っちまおうか」
若いオークはひとりごちて近くにあった手ごろな切り株に腰を下ろし、足元に置いたズダ袋を開けて、かねてから用意してあった食べ物を取り出そうとした。だが、その中には食料や手回り品と一緒に、入れた覚えのない古ぼけたワンドが1本入っていた。
それは、年老いたオークが村に侵入してくる冒険者たちと戦っていた頃に使っていたものだった。
ある時、倒した冒険者から戦利品として手に入れたワンドは、世間から見れば安物にすぎないが、貧しい下級オークにとっては貴重な品であり、若いオークは年老いたオークが今でも時折手入れをしては、誰にも触らせないように大事にしまっているのをよく目にしていたものだ。
「かあちゃん……」
そう、年老いたオークは、若いオークがいずれ出て行ってしまうことを予感していたのだ。たとえ一時は止められたところで、いつかそれを振り切ってしまうことは避けられないだろう。ならばその時が訪れたとき、少しでも若いオークの助けになればと、大切なワンドを、こっそりズダ袋の中に忍ばせたのだった。
年老いたオークの気持ちを知った若いオークの眼からは自然と大粒の涙が溢れてくる。しかし、若いオークはそれを流れるままに拭こうともせず、貪るように数切れの干し肉と果物の粗末な食事を終えると、力強く立ち上がり、再びパルチザンのアジトを目指して歩き出した。
「ふう、なんとか冒険者の野郎どもに見つからずに済んだな」
日も傾きかけた頃になってようやくパルチザンのアジトの麓にたどり着いた若いオークは、額から噴出す汗を手で拭いながら山道を登り始める。
巡礼者のネクロポリスを過ぎた当りを通り過ぎようとしたとき、道端で、ガサッと小さな音がしたのと同時に、
「止れっ! 何者だ! 貴様オークだな? 見たところアデン軍の者ではないようだが、ここに何の用だっ、さっさと答えろっ!」
突然の怒鳴り声とともに草叢から飛び出してきたのは、弓を構えたオル マフムの兵士だった。
「お、お、オレぁ、あの、あれで……」
不意に弓を向けられた上、恐ろしい形相で誰何する兵士に気圧された若いオークはすっかり肝を潰し、まともにしゃべることができない。
「早く答えろっ! 答えねば射殺すぞっ!」
だが、それには構わずオル マフムの兵士は誰何を続け、彼が持つ弓は真っ直ぐに若いオークの心臓を狙って外さない。これが決して脅しではないことは、兵士の眼光に射すくめられた若いオークには十分すぎるほど理解できた。
「ち、ちょっと、ま、待ってくれ、オレぁ、こ、これで……」
はっと思いついて若いオークは、おぼつかない手でズダ袋の中を探ろうとしたが、
「動くなっ! 両手を上に上げろっ!」
オル マフムの兵士はそれを制止して、近くの草叢に潜んでいた仲間を呼び、ズダ袋の中を検めさせた。
ズダ袋の中身が地面に撒き散らされ、オル マフムはそれを一つずつ確認していく。
「手ぬぐい、ロープ、干し肉、狩用のナイフか、なまくらだな。ふむ、これといって危険なものは見当たらんな。ああ、こりゃずいぶんと古ぼけたワンドだな。使い物になるのか? ……ん? これは何だ?」
兵士が荷物の中の小さく畳まれた紙切れを広げると、それは自分たちがばら撒いた傭兵募集のチラシだった。顔を見合わせて頷いた兵士たちは、同時に大きく溜息を吐く。
「なんだ、貴様は傭兵の志願者かよ。それならここから少し進んだ右手の砦が窓口になっているんでな、そこに募集係がいるからそいつに会え。まったく、それならそうと早く言えばいいのに、人騒がせなヤツだぜ」
兵士たちはブツブツ言いながら、現れたときとは別人のような緩慢さで草叢に戻って行った。
「ふぅ、あれが本物の兵隊ってやつかぁ、オレに務まるのかなあ? いけねえ、早いとこ荷物を拾わねえと」
心臓を狙う弓の恐怖から解放され、一人取り残された若いオークはしばらく放心したように佇んでいたが、なんとか気を取り直して散らばった荷物をズダ袋の中に詰め込み始める。荷物に付いた土埃を手で掃いながら、一瞬このまま村に戻ろうかと思ったが、ここまで来ておめおめと帰るわけにはいかない。
ズダ袋を担ぐと、若いオークは再び山道を歩みだした。
「ようこそパルチザンのアジトへ! 今しがた歩哨から連絡があった傭兵志願というオークは貴様だな?」
若いオークが指示された場所へ到着すると、そこにはやけに愛想のいいオル マフムが座っていた。これが兵士の言っていた募集係なのだろう。
「なるほど、見たところディオン丘陵地帯のエンク オーク シャーマンか。我らオル マフムにはヒーラーがおらんからな、回復魔法が使える者は歓迎するぞ。それに貴様の種族は昔は共にアデン軍に立ち向かった大切な友人だ。よろしい、入隊を許可しよう。さあ、この書類に名前を書けば契約成立だ」
案外簡単な手続きに少々拍子抜けした若いオークだったが、書類の傍らに備えてあったペンをとると、募集係の気が変わらないうちにと思ってか、大急ぎで名前を記入する。
「へい、書けました! オレぁ必ずお役に立ちまさあ!」
「うむ、元気があってよろしい。では明日からすぐに新兵訓練を受けてもらうことになるぞ。ああそうだ、傭兵の武器は自弁になるが、一応準備をしてあるか見せてもらうことになっておるがいいな?」
「え? 自弁? ってえと?」
募集係がわずかに怪訝そうな表情に変わる。
「チラシにも書いてあっただろう? 武器は得意とするものを志願者が自分で用意することとなっているし、そのための高給でもある。まさか貴様も給料に釣られただけの食い詰め者なのではあるまいな? いや、チラシを撒いて以来、毎日朝からそういった輩が多数押しかけておって、追い返すのも一苦労なのだ。仮にそんな不心得者を採用してしまったら、そやつが除隊になるだけでは済まず、許可を出した儂まで叱責を受けてしまう。いいか、もう一度聞くが貴様は大丈夫だろうな?」
「オレぁ、そんなこたあ……」
正しく図星であった。高給に目を奪われてチラシを細かいところまで読まなかった若いオークには返す言葉がない。
とたんに目の前の募集係の、本人は笑っているつもりで剥き出した鋭い牙が、今にも自分の喉笛に食らいついてくるように思えてきた。
「どうした? 早く見せてくれんか? なに、形式だけのことであるし、決して取り上げたりはしないから心配することはないぞ?」
内心パニックになり、ダラダラと冷や汗を流しながらここを乗り切る上手い言い訳を考える若いオークだったが、辛抱強く待っていた募集係が痺れを切らして立ち上がろうとした頃になって、ようやく年老いたオークがズダ袋に入れてくれたワンドのことを思い出した。
「あ、あの、これでっ!」
若いオークは急いでズダ袋の中に手を突っ込んでワンドを取り出すと、腰を浮かせた募集係に差し出した。
「なんだ、あるなら早く出せばいいものを。ふむ、安物だが手入れはいいようだな。だが、訓練期間なら問題はあるまい。だが実戦ではちと足りんかも知れんな。まあ訓練が終わる頃には最初の給料が出るから、それでもっと高級なものに買い換えればいいだろう」
大切なワンドを安物よばわりされたのには少し腹が立ったが、おかげで無事に入隊することができ、若いオークはほっと胸を撫で下ろす。
その日は簡単な身体検査の後、訓練兵の兵舎へと案内され、他に十名ほどの訓練兵とともに大部屋に寝台が与えられた。
枕元に備えられた私物入れに荷物をズダ袋ごと放り込み、若いオークは硬い寝台に寝転んで休もうとするが、今日はあまりに多くのことがありすぎて、身も心も疲れているはずなのになかなか寝付くことができない。
窓の外にはエンク オークの村で見ていたのと変わらぬ月が浮かんでいる。それを見ているとどうしても村に残してきた母親のことを思い出してしまう。若いオークは月を見るのを止めようと思ったが、闇夜を煌々と照らす満月の光は、いつまでも彼の目を捕らえて離さなかった。
明くる朝、ガンガンとバケツを力任せに叩く音と共に響く怒鳴り声で、若いオークは目を覚ました。どうやら昨夜は知らぬ間に眠ってしまったようだ。
「総員起こしーっ! さあ、ボヤボヤするなっ! いいかっ、ブタ野郎どもっ、お前たちはお客さんじゃないんだっ! さっさと起きて飯を食ったらすぐに訓練場に集合しろっ! グズグズ言いたいやつがいたら前に出ろ! オレが今すぐそのケツに矢を100万本ブチ込んでやるぞっ! 駆け足っ進めっ!」
オル マフムの教官は、バイウムでさえ一発で目を覚ましそうな大声で訓練兵たちを残らず叩き起こし、朝食もそこそこに兵士になるための厳しい訓練へと放り込んだ。
若いオークはヒーラーであるため、魔法知識の座学や精神集中の訓練など、近接職よりは体力的には楽であったが、若いオークは今までこれといった戦いを経験していないし、軍隊のような集団生活にも縁がなかったため要領が悪く、なかなか教官の言う通りのことができない。
実際、ただ魔法を使うだけなら食料集めの狩りでもやっていたので問題はないのだが、軍隊では集団戦が基本であるため、他の魔法職との高度な連携を要求される。そんなことは今まで考えたこともなかっただけに、いきなり上手くできるはずもないのだ。
こうして、訓練を始めてから数日の間は、指導教官から日に数十回も怒鳴られる毎日だった。しかし、オル マフムたちは多少出来が悪くとも貴重なヒーラーを手放すつもりは毛頭ないようで、若いオークがいくら落ち零れそうになっても、決して首にするようなことは言わなかった。若いオークも、元々が真面目で素直な性格であるだけでなく、アデナを稼ぐまではここを追い出されるわけに行かないという事情も手伝って、厳しい訓練にも音を上げず、担当教官の指導に付いていった。
そして、訓練開始から1か月も経つと、同室だった訓練兵が櫛の歯が欠けるように消えていったにもかかわらず、若いオークは残り、訓練でも教官の命令を即座に理解して的確に行動できるまでに成長していた。
この様子を見て教官は目を細め、今まで以上に厳しいが、戦場で生き残るために欠かせない技術や知識を惜しげもなく若いオークに与えてくれた。
訓練期間も終わりに近付いたある日、若いオークがいつものように詠唱の練習をしていると、訓練場では滅多に見かけることがないオル マフム ロードが現れ、教官を呼ぶとなにやら立ち話を始めた。
「なるほど、それならば丁度よい者がおります。おい、お前ちょっとこっちに来い!」
教官が若いオークに声をかける。
「え、オレですかい?」
「そうだ、グズグズするな、駆け足!」
ロードはドタドタと音を立てて走ってきた若いオークを上から下まで検分するようにじろじろと眺めまわす。
「このオーク シャーマンかね? まだ訓練が終わっていないようだが大丈夫か?」
「はい、飲み込みが少し遅いところはありますが、命令にはきちんと従いますし、一度憶えたことは確実にこなせるようになっております。実戦経験を積めばいずれよい兵士になるでしょう」
「ふむ、君の推薦なら間違いはなかろう。よろしい、そこのオーク シャーマン、貴様は今日で訓練を打ち切り、キャッツアイ殿の専属ヒーラーとして実戦部隊に配属する」
「へ?」
今ひとつ事態が理解できていない若いオークに、教官の叱咤が飛ぶ。
「へ? ではない! キャッツアイ様はこのアジトでも最強のボスのお1人だ。その専属に配されるというのは大変な出世なのだから、ありがたくお受けしろ! それから、返事は“へい”ではなく“はい”だっ! わかったら復唱っ!」
「は、はい、オレぁ、もとい、自分はっキャッツアイ様の専属ヒーラーに配されることを了解いたしましたっ!」
「よしっ、ではすぐに荷物を持って移動、駆け足!」
「へいっ!」
「“へい”ではないっ! “はい”だっ!」
「はいーっ!」
若いオークが敬礼もそこそこに兵舎へ向かって走っていくと、教官とロードはその背中を苦笑しながら見送る。
「よいのかね? もう少し手元に置いて育てたいような顔をしておるぞ?」
「いいえ、確かにまだ教育の足りないところはありますが、戦場こそが若者を兵士にする最良の場と心得ます。いかに素晴らしい原石であっても磨かなければ決して光りませんし、磨き方を間違えれば歪な輝きになってしまいます。キャッツアイ様の下であればきっとよい経験が積めることでしょう」
「そうかね、ならばよいが。では儂は戻るとする。訓練を続けるように」
「了解いたしました!」
「おお、お前ぇさんが新しいヒーラーってやつかい? まあそう肩に力ぁ入れるなよ、どうせここんところはアデン軍の連中も冒険者どももあんまり来ねえんだからよ。お互い気楽にやろうぜ」
若いオークが配属されたボスのキャッツアイは、元々は大盗賊として近隣の村々に恐れられていた者だ。そのためか、今まで出会ったオル マフムの兵士たちよりもずっとくだけた性格をしている。仕事もアデン軍や冒険者と戦うというものではなく、アデン王国の村々を襲撃して、金品や食料を略奪してくるというものだ。パルチザンのアジトの兵站を担うという点では重要性が高いものの、大軍同士がぶつかるような激しい戦闘に巻き込まれることはほとんどない。さらに、部下の中には先輩のオーク シャーマンもいるため、ヒーラの負担もそれほど大きくはない。訓練途中での突然の配備は、専属のヒーラーであった者が満期除隊になり欠員が出たためであったが、こうした点が教官がいうところの“よい環境”なのだろう。
「よ、よろしくお願えしますっ!」
「がははは、だから硬くなるなって。他のボスのとこは知りゃあしねえが、オレは元々が軍人じゃねえから、堅っ苦しいやり方ってえのがどうにも苦手でな、ここの連中にゃあざっくばらんにするように言ってんだ。その代わりにな、オレは仕事であんまり細けえことは言わねからよ、なるたけ手前で考えて動くようにしなくちゃいけねえぜ?」
「へいっ! オレぁ一所懸命やらしてもらいます!」
キャッツアイはその返事を聞いて、太鼓腹を揺らして満足げに笑う。
「がはははは、いい若けえのじゃねえか。相変わらず野郎の見立ては間違いがねえぜ。よし、じゃあ早いとこ寝床を決めて荷物を置いてきな。おう、お前たち。新しい弟分だ、せいぜい面倒を見てやんな」
キャッツアイは部下たちに若いオークの世話をするように命じてくれた。
それからは、常にキャッツアイの側について、ディオンやギランなどの村々へ略奪に出かけるのが若いオークの仕事になった。とはいっても、実際に略奪をするのはキャッツアイの役割で、ヒーラーである若いオークの出番は、仕事に失敗して逃げ出すときの警備兵との戦闘程度だ。そして、キャッツアイの盗賊としての腕前は本物で、失敗することは滅多になかったし、仮にそうなったとしても、被害を最小限に抑えて逃走する技と勘を備えていた。おかげで若いオークはさほど危険な目に合わずに順調に実戦をこなし、やがて簡単な仕事であればメインヒーラーを任されるまでになっていった。
キャッツアイや他の部下たちも若いオークの成長を喜び、決して新入りだからといって軽く見るようなことはなく、もちろんつまらないミスをすれば厳しく叱られるが、対等の仲間として扱ってくれた。
まだ物心も付かぬうちに父親を失い、母親と2人だけで、村のオークたちの哀れみと蔑みの入り混じった視線に曝されながら生きてきた若いオークにとって、初めて得た心を許せる仲間たちとの生活は、今まで経験したことのない満足感を与えてくれた。いつしか若いオークの胸中には、この仲間たちと一緒なら、どんな苦境にも耐えられるという確信が芽生え、大きく育とうとしていた。
だがしかし、今が充実すればするほど、村に残してきた母親のことが、黙って出てきてしまったことへの後悔とともに、若いオークの心の隅に引っかかったまま離れることはなかった。
キャッツアイの下に配属されてから2か月ほどもたち、だいぶん実戦にも馴れてきた頃、若いオークは急にキャッツアイから呼び出された。
「なに、折り入ってって話じゃねえからそう畏まんな。まああれだ、お前、訓練の頃からから数えると入隊して3か月ぐれえになるんだよな?」
「へい、その通りです」
「そうかい、ならそろそろ休暇をやらなくちゃいけねえ。いや、ここの軍隊じゃそういう決まりになってんだ。近頃あ仕事に馴れてきたってもよ、お前もちっと疲れが出る頃だろう? ちょうど来週あたりからオレの仕事もヒマになることだしよ、ここいらで2、3日ゆっくり骨休めしてきちゃあどうだ?」
「休暇ですか? そんならオレぁ手前の村に帰ってもいいんですか?」
「おう、逃げ出すんじゃなけりゃどこに行ったって構いやしねえことになってるからな、そこいらは自由にするといいぜ」
「そいつぁありがてえ。そんなら、村のもんに休暇で帰るって手紙を出してえんですが、こいつもいいんですかね?」
「手紙? お前、随分ハイカラなもん知ってやがんな。ああもちろん構わねえよ。確かお前の村はディオン丘陵地帯だったな。あそこなら露営地へ行く伝令の通り道だからな、オレの口利きだって言やあついでに持ってってくれるだろうぜ。そうだ、紙やペンはあるのかい? なけりゃ出入りのドワーフが扱ってるはずだから聞いてみな。今日当たりなら裏山の抜け道に店を出してるはずだぜ?」
「へい、ありがとうございます」
若いオークがパルチザンのアジトとエルフ村との境を通る間道に出ると、そこにはキャッツアイの言ったとおり、ドワーフの少女が雑貨を並べた露店を開いていた。
「よう、ドワーフさんよ、済まねえが紙とペンを少し分けてもらえねえかい?」
「おや? お兄さんボクの店に来るのは初めてだね? 見たところシャーマンだからヒーラーさんってとこかな? うん、紙とペンなら扱ってるよ」
「ちょいと手紙を出してえんでよ、小洒落た紙があるといいんだがな」
「ああ、便箋ってやつだね。それなら前に仕入れたのがあったはずだよ。ええと……あったあった!」
ドワーフの少女は、自分の身長と変わらないほどの大きな荷物に頭を突っ込んでしばらくゴソゴソと中を探していたが、どうにか一冊の古い便箋を見つけ、パタパタと手で埃を払って若いオークに手渡した。
「パルチザンのアジトじゃあんまり使う人がいないから少し古くなっちゃったけど、まだ黄ばんだりしてないから大丈夫だよ」
「おう、ありがてえ。じゃあそいつをもらおうかい」
「毎度ありー。ねえねえ、お兄さん。それは見習い用の武器だよね? もっといいのに買い換えないの? 便箋も買ってもらったことだし、今なら安くしておくよ?」
「いや、こいつはちょっと訳有りでよ、親分も構わねえっていってくれてるしよ、当分買い換えるつもりはねえんだよ」
「そう? ボクも無理にとは言わないけどね。でも、気が変わったらいつでも声をかけてよね。もちろん武器や防具だけじゃなくてもいいんだよ! 欲しいものを言ってくれればドワーフ商人の名にかけて必ず仕入れて見せるからね!」
宿舎に戻ると、若いオークは早速備え付けの小さな机に向かい、何度も何度も書き直しながら手紙を書いた。
丸めた背中に向かって、休暇を羨ましがる同僚たちがちょっかいをかけてきたが、それは悪意があってのことではないし、何より久々に母親に会える嬉しさでいっぱいになっている若いオークは気にかけず、同僚たちはからかいがいがない相手と見て、早々に自分の寝床へ戻っていった。
その夜、若いオークの机では、小さな灯りが消えることはなかった。
翌朝、眠い目をこすりながら書き上げた手紙を、棄てられた露営地に向かって伝令が出発する直前に、どうにか託すことができた。
手紙を出し終えた若いオークがキャッツアイの下に戻ったその時である。ディオンの強欲な冒険者どもが、ボスたちが蓄えた財宝を奪うために襲撃してきたという報せがパルチザンのアジトを揺るがしたのだ。
『いってえなんででやしょうかねぇ』
『ああ、オレにも皆目わからねぇなぁ』
リーダーと手下がオル マフムに混じっているオークのことで相変わらず首を捻っていると、別の手下から声がかかった。
『大将、もうすぐヒーラーのマナが回復しますんで次の指示をお願いします』
リーダーはハッと我に返り、手下を怒鳴りつける。
『バカヤロウ! んなこたぁオレの知ったことか! どうしても知りたいってんだったら、あっち行って当人に聴いて来い!』
『滅相もねぇ、ヘタに1人で出てったりしたら、たちまちペロリと食われちまいまさあ。でえち、あっしゃ化物どもの言葉なんか知りゃあしませんよ』
『だったらグダグダくっ喋ってねぇでさっさと仕度しやがれ! いつまでもウロウロしてっと化物の代わりにオレが手前ぇのド頭ぁカチ割って脳味噌残らず啜っちまうぞっ!』
『ひぃ、そいつぁ勘弁して下せえーー』
手下がスタコラ逃げていくと、リーダーはやおら岩の上に立ち上がり、他の冒険者たちに大声で指示を出す。
『おう、それじゃそろそろ補助魔法にしようじゃねえか! 終わったらすぐに取っ掛かるから近接は配置に付いとけ! いいけぇ? くれぐれも先走るんじゃねぇぞ!』
欲に目を血走らせた冒険者たちは、キャッツアイたちが立て篭もる陣の前に展開すると次々に補助魔法を掛け、逸る気持ちを抑えて攻撃開始の合図を待つ。
『かかれっ!』
リーダーが号令とともに高く掲げた手を振り下ろすと、冒険者たちは堰を切ったように、キャッツアイへと襲い掛かった。
戦闘が始まると、若いオーク シャーマンは必死でキャッツアイに回復魔法をかけ、バンデットはキャッツアイの行動の自由を縛る、冒険者たちの盾役に弓を射掛ける。しかし、彼らの努力も空しく多数の冒険者の刃を受けるキャッツアイの生命力は、わずかずつではあるが、確実に減っていく。
冒険者たちのヒーラーも、キャッツアイとバンデットの攻撃を一身に受け止める盾役に回復魔法を集中し、どうやら序盤はそれぞれのヒーラーの回復魔法を頼みにした持久戦の様相を呈してきたようだ。
だが、そこで突然、冒険者たちのリーダーが叫んだ。
『化物のくせにいちいち回復しやがってうぜぇな。ソウルショットやスピリットショットだってタダじゃあねえんだ、先に取り巻きのヒーラーどもを片付けちめえっ!』
本来、下級オークのシャーマンでは元々大した量のマナがあるわけでなく、この冒険者たちのように十分な戦力があるのならば無視して力で押し切るのが正攻法である。しかし、ここまでの戦いで得られた戦利品が思ったよりも少なかったのだろう。リーダーはその不足を血で埋め合わせようと考え、大きな脅威にはならないものまでをも殲滅するという残酷な決断を下した。
いや、彼を責めるまい。彼とて今はリーダーとして手下の冒険者たちに祭り上げられているが、それも手下たちを満足させることができてのことである。もし指揮の手際が悪かったり、十分な稼ぎを与えることができなければ、すぐに手下たちは離反してしまい、リーダーはたちまち一介の冒険者へと落ちることになる。生き残るのに必死なのはどちらも同じなのだ。
リーダーの命令一下、今までキャッツアイ1人に向けられていた血に飢えた剣が、若いオークや同僚たちへ向きを変えて殺到してくる。
ボスの直属として多少生命力を強化されているとはいえ、ろくな攻撃魔法も持たない下級オークのシャーマンでは、襲い掛かる無数の刃に抗う手段はない。若いオークはなんとか避けようと足掻き、隙を見ては少しでも仲間たちの傷を癒そうと回復魔法をかけ続ける。
キャッツアイも攻撃の負担が少なくなった機会を利用して、部下たちを襲う冒険者に挑もうと横目で様子を探るが、冒険者の盾役が的確に行動を抑え込んでくるため、どうにも身動きが取れないでいる。
「くそぅ、お前らもうちっとだけ頑張ってくれっ! このナイト野郎をブッ倒したらすぐに助けにいっからよ!」
そう叫ぶキャッツアイであったが、手厚い回復魔法に支えられた盾役は、キャッツアイとバンデットの集中攻撃を受けても小揺るぎもしない。
若いオークは大勢の冒険者から手傷を負わされながらも、盾役が倒れてキャッツアイが自由になればと一縷の望みをかけて回復魔法の手を緩めなかったが、ついに頼みのマナも尽き、冒険者たちに取り囲まれてしまった。
周りを見ると、すでにバンデットたちと古参のオーク シャーマンは倒されており、そちらを手にかけた者たちも生き残った若いオークに集まってくる。
一か八か、わずかに開けた方向に逃れようとしても、より数を増やした冒険者に道をふさがれてしまい叶わなかった。弄るように若いオークの周囲を踊る白刃は、少しずつ若いオークの生命力を削いでいく。彼の命があと1分も保たず地上から消え去るであろうことは想像に難くなかった。
「バカヤロウッ! 今ここでお前がブッ倒れちまったら、故郷のお袋さんはどうなっちまうんだよ?! 四の五の言わずに早えぇとこ逃げやがれっ!」
「すまねえ、親分!」
「かあちゃん……ごめん……ごめんよ……」
生命の灯火が消えようとするその刹那、薄れる意識の中で、若いオークはかすかな声でそう繰り返し呟いていた。
『ははは、こりゃ涙じゃねぇか! 皆見ねぇな、コイツ泣いてやがるんだぜ!』
『へぇ、下級オークも泣くのかい? 汗の見間違いじゃあないのかね?』
『おや、なんだかブツブツ言ってるみてぇだな』
『おりゃあ下級オークの言葉なんざぁ知りゃしねぇが、どうせ命乞いでもしてるんだろうよ。まぁかまわねえ、さっさと片付けちまおう!』
そして、若いオークの頭上に、冒険者の無慈悲な剣が振り下ろされた。
「じゃあ、オークのバァさん、こいつが預かった手紙だ。確かに渡したぜ?」
「ああ、こりゃあ確かに息子の字だよ。マフムの兄さん、遠いところをありがとうよぅ」
「なあに、礼なんざいらねえよ、どうせ露営地まで伝令に行くついでなんだ。さて、俺ぁ先ぃ急ぐんでこれで失礼するぜ!」
「そうかい、もう少しゆっくりしていきゃあいいのによぅ。そうだ、こりゃたいしたもんじゃあないけどさ、道中で食べておくれよ」
「おお、こりゃフローティング アイの干し肉じゃねえか。オレはコイツが大好物なんだぜ。舌がピリピリ痺れるのがたまらなくてよ。すまねぇなバァさん、それじゃ遠慮なく頂いていくぜ」
オル マフムの伝令は干し肉の包みを背嚢に詰め込むと、再び棄てられた露営地を目指して走り出した。
「ありがとうよぅ、道中気ぃつけてなぁ」
年老いたオークは、駆けて行くオル マフムの背中が木立に紛れてしまうまで見送ると、傍らの岩に腰を下ろして受け取ったばかりの手紙に目を落とした。
手紙には、つたない字で、キャッツアイというボスの部下になったこと、近く休暇がもらえるので一度村へ帰ること、そして黙って出て行ったことへの詫びと、年老いたオークの体への気遣いがぶっきらぼうな言葉で記されていた。
「……あの子から手紙をもらうなんて初めてなんじゃないかね……それにしてももっと字を練習させときゃよかったね……ミミズがのたくったみたいで読み難いったらありゃしないよ……」
誰が見ているというわけでもないのに、照れくさいのかブツブツと文句を言いながらも最後の1文字まで何度も繰り返して読む年老いたオークの顔はほころび、知らずに目頭には涙が溜まっていく。そして、それが一滴、手紙に落ちた。
年老いたオークはあわててそれを手で拭うと、手紙を丁寧に畳んで腰の物入れに仕舞い、杖を頼りに立ち上がる。
「さあ、今のうちにあの子の好きなもんでも用意しといてやろうかね。ああそうだ、寝床も新しい藁に換えておかないとね。こりゃ久しぶりに忙しくなるねえ」
よちよちと歩き出す年老いたオークの耳に、丘陵地帯を巡る気まぐれな風に乗り、どこか遠くで冒険者たちの上げる凱歌が、かすかに、聴こえてきた。
2010年9月23日木曜日
ネタメモ001(装甲飛行船)
装甲飛行船と潜水艦を戦わせる方法を構想中。
主人公は潜水艦側。空対海だと、逃げるにしても攻めるにしても空の方が圧倒的に有利だから、海の方がどうやってその状況を逆転するかというところ。
テクノロジーレベルは二次大戦直前ぐらいがいいと思う。
一次大戦以前だと潜水艦側のテクノロジーが成熟していないから海が不利すぎる。
かといって、二次大戦以降だと空にMADや投下式ソナーがあったり、海が原潜になったりするし、そういや最近は潜水艦用のVLSもあるから撃ちっぱなしミサイルなら対空攻撃も不可能じゃない(潜望鏡深度でレーダーつかえるしね。でも位置がバレるとヤバイから、短時間顔を出して敵機を捕捉、同時にミサイルブッ放して急速潜行するのがオススメ)。それに、そもそも装甲飛行船が存在し得ない時代だと、勝負以前の話になってしまう。
通常動力型の潜水艦は、水中走行用の電池を充電する必要があり、そのために水上走行用の内燃機関を利用した発電を行う。
内燃機関は水中では使用できないから、電池が切れれば浮上せざるを得ない。それに、二次大戦までの潜水艦だと空気清浄技術が未発達だから、単に乗員の呼吸で酸素を消費するだけでなく電池が鉛蓄電池であるため塩素も発生する、電池が残っていたとしても乗員の健康のためにはやはり一定期間ごとに浮上して新鮮な空気を取り入れなければならない。仮に潜水艦の動力がワルター機関であった場合は少々異なるが、そもそもワルター機関が実用化されたのは二次大戦末期だから、時代設定的にはオーバーテクノロジー気味。
なお、最近の通常動力型潜水艦でも、自衛隊の“そうりゅう”などスターリング機関を搭載して水中でも発電して長時間潜行を可能にしたものもある。スターリング機関は蒸気機関と同じくらいの歴史があるエンジンなので、設定上の時代でも使えないことはないが、実用レベルの出力が見込めるかどうかは疑問。
それに、あまり長時間潜行を可能にしてしまうと、そもそもの主題である対決が発生しにくくなってしまうのであまりよろしくない。
航空機はこの浮上時を監視して攻撃するのに非常に便利だが、固定翼機は比較的速度が高いため時間当たりの哨戒範囲が広いものの、行動時間があまり長くないので、交代の隙を突いて浮上したり、逃走したりということができる。
しかし、飛行船は速度こそ低いものの潜水艦よりは絶対的に速く、さらに行動時間が極めて長いという特長がある。大型のものだと数日間哨戒飛行を続けることも可能だ。
これに頭を抑えられた通常動力型潜水艦はかなり苦しいだろう。
飛行船にも弱点はある。
浮力を水素やヘリウムなどの空気よりも軽量なガスに依存しているため、高度の調整が難しい。高高度で哨戒をしていると、潜水艦を見つけてもすぐに降下して攻撃するということがやりにくいのだ。これは長時間飛行が可能であるというメリットの裏返しなので、根本的な解決は非常に難しい。
また、船体が巨大である割に重量が小さいため、強風に流されやすい。これも根本的な解決が難しい欠点だ。悪天候では飛行を取りやめて係留するか上空に避難するしかない。しかし、与圧キャビンもそうだが、気圧が低い場所ではガス嚢が膨張してしまうので、そのマージン次第ではあまり上昇することもできない。実用上昇限度の設定が難しい。
小回りが利きにくい。船体が巨大だからしょうがない。とはいえ、これは固定翼航空機に比べてのことで、潜水艦はもっと小回りが利かないので大きな弱点ではないといえる。しかし、飛行船が上空を通過した直後であれば、潜水艦が浮上しても攻撃されにくいという点は使えるだろう。ただし、どうやって潜水艦が飛行船の通過を知るかという問題は残る。
使用するガスが水素だった場合、酸素とちょっとした火花があれば簡単に爆発する。的が大きいだけに砲撃には相当脆弱であるといえる。小口径の機銃弾なら装甲化で防げるにしても、大口径機銃や対空砲には対抗できないだろう。対抗できるだけの装甲を張るとまず浮かぶことはできなくなる。
上空から潜水艦を攻撃する場合、浮上しているときなら機銃掃射でも外版に穴を開けられるかもしれない。これに成功すると潜水艦の最大の武器である潜行能力を使用不能にできる。ただし、これは機銃の射程内のことに限られるので、飛行船の性質からすると、低高度で潜水艦に接近しなければならない。これは見通しが悪くなるため哨戒が難しい。高高度で潜水艦を発見してから、おっとり刀で降下してきても、機銃の射程内に入る頃には潜水艦は潜航して逃げてしまう。
他の攻撃方法としては、上空から爆雷を投下することが考えられる。これは潜水艦が潜航しても攻撃できる点で有利な方法だ。ただし、これも高度が高すぎると爆雷が水面に落下した段階で壊れてしまう可能性があるため、何らかの手段で減速する必要があるだろう。そうなると、飛行船から投下して着水するまでの時間が単なる投下よりも長くなるため、潜水艦の動きを予測しきれないと命中はおぼつかない。それと、減速のために空気抵抗を増やすと横風にも弱くなる。となると、これも確実なのは低高度からの投下ということになる。
設定時代のテクノロジーだとまあこんなもん。飛行船に大砲を積むという手もないではないが、反動を考えるとあまり大口径だったり、初速の速いカノン砲は難しいような気がする。中高度域から攻撃できるのでその点ではかなり有望だが。
対して潜水艦からの攻撃方法。まず、対空である以上、潜水艦の主要武器である魚雷は使用できないと考えたほうがいい。ちなみに、潜水艦の魚雷は発射管から空気圧または水圧で押し出すため、空中に向けて発射しても多分数メートルしか飛ばないと思う。
しかし、多くの場合、潜水艦であっても商船の臨検や敵小型艦艇との交戦に備えて、小口径砲や対空用を兼ねた機銃を装備しているので、これを使用する方法がスタンダードだ。
しかし、小口径砲は元来対水上用であるため、飛行船を攻撃できるかどうか怪しいところだ。機銃は射程の面で飛行船の高度によってはまったく意味をなさないし、威力も低いので飛行船が装甲化されている場合には射程内でも無力化されてしまう可能性が高い
。
※少し詳しく調べたら、昭和初期に建造された伊号の中に対空機銃に替えて8~10cmの高角砲を装備したものがあったようだ。これなら中高度までの対空射撃は可能だろう。でも、それ以降の伊号では対空機銃になっているようなので、あまり役に立たなかったのかもしれない。
また、一部の潜水艦では航空機を運用することができるが、多くの場合は攻撃能力の低い水上偵察機であり、何よりこれを発進させ得る状況にするためには、二次大戦中の伊号潜水艦の例であるが、相当に熟練した艦でも最低6分もの時間が必要であったとされている(これは神技級の早さだそうだ)。天候や海面状況によっては10分は見込んだ方がいいだろう。今回はあまり考えていないが、収容にはさらに長い時間と危険が伴う。
飛行船がこの時間を待ってくれるかどうかが問題だ。高度調整の難しさと、大きな旋回半径がカギになる。方向転換ができたとしても、攻撃位置に着けるだろうか。
こうした1秒を争う緊迫した場面は、上手く文章化できれば面白いとは思われるので、考慮する価値はあるだろう。
潜水艦側には何がしかの特殊な装備を搭載するのが解決策としてはもっとも簡単だ。もしくは、既存の設備を簡単な改造で対飛行船に利用できるようにするか、だ。現地改造のために知恵を絞るのは悪くない場面だといえる。
二次大戦のことになるが、米海軍のガトー級潜水艦は、当初備砲が3インチぐらいのものだったため現場から威力不足が指摘されて、急遽5インチ級の高射砲を改造したものと換装したそうだ。砲座や射撃指揮装置の問題があるが、この手は使えるかもしれない。
※前述のように高角砲装備の潜水艦もあったので、現地改造でも十分に可能だ。
大仰角を取るための砲座の改造と、中高度域に対応できる射撃指揮装置の整備が重点。もちろん対空射撃の訓練を受けている砲員は欠かせない。
ドラマ的な面白さを考えるなら、こうした改造はしない方がいいかもしれない。圧倒的な不利を既存の装備の運用だけでなんとかするというのはワクワクするだろう。飛行船を低高度に引きずり込む工夫ができれば、勝ち目はあるかもしれない。
すでに飛行船にやられて放棄された他の潜水艦から使えそうな装備を奪取するというのはいいかも。
飛行船の主武装は爆雷ということになるが、これは上空から潜水艦と同航しつつ投下することになる。水平爆撃なら、直上を同航できれば細かい計算が必要ないのでかなり命中率が高くなるはずだ。風は勘案しなければならないが。
これは潜水艦からはほぼ防げないと思う。まあ、神機銃手がいて、落ちてくるのを片っ端から機銃で撃墜するとかいう厨坊的な展開も考えられるが、残念ながらハヤカワさんは(こういうネタを思いついておいて言えることでもないのだが)厨坊ではない。爆雷がなくなれば、退避するか機銃掃射の2択だ。機銃掃射を選択した場合は、射程距離の問題があるので低高度に降りてこなければならない。ごくゆっくりと。
この時、潜水艦側に高角砲があることを知らなければ、無警戒で降下してくる可能性がある。飛行船は装甲化してあるので、対空機銃程度では致命傷を与えられない。そこに油断が生まれるだろう。
ということは、いかに飛行船に爆雷を無駄に消費させるかが潜水艦側の手腕の見せ所になるわけだ。
もっとも、航空爆雷であっても数千メートルの高空から投下すると着水時の衝撃で破壊されてしまうから、おそらく投下高度はそれほど高くないとは思われる。そうなると投下時はどうやっても低高度になるか。
でも、これは潜行中の目標に対してのことだ。洋上航行中の目標なら信管の設定を着発にすれば高度は十分にとれる。
あ、それなら潜水艦がごく浅い深度で潜航していて、飛行船が浅深度用に設定した爆雷を投下しようとして降りてきたところに、急速浮上して対空攻撃するっていうのはどうだろう? まあこれも潜行中にどうやって飛行船の動きを知るかっていう問題には突き当たるけど、それを解決すれば結構いいかもしれない。
そうか、爆雷が投下されて爆発すれば低高度に降りてきているという推測は成り立つな。
ということは、勘所は潜水艦がいかに最初の爆雷を避けて浮上し、速やかに対空砲撃の準備を行うかというところだ。
飛行船側も急に浮上してきた相手に対してどう行動をとるか。前述のように基本的な能力からして急に方向転換したり上昇したりはできない。増速して離脱を計るか、爆雷の信管の設定を急いで変えて攻撃するか、機銃の射程内であるかどうかも問題だろう。対空防御用の豆鉄砲だと潜水艦に致命傷を負わせることは難しいが、対空砲撃に出てくる乗組員を撃つことはできる。潜水艦の備砲には砲塔どころか防盾すらない場合が多いから、豆鉄砲でも相当な脅威のはず。
ああ、戦闘パターンはかなり固まってきた。
舞台設定は南洋の島嶼地域にしたい。欧州だとちと地理の検証が大変だし、地理がよく知られているだけに飛行船や潜水艦の基地を作り難いというのもある。アフリカや南米も候補にできるが、双方とも隠れ場所が多いという点では島嶼地域に軍配が上がる。カリブ海は米国が近すぎるので、米国に敵対する勢力はそれだけで行動が取りにくくなってしまう。
潜水艦は日本の伊号。昭和初期には外洋で使用できる大型の潜水艦が大分作られているし、日本語で読める資料も他の国のものより得やすい。特に、潜水艦内部で乗員がどのような生活や戦闘を行っていたかなど、細部のリアリティを追求するための資料は日本のものがいちばん豊富だ。
装甲飛行船は帝政ドイツの残党。まあ大型飛行船を大量に運用したといえばドイツだろう。もちろん英国や米国などドイツ以外の国でも軍用の飛行船は使用されていたのだが、量と質においてドイツに一日の長があったと思う。
南洋群島は一次大戦以前に帝政ドイツが植民地としていたが、敗戦により連合国(二次大戦の連合国とは異なるので注意)に統治権が移動している。しかし、帝政ドイツの一部には東洋艦隊を始めとする本国の敗戦を認めず南洋群島で再起を図る勢力があるという設定にしようかと思う。それ以外のドイツ海外領土や親ドイツ国家となると、アフリカの一部やアルゼンチンなどとなる。こっちの方だと今ひとつ飛行船対潜水艦という図式にはなりにくいような気がする。
一次大戦後に南洋群島で権益を持つのは日本の他に英国、オーストラリア、オランダなど。米国も旧スペイン領を中心にした勢力圏を持つ。当然ながらこれらも絡んでくることになる。共闘するか、反目するかはこれからの課題。王道展開だと、最初は政治的な問題で反目しているが、共通の敵に対して一時的な共闘関係を結び、その内に打ち解けていくという感じだろうが、そのままやるとなんの捻りもないので一考を要すところ。
装甲飛行船は、もともと装甲板はなかったが、敗戦直前にドイツ本国から資金や人員を積載して脱出してきたものを南洋群島で改造したことにする。なお、英国で飛行船に懸垂した飛行機を発進させる実験に成功しているので、飛行船の最後の武器として使うかもしれない。旧式の複葉機なので爆雷投下するとかは難しいが、飛行船よりも速度があって小回りが利くから鈍重な飛行船の死角をカバーできる。潜水艦に対する牽制としては十分に役立つだろう。もし、潜水艦側が艦載機を射出するつもりなら、旧式といえど対抗戦力にできる。速度はともかく運動性は、たとえ旧式機であってもゲタばきの水上機に負けることはない。それに、鋼管フレームと布張りの飛行機というのは、全金属製のモノコックフレームより銃撃に対して強かったりする。乗員やエンジン、燃料タンクといった場所に当らなければ、ほとんどの弾丸は機体に被害を与えずに貫通してしまうのだ。一次大戦の頃の話だが、空戦で数十発被弾してもなんの問題もなく飛行したという例がある。
飛行船の機動性を上げる方法として、ハイブリッド型という方式が考えられる。一般的な飛行船が浮力のすべてをガスに依存するのに対して、一部を固定翼飛行機のような翼によって補うのだ。これだと、速度を低下させると自重によって沈降するため、高度の調整が飛行船よりは楽になる。後付で装甲化した分増えた重量の補償としては悪くない案だ。実際、近年飛行船の低燃費と静粛性が見直されていて、これに近い形式の旅客飛行船が企画されているそうだ。
外観は大型輸送機のグッピーとかベルーガみたいな感じ(両機種とも大容積貨物用に大きく膨らんだ胴体をしているが、浮力用の気嚢は持たない一般的な航空機なのでお間違いなく)になるのだろうか?
ただし、通常の飛行船が空中で停止できるのに対して、ハイブリッド式の飛行船は常にある程度の速度を出していないと墜落してしまう。通常の固定翼航空機に比べれば低速だとはいえ、この時代の潜水艦は水中で最大6~10ノット、水上でも20ノット程度、巡航速度ならもっと遅いから、これと同航することは難しくなるだろう。
なんとも中途半端な感じだ。だが、中途半端も各機能が高いレベルで融合していれば使い物になることがある。MBTとかマルチロールファイターってのがそう。確かに特定の目的に機能が特化したものよりはその目的に対しては性能が劣るが、汎用性が高く、個々の目的はまあまあの成績なら、数をそろえたり兵站を単純化できるマルチロールなものの方が安く済んだりする。ティーガーは強力だけど、少数で戦場全体を制圧することはできない。対してシャーマンはティーガーより弱いが歩兵よりは強い。ティーガーのいない場所を狙って量を投入すれば、戦場の大半はシャーマンによって制圧され得るのだ。チハ車もねえ、量があれば重装備を揚陸する前の米軍に一泡吹かせられたかもしれないのにねえ。艦砲の支援射撃は威力が大きすぎるから近接戦闘だと役立たずだしな。まあ、1回撃退しても直後の報復艦砲射撃で全滅だろうけど。燃料もないしね。
いかん、話がずれてきた。まあ、とりあえずハイブリッド型飛行船はそういう感じの高度な融合にははならないとは思う。
※やっぱりこう追記がガンガンできるブログはアイデアを纏めるのに向いている。NCブログは重い上にたんびに接続を切られるから、少なくともハヤカワさんの使い方には合ってない。妙なActivXを入れるからIEしか使えないっていうのもダメダメ。ぐぐるさんは、いつのまにかエディタの日本語入力がおかしかったのが直っているので、今のところ使い勝手に不満はない。しばらくここに居付いてみよう。
主人公は潜水艦側。空対海だと、逃げるにしても攻めるにしても空の方が圧倒的に有利だから、海の方がどうやってその状況を逆転するかというところ。
テクノロジーレベルは二次大戦直前ぐらいがいいと思う。
一次大戦以前だと潜水艦側のテクノロジーが成熟していないから海が不利すぎる。
かといって、二次大戦以降だと空にMADや投下式ソナーがあったり、海が原潜になったりするし、そういや最近は潜水艦用のVLSもあるから撃ちっぱなしミサイルなら対空攻撃も不可能じゃない(潜望鏡深度でレーダーつかえるしね。でも位置がバレるとヤバイから、短時間顔を出して敵機を捕捉、同時にミサイルブッ放して急速潜行するのがオススメ)。それに、そもそも装甲飛行船が存在し得ない時代だと、勝負以前の話になってしまう。
通常動力型の潜水艦は、水中走行用の電池を充電する必要があり、そのために水上走行用の内燃機関を利用した発電を行う。
内燃機関は水中では使用できないから、電池が切れれば浮上せざるを得ない。それに、二次大戦までの潜水艦だと空気清浄技術が未発達だから、単に乗員の呼吸で酸素を消費するだけでなく電池が鉛蓄電池であるため塩素も発生する、電池が残っていたとしても乗員の健康のためにはやはり一定期間ごとに浮上して新鮮な空気を取り入れなければならない。仮に潜水艦の動力がワルター機関であった場合は少々異なるが、そもそもワルター機関が実用化されたのは二次大戦末期だから、時代設定的にはオーバーテクノロジー気味。
なお、最近の通常動力型潜水艦でも、自衛隊の“そうりゅう”などスターリング機関を搭載して水中でも発電して長時間潜行を可能にしたものもある。スターリング機関は蒸気機関と同じくらいの歴史があるエンジンなので、設定上の時代でも使えないことはないが、実用レベルの出力が見込めるかどうかは疑問。
それに、あまり長時間潜行を可能にしてしまうと、そもそもの主題である対決が発生しにくくなってしまうのであまりよろしくない。
航空機はこの浮上時を監視して攻撃するのに非常に便利だが、固定翼機は比較的速度が高いため時間当たりの哨戒範囲が広いものの、行動時間があまり長くないので、交代の隙を突いて浮上したり、逃走したりということができる。
しかし、飛行船は速度こそ低いものの潜水艦よりは絶対的に速く、さらに行動時間が極めて長いという特長がある。大型のものだと数日間哨戒飛行を続けることも可能だ。
これに頭を抑えられた通常動力型潜水艦はかなり苦しいだろう。
飛行船にも弱点はある。
浮力を水素やヘリウムなどの空気よりも軽量なガスに依存しているため、高度の調整が難しい。高高度で哨戒をしていると、潜水艦を見つけてもすぐに降下して攻撃するということがやりにくいのだ。これは長時間飛行が可能であるというメリットの裏返しなので、根本的な解決は非常に難しい。
また、船体が巨大である割に重量が小さいため、強風に流されやすい。これも根本的な解決が難しい欠点だ。悪天候では飛行を取りやめて係留するか上空に避難するしかない。しかし、与圧キャビンもそうだが、気圧が低い場所ではガス嚢が膨張してしまうので、そのマージン次第ではあまり上昇することもできない。実用上昇限度の設定が難しい。
小回りが利きにくい。船体が巨大だからしょうがない。とはいえ、これは固定翼航空機に比べてのことで、潜水艦はもっと小回りが利かないので大きな弱点ではないといえる。しかし、飛行船が上空を通過した直後であれば、潜水艦が浮上しても攻撃されにくいという点は使えるだろう。ただし、どうやって潜水艦が飛行船の通過を知るかという問題は残る。
使用するガスが水素だった場合、酸素とちょっとした火花があれば簡単に爆発する。的が大きいだけに砲撃には相当脆弱であるといえる。小口径の機銃弾なら装甲化で防げるにしても、大口径機銃や対空砲には対抗できないだろう。対抗できるだけの装甲を張るとまず浮かぶことはできなくなる。
上空から潜水艦を攻撃する場合、浮上しているときなら機銃掃射でも外版に穴を開けられるかもしれない。これに成功すると潜水艦の最大の武器である潜行能力を使用不能にできる。ただし、これは機銃の射程内のことに限られるので、飛行船の性質からすると、低高度で潜水艦に接近しなければならない。これは見通しが悪くなるため哨戒が難しい。高高度で潜水艦を発見してから、おっとり刀で降下してきても、機銃の射程内に入る頃には潜水艦は潜航して逃げてしまう。
他の攻撃方法としては、上空から爆雷を投下することが考えられる。これは潜水艦が潜航しても攻撃できる点で有利な方法だ。ただし、これも高度が高すぎると爆雷が水面に落下した段階で壊れてしまう可能性があるため、何らかの手段で減速する必要があるだろう。そうなると、飛行船から投下して着水するまでの時間が単なる投下よりも長くなるため、潜水艦の動きを予測しきれないと命中はおぼつかない。それと、減速のために空気抵抗を増やすと横風にも弱くなる。となると、これも確実なのは低高度からの投下ということになる。
設定時代のテクノロジーだとまあこんなもん。飛行船に大砲を積むという手もないではないが、反動を考えるとあまり大口径だったり、初速の速いカノン砲は難しいような気がする。中高度域から攻撃できるのでその点ではかなり有望だが。
対して潜水艦からの攻撃方法。まず、対空である以上、潜水艦の主要武器である魚雷は使用できないと考えたほうがいい。ちなみに、潜水艦の魚雷は発射管から空気圧または水圧で押し出すため、空中に向けて発射しても多分数メートルしか飛ばないと思う。
しかし、多くの場合、潜水艦であっても商船の臨検や敵小型艦艇との交戦に備えて、小口径砲や対空用を兼ねた機銃を装備しているので、これを使用する方法がスタンダードだ。
しかし、小口径砲は元来対水上用であるため、飛行船を攻撃できるかどうか怪しいところだ。機銃は射程の面で飛行船の高度によってはまったく意味をなさないし、威力も低いので飛行船が装甲化されている場合には射程内でも無力化されてしまう可能性が高い
。
※少し詳しく調べたら、昭和初期に建造された伊号の中に対空機銃に替えて8~10cmの高角砲を装備したものがあったようだ。これなら中高度までの対空射撃は可能だろう。でも、それ以降の伊号では対空機銃になっているようなので、あまり役に立たなかったのかもしれない。
また、一部の潜水艦では航空機を運用することができるが、多くの場合は攻撃能力の低い水上偵察機であり、何よりこれを発進させ得る状況にするためには、二次大戦中の伊号潜水艦の例であるが、相当に熟練した艦でも最低6分もの時間が必要であったとされている(これは神技級の早さだそうだ)。天候や海面状況によっては10分は見込んだ方がいいだろう。今回はあまり考えていないが、収容にはさらに長い時間と危険が伴う。
飛行船がこの時間を待ってくれるかどうかが問題だ。高度調整の難しさと、大きな旋回半径がカギになる。方向転換ができたとしても、攻撃位置に着けるだろうか。
こうした1秒を争う緊迫した場面は、上手く文章化できれば面白いとは思われるので、考慮する価値はあるだろう。
潜水艦側には何がしかの特殊な装備を搭載するのが解決策としてはもっとも簡単だ。もしくは、既存の設備を簡単な改造で対飛行船に利用できるようにするか、だ。現地改造のために知恵を絞るのは悪くない場面だといえる。
二次大戦のことになるが、米海軍のガトー級潜水艦は、当初備砲が3インチぐらいのものだったため現場から威力不足が指摘されて、急遽5インチ級の高射砲を改造したものと換装したそうだ。砲座や射撃指揮装置の問題があるが、この手は使えるかもしれない。
※前述のように高角砲装備の潜水艦もあったので、現地改造でも十分に可能だ。
大仰角を取るための砲座の改造と、中高度域に対応できる射撃指揮装置の整備が重点。もちろん対空射撃の訓練を受けている砲員は欠かせない。
ドラマ的な面白さを考えるなら、こうした改造はしない方がいいかもしれない。圧倒的な不利を既存の装備の運用だけでなんとかするというのはワクワクするだろう。飛行船を低高度に引きずり込む工夫ができれば、勝ち目はあるかもしれない。
すでに飛行船にやられて放棄された他の潜水艦から使えそうな装備を奪取するというのはいいかも。
飛行船の主武装は爆雷ということになるが、これは上空から潜水艦と同航しつつ投下することになる。水平爆撃なら、直上を同航できれば細かい計算が必要ないのでかなり命中率が高くなるはずだ。風は勘案しなければならないが。
これは潜水艦からはほぼ防げないと思う。まあ、神機銃手がいて、落ちてくるのを片っ端から機銃で撃墜するとかいう厨坊的な展開も考えられるが、残念ながらハヤカワさんは(こういうネタを思いついておいて言えることでもないのだが)厨坊ではない。爆雷がなくなれば、退避するか機銃掃射の2択だ。機銃掃射を選択した場合は、射程距離の問題があるので低高度に降りてこなければならない。ごくゆっくりと。
この時、潜水艦側に高角砲があることを知らなければ、無警戒で降下してくる可能性がある。飛行船は装甲化してあるので、対空機銃程度では致命傷を与えられない。そこに油断が生まれるだろう。
ということは、いかに飛行船に爆雷を無駄に消費させるかが潜水艦側の手腕の見せ所になるわけだ。
もっとも、航空爆雷であっても数千メートルの高空から投下すると着水時の衝撃で破壊されてしまうから、おそらく投下高度はそれほど高くないとは思われる。そうなると投下時はどうやっても低高度になるか。
でも、これは潜行中の目標に対してのことだ。洋上航行中の目標なら信管の設定を着発にすれば高度は十分にとれる。
あ、それなら潜水艦がごく浅い深度で潜航していて、飛行船が浅深度用に設定した爆雷を投下しようとして降りてきたところに、急速浮上して対空攻撃するっていうのはどうだろう? まあこれも潜行中にどうやって飛行船の動きを知るかっていう問題には突き当たるけど、それを解決すれば結構いいかもしれない。
そうか、爆雷が投下されて爆発すれば低高度に降りてきているという推測は成り立つな。
ということは、勘所は潜水艦がいかに最初の爆雷を避けて浮上し、速やかに対空砲撃の準備を行うかというところだ。
飛行船側も急に浮上してきた相手に対してどう行動をとるか。前述のように基本的な能力からして急に方向転換したり上昇したりはできない。増速して離脱を計るか、爆雷の信管の設定を急いで変えて攻撃するか、機銃の射程内であるかどうかも問題だろう。対空防御用の豆鉄砲だと潜水艦に致命傷を負わせることは難しいが、対空砲撃に出てくる乗組員を撃つことはできる。潜水艦の備砲には砲塔どころか防盾すらない場合が多いから、豆鉄砲でも相当な脅威のはず。
ああ、戦闘パターンはかなり固まってきた。
舞台設定は南洋の島嶼地域にしたい。欧州だとちと地理の検証が大変だし、地理がよく知られているだけに飛行船や潜水艦の基地を作り難いというのもある。アフリカや南米も候補にできるが、双方とも隠れ場所が多いという点では島嶼地域に軍配が上がる。カリブ海は米国が近すぎるので、米国に敵対する勢力はそれだけで行動が取りにくくなってしまう。
潜水艦は日本の伊号。昭和初期には外洋で使用できる大型の潜水艦が大分作られているし、日本語で読める資料も他の国のものより得やすい。特に、潜水艦内部で乗員がどのような生活や戦闘を行っていたかなど、細部のリアリティを追求するための資料は日本のものがいちばん豊富だ。
装甲飛行船は帝政ドイツの残党。まあ大型飛行船を大量に運用したといえばドイツだろう。もちろん英国や米国などドイツ以外の国でも軍用の飛行船は使用されていたのだが、量と質においてドイツに一日の長があったと思う。
南洋群島は一次大戦以前に帝政ドイツが植民地としていたが、敗戦により連合国(二次大戦の連合国とは異なるので注意)に統治権が移動している。しかし、帝政ドイツの一部には東洋艦隊を始めとする本国の敗戦を認めず南洋群島で再起を図る勢力があるという設定にしようかと思う。それ以外のドイツ海外領土や親ドイツ国家となると、アフリカの一部やアルゼンチンなどとなる。こっちの方だと今ひとつ飛行船対潜水艦という図式にはなりにくいような気がする。
一次大戦後に南洋群島で権益を持つのは日本の他に英国、オーストラリア、オランダなど。米国も旧スペイン領を中心にした勢力圏を持つ。当然ながらこれらも絡んでくることになる。共闘するか、反目するかはこれからの課題。王道展開だと、最初は政治的な問題で反目しているが、共通の敵に対して一時的な共闘関係を結び、その内に打ち解けていくという感じだろうが、そのままやるとなんの捻りもないので一考を要すところ。
装甲飛行船は、もともと装甲板はなかったが、敗戦直前にドイツ本国から資金や人員を積載して脱出してきたものを南洋群島で改造したことにする。なお、英国で飛行船に懸垂した飛行機を発進させる実験に成功しているので、飛行船の最後の武器として使うかもしれない。旧式の複葉機なので爆雷投下するとかは難しいが、飛行船よりも速度があって小回りが利くから鈍重な飛行船の死角をカバーできる。潜水艦に対する牽制としては十分に役立つだろう。もし、潜水艦側が艦載機を射出するつもりなら、旧式といえど対抗戦力にできる。速度はともかく運動性は、たとえ旧式機であってもゲタばきの水上機に負けることはない。それに、鋼管フレームと布張りの飛行機というのは、全金属製のモノコックフレームより銃撃に対して強かったりする。乗員やエンジン、燃料タンクといった場所に当らなければ、ほとんどの弾丸は機体に被害を与えずに貫通してしまうのだ。一次大戦の頃の話だが、空戦で数十発被弾してもなんの問題もなく飛行したという例がある。
飛行船の機動性を上げる方法として、ハイブリッド型という方式が考えられる。一般的な飛行船が浮力のすべてをガスに依存するのに対して、一部を固定翼飛行機のような翼によって補うのだ。これだと、速度を低下させると自重によって沈降するため、高度の調整が飛行船よりは楽になる。後付で装甲化した分増えた重量の補償としては悪くない案だ。実際、近年飛行船の低燃費と静粛性が見直されていて、これに近い形式の旅客飛行船が企画されているそうだ。
外観は大型輸送機のグッピーとかベルーガみたいな感じ(両機種とも大容積貨物用に大きく膨らんだ胴体をしているが、浮力用の気嚢は持たない一般的な航空機なのでお間違いなく)になるのだろうか?
ただし、通常の飛行船が空中で停止できるのに対して、ハイブリッド式の飛行船は常にある程度の速度を出していないと墜落してしまう。通常の固定翼航空機に比べれば低速だとはいえ、この時代の潜水艦は水中で最大6~10ノット、水上でも20ノット程度、巡航速度ならもっと遅いから、これと同航することは難しくなるだろう。
なんとも中途半端な感じだ。だが、中途半端も各機能が高いレベルで融合していれば使い物になることがある。MBTとかマルチロールファイターってのがそう。確かに特定の目的に機能が特化したものよりはその目的に対しては性能が劣るが、汎用性が高く、個々の目的はまあまあの成績なら、数をそろえたり兵站を単純化できるマルチロールなものの方が安く済んだりする。ティーガーは強力だけど、少数で戦場全体を制圧することはできない。対してシャーマンはティーガーより弱いが歩兵よりは強い。ティーガーのいない場所を狙って量を投入すれば、戦場の大半はシャーマンによって制圧され得るのだ。チハ車もねえ、量があれば重装備を揚陸する前の米軍に一泡吹かせられたかもしれないのにねえ。艦砲の支援射撃は威力が大きすぎるから近接戦闘だと役立たずだしな。まあ、1回撃退しても直後の報復艦砲射撃で全滅だろうけど。燃料もないしね。
いかん、話がずれてきた。まあ、とりあえずハイブリッド型飛行船はそういう感じの高度な融合にははならないとは思う。
※やっぱりこう追記がガンガンできるブログはアイデアを纏めるのに向いている。NCブログは重い上にたんびに接続を切られるから、少なくともハヤカワさんの使い方には合ってない。妙なActivXを入れるからIEしか使えないっていうのもダメダメ。ぐぐるさんは、いつのまにかエディタの日本語入力がおかしかったのが直っているので、今のところ使い勝手に不満はない。しばらくここに居付いてみよう。
今日の雑感006
ハヤカワさん、いいかげんお年頃です。
なので、ここ数年、知人の訃報ってヤツに出会う機会が少しずつ増えてきたんですね。
今年はこの暑さにやられたせいか、夏の間に中学時代の友人1名、仕事でお世話になった人1名が鬼籍に入ってしまいました。
やっぱり例年より多い感じがするねえ。
人間、明日が必ず来るなんて限らないんだから、ハヤカワさんもやりたいことは機会を逃さずやっておかないといかんのですなぁ。
いまいちばんやりたいことか……。
……仕事……かな。
なので、ここ数年、知人の訃報ってヤツに出会う機会が少しずつ増えてきたんですね。
今年はこの暑さにやられたせいか、夏の間に中学時代の友人1名、仕事でお世話になった人1名が鬼籍に入ってしまいました。
やっぱり例年より多い感じがするねえ。
人間、明日が必ず来るなんて限らないんだから、ハヤカワさんもやりたいことは機会を逃さずやっておかないといかんのですなぁ。
いまいちばんやりたいことか……。
……仕事……かな。
2010年9月22日水曜日
ぼくのかんがえたがんだむ
はいっ、今からガンダムの話しまーす。
ハヤカワさん、世代的にファーストのオタクなんで、そこ前提でね。
さて、早速本題入ります。
あの世界ってミノフスキー粒子のせいで電子戦がやりにくくなってるって設定のはずですわね。
ということは、敵のMSを攻撃するときは光学照準器に頼って狙いをつけなければならないことになるわけだ。
そうすると、どのMSにも光学測距儀(正しくは光学視差式測距儀というらしい)がついているべきなんじゃないだろうか。
光学測距儀が何だかわかんない場合、戦艦大和(宇宙に行かない方)の艦橋の天辺から左右に延びてる腕を思い出すかググるかしよう。
宇宙空間はまあ重力の弾道への影響や空気抵抗による弾速の減衰も少ないし、大気によるビームの拡散もほとんど考えなくていいからあまり必要はないかもしれないんだけど(ビーム兵器の場合収束率によっては宇宙でも交戦距離の影響はあると思うけどね)、MSは重力や大気の影響が絶対に無視できない地上戦でも運用されるんだから、少なくともそっち用のにはあっていいと思うのね。グフは格闘専用だからおいとくとしても、ドムには標準装備されているべきだろう。ジムのビームスプレーガンも収束率が低いから距離はかなり影響するだろうな。それと、ファーストじゃないけど、ジムスナイパーやザメルなんかは付いてなけりゃ商売になんないはず。
あ、月面とかコロニー内もアリか。他にア・バオア・クーやソロモン、ルナ2の近くの宙域も弾道計算に重力の補正は必要になるかもしれないな。なら、全MSについてないといけないか。
今はレーザー測距儀(正しくは光波測距儀)っていうのもあるけど、ミノフスキー粒子のせいで電子機器全般が使いづらくなっている状況だと、やっぱり光学視差式の方が信頼性高いだろうから、やっぱり付いてなけりゃおかしい。
ちなみに二次大戦ごろの戦車なんかには単眼式照準器っていうのがついてたんだけど、あれは相手の大きさが分かってないと精確な距離が測れないそうな。MSは手足を縮めたり延ばしたりすれば大きさがかなり変わるので、単眼式では少々役者が不足だろう。
で、結局のところ残るのは光学式。そうなると問題は取り付け場所ですな。
ハヤカワさんが理解するところでは、光学測距儀は基線長(左右のプリズムまたは鏡の間の距離ね。大雑把に腕の長さだと思えばいいでしょう)が大きいほど精度が高くなることになってるから、攻撃時は常に敵に正対するという前提なら、両肩に付けるのがいちばん自然だろう。手足に付けたりすると動かす度にいちいち基線長が変わっちゃうし。腹部はあんまり動かないけど、基線長があんまりとれないな。
そうではなく、あらゆる姿勢から攻撃できるようにするのであれば、やっぱり頭部に付ける必要があるだろう。絵的に考えてもこっちがオススメ。
戦艦大和の測距儀は基線長が約15mあって、交戦する距離が50km弱ということだから、このレベルの測距儀付きのMSは、頭部に全高とほぼ同じ長さの測距儀がくっついた、非常に愉快なスタイルになるはずなのだ。
ハヤカワさん絵は苦手だから、誰かかわりに描いてくんないかな? かな?
次は宇宙戦艦のカタパルトについて考えてみようかな。いつになるかわからんけど。
ハヤカワさん、世代的にファーストのオタクなんで、そこ前提でね。
さて、早速本題入ります。
あの世界ってミノフスキー粒子のせいで電子戦がやりにくくなってるって設定のはずですわね。
ということは、敵のMSを攻撃するときは光学照準器に頼って狙いをつけなければならないことになるわけだ。
そうすると、どのMSにも光学測距儀(正しくは光学視差式測距儀というらしい)がついているべきなんじゃないだろうか。
光学測距儀が何だかわかんない場合、戦艦大和(宇宙に行かない方)の艦橋の天辺から左右に延びてる腕を思い出すかググるかしよう。
宇宙空間はまあ重力の弾道への影響や空気抵抗による弾速の減衰も少ないし、大気によるビームの拡散もほとんど考えなくていいからあまり必要はないかもしれないんだけど(ビーム兵器の場合収束率によっては宇宙でも交戦距離の影響はあると思うけどね)、MSは重力や大気の影響が絶対に無視できない地上戦でも運用されるんだから、少なくともそっち用のにはあっていいと思うのね。グフは格闘専用だからおいとくとしても、ドムには標準装備されているべきだろう。ジムのビームスプレーガンも収束率が低いから距離はかなり影響するだろうな。それと、ファーストじゃないけど、ジムスナイパーやザメルなんかは付いてなけりゃ商売になんないはず。
あ、月面とかコロニー内もアリか。他にア・バオア・クーやソロモン、ルナ2の近くの宙域も弾道計算に重力の補正は必要になるかもしれないな。なら、全MSについてないといけないか。
今はレーザー測距儀(正しくは光波測距儀)っていうのもあるけど、ミノフスキー粒子のせいで電子機器全般が使いづらくなっている状況だと、やっぱり光学視差式の方が信頼性高いだろうから、やっぱり付いてなけりゃおかしい。
ちなみに二次大戦ごろの戦車なんかには単眼式照準器っていうのがついてたんだけど、あれは相手の大きさが分かってないと精確な距離が測れないそうな。MSは手足を縮めたり延ばしたりすれば大きさがかなり変わるので、単眼式では少々役者が不足だろう。
で、結局のところ残るのは光学式。そうなると問題は取り付け場所ですな。
ハヤカワさんが理解するところでは、光学測距儀は基線長(左右のプリズムまたは鏡の間の距離ね。大雑把に腕の長さだと思えばいいでしょう)が大きいほど精度が高くなることになってるから、攻撃時は常に敵に正対するという前提なら、両肩に付けるのがいちばん自然だろう。手足に付けたりすると動かす度にいちいち基線長が変わっちゃうし。腹部はあんまり動かないけど、基線長があんまりとれないな。
そうではなく、あらゆる姿勢から攻撃できるようにするのであれば、やっぱり頭部に付ける必要があるだろう。絵的に考えてもこっちがオススメ。
戦艦大和の測距儀は基線長が約15mあって、交戦する距離が50km弱ということだから、このレベルの測距儀付きのMSは、頭部に全高とほぼ同じ長さの測距儀がくっついた、非常に愉快なスタイルになるはずなのだ。
ハヤカワさん絵は苦手だから、誰かかわりに描いてくんないかな? かな?
次は宇宙戦艦のカタパルトについて考えてみようかな。いつになるかわからんけど。
2010年9月21日火曜日
今日の雑感005
本日のハヤカワさんは、件の小説に手を入れるのに忙しく、ブログの記事なんぞ書いているヒマがありません。
それにしても、半分ぐらいしか終わっていないというのに、すでに投稿した状態の2倍近くに膨れ上がっているのはどういうことか。
というか、よくこれをあの行数に納められたものだ。我ながら感心する外はない。
「ナイト道」を書いていた頃も、予定の行数よりも2~30行は余分に書いてそこから内容を絞っていったものだが、今回のはそれをはるかに上回る勢いだ。
この、書き始めると止まらなくなる病気はなんとかならんのだろうか。
※9月22日追記
とうとう30kb超えた。明らかに書きすぎ。
それにしても、半分ぐらいしか終わっていないというのに、すでに投稿した状態の2倍近くに膨れ上がっているのはどういうことか。
というか、よくこれをあの行数に納められたものだ。我ながら感心する外はない。
「ナイト道」を書いていた頃も、予定の行数よりも2~30行は余分に書いてそこから内容を絞っていったものだが、今回のはそれをはるかに上回る勢いだ。
この、書き始めると止まらなくなる病気はなんとかならんのだろうか。
※9月22日追記
とうとう30kb超えた。明らかに書きすぎ。
2010年9月20日月曜日
今日の雑感004
島嶼戦の難しさは、よほど大きな島でない限り防御の縦深が取りにくいため、防衛プランが水際防御一択になってしまう点にある。
また、陸上戦力による機動防御が事実上不可能であり、このため兵力を分散配備せざるを得なくなり、優勢な敵に各個撃破される危険性が高い。攻撃側が攻略すべき島を自由に選べるという点で、島嶼戦は守備側が著しく不利である。戦略的な価値や敵の攻撃能力である程度目的を絞ることは可能だが、太平洋戦線で米軍が行ったような蛙飛びをやられるとかなり辛いことになる。
仮に重点となる島に十分な戦力が準備できたとしても、制海制空権を奪われて後方との連絡が遮断されれば、最悪の場合はサイパンやガダルカナルと同様の運命を辿ることになるだろう。
このため、一旦接近を許してしまうと、水際で敵に過大な出血を強いて攻略を断念させるか、自然環境や政治などによって敵が撤兵せざるを得ない状況ができるまで耐えるか、優勢な援軍による側背面からの攻撃で状況を逆転させるか、いずれかによってしか勝利できないということになる。
仮に、橋頭堡を確保されてしまうような事態になれば、島に配備されている戦力だけでは遅滞戦闘以上のことはできないことは戦史を紐解けば明らかである。
最良の防御手段としては、敵上陸部隊が島に接近する前に、揚陸艦や輸送艦を海上・航空戦力によって先制攻撃することである。このため正攻法であれば敵はこれを防ぐために海上航空撃滅戦から開始することになる(それ以前に指揮系統を混乱させるためのサイバー攻撃が始まるだろうが)。この場合は、上陸部隊が侵入する前に開戦しているので、戦力が残っていれば、境界線を越えた時点で現場の判断で攻撃ができるから大きな問題はない。
しかし、宣戦の布告や初期の撃滅戦を経ることなしに上陸部隊が単独で越境してきた場合、政治がそれに対する攻撃命令を下せるだろうか? おそらく、これが最大の問題になるだろう。
上陸したのが一島だけなら迷子かもしれない。とか言い出さなければいいが。
最悪の状況を避ける努力を重ねつつ、最悪の状況への備えを怠らないのが政治の仕事だ。
また、陸上戦力による機動防御が事実上不可能であり、このため兵力を分散配備せざるを得なくなり、優勢な敵に各個撃破される危険性が高い。攻撃側が攻略すべき島を自由に選べるという点で、島嶼戦は守備側が著しく不利である。戦略的な価値や敵の攻撃能力である程度目的を絞ることは可能だが、太平洋戦線で米軍が行ったような蛙飛びをやられるとかなり辛いことになる。
仮に重点となる島に十分な戦力が準備できたとしても、制海制空権を奪われて後方との連絡が遮断されれば、最悪の場合はサイパンやガダルカナルと同様の運命を辿ることになるだろう。
このため、一旦接近を許してしまうと、水際で敵に過大な出血を強いて攻略を断念させるか、自然環境や政治などによって敵が撤兵せざるを得ない状況ができるまで耐えるか、優勢な援軍による側背面からの攻撃で状況を逆転させるか、いずれかによってしか勝利できないということになる。
仮に、橋頭堡を確保されてしまうような事態になれば、島に配備されている戦力だけでは遅滞戦闘以上のことはできないことは戦史を紐解けば明らかである。
最良の防御手段としては、敵上陸部隊が島に接近する前に、揚陸艦や輸送艦を海上・航空戦力によって先制攻撃することである。このため正攻法であれば敵はこれを防ぐために海上航空撃滅戦から開始することになる(それ以前に指揮系統を混乱させるためのサイバー攻撃が始まるだろうが)。この場合は、上陸部隊が侵入する前に開戦しているので、戦力が残っていれば、境界線を越えた時点で現場の判断で攻撃ができるから大きな問題はない。
しかし、宣戦の布告や初期の撃滅戦を経ることなしに上陸部隊が単独で越境してきた場合、政治がそれに対する攻撃命令を下せるだろうか? おそらく、これが最大の問題になるだろう。
上陸したのが一島だけなら迷子かもしれない。とか言い出さなければいいが。
最悪の状況を避ける努力を重ねつつ、最悪の状況への備えを怠らないのが政治の仕事だ。
2010年9月18日土曜日
JAXA続きの続き
Mロケットを十分に堪能したところで、屋内展示に移動。
専用の施設ではなく、研究管理棟のロビーに作られているせいか、真ん中に会議室などへ上る階段があったりしてせせっこましい印象だ。
まあ、専用の施設なんかレンホーが許しちゃくれないだろうから、制約の中で頑張っているJAXAを責めるわけにはいかない。
まあ、こういうことはナンボ言っても埒が明かないのでこの辺で止めにして、展示物を見ていくことにしよう。
あと、子供向けにスタンプラリーもあったりするが、ハヤカワさんは大人なのでガマンする。別に大人はダメだとも書いていないが、なんとなく。
で、館内は写真撮影ができるのではあるが、ハヤカワさんは写真など撮っていない。だから文字だけのレポートだ。
これは、先日も書いたが、ハヤカワさんはカメラを持っていないからだ。正確には某所にフィルムの一眼レフを預けてあるのだが、取りに行くだけで一日仕事なのでないのと同然。
まあ、気になったらJAXAのウェブサイトでも見れば山ほど写真があるので問題はない。大方の知識はウェブで得られる昨今、こういった施設では生で触れるということがいちばん重要だと思うので、自分の目で見たという事実があればそれでいいのだ。
大体、普通の博物館だと館内撮影禁止だからカメラがあったって持っていきやしない。こんなことなら街道筋の電気屋で安いデジカメでも買っていけばよかった。くそぅ。
アレ? 言うことが変わってる? いんだよ、細けぇこたぁ!
現在のメイン展示はやはり「ハヤブサ」だ。帰還したカプセルはもう展示していないが、実物大模型と「ハヤブサ」の軌跡を解説したパネルが置いてある。模型は太陽電池パネルを展開していることもあって、想像よりもかなり大きい印象だ。とはいっても、ハヤブサの辿った道のりを考えると、このサイズの機体に長距離を飛行するだけの機能と探査機構、そして二重三重のフェイルセーフ機構を組み込んだJAXAの技術力には驚嘆すべきものがあるのかもしれない。
しかし、これは非常に残念なことなのだが、ハヤブサに搭載されていた小型探査機ミネルバにはほとんど触れられていない。ハヤブサからの放出には成功したものの、イトカワ表面に着陸することができず、探査という目的では失敗だったから仕方がないとは思えるが、それはそれで大きな成果であることに変わりがないのだ。少なくとも、放出以降は自律動作で写真を撮影し、たった1枚とはいえあの遠距離からハヤブサの太陽電池パネルを捉えた写真を伝送してきたのだ。(ちなみに、地球からハヤブサに命令電波を送ると、届くのに約16分かかるそうだ。太陽の電磁波(光とかね)が地球に届くのが8分半ぐらいだから、およそその2倍ということになる。何にしても、とてつもない距離であることに間違いはない)
そして、着陸に失敗したのはイトカワの重力が事前の予想よりも小さかったことが原因なのだろうか? それとも遠隔操作の限界だったのだろうか? 機械の故障や人為的なミスか? 他に想定外の理由があったのか? 少なくとも、こうしたことを追求して、次に生かすためのデータは得られたはずだ。ハヤカワさん的にはそういったところを知りたいのだ。
ハヤブサばかり見ていても仕方がないので他の展示物も見て回らねば。
ハヤブサ以外は、スペースからしてしょうがないのだが、縮小模型と映像がメイン。
ロケットモーターの実物なんかも見たいところだが、昔の小型ロケットのものや衛星用でなければ置き場所がない。そういったものは筑波にあるのだが、気軽に行ける距離でもないので、やはり専用の施設で見られるようにして欲しいところだ。向かいの相模原市立博物館なんかで展示することはできないのか。便乗企画やってるんだし。
そういった中で、個人的によかったのは衛星のサーマルジャケットの構造がわかったこと。衛星の本体を包んでいる金紙みたいなヤツだが、要は宇宙は日向と日陰の温度差が激しくて、機器が損傷しやすいので、断熱材で包んで保護するというわけだ。
アルミを蒸着したフィルムや強化繊維を何重にも重ねて作られている。電磁波や宇宙線もある程度遮蔽できるのだろうか? 大気のない状態での被爆量はハンパないので、電子機器は厳重にシールドされているはずだが。
デブリとの衝突を考えると装甲板を貼ってもいいような気がするが、デブリの大きさと相対速度によってはどんなに強力な装甲板を貼っても無駄になる可能性があるし、第一そんなに重いものを打ち上げるのは不可能に近いから、サーマルジャケットがむき出しでも問題はないのということなのだろう。
まあ、通り一遍のレポートは他のサイトに腐るほどあるので、ここからはハヤカワさん的に気になることをいくつか挙げておこう。
展示を見ていけば過去から現在までについてはわかるのだが、将来の宇宙開発についての解説があまりないのは寂しい。個々の衛星を打ち上げるとかどうとかではなくて、日本の宇宙開発の目指すところという意味でね。やっぱりこれもレンホーがいるかぎり予定は未定にして決定にあらずだからダメなのか?
ハヤブサは大型な上にフレームに固定されて高い場所に設置されているからいいが、それ以外の展示物、特に手にとることができるようになっているものは、夏休みに押しかけた見学者が触りまくったんだろう痕跡がそこここに残っていた。要するにどこかしらが破損した物が多い。
金星探査衛星「あかつき」の模型は、上部の蓋を開けると内部を見ることができるようになっているのだが、手作り感満点の紙製で、太陽電池パネルを支えるアーム(ワリバシ?)がぐらついていて、補修用に養生テープらしきものが巻きつけてあった。いくら手荒に扱わないように書いてあっても、容赦のない子供の手にかかればひとたまりもない。モノに敬意を払うことを知らない大人はもっとやっかいだ。
もっとも、蓋を開けても内部の機構が再現されているわけではなく、スッカスカなので期待しすぎたハヤカワさんは拍子抜け。
他にも、月周回衛星「かぐや」では、四方向に張り出したアンテナが尖がっているのは見学者に危険があると判断したのだろう、ちょうど幼児の眼の高さぐらいだし、ダンボールと養生テープで先端をカバーしてあったりする。本体と太陽電池パネルがどういうわけか分離しているのも謎。
H-IIロケットの模型は固体ロケットブースターが外れかけてて、それをビニール紐で縛ってあったり。
ハヤブサからイトカワに投下されたマーカーに使われたビーズが入ったケースがあって、手に取れるようになっているのだが、ケースが角型なのに、ケースを置いておくスペースが丸型だったり。多分、何かで元のケースが破損したか、持ち去られてしまったからだろうが、いかにも間に合わせ感が漂ってしまう。
さらに、全体的に説明が足りない。ハヤブサとか重点的に説明されているものはあるが、他はただ置いてあるだけといった感じで、それがどういうものなのかという解説がまったくないものが多いのだ。
側面にYACと書かれた小さなロケットがあったのだが、自宅に帰ってググらないとこれが日本宇宙少年団のことだとは分からなかった。
まあ、そうはいっても予備知識があるハヤカワさんたちには面白いことは面白いものばかりだし、いつまで見ていても飽きないのだが、なんというか、こう微妙に残念なポイントが多いのが残念。
いや、JAXAの人たちは限られた予算や施設の中でできるだけのことをしているんだろうが、衛星の模型の支えに栄養ドリンクの瓶を使うこたあないだろう。しかも中身入ってるし。
これはアレか? 徹夜自慢か? オレらコレ飲んで頑張ってますー的な?
それはいいとしても、少なくとも製品のラベルは隠そうよ、曲がりなりにも国の機関なんだし。
はっ! そうか、これはそのうちリポD型のロケットでも開発して宣伝費を取ろうという魂胆だな?
そのうち、H-IIの横っ腹に「ファイト一発!」とか書かれるに違いない!
んで、知らんうちにテレビにケインが姿勢を崩したハヤブサを間一髪で立て直したりするCMが流れるのだ。そうに違いない! いや、テレビを見てないハヤカワさんが知らないだけで、実はもう流れてたりするのに決まっている!
友人とバカ話をしながらも2時間ばかり経過してしまった。次の予定があるので売店に移動してお土産漁り。ハヤカワさんはハヤブサのファイル3種組(500円)と最後に地球を撮った写真のファイル(210円)、絵葉書(400円)を購入。
次の予定である、市立博物館で上映されるハヤブサの全天周映画を鑑賞するためJAXAを後にする。
※1
あ、床に貼ってあった相模原市の衛星写真だけどね、端っこに写ってた飛行場は座間キャンプのだって。もっと厚木寄りかと思ってた。
※2
リポDの件。全天周映画のためにちょっと調べてみたところ、ハヤブサがイトカワに着陸するミッションのときに、プロジェクトチームが奮闘する様子がブログでリアルタイムで紹介されて、そこで次々につみあがっていくリポDのビンが話題になったんだそうだ。それで、その後プロジェクトチームに大正製薬から大量のリポDが贈られたそう。あの展示は、そういうのを知ってる人たち向けのシャレだということなのか。
専用の施設ではなく、研究管理棟のロビーに作られているせいか、真ん中に会議室などへ上る階段があったりしてせせっこましい印象だ。
まあ、専用の施設なんかレンホーが許しちゃくれないだろうから、制約の中で頑張っているJAXAを責めるわけにはいかない。
まあ、こういうことはナンボ言っても埒が明かないのでこの辺で止めにして、展示物を見ていくことにしよう。
あと、子供向けにスタンプラリーもあったりするが、ハヤカワさんは大人なのでガマンする。別に大人はダメだとも書いていないが、なんとなく。
で、館内は写真撮影ができるのではあるが、ハヤカワさんは写真など撮っていない。だから文字だけのレポートだ。
これは、先日も書いたが、ハヤカワさんはカメラを持っていないからだ。正確には某所にフィルムの一眼レフを預けてあるのだが、取りに行くだけで一日仕事なのでないのと同然。
まあ、気になったらJAXAのウェブサイトでも見れば山ほど写真があるので問題はない。大方の知識はウェブで得られる昨今、こういった施設では生で触れるということがいちばん重要だと思うので、自分の目で見たという事実があればそれでいいのだ。
大体、普通の博物館だと館内撮影禁止だからカメラがあったって持っていきやしない。こんなことなら街道筋の電気屋で安いデジカメでも買っていけばよかった。くそぅ。
アレ? 言うことが変わってる? いんだよ、細けぇこたぁ!
現在のメイン展示はやはり「ハヤブサ」だ。帰還したカプセルはもう展示していないが、実物大模型と「ハヤブサ」の軌跡を解説したパネルが置いてある。模型は太陽電池パネルを展開していることもあって、想像よりもかなり大きい印象だ。とはいっても、ハヤブサの辿った道のりを考えると、このサイズの機体に長距離を飛行するだけの機能と探査機構、そして二重三重のフェイルセーフ機構を組み込んだJAXAの技術力には驚嘆すべきものがあるのかもしれない。
しかし、これは非常に残念なことなのだが、ハヤブサに搭載されていた小型探査機ミネルバにはほとんど触れられていない。ハヤブサからの放出には成功したものの、イトカワ表面に着陸することができず、探査という目的では失敗だったから仕方がないとは思えるが、それはそれで大きな成果であることに変わりがないのだ。少なくとも、放出以降は自律動作で写真を撮影し、たった1枚とはいえあの遠距離からハヤブサの太陽電池パネルを捉えた写真を伝送してきたのだ。(ちなみに、地球からハヤブサに命令電波を送ると、届くのに約16分かかるそうだ。太陽の電磁波(光とかね)が地球に届くのが8分半ぐらいだから、およそその2倍ということになる。何にしても、とてつもない距離であることに間違いはない)
そして、着陸に失敗したのはイトカワの重力が事前の予想よりも小さかったことが原因なのだろうか? それとも遠隔操作の限界だったのだろうか? 機械の故障や人為的なミスか? 他に想定外の理由があったのか? 少なくとも、こうしたことを追求して、次に生かすためのデータは得られたはずだ。ハヤカワさん的にはそういったところを知りたいのだ。
ハヤブサばかり見ていても仕方がないので他の展示物も見て回らねば。
ハヤブサ以外は、スペースからしてしょうがないのだが、縮小模型と映像がメイン。
ロケットモーターの実物なんかも見たいところだが、昔の小型ロケットのものや衛星用でなければ置き場所がない。そういったものは筑波にあるのだが、気軽に行ける距離でもないので、やはり専用の施設で見られるようにして欲しいところだ。向かいの相模原市立博物館なんかで展示することはできないのか。便乗企画やってるんだし。
そういった中で、個人的によかったのは衛星のサーマルジャケットの構造がわかったこと。衛星の本体を包んでいる金紙みたいなヤツだが、要は宇宙は日向と日陰の温度差が激しくて、機器が損傷しやすいので、断熱材で包んで保護するというわけだ。
アルミを蒸着したフィルムや強化繊維を何重にも重ねて作られている。電磁波や宇宙線もある程度遮蔽できるのだろうか? 大気のない状態での被爆量はハンパないので、電子機器は厳重にシールドされているはずだが。
デブリとの衝突を考えると装甲板を貼ってもいいような気がするが、デブリの大きさと相対速度によってはどんなに強力な装甲板を貼っても無駄になる可能性があるし、第一そんなに重いものを打ち上げるのは不可能に近いから、サーマルジャケットがむき出しでも問題はないのということなのだろう。
まあ、通り一遍のレポートは他のサイトに腐るほどあるので、ここからはハヤカワさん的に気になることをいくつか挙げておこう。
展示を見ていけば過去から現在までについてはわかるのだが、将来の宇宙開発についての解説があまりないのは寂しい。個々の衛星を打ち上げるとかどうとかではなくて、日本の宇宙開発の目指すところという意味でね。やっぱりこれもレンホーがいるかぎり予定は未定にして決定にあらずだからダメなのか?
ハヤブサは大型な上にフレームに固定されて高い場所に設置されているからいいが、それ以外の展示物、特に手にとることができるようになっているものは、夏休みに押しかけた見学者が触りまくったんだろう痕跡がそこここに残っていた。要するにどこかしらが破損した物が多い。
金星探査衛星「あかつき」の模型は、上部の蓋を開けると内部を見ることができるようになっているのだが、手作り感満点の紙製で、太陽電池パネルを支えるアーム(ワリバシ?)がぐらついていて、補修用に養生テープらしきものが巻きつけてあった。いくら手荒に扱わないように書いてあっても、容赦のない子供の手にかかればひとたまりもない。モノに敬意を払うことを知らない大人はもっとやっかいだ。
もっとも、蓋を開けても内部の機構が再現されているわけではなく、スッカスカなので期待しすぎたハヤカワさんは拍子抜け。
他にも、月周回衛星「かぐや」では、四方向に張り出したアンテナが尖がっているのは見学者に危険があると判断したのだろう、ちょうど幼児の眼の高さぐらいだし、ダンボールと養生テープで先端をカバーしてあったりする。本体と太陽電池パネルがどういうわけか分離しているのも謎。
H-IIロケットの模型は固体ロケットブースターが外れかけてて、それをビニール紐で縛ってあったり。
ハヤブサからイトカワに投下されたマーカーに使われたビーズが入ったケースがあって、手に取れるようになっているのだが、ケースが角型なのに、ケースを置いておくスペースが丸型だったり。多分、何かで元のケースが破損したか、持ち去られてしまったからだろうが、いかにも間に合わせ感が漂ってしまう。
さらに、全体的に説明が足りない。ハヤブサとか重点的に説明されているものはあるが、他はただ置いてあるだけといった感じで、それがどういうものなのかという解説がまったくないものが多いのだ。
側面にYACと書かれた小さなロケットがあったのだが、自宅に帰ってググらないとこれが日本宇宙少年団のことだとは分からなかった。
まあ、そうはいっても予備知識があるハヤカワさんたちには面白いことは面白いものばかりだし、いつまで見ていても飽きないのだが、なんというか、こう微妙に残念なポイントが多いのが残念。
いや、JAXAの人たちは限られた予算や施設の中でできるだけのことをしているんだろうが、衛星の模型の支えに栄養ドリンクの瓶を使うこたあないだろう。しかも中身入ってるし。
これはアレか? 徹夜自慢か? オレらコレ飲んで頑張ってますー的な?
それはいいとしても、少なくとも製品のラベルは隠そうよ、曲がりなりにも国の機関なんだし。
はっ! そうか、これはそのうちリポD型のロケットでも開発して宣伝費を取ろうという魂胆だな?
そのうち、H-IIの横っ腹に「ファイト一発!」とか書かれるに違いない!
んで、知らんうちにテレビにケインが姿勢を崩したハヤブサを間一髪で立て直したりするCMが流れるのだ。そうに違いない! いや、テレビを見てないハヤカワさんが知らないだけで、実はもう流れてたりするのに決まっている!
友人とバカ話をしながらも2時間ばかり経過してしまった。次の予定があるので売店に移動してお土産漁り。ハヤカワさんはハヤブサのファイル3種組(500円)と最後に地球を撮った写真のファイル(210円)、絵葉書(400円)を購入。
次の予定である、市立博物館で上映されるハヤブサの全天周映画を鑑賞するためJAXAを後にする。
※1
あ、床に貼ってあった相模原市の衛星写真だけどね、端っこに写ってた飛行場は座間キャンプのだって。もっと厚木寄りかと思ってた。
※2
リポDの件。全天周映画のためにちょっと調べてみたところ、ハヤブサがイトカワに着陸するミッションのときに、プロジェクトチームが奮闘する様子がブログでリアルタイムで紹介されて、そこで次々につみあがっていくリポDのビンが話題になったんだそうだ。それで、その後プロジェクトチームに大正製薬から大量のリポDが贈られたそう。あの展示は、そういうのを知ってる人たち向けのシャレだということなのか。
今日の雑感003
マスコミは権力を監視する第四の権力なのだそうだ。
故に、マスコミは権力から自由でなければならないという。
ここまではいいだろう。
では、なぜマスコミは権力を監視するのだろう?
マスコミによると権力は腐敗するので、監視が必要なのだという。
ならば、第四の権力を標榜するマスコミも必ず腐敗するので監視が必要ということになる。
近頃見聞することによると、すでに腐敗しきっているともいえるが、当のマスコミはそのことについて、公に問題となったとき以外には何も言わない。
マスコミには自浄作用があるから問題ないというのであれば、もちろん権力の自浄作用にも期待できるはずだ。
つまり、マスコミによる監視は必要ないということになる。
だが、 マスコミは権力の監視のためにその権力を振るおうとする。
さて、マスコミの権力を監視するのはいったい誰なんだ?
故に、マスコミは権力から自由でなければならないという。
ここまではいいだろう。
では、なぜマスコミは権力を監視するのだろう?
マスコミによると権力は腐敗するので、監視が必要なのだという。
ならば、第四の権力を標榜するマスコミも必ず腐敗するので監視が必要ということになる。
近頃見聞することによると、すでに腐敗しきっているともいえるが、当のマスコミはそのことについて、公に問題となったとき以外には何も言わない。
マスコミには自浄作用があるから問題ないというのであれば、もちろん権力の自浄作用にも期待できるはずだ。
つまり、マスコミによる監視は必要ないということになる。
だが、 マスコミは権力の監視のためにその権力を振るおうとする。
さて、マスコミの権力を監視するのはいったい誰なんだ?
2010年9月17日金曜日
ガンバレニッポン
前の記事を投稿してから、ちょっと統計でアクセス数とかを見てたんですよ。
そしたら、やたらとアメリカとカナダからのアクセスが多くて、日本があと少しで追い着かれそうなんですよ。
昨日なんかカナダがトップだったんですが、夜中に日本が盛り返したみたいでね。
ハヤカワさん、外国にこれといって知人はいないし、わざわざ見に来るような記事もないので、おそらくは検索エンジンやコメントスパムのBOTなんでしょうけどね。実際、更新した直後しかアクセスないし。
でも、やっぱり日本人であるところのハヤカワさんとしては、もうちょっと日本もがんばってアクセス数を増やして欲しいものですよ。もしかしたら読んでる人がいるかも的な夢も見られるし。
あ、アクセス数が増えるようなことを書けというのはナシの方向で。
そしたら、やたらとアメリカとカナダからのアクセスが多くて、日本があと少しで追い着かれそうなんですよ。
昨日なんかカナダがトップだったんですが、夜中に日本が盛り返したみたいでね。
ハヤカワさん、外国にこれといって知人はいないし、わざわざ見に来るような記事もないので、おそらくは検索エンジンやコメントスパムのBOTなんでしょうけどね。実際、更新した直後しかアクセスないし。
でも、やっぱり日本人であるところのハヤカワさんとしては、もうちょっと日本もがんばってアクセス数を増やして欲しいものですよ。もしかしたら読んでる人がいるかも的な夢も見られるし。
あ、アクセス数が増えるようなことを書けというのはナシの方向で。
今日の雑感002
知性の本質は疑うことであると思う。
あらゆるものに対して“なぜ”そうなのか、そして“正しいのか”を考えることが知性を磨くからだ。
ただし、これは諸刃の剣でもある。
すべてに疑問を持ち、思考を追及していくと、最後には自分すら疑うことになる。
自分を疑うことは決して悪いことではないが、しかしこれが過ぎると、何事かを起こそうと考えてもそれを疑ってしまい、自らの行動を制約してしまうことになるためだ。
故に、知性は世界を動かす切っ掛けにはなれても、世界を動かす力にはなりえない。
世界を動かすためには、確固たる信念が必要である。
知性は、それさえも疑ってしまうのだ。
※JAXAの続きの続きをボチボチ書いているが、そろそろ決着をつけないといけない。
こういったものはそのときの熱さを失うと急速に書けなくなってしまう。
屋内展示の後は、「ハヤブサ」の映画のことも書かなくてはいけない。
しかし、ここのところ1日中なんか書いてるな。
ホントにハヤカワさんなんだろうか?
あらゆるものに対して“なぜ”そうなのか、そして“正しいのか”を考えることが知性を磨くからだ。
ただし、これは諸刃の剣でもある。
すべてに疑問を持ち、思考を追及していくと、最後には自分すら疑うことになる。
自分を疑うことは決して悪いことではないが、しかしこれが過ぎると、何事かを起こそうと考えてもそれを疑ってしまい、自らの行動を制約してしまうことになるためだ。
故に、知性は世界を動かす切っ掛けにはなれても、世界を動かす力にはなりえない。
世界を動かすためには、確固たる信念が必要である。
知性は、それさえも疑ってしまうのだ。
※JAXAの続きの続きをボチボチ書いているが、そろそろ決着をつけないといけない。
こういったものはそのときの熱さを失うと急速に書けなくなってしまう。
屋内展示の後は、「ハヤブサ」の映画のことも書かなくてはいけない。
しかし、ここのところ1日中なんか書いてるな。
ホントにハヤカワさんなんだろうか?
2010年9月16日木曜日
夏の侵略者
昨年、引越しを敢行したハヤカワさんです。
しかし、1年以上経過したというのに未だにCDプレーヤー(据置)を仕舞い込んでおりました。
いや、よく聞く音楽はMP3プレーヤーに取り込んであったし、CDの再生だけならとりあえずPCでも間に合うもので、すっかり忘れておりました。
で、ふと思い立ってやおら荷物をひっくり返してCDプレーヤーを引っ張り出してきました。
ハヤカワさんが使用している機械は、もう大分古いものなのですが、ざっと20年ぐらい前のものですかね? その筋では妙に評価の高い機械で、フィリップス社のCD950という機種なんですが、今さらWEBで調べてみると、修理しながらずっと使ってらっしゃる方も多いようですね。
まあ、ハヤカワさんはそんなことは知らずに、石丸電気の店員のオススメを振り切って、ただよく聴くプログレが気持ちよく鳴るものを選んだだけなのですが、どうやら当りだったようです。
このCD950ですが、トレー開閉用のギアが欠けて手動開閉になったり、リモコンがぶっ壊れたものの、音は健全なままだし、フィリップスが日本のコンシューマーオーディオ市場から撤退してしまった現在では、買い換えることもできないので騙し騙し使っているんですね。
ここまでは前置きです。
さて、CDプレーヤーに電源を入れ、流石に1年以上使ってなかっただけにトラブルが出ていないかチェックするために、何かCDをかけてみようと思ったハヤカワさんです。
ところが、皆さんも御存知のように、この夏はとんでもない猛暑でした。
この猛暑がCDとどういう関係があるんでしょうね? 訳分かりませんね?
話は続きます、何の気もなく取り出したCDの盤面を見たハヤカワさん、そこになんとなく違和感があるのに気付いてしまいました。
よくよく目を凝らしてCDを眺めてみると、違和感の正体はなんと“カビ”でございました!
そうです、この夏のあまりの猛暑と湿気のダブルパンチによって、ハヤカワさんのCDがカビてしまったのです。
あわててCDを1枚1枚チェックするハヤカワさんですが、ハヤカワさんの所有するCDはその筋のマニアに比べると少ないとはいえ、300枚あまりもあります。
この中のどれだけカビているかにもよりますが、下手をすると何日か徹夜になってしまうかもしれません。
ちなみに、カビが表面だけならアルコール除菌ティッシュで拭けば取れるらしいです。
早速コンビニで買ってこないと。
※CDを拭くときは、中心から外側に向かって放射状に拭くようにしましょう。できれば専用のクリーナーでやったほうがいいようですね。アルコール除菌ティッシュも有効ですが、CDの材質によってはレーベル面のプリントが剥げたり、記録面が白くなって読み出しがエラーしたりすることがあるようです。トラブっても自己責任ですから、事前によく調べてからにした方がいいですね。
※なんとなく「フィリップス トレー」といったキーワードで結構ググられているような気がする記事ですが、本題じゃなくて申し訳ないような。ここはかねてから考えてた「トレー開閉用ギアを複製して直せるか?」を敢行してみたほうがよかろうかな?←11月12日
しかし、1年以上経過したというのに未だにCDプレーヤー(据置)を仕舞い込んでおりました。
いや、よく聞く音楽はMP3プレーヤーに取り込んであったし、CDの再生だけならとりあえずPCでも間に合うもので、すっかり忘れておりました。
で、ふと思い立ってやおら荷物をひっくり返してCDプレーヤーを引っ張り出してきました。
ハヤカワさんが使用している機械は、もう大分古いものなのですが、ざっと20年ぐらい前のものですかね? その筋では妙に評価の高い機械で、フィリップス社のCD950という機種なんですが、今さらWEBで調べてみると、修理しながらずっと使ってらっしゃる方も多いようですね。
まあ、ハヤカワさんはそんなことは知らずに、石丸電気の店員のオススメを振り切って、ただよく聴くプログレが気持ちよく鳴るものを選んだだけなのですが、どうやら当りだったようです。
このCD950ですが、トレー開閉用のギアが欠けて手動開閉になったり、リモコンがぶっ壊れたものの、音は健全なままだし、フィリップスが日本のコンシューマーオーディオ市場から撤退してしまった現在では、買い換えることもできないので騙し騙し使っているんですね。
ここまでは前置きです。
さて、CDプレーヤーに電源を入れ、流石に1年以上使ってなかっただけにトラブルが出ていないかチェックするために、何かCDをかけてみようと思ったハヤカワさんです。
ところが、皆さんも御存知のように、この夏はとんでもない猛暑でした。
この猛暑がCDとどういう関係があるんでしょうね? 訳分かりませんね?
話は続きます、何の気もなく取り出したCDの盤面を見たハヤカワさん、そこになんとなく違和感があるのに気付いてしまいました。
よくよく目を凝らしてCDを眺めてみると、違和感の正体はなんと“カビ”でございました!
そうです、この夏のあまりの猛暑と湿気のダブルパンチによって、ハヤカワさんのCDがカビてしまったのです。
あわててCDを1枚1枚チェックするハヤカワさんですが、ハヤカワさんの所有するCDはその筋のマニアに比べると少ないとはいえ、300枚あまりもあります。
この中のどれだけカビているかにもよりますが、下手をすると何日か徹夜になってしまうかもしれません。
ちなみに、カビが表面だけならアルコール除菌ティッシュで拭けば取れるらしいです。
早速コンビニで買ってこないと。
※CDを拭くときは、中心から外側に向かって放射状に拭くようにしましょう。できれば専用のクリーナーでやったほうがいいようですね。アルコール除菌ティッシュも有効ですが、CDの材質によってはレーベル面のプリントが剥げたり、記録面が白くなって読み出しがエラーしたりすることがあるようです。トラブっても自己責任ですから、事前によく調べてからにした方がいいですね。
※なんとなく「フィリップス トレー」といったキーワードで結構ググられているような気がする記事ですが、本題じゃなくて申し訳ないような。ここはかねてから考えてた「トレー開閉用ギアを複製して直せるか?」を敢行してみたほうがよかろうかな?←11月12日
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